乱筆乱文縦横無尽

2010年04月02日
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カテゴリ: 読書日記




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今日は3月14日に読んだ『 リベルタスの寓話 』を紹介します。作者は私の大好きなミステリ作家の島田荘司さんです。2007年に出版された本書のノベルス化を首を長くして待っていたのですが、今回の事件はこれまでになく陰惨でした以下、 心臓の弱い人は要注意 です。



リベルタスの寓話  講談社(講談社ノベルス) 2010年 ★★★★☆


物語はボスニア・ヘルツェゴヴィナで四つの首切り遺体が発見されたところから始まります。そのうちの一体は内臓が空っぽになっており、肺の代わりに飯ごう、肝臓の代わりにフラッシュライト、腎臓の代わりにパソコンのマウスなど、内臓の一つ一つが代用品に移し替えられて埋設されていました。しかも男性器は切断。なぜこのような残忍な事件が起こったのか?それは、悪夢のユーゴ紛争が原因でした…


本書のテーマは二つ。一つはMMORPG(多人数同時参加型オンラインRPG)でおこなわれている RMT(ゲーム内のアイテムの現金取引) 、もう一つは1990年代の ユーゴ紛争 民族浄化 です。


民族浄化とは虐殺行為だけではなく、公開レイプも含まれます。その意図を作者は「クロアチアや、モスリムの民族性を薄め、浄める。劣った民族の特質を薄め、高級な民族、セルビア人に近づけるため」(p.314)と作中人物に語らせました。さらにその実態として、「彼ら[セルビア人]は公開で犯した娘らを動物のように学舎に連れ帰り、腹が膨らんで、堕胎できなくなるまで監禁した。そして、もう堕ろせないとなったら、裸で往来に放り出した」(p.315)とのこと。しかもこれは一方的なものではなく、「クロアチア人もまた女たちの収容所を作った。モスリムの娘らに対して、同じことをした」(同)と書かれています。この物語はもちろんフィクションですが、 こうした民族浄化の実態は決してフィクションではありません 。


ネタバレはしたくないので細かくは触れませんが、この残忍な事件の背景にはやはり陰惨な過去が潜んでいたのです。それは人間という存在に絶望したくなるほどの狂気です。20世紀末、日本が平和を謳歌していたのと同じ時期に、世界(旧ユーゴやルワンダなど)ではさまざまな愚行が繰り返されていました。日本からは見えにくいそうした現実を、推理小説というポピュラーな形で国内に向けて発信する作者の熱情には恐れ入るばかりです。


戦争は人間を残虐に変えるのか、それとも動物的な破壊願望を秘めた人間の本質を露わにするのか?私は後者だと考えています。つまり残虐行為の主体となりうる精神が、自分自身の内にも確実に存在すると思っているのです。それを直視したくがないために、世界でおこなわれている残虐行為には極力近寄りたくないと思う一方で、それを知らずに生きていくのはある種の逃避ではないかという疑問もあります。


ここまで書いて怖くなってきました。これ以上書き連ねると鬱になりそうなので、今日はもう寝ます


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Last updated  2010年04月03日 03時25分29秒 コメントを書く
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おこめ@ Re:中島京子 『ハブテトル ハブテトラン』(05/11) 突然のコメント失礼します。 人違いであれ…
逆立ち天子6189 @ Re:斉藤光政 『偽書「東日流外三郡誌」事件』(07/05) 東日流三郡誌を真書とした古田氏は残念で…
悪女6814 @ Re:ジノリのプレート(ロイヤルブルー)(05/22) おはようございますヽ(*´∀`)ノふぉろーし…
尼尊太郎@ Re:金容雲 『日本語の正体』(11/09) こちらを見てください。 韓国の学界でも…
Sonic @ こんばんは コメントありがとうございます。 本書…

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