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2007年01月24日
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カテゴリ: スポンタについて
これは、平成18年度世田谷文学賞・シナリオの落選作である。

私がブログを書く理由の一つに、化学物質過敏症があることを改めて指摘しておく。

題材は ここ にある。

事実があり、それを作品にしたためる。

娘の読書感想文は、世田谷区議会で披露され、議員さんたちの涙を集めたという。
だが、私のシナリオは、世田谷文学賞で蹴られる。

親の実力とはそんなもんだ。

☆


ま、自由に読んでいただければ嬉しい。

とはいえ、このエントリーは、ブログの文脈からはずれるので、読者が求めるものではないかもしれぬ。だから、これは私の覚書と捉えて欲しい。


あえて、指摘するまでもないが、読む価値があるかどうかは、疑問である。何せ、落選作なのだから…。

とはいえ、リンクで指摘したライブドアPJの記事はぜひとも読んで欲しい。


…私は、そんな親ばかである。ORZ

では…。


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○ 題名

「学校に行けないこどもたち」




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○ 登場人物

山口茜(朝日が丘小学校6年生)
島津夏美(朝日が丘小学校6年生)
エリカ(朝日が丘小学校6年生)
ヒロシ(朝日が丘小学校6年生)

緑川先生(33歳・茜たちのクラス6年3組の担任教師)

山口朝子(38歳)・茜の母親
島津美津(38歳)・夏美の母親
島津甲介(40歳)・夏美の父親・内装業者

三枝(45歳男性)・シックスクールを考える父母の会の代表
PTA会長(40歳・男性)

大石校長(55歳・女性校長)
靖子(28歳・養護教諭)

斉藤医師(50歳)クリニック診療所の医師
山室先生(55歳男性)・化学物質過敏症を専門とする大学教授・臨床医

柳井和子(45歳)・市会議員
市役所職員(38歳)



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【プロローグ】


○ 6年3組の教室。

 小学校の担任教師の緑川(33歳)が、ホームルームで、こどもたちに向かっている。先生は市のつくった読書感想文の冊子をこどもたちに配る。

緑川先生「この地域の小学生たちが書いた読書感想文の本だ。みんな、夏休みの宿題で書いた感想文の優秀なものが載っている」

ヒロシ「(ページを目ざとく見つけて)おい、夏美の感想文が載って」

 クラス中がざわつく。どれどれとページがめくられる。
 クラスの輪の中で恥ずかしそうにしている夏美の姿がある。
 ヒロシがたちあがり、夏美の感想文を読み始める。
 ヒロシに注目するクラスの子どもたち。夏美を羨望と嫉妬で見つめるクラスメート。
 緑川先生は、しばらくその様子を眺めている。

ヒロシ「ファーブル昆虫記を読んで。島津夏美。夏休みのある日、お父さんがこれを読みなさいといって、ファーブル昆虫記の本を買ってきました。『私はムシキングなんかに興味はない』。私は心の中で呟きましたが、お父さんにそれを伝えることはできません…」

ヒロシの朗読の声に、陰鬱な夏美の表情がかさなる。

夏美の心の声「茜ちゃんはどうしているんだろう…」


○ 山道

 茜は険しい山道を登っていく。
 茜の息ははずんでいるが、それは見る人に苦しさを感じさせない。そんな生命の息吹だ。
 山道を抜けると、高原が広がっている。


○ 高原の小学校

 大自然の中にふるめかしい木造校舎の小学校が現れる。
 茜は満ち足りた表情で校舎を仰ぎ見る。
 ふるめかしいが手入れの行き届いた小学校の校舎に作品タイトルが載る。


○ 作品タイトル

「学校に行けないこどもたち」




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【アクト-1】


○ 朝日が丘小学校 (以下は、夏美の回想シーンです)

 コンクリートの都会の小学校。校庭の桜はすでに散り始めている。
 裏門でトラックに部材を積み込む幸介(内装業者・夏美の父)。
 3階の廊下側の窓から、夏美が幸介に手を振る。幸介は夏美に気がついて、手を振りかえす。
 市役所の若い担当者がやってくる。

甲介(内装業者・夏美の父)「春休みのうちに終わるように残業、残業でやってはみたんですが…」

市役所役人「いやぁ、いつも無理なことばかり頼んで悪いね」

幸介「今度の土日で足場を外せば、工事は全部終了です。ほんと、今回は工事がおくれちゃって本当に申し訳ありませんでした。」

市役所役人「いやいや、こっちこそ。三学期が終わってからの短い期間で、教室を改装しようってのがそもそも無理なんだよね」

幸介「無理でもいいじゃないですか。大人たちがこどもたちに、新学年をきれいな教室でスタートしてほしい。その気持ちはすばらしいことですよ」

市役所役人「そういってくれると嬉しいけど、なんか残業ばっかりさせて申し訳ないなぁ…って」

幸介「私の娘もこの小学校に通ってます。娘にはきもちいい環境で思いっきり勉強して欲しい。それはこどもたちは勿論、先生方もわれわれPTAも変わらない。こうして校舎をきれいにできるのも、ほんとうに豊かな日本でよかったって思いますよ…」


○ 保健室

茜がベッドに横たわっている。養護教諭の靖子(28歳)が体温計の温度を確かめる。

夏美が扉を開けて入ってくる。

靖子「熱はないようね」

夏美「(保健室には不似合いな元気さで)茜ちゃん大丈夫?」

 茜は顔面蒼白で、じっとしたままである。

靖子「夏美ちゃん。保健室に来て寝てるんだから、元気な訳がないでしょ。(茜に)吐き気がするのね。茜ちゃんは、もう生理になってるのかしら」

 茜は恥ずかしそうに首を横にふる。

夏美「(茜に恥ずかしそうに)…そう。あたしも実はまだなんだ」

靖子「生理が原因じゃないのか。(少し考え込むが、何かの答えを打ち消すように)小学校の高学年の女の子って、ちょうど体が大人になる時期だから、気持ちが悪くなるなんて、よくあること。少し休んでみて、直らなかったら、お家に連絡してあげるから、お母さんに迎えに来てもらって、今日は早退すればいいわ」

 夏美は心配そうに茜を見つめている。

 ドアのすきまから、クラスメートの慶太とヒロシが保健室を覗き込んでいる。

 夏美はふたりの視線に気づいて外に飛び出す。


○ 6年3組の教室

 放課後のひとときである。

ヒロシ「茜。あれになったのかよ」

エリカ「ヒロシってヘンタイ。女子がちょっと気分が悪いっていうと、すぐそういう想像するんだから」

夏美「ほんと、このクラスの男子って、エッチなんだから…」

 と、男子たちを仲間はずれにして、エリカは夏美に耳元でささやく。夏美もエリカに耳元でささやく。

エリカ「(意外そうに)えっ、そうなの?」

 興味津々のヒロシ。

夏美「だから、男子は関係ないっつーのッ!」



○ 茜の家・ダイニングキッチン

 朝子がテレビドラマを見ている。すでに夕食は片付いているが、茜の分だけにラップがかけられている。
 パジャマ姿の茜が入ってくる。
朝子「大丈夫?」

 茜はぶすっとしたまま、テーブルに座る。そして、ラップをかけられたおかずを見回し、

茜「アイスクリームってあったっけ…」

朝子「(むっとして)あなた、気持ちが悪いなんて気のせいだったんじゃないの」

茜「(表情が固まる)---。そんな…」

 茜は、冷凍庫の中を覗いてアイスクリームを探す。その背中に、テレビを見ている朝子が語りかける。

朝子「あなた反抗期で、最近ちょっとわがままになったんじゃないの。今日だって、わざわざ学校まで迎えに行かされて、おかあさん迷惑だったわ」

茜「(振り返り)何よ、その言い方ッ」

朝子「(カチンときて)娘のあなたに言い方を指図されることはないわ。あなた、体なんてどこも悪くなくて仮病だったんじゃないの」

 茜は大きな音を立てて冷凍庫の扉を閉めると、ダイニングキッチンを出て行く。


○ 四月のカレンダー

 四月も半ばである。


○ 保健室につづく廊下

 を、茜につきそって、夏美が歩いている。
ヒロシの声「いいよな。保健係って授業をさぼれて」

 顔面蒼白の茜がベッドに横たわる。

他の男子の声「勉強をさぼりたいだけで、どうせ仮病なんだろ」

夏美「(男子に)ちょっと。うるさいな。(茜に)茜ちゃん、大丈夫」

茜「(顔をひきつらせながら)ごめんね…。夏美ちゃん」


○ 茜の家

 夕食。茜が椅子から崩れ落ち、うずくまる。

茜「いたいよ、いたいよ…」

朝子「茜。どこが痛いの? はっきり言いなさい」

茜「頭。頭が…」



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Last updated  2007年01月24日 10時31分20秒
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