2023年04月06日
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新学期が始まり、職場には学生たちのにぎやかさが戻ってきました。
図書館にも久々に人がやってきたので、毎日右往左往しています。


『ミシンと金魚』(永井みみ著)を読みました。
認知症の老女が語り部として己の壮絶な人生を語る、というシンプルな内容です。
継母からの暴力だったり、逃げた夫の残した子供との不義理の娘を亡くしたり、
ミシン仕事で働き詰めだったのに賃金をごまかされていたりと、
古き時代の悪しきものが煮詰められているような、
そんな不幸が、たゆたう意識の中で語られていきます。
ひとつひとつがまだ飲み込めていないうちに、次々と語られていくので、

終わった後に、ほおと一つ息をつくような、そういう作品でした。
個人的には、ベッドからすんなり立ち上がることができず、
横着しながら転げるようにして布団を出るシーンが印象的でした。
私の曽祖母が亡くなったとき、ベッドから落ちて床の上で倒れていたと聞いていたのですが、
聞いた当時はあまりリアルにそれを考えられていませんでした。
このシーンの描写を読みながら、
その時のことが少し解像度を上げて迫ってきたような気がしたのです。

帯には「号泣必至!」などと煽られていますが、
感情を揺さぶられるというよりは、後から折に触れて思い出すような、
心に何か置いていく作品だったなと感じました。


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おやすみなさい。





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最終更新日  2023年04月06日 23時53分35秒
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