2003年01月07日
XML
カテゴリ: カテゴリ未分類
ペシミストのひとりごと
スパイス・ミー

 映画なんて、心で観て心が揺さぶられればそれでよいと思うのですが、その想いを共有できたらそれもまた、おつなものです。

 愛と名のつくものにもいろいろありますが、今回ルーヂャにふさわしい(?)映画二本を紹介します。ゲイという言葉に少し抵抗のある人へ、目からウロコが落ちます。

 まず一本目は「蜘蛛女のキス」という作品で、主演男優がオスカーにノミネートされたりしているから知っている人も多いと思いますが、ブエノスアイレスの刑務所の中で生まれるテロリストとホモセクシュアルの性を越えた愛物語です。ほとんど二人の会話で構成されているのですが、監房という密室状態で相反する人間(思考人対感覚人、異性愛者対同性愛者、ラディカリズム対コンサーヴァティズム等)が、互いに異質なものを感じ、罵り、罵られ、傷つき、考える。早くここを出て愛する母と暮らしたい、そのためには・・・。愛と背信その狭間で苦悩するモリーナ。イデオロギーのために自分自身をも抑圧しなければならない苦しみ、そして自分の内にあるブルジョア性に苛立ちをおぼえるバレンティン。そんな二人の共「抑圧された孤独」。無数の対立をモリーナの語る映画にうまくからませ、互いを認め合い、歩みよる心理描写がすばらしい。モリーナが出所し、窓辺に腰掛けバレンティンのいる刑務所の空を望んでいるシーンはあまりに切ない。

 不器用だけど真撃なモリーナへ、オーデンの詩の一節を贈ります。
 --同じ深さだけ愛し合うのが無理ならば、 私は愛されるよりもなお深く愛するものでありたい--

 湿っぽくなりましたが、二本目は「トーチソング・トリロジー」というコミカルタッチの作品ですが、涙が止まらないのは私だけではないはず。主人公を演じている俳優が実はこの作品の作者で、彼の半自伝的ストーリーです。アーノルドの声がすごく魅力的で、トム・ウェイツばりの歌声でトーチソング(安っぽいラヴソング)を歌うのですが、なかなかの聴き物です。この作品にはステキなセリフがたくさんあるのですが、やはり盛り上がりは何と言ってもアーノルドが観客に話しかける場面との母親のやりとりでしょう。母親が息子(?)に最後に言ったセリフなんて、まあ、お母さん!よく騒ぎ立てましたが、最後はうまくまとめてまんな、と感心しました。ちなみに、私は服屋でアランが告白するシーンでアーノルドが言ったセリフも好きです。

 最後にこの二作品は、ラヴストーリーにホモセクシュアルというエッセンスを数滴入れていますが、そのエッセンスの持つめずらしさ故にステキな作品だと思いたくないし、思っていません。逆にそのエッセンスを加えたことによって、より愛という語意の本質をついている気がします。それは人間が人間を愛するということ。その苦しみ、悲しみ、誇り、喜びの積み重ねが人により深い愛情を注ぐことのできることを・・・(悟りきったような文だ)。








お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2003年01月07日 12時30分23秒 コメント(4) | コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

PR

×

カレンダー

キーワードサーチ

▼キーワード検索

コメント新着

鶴亀彰@ Re:50年前のビデオ(2)(08/08) 突然のメールで失礼致します。私はカリフ…

バックナンバー

2026年10月
2026年09月
2026年08月
2026年07月
2026年06月

© Rakuten Group, Inc.
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: