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「うちの子は数学が苦手なんですよ~」
よく耳にする言葉である。
私はある本を読んでまさに「あは!」体験をすることとなった。
どういうことかというと、「苦手」というのは「決め付け」なのである。
A君とB君が数学の問題(10分で20問)に挑戦することになった。
A君は10分で20問の問題を解くことが出来た。しかもすべて正解だった。
B君は10分で半分の10問の問題を解くことが出来た。しかし2問間違えていたので8問正解だった。
この時点でB君は数学が苦手なんだろうか?
「苦手」を辞書で調べてみた。
(1)
扱いにくい相手。そりが合わない相手。
「あの人はどうも-だ」
(2)
得意でないこと。不得手。
「-な科目」
(3)
爪がにがく、手に毒があるという手。不思議な力があり、その手でおさえると腹の痛みが消えるなどという。
「私の-薬なりと夜明がた迄さすりける程に/浮世草子・一代女 2」
確かに「得意でないこと」という意味が載っていた。更に「得意」とは?何ぞや?と思って調べてみた。
(1)
望みがかない満足していること。
⇔失意
「-の絶頂」
(2)
誇らしげな・こと(さま)。
「優勝して-な顔をする」
(3)
上手で、そのことに自信もある・こと(さま)。えて。おてのもの。
「-な技」「-中の-」「お-の料理」
(4)
商店などで、よく品物を買ってくれる客。
「上-」「お-さん」「-客」
(5)
親しい友。
「彼の項伯と年来-として一事を隔つることなし/今昔 10」
[派生] --が・る(動ラ五[四])--げ(形動)--さ()
「上手でそのことに自信もある。」
A君はまさにこんな状態なんでしょうね。
ではB君はどうなんだろうか?10問解くことが出来た。答えあわせで2問間違えたが8問正解した。彼はこのことをどのように受け止めるのだろうか?
ひょっとするとA君がそこまで出来るなら僕もA君のようになりたい!とひそかに闘志を燃やしているかもしれません。そのような状況下で「やっぱりBは数学が苦手なんだなぁ」と言ってしまうと、B君は「僕って数学が苦手なんだ。だからいくら頑張って練習してもA君のようになれないんだ。」と思ってしまうかもしれないのです。そしていつしか数学の点数が取れないことを「数学が苦手だから・・・」という理由で片付けてしまうかもしれません。そうなると自ら進んで算数の練習をしようという気になるでしょうか?
ではどのような対応が望ましいのか?それは問題を解き終えた時にどのような一言をかけるかですべては決まります。
先生:「10問解けて8問正解だったね。今はどんな気持ちかな?」
B君:「悔しい・・・」
先生:「そうかぁ、くやしいんだね。何に対して悔しいと思ってるの?」
B君:「2問間違えたこと。」
先生:「そうかぁ、2問間違えたことが悔しかったんだね。間違えてしまった原因は何なんだろう?」
B君:「途中で焦って計算ミスをしてしまった・・・あれさえなかったら・・・」
先生:「そうかぁ、焦ってしまったんだね。もっと時間があれば間違えることなく10問とも正解させることが出来たかもしれないね。」
B君:「うん」
先生:「じゃあ、この時間内で計算ミスをしないようにする為の方法は何か考えられるかな?」
B君:「う~ん、計算の練習を一杯する。」
先生:「なるほど。計算の練習を一杯すればミスもなくなるね。じゃあ何を利用して一杯計算練習をするの?」
B君:「う~ん、問題集かな~」
先生:「なるほど、問題集ね。実は問題集と別にこんな計算問題ばっかりが載ってるプリントがあるんだけど、何かの役に立ちそうかな?」
B君:「あっ、そのプリントで練習します」
先生:「OK、じゃあこのプリント渡すね。でもいつそのプリントを使って練習しようか?」
B君:「う~ん、家でやってくるよ。」
先生:「そっかぁ、家でやれるか。じゃあ、宿題にするけどいいかな?」
B君:「いいよ、これくらいならやれるから」
先生:「よし、では次の問題に取り掛かろうか」
このようなやり取りが考えられる、というより実際に私が担当した子供の実例です。B君は10問全部正解できなかったことに悔しさを感じていた。A君は20問解けたし全問正解だった。B君も10問解いて10問正解を目指していた。実は私はこの問題を解く前に時間だけ指定しました。10分間でどこまで正確に解けるかやってみよう、とだけ子供に伝えた。だから10分で20問全部解こうなどと一切口にしていない。ポイントにした所は、10分間で「正確に」解こうということ。つまり正確性を重視したのだ。
B君は次の週、「先生!めっちゃ頑張ったで!15分で30問全部解けたで!でもな、4問間違えてん。」と喜んで教室にやってきた。私は30問解けたことを一緒に喜んだ。そして4問間違えてしまったことに関してB君と一緒に問題解決策をまた探した。するとB君は「途中の式をちゃんと書いて見直すようにする」という解決策を考え出した。自分で考えた方法なので進んで書いています。彼が今一番好きな科目は数学だそうです。
強育論 2008.09.18
ファンドマネージャーの心境 2008.07.28