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以前、オーガニックとクローン でミトコンドリアと母系遺伝に付いて触れましたけれど、ミトコンドリア病に関しましては、容量の問題もあり、書いていなかったと思います。瀬名秀明のパラサイト・イヴで広く知られるようになったとは思いますけれど、まず、ミトコンドリア に付いて確認しておきます。Wikiによりますと、ミトコンドリアとは真核生物の細胞小器官であり、酸素呼吸の場として知られている、とあります。機能 は「電子伝達系による酸化的リン酸化によるエネルギー生産」で、その起源 は、「進化論的にはミトコンドリアは好気的バクテリア細胞が真核細胞に共生することによって獲得されたと考えられている(リン・マーギュリスの細胞内共生説)」、とされている様です。人間の身体を日本という国に喩えますと、身体の各器官は(地方)自治体、各器官を構成する個々の細胞は一軒の家の様なものでしょうか。この家には主人と多数の召使が住んでいるとします。この召使が主人の食事の世話をしてくれる、という様なイメージだと思います。始めは主人だけが住んでいたのに、いつの間にか好気性バクテリア(=ミトコンドリアの前身)が入り込んで主人の世話を焼く様になり、そのまま済みつき、出来た集団が現在の真核細胞、というのが分かり易い喩えと思います。こういう経緯から、一つの細胞には、1つの核DNA(主人の遺伝子)と多数のミトコンドリアDNA(召使の遺伝子)が存在します。Wikiには、1つの細胞には多いものでは数千個も存在するとあります。ミトコンドリア病は、主にこの召使(ミトコンドリア)が上手く働けなくなって発生する問題(疾病)で、ミトコンドリアは体中の器官の至る所に存在しますから、発症する部位により様々な症状が出る、ということの様です。Wikiには、ミトコンドリア脳筋症の3大病型としまして・慢性進行性外眼麻痺症候群、CPEO - 眼瞼下垂、外眼筋麻痺 ・Kearns-Sayre症候群、KSS - 外眼筋麻痺、網膜色素変性、心伝導ブロックが三主徴である。筋力低下などを併発する。 ・赤色ぼろ線維・ミオクローヌスてんかん症候群(福原病、マーフ、ragged-red fibreを伴うミオクローヌスてんかん、MERRF) - ミオクローヌス、痙攣、小脳症状、筋症状が主。子供に多い。知的退行、歩行障害に至る。40%に心筋症を合併。・ミトコンドリア脳筋症・乳酸アシドーシス・脳卒中様症候群(メラス、卒中様症状を伴うミトコンドリア脳筋症、MELAS) - 脳卒中様の発作を起こすことが特徴。頭痛、嘔吐が初発症状であることが多い。筋力低下、知能障害などが起こる場合もある。が挙げられています。そして、これ以外にも多数あり、最近知れ渡るようになりました糖尿病(全体の1%程度?)や、肥大型心筋症等がお馴染みのところと思います。国立精神・神経センター武蔵病院の臨床検査部にDNA診断・治療室があり、病気の概要に関しましては、このミトコンドリア病 についてが分かり易いかも知れません。この病気の原因のひとつは、ミトコンドリアDNAの高い塩基置換速度にある様です。国立遺伝学研究所のDNA人類進化学 ミトコンドリアDNAには、「ミトコンドリアDNAは核DNAに比べて塩基置換の起こる速度が五倍から一〇倍速い」、とあります。つまり、突然変異が起こる可能性は、ミトコンドリアDNA(召使)の方が核DNA(主人)よりも5~10倍も高い、と言い換えることが出来ると思います。パラサイト・イブでは、このことから、ミトコンドリア(=召使)が核DNA(=主人)よりも非常に速く進化し、主人を操る能力を持つに至った、という設定でした。但し、現実の突然変異は、良い方(進化)に出ることは殆どなく、多くの場合は何らかの異常として現れる様です。ショウジョウバエに放射線を投射して突然変異を起こさせる実験は有名と思いますけれど、この放射線を利用した突然変異育種等、突然変異法の解説を見ましても、有用な突然変異は非常に少ない、とあると思います。ミトコンドリア病の原因のひとつも、こういった突然変異によるミトコンドリアの失活とこれが引き起こす細胞の呼吸困難(エネルギー不足)にある様です。原因に関しましては、この難病情報センターのミトコンドリア病 「4. この病気の原因はわかっているのですか」 が分かり易いと思います。要するに、召使が病気になって、主人のために食事が作れなくなった、というような状況と思いますけれど、原因としましては、これ以外にも核DNA(主人)側に問題がある場合もある様です。NIKKEIの日仏チーム、ミトコンドリア病の原因遺伝子発見というニュースがありましたけれど、難病情報センターのミトコンドリア病には、『ミトコンドリア遺伝子の変異が原因の場合には、遺伝する場合と遺伝しない場合があります。ミトコンドリア遺伝子の挿入や欠失などの再配置を原因とするミトコンドリア病は、ほとんどの場合、弧発例(兄弟・姉妹は正常)で、遺伝しません。』とあります。また、去年の暮には、ミトコンドリアDNA複製の常識の一端が覆る - ミトコンドリアDNA複製開始には遺伝的組換え開始と共通の装置がはたらく - というニュースもあり、・ホモプラスミーへのリセット・ミトコンドリアDNAの変異で呼吸の機能を失った細胞が器官の細胞集団で優性になってしまう理由が(酵母で)解明された、というものでした。これにより、「現在、手の打ちようがないとされている高齢化にともなうミトコンドリアDNAの変異蓄積やミトコンドリア症に対しても何らかの対策が見付かる可能性が出てきました。」、とあります。以上がミトコンドリア病の大まかな状況ですけれど、何故今回これを取り上げたかといいますと、ミトコンドリア関連の本を読んでいて、『動物のミトコンドリアゲノムの構成や配置、遺伝暗号やtRNAの特徴などが明らかにされていった。それらはヒトのmtDNAと同じ特徴を持っていた。』、という部分が目に留まったからです。ヒトも動物も同じ様なミトコンドリアDNAを持つのに、犬のミトコンドリア病というのは聞いた事がありませんでした。googleで『ミトコンドリア病 犬』や『犬のミトコンドリア病』を検索して見ましても、該当する様なサイトは見当たりません。けれども、MEDLINEで検索しますと、やっぱり見つかりました。Mitochondrial myopathy in a german shepherd dog.と、全文はMitochondrial myopathy in a german shepherd dog.(PDFです)に、9ヶ月のジャーマン・シェパードの例が掲載されています。進行性の運動不耐性で、筋肉症様の症状の様です。MerckのSmall Animalsには、クランバー/サセックス・スパニエルとオールド・イングリッシュ・シープドッグのミトコンドリア病が掲載されていました。ミトコンドリア病の患者数は、未だ正確には分かっていないようですけれど、難病情報センターのミトコンドリア病には、「ミトコンドリア病の患者数は数万人に達すると見積もられています」とあります。また、最近では、ミトコンドリアDNA欠失が脳に蓄積するマウスにおける躁うつ病類似の行動学的表現型や躁(そう)うつ病(双極性障害)にミトコンドリア機能障害が関連 - 躁うつ病の発症メカニズム解明につながる初めてのモデル動物の可能性 - 、躁うつ病の原因はここまでわかった!(PDFです)等にあります様に、躁鬱病の原因(の一つ?)ではないか、という可能性も示唆されています。単純に塩基置換速度から考えますと、通常の遺伝病の5~10倍の発生頻度であってもおかしくないと思います。ミトコンドリア病自体が最近分かった疾病ですので、正確な実体が分かれば、患者数はもっと多いのかも知れません。そして、犬に関しましても、これまでは分からなかっただけで、原因不明、或いは他の疾患と勘違いされたり、といった様な処置をされていた可能性はなかったのでしょうか?
2007/07/13
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このところ、レスキュー関連のことを書いていますけれど、人間の場合はやはり脳低温療法が大きな関心事と思います。かなり大きな話題を集めはしたものの、一頃はこの脳低温療法の明と暗に示されます様な色々な問題があり、ちょっと低迷していた様です。全身を冷却することの難しさや、目標温度への到達時間、状態管理等、克服すべき問題も多く、私も以前冬眠を書いた時は、犬への応用はちょっと悲観的でした。例えば、脳動脈瘤手術における中等度低体温麻酔の評価には、目標温度への到達時間は45±37分、とあり、これだけ時間が掛かるのは全身麻酔下で冷却ブランケットで全身を包み込むからです。ところが、最近ではまたこの方法が見直されて来ている様です。その一つの背景としまして、この“選択的急速脳冷却システムの開発”に関する研究に見られます様に、脳だけを急速に冷却する方法が工夫されて来ていることもある様です。この方法では、7分以内に所定の温度(20~25℃)まで下げることができ、表面脳低温療法の目安になる34℃には約1分程度で到達できる、とされています「。そして、この様な選択的急速脳冷却システムとして完成した様です。勿論、これだけでは、犬に取りましてはあまり大きなメリットは無いのかも知れません。しかし、この方法のもう一つの大きなメリットは、手術部位のHt値を下げた状態で手術を行うことにより、無血手術に近い状態での手術が可能となる、ということにある様です。“選択的急速脳冷却システムの開発”に関する研究の中でも、「将来、無血手術が各方面で可能となり、また、迅速な 脳保護により、各科の救急医療においても、広く応用される可能性が高い。」、としています。また、同時に、救命ということを考慮しまして、『 手術室や救急救命センターでの使用を考慮し、接液部はすべてディスポーザブルにすることに成功し、滅菌・感染などの安全面にも考慮した。装置自体も一般電源の使用が可能であり、本装置のみで治療が行えることを考慮し、小型化され移動可能としている。』とありますので、将来的には、(特殊)救急車の中での治療が可能、というようなことになるかも知れません。体温管理システムも、体温管理システムArcticSun 2000の様な自動管理システムが既に発売されている様です。(この装置自体は冷却には既存の全身冷却方式を使用している様で、目標体温到達まで90~120分とあります)これらの製品が、より効率的な冷却素子の開発等の問題はありますけれど、小型・軽量化・全自動化されて来れば、獣医療での利用も可能になるかも知れません。元々犬は、長い心肺停止後の犬が生き返る(PDFです)に見られます様に、この手の事故には人間より耐性があります。その内、犬の救急法も、心臓マッサージ等ではなく、冷却シートに包んで即座に搬送、というような時代が来てもおかしくない気もします。すると、その際の問題としましては、犬の救急体制をどう確立するか、ということが挙げられると思います。現時点では、救急車はおろか、動物用救急センターも数える程しか存在しないと思いますけれど、例えば、救急車の有料利用や、人間の場合と同様、地域の拠点動物病院の創出等、救急体制を作ることも必要になって来るのではないでしょうか。アメリカ等の例を見るまでも無く、室内飼いの割合が増えればそれだけ事故の可能性も高くなると思います。もう一方の応用の、冷却麻酔に関しましては、日本獣医師会の会報アメリカにおける獣医心臓外科の現況と開心術の諸課題の中で、人工心肺(CPB)回路と低体温麻酔法を併用する方法が紹介されています。『体重5kg以下の小型犬であれば体表に氷嚢をおいて表面冷却を,それ以上であれば熱交換器による血液冷却を併用して食道温20℃前後まで冷却し,ポンプ流量を常温下(100ml/kg/min)の1/3~1/4に下げておこなっている.』とありますので、発想は上記の選択的急速脳冷却システムと同様の様です。この筆者によりますと、『従来,日本でも「小型犬のMRの心臓手術は不可能」と諦められていたが,筆者のライフワークである「小型犬の開心術及びMRの外科療法の可能性」を今回紹介し,今までなすすべもなく死んでいった多くのMR犬に一筋の光を当てたいと願っている』、とありますので、この様な装置が普及する下地は大いにあると思います。
2007/07/12
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前回紹介しました中津動物病院 夕陽丘動物病院の救急時の看護(PDFです)を見ていて、間違ったことを色々やってきた事が分かりました。事態にも依る(痛み・外傷・おびえはタオル・毛布などで頭を覆い、抱き上げて運ぶ、とあります)と思いますけれど、病院への運び方としまして、・毛布等に包まない・抱きしめない・手で持たない・硬い床のケージに収容して、自由な体位をとれることが重要とあります。その理由としまして、例えば僧房弁閉鎖不全に伴う呼吸困難の場合は、・飼い主はこうしたイヌをタオルで包んで、抱きかかえたりして来院することが多い・直ちに抱きかかえることをやめさせる。平らな安定したケージに収容。ケージの床は排水のために傾斜している。イヌは姿勢を維持するために常に前肢を踏み替えなければならない⇒酸素不足の助長。とあり、犬の姿勢としましては、犬座姿勢 : 胸郭が最大に拡張して、換気量が最大になっている。伏せ/横臥では換気量が減って、一層の酸素不足となる。ということです。確かに、これまで何度か危篤状態にあり、ぐったりしている状態の犬や猫を運んだことがありましたけれど、何れの場合も、腕に抱きかかえていました。しかも、顔(お腹)が上を向く状態だった様な気がします。呼吸という観点からは、瀕死の状態では負担が大きい姿勢だったかも知れません。また、これは通常の飼い主さんとは無縁の行為と思いますけれど、僧房弁閉鎖不全の治療としまして、・過剰な血液量が心拍出能力を上回っている。 過剰な血液は右心房に帰りきらないで、肺に過剰に鬱積している=肺水腫・治療(降圧剤と強心剤)とありますけれど、緊急の手段としまして、写血が挙げられていました。・循環血量を減少させる : 写血・写血はHt値45%以上で適応。低いときはしない。・頚静脈から全血量の最大20%を採取する。 輸液バッグに保存、後日必要あれば再輸血。・教科書にはないが極めて即効性のある有力な方法。マイクル・パーマーの「沈黙の病棟」の中に、マンハッタン医療センター(という設定)で、心悸亢進からの肺浮腫のエマージェンシーの時、同様の方法で急激に回復させた描写があることを思い出しました。ところで、人工呼吸に関してですけれど、Googleの『犬 人工呼吸』の検索結果を見ますと、多くのサイトでは人工呼吸若しくは人工心肺蘇生法、或いは両者を組み合わせた方法等を紹介しています。人間の場合は、病院前救護 救急医療勉強会「興部進歩の会 OPS」の070501消える人工呼吸を見ますと、人工呼吸の必要性が疑問視されている様です。『マウスツーマウスを取り巻く状況は8つにまとめることができる。1.マウスツーマウスを要求することはバイスタンダーの効果を大きく減らす(注:やる人がいなくなる、ということです)。院外心停止にバイスタンダーは重要なのに。 2.バイスタンダーが心マさえやってくれれば、救急隊が駆けつけてからおもむろにCPRを始めるより生存率が高い 3.CPR一人法では人工呼吸にとても時間がかかってその間心マしてくれない 4.人工呼吸による胸腔圧上昇は冠状動脈血流と脳血流を減らす 5.突然の卒倒では患者の体に酸素がいっぱいある 6.突然の卒倒では患者の多くが引きつけたような呼吸(注:しゃっくりみたいな。gaspといいます)をしている。心マさえ続けていればこの呼吸は長く続き患者は自分で呼吸し続ける。この呼吸は引きつけなので胸腔内圧を下げて冠状動脈血流と脳血流を増やす 7.心マのみを長く続けると冠状動脈圧が上がり蘇生に有利に働く 8.呼吸を麻痺させていない動物による実験では心マのみの蘇生の方が心マ+人工呼吸より蘇生率が圧倒的にいい 』上記googleの検索結果から参照したサイトの中には、人工呼吸と人工心肺蘇生法を一人で同時にやるような方法を記載しているところもありますけれど、これは多分一人では出来ないと思います。交互にやる、としているサイトもありますけれど、原因別にどちらかに絞る方がいい様な気はします(根拠はありません)。人間の場合は、『驚くべき結果』としまして、人工呼吸+胸骨圧迫より胸骨圧迫のみのCPRのほうが優れていて、さらに呼吸停止でも胸骨圧迫のみのほうが神経学的に後遺症が少なく、同じ心室頻脈・心室細動であっても後遺症が少なかった、とあります。更には、胸骨圧迫だけを行った全くの素人の方が高い生存率と神経学的回復率を得ている、ともあります。見逃せないのは、『動物実験では人工呼吸回数を増やすと死亡率が高くなるし、胸骨圧迫の中断時間を増やしても死亡率が跳ね上がる。人工呼吸の旗色は悪くなるばかりである。』、という部分だと思います。ちょっと古いかも知れませんけれど、WSAVA 2003 Congress にCurrent Concepts in Cardiopulmonary Resuscitation が掲載されていました。まず、心臓マッサージの回数は人間の場合で1分間80回以上、犬や猫の場合は90~120回必要、とあります。人間の場合も、4. 心臓マッサージには、『2000年から大幅に簡略化され、心臓マッサージの回数は1分間に100回に統一されている。この数字は全体に以前よりは早くなっているが、これは頻回の心マのほうが動物実験での心拍出量が上がるという観察に基づいている。』とありますけれど、googleの検索結果から参照したサイトの多くは、この必要回数以下の回数を記載しています。ついでに、人間の場合、4.0.3 IAC-CPRで通常の心臓マッサージに加えて、もう一人の術者が腹部を圧迫する方法が紹介されています。ここでは(人間の場合は)複数の人間で行なう方法とされていますけれど、Current Concepts in Cardiopulmonary Resuscitation の「Alternative CPR Technique: Interposed Abdominal Compression (IAC-CPR) 」では、一人の人間が左右の手で(小動物の)胸と腹部を押す方法とされています。救急時の看護(PDFです)の中では、間歇的腹部圧迫法を併用した胸郭ポンプ法として紹介されています。人口呼吸の回数に関しましては、頻回のSVC-CPRよりは標準(犬で1分間12~15回)か、より少ない(1分間8~12回)の方が理に適った選択である様です。更に、Order of Priority では、人間の場合も問題になっています、気道の確保 → 人工呼吸 → 心臓マッサージ というプライオリティが検討されています。ここでも、(豚の場合ですけれど)人工呼吸の有無に拘らず心臓マッサージの有効性から、この優先順位も 心臓マッサージ → 気道の確保と人工呼吸 といった変更が検討される必要がある、としています。以下、薬剤等はあまり一般の飼い主さんとは無関係と思いますけれど、1点だけ、バソプレッシン はエピネフリンよりも有効、としていることは記憶しておいてもいいかも知れません。上記Wikiにも、救急医療における適応としまして、『近年では心停止の4つの病態、心室細動、無脈性心室頻拍、心静止、無脈性電気活動に対して第一選択として用いられるようになってきた、これはバソプレシン投与による救命率、生存退院率が共にアドレナリン投与群を有意に上回ることがわかったためである。』とありますけれど、動物の場合は未だ一般的ではない様です。同じく、一般的ではない、ということに関しましては、殆どの獣医師は電気除細動器を持っていない、とあります。人間の場合は、AED(自動体外式除細動器)がかなりニュースにもなり、医療従事者や救急隊員だけではなく、一般の人も使用できることになりました。心房細動は(心停止中)人間の33%と比較し、犬や猫では19.8%と若干発生率が低いですけれど、それでもこれだけの率の動物がもうちょっと高い蘇生の可能性を与えられるかもしれないのに、と事情はアメリカでも同様の様です。抗不整脈薬は電気細動除去とともに使われる時だけ、効果的であるだろうに、と結んでいます。
2007/07/11
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非常に良く知られていることだと思いますけれど、口呼吸は人間だけが行なう様です。犬が暑い時等にハアハアしているのは体温調節の為だという事は、犬を飼われている方には常識だと思います。人間の世界では、口呼吸を止めて鼻呼吸にしましょう、ということが流行っている(?)様です。AllAboutにも口呼吸には危険がいっぱい!という記事があり、口呼吸を続けていると、どうなるのでしょうか には、『免疫力は低下し、「免疫の混乱」と呼ばれるアレルギーも引き起こします』、ともあります。ヨガを始め、世の中の呼吸法はほぼ総て鼻呼吸が中心(ドッグ・ブレスのようなものや、意図して口呼吸を行なうものもありますけれど)ですので、何気なく見ていましたら、ちょっと気になる説明をしている箇所がありました。鼻呼吸と口呼吸の違いに、口呼吸をしていると病原菌が白血球の中に入り込み、全身に運ばれてしまう、という記載があり、何のことを言っているのか良く分からなくなりました。Wikiの白血球にも、一般常識としての白血球、例えば山口大学保健管理センター の白血球にも、白血球は細菌を捕食する、とあります。例えば、結核菌やレジオネラ等の様に、一旦食細胞に捕食されても, 細胞内で殺菌機構をかいくぐって繁殖する細胞内寄生体のことを指しているのでしょうか?でも、これらは鼻呼吸で回避できるという話を聞いたことはありません。でも、子育ての医学情報の子育ての医学情報>アレルギーの原因は「口呼吸」?にも同じことが書いてあります。アトピーマガジンの重力を忘れた医学では病気は治せない にこのことがもうちょっと詳しく説明されていました。『免疫学では最大の話題の自己免疫疾患は口呼吸習癖による扁桃リンパ輪の弱毒性、不顕性感染や胃腸内のピロリ菌による感染、ウイルスを抱えた白血球の性質の変化に起因すると考えられます。腸管の扁桃、白血球造血器が弱毒性または無害の常在菌の慢性の感染により細菌やウイルスを抱えた白血球が以下の臓器や器官、組織に感染が拡散されたときに発症すると考えられます。発症部位で分類します。 甲状腺→橋本病 唾液腺・涙腺→シェーグレン 胸腺→重症筋無力症 関節頭の白血球造血器→リウマチ・関節炎 白血球造血巣→白血病 リンパ造血器→悪性リンパ種・サルコイドーシス 膵臓→糖尿病 大腸→潰瘍性大腸炎 皮膚→皮疹・皮炎・アトピー 皮下組織→膠原病 脳神経系→扁頭痛・鬱病 気道・気管支→喘息・間質性肺炎 心臓・脈管系→心疾患・動脈炎・静脈炎・レーノー 手や足の掌蹠→掌蹠膿疱症 腎・副腎→ネフローゼ・腎炎いずれもこれらの疾患にかかる人がいて、同じ様な環境でもかからない人がいる、その違いを見ると人類特有で、ほ乳類でも人類だけが構造的な欠陥として持つ「口」呼吸と直立二足歩行によってこれらの疾患は発症しがちだということが分かります。鼻ではなく口で呼吸し睡眠不足をするといった「くだらない」ことが病気の原因や誘因になることを世界中の医者が見落としていたわけです。』ここまで読みますと、犬を飼っている人は「じゃあ犬や猫はどうなの」、と言いたくなると思います。アマゾンの『アレルギー体質は“口呼吸”が原因だった―ぜんそく・アトピー・花粉症 (新書)』 や『「赤ちゃん」の進化学―子供を病気にしない育児の科学 (単行本(ソフトカバー)) 』等のカスタマーレビューを見ますと概ね好評の様ですので、理屈付けは兎も角、結果オーライ、という様な気がしないでもありません。(この2冊は楽天以外のアフィリエイトが含まれている、というエラーになり、リンク出来ません。詳細はアマゾンで検索して見て下さい。)レビューの中に、『アレルギー性鼻炎は治りません, 2005/3/16 By みっく アレルギー性鼻炎なのでこの本を買ってみた。ところが最初にアレルギー性鼻炎の人はまず医者へ行って治してからこの方法を実践して下さいと書いてあった。おいおい・・ 』というのがありました。この手の本の本質 といったら言い過ぎでしょうか。何も無いのに犬の口呼吸の頻度が高かった場合(特に長頭種)、何か病気を危惧した方がいいかも知れない、ということもその通りだと思います。ところで、人間の場合、いびきをかくのは主に口を開いて寝ている時が多いと思います。犬がいびきをかくのはどういう時でしょうか。目がテン!の所も悩む!?イビキの謎 の実験では、「普通はイビキをかかない犬を、寝たまま仰向けにしてやると…やっぱりイビキをかいたのです」、ということが示されています。確かに、私の場合も、仰向けに寝ている時にしかいびきを聞いた事がありません。仰向けに寝ることにより、人工呼吸の際気道を確保するのと同じ状態になっているのでしょうか?若しこの状態で口呼吸をしているのであれば、普段は可愛いと思って見過ごしている犬の仰向け熟睡状態も注意が必要かも知れません。もう一つ、犬の人工呼吸はどう行なうのが正しい方法でしょうか?人間の場合は、マウス・トゥ・マウスの様ですけれど、犬の場合はマウス・トゥ・ノーズの様です。Googleの『犬 人工呼吸』の検索結果に多数掲載されていますけれど、私はこのDog saved by mouth-to-nose breathingで知りました。心臓マッサージで蘇生せず、人工呼吸で助かった、とのことです。すると、人間の場合もひょっとしたらマウス・トゥ・ノーズの方が有効かも知れない、という妄想が湧いて来ました。横向けにしてマウス・トゥ・ノーズを行なえば、わざわざ気道を確保する必要もないのでは?という疑問です。最後に、中津動物病院 夕陽丘動物病院の救急時の看護(PDFです)はAHT向けと思いますけれど、『飼い主が気付かない緊急事態』等、一般の飼い主さんも知っておいた方がいい様な情報が数多く掲載されています。普段からこまめに目にしていれば、いざという時慌てないで済むかも知れません。
2007/07/11
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SNOW DREAMという会社が、血液検査の一種のTh検査というサービスを始めていました(Th検査とは?)免疫系のヘルパーT細胞(Th1、Th2、Th3 )のバランス状態を見る、という考え方は、上記のシーソーの図を見ますと非常に分かり易く、説得力を持つと思います。具体的にどういうことに役立つのか、という点に関しましては、TOPページ(ペットの検診スノードリーム)には、・がん検診・アレルギー検査・免疫検査・お薬検査を挙げています。アレルギー検査と免疫検査に関しては説明の必要はないと思いますけれど、がん検診というのはちょっと意外な気がしました。ペットのがん検診には、「がん細胞が増殖する時にはTh3細胞の産生するサイトカインTGF-βが増加します。進化型Th1/Th2/Th3生体反応検査をすることで、早い時期にがんを診断することが可能です。」、とありますけれど、勿論これだけで直ぐに分かるというものでもないと思います。サイトカインTGF-βの増加要因はがんに限らず、ヘルパーT細胞間のバランスの崩れも同様と思います。勿論サイトカインTGF-βとがんは密接な関係にあることは事実とは思います。例えば、TGF-βによる上皮間葉移行の分子機構には、『TGF-β は古くより線維症との関連が示唆されており、フィブロネクチン等の間葉系マーカーの発現を誘導することも知られていた。・・・さらにTGF-β1、b2のノックアウトマウスが心臓形成に異常をきたすこと、TGF-β3が口蓋形成に異常が起こり、高頻度に口蓋裂を発症することからもTGF-βがもっとも重要なEMT誘導因子の1つとして考えられるようになった(図2)5』とあり、上記ページの目的も、「TGF-βによって誘導される上皮系マーカーの発現抑制機構と増殖制御に関する分子機構の概略を紹介」することにある様です。しかしながら、まとめのパートが、刺激に対する応答時間が短いこと等から得られた実験結果が原因なのか結果なのか判定が困難で、未だにEMT誘導におけるTGF-βシグナル研究は混沌としているように思える、というような基調にありますように、この方面の研究も未だ道半ば、というような感じと思います。ですから、腫瘍マーカーとして直ちに有用、というわけではなく、定期的に検査を行なうことにより、早期に異常の《可能性》を発見する、という利用方法になると思います。尤も、Wikiの腫瘍マーカーには、『腫瘍マーカー単独で癌の存在を診断できるものはPSA(前立腺癌のマーカーに用いる)など少数であるといわれている。しかし、癌患者の腫瘍マーカーを定期的に検査することは、再発の有無や病勢、手術で取りきれていない癌や画像診断で見えない程度の微小な癌の存在を知る上で、確実ではないが有用な方法である。』とありますので、腫瘍マーカーの多くは、実際には腫瘍マーカーではなく、腫瘍マーカー候補、というような表現の方が適切ではないのかな、とも思います。ところが、こういう使い方をするためには、現在のTh検査には大きな問題点が一つあると思います。それは検査料金が高すぎ、多くの人は頻繁には検査が出来ないであろうと思われることです。勿論、サービスを開始して間もないこともあり、検査機器の償却等色々な理由はあると思いますけれど、(多分)ちょっとした手術よりも高い、というのでは、特別な理由がない限り私には精々年に1回程度が限度です。アレルギーや(自己)免疫疾患の利用が増え、もっと料金を下げることが可能になるか、或いは営業政策的に定期健診の割引制度の導入やペット保険の適用(ひょっとしたら今でも可能かも知れませんけれど調べていません)、等が普及のためには必要な様な気がします。肝心のアレルギー/免疫検査に関してですけれど、確かに多くの場合は有用であるとは思います。でも、WikiのT細胞を見ますと、ちょっと気になることがあります。ヘルパーT細胞の説明としまして、『CD4陽性T細胞から分化し、IFN-γ(Th1細胞)、IL-4やIL-5(Th2細胞)またはIL-17(Th17細胞)等を産生し他の細胞の活性化、機能の行使等を助ける』とあり、このTh17細胞というのは何者?と思い、更にTh1細胞、Th2細胞とTh17細胞を見ますと、上記Th検査の背景と現状が説明されています。背景 :『・・・つまりTh1/Th2のバランスがお互いに拮抗しあって保たれているといわれている。アレルギーを罹患した患者がウイルス性の疾患にかかると重症化することがあるのは、Th2にシフトしてアレルギーを引き起こしている免疫系がTh1による細胞性免疫によってウイルスに対処することができないという考え方で説明がつく。また自己免疫疾患とアレルギーを同時に罹患することが比較的まれなのも、Th1型、Th2型の応答を同時に行うことが難しいからであると考えられている。』現状 :『Th1型サイトカインを外部から投与することによるアレルギー疾患の治療など、このバランスを操作することによる治療法が提唱されたが、成功は見ていない。発見直後の興奮が過ぎた最近では、実際には単純な対立構造ではなく、複雑に関連しあう関係があると見られている。』そして、Th17細胞は、多くの自己免疫疾患モデルマウスにおいて増加していることから自己免疫疾患に関わっていることが考えられている、とあります。このTh17をめぐって等も、Th1/Th2のパラダイムシフトを分かり易く説明していると思います。更には、このIL-17,IL-18とアレルギーには、『しかし近年, Th1細胞は好中球を活性化することで気管支喘息を誘発するとの結果や, 喘息患者の中にはTh1優位な免疫応答を示す症例も混在することが報告されるに至り, 気管支喘息の発症におけるTh1/Th2細胞のバランス説に対して疑問が投げかけられてきた. 』『 最近, 2つのサイトカインIL-17とIL-18が気管支喘息の発症に従来とは全く異なる機序でそれぞれ関与することが明らかとなった. 』とあります。つまり、Th検査も現状では、多くの場合は有用であるかも知れないけれども100%とはいえず、更に進化する必要がある、という気がします。多分犬の場合の自己免疫疾患も仕組み的にはヒトの場合と同様と思いますし、あまり聞いたことがありませんけれど、気管支喘息様の症状を呈し得るとも思います。尤も、犬とヒトでは呼吸の仕組みが若干異なる部分がありますので、犬の場合の気管支喘息様の症状はヒトの場合とは原因が異なるのかも知れません。また、利用方法も、直接バランスを操作する方法では上手く行かないことから、色々な調整(投薬や食事の改善等)と検査を何度か繰り返してバランスの変化を確認する、という方法が一番効果が高いのでは、とも思います。すると、現時点では、Th検査は有用ではあるけれど、料金に見合ったメリットが得られる人は限られているのではないか、という気がします。犬は症状を訴えることが出来ない分、こういった検査は導入するメリットが大きいと思いますので、出来るだけ普及して欲しいとは思います。けれども、その為にはもうちょっと営業政策的な努力や簡便なキットの開発、或いは最新動向のキャッチアップによる精度向上等、未だ多くの改善が必要と思います。尚、自分で試したわけではありませんけれど、がん検診には、以前高カルシウム血症2 の最後で紹介しました「ガン検診セット」 (全22項目の検査)のような、確実性の高い腫瘍マーカーを利用した方が、より有用ではないか、という気がします。こちらは料金は調べていませんけれど、多分結構高いと思いますので、必要性等との兼ね合いとは思います。勿論、こういった検査は行なわない、というのも、人間の場合も同様ですけれど一つの選択肢として大きな意味を持つとも思います。(殊に現在の犬を取り巻く状況では)
2007/07/09
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CDCの推奨は、以下、殺虫剤、据え置きタイプの殺虫剤(を含む装置)や、衣類等ダニを避ける工夫等(Prevent Tick Bites: Prevent Lyme Disease )となっています。その殺虫剤も、SEVIN (carbaryl カルバリル) 、PERMETHRIN (a pyrethroid) 、DURSBAN (chlorpyrifos クロルピリホス)、 DIAZINON (ダイアジノン、殺虫剤ダイアジノンを段階的廃止)という様に、ペルメトリン以外は犬にはどうかな、というようなものが挙げられています。多分犬の場合は、ここにフロントライン等が入るのだと思います。何度も書いていますけれど、これは忌避効果と(短時間での)即効性がありませんので、何時間か後には死亡するにしても、咬み傷が出来てしまいます。使用する場合には、頻繁に耳等の気になる部位をチェックするか、ディートとは相乗効果のない忌避剤を併用した方がいいかも知れません。これ以外では、西ナイル熱の蚊対策として挙げられていましたピカリジン(Pikaridin)ですけれど、MEDLINEで検索して見ますと、ダニに対しても一定の効果は見込める様です。Repellent efficacy of DEET and KBR 3023 against Amblyomma hebraeum (Acari: Ixodidae). は、Amblyomma hebraeum(キララマダニの一種で、多分アフリカに生息)に対するディートとKBR 3023(ピカリジン)の効果を検証したレポートです。2時間以上の効果持続には、ディートで70%前後、ピカリジンで50%前後必要な様です。2時間以内での効果は、両者には大きな違いはなく、20%ではディートで2時間、、ピカリジンは1時間は効果的な忌避効果が見込める様です。[What primary prevention should be used to prevent Lyme disease?]では、ライム病の予防に最も効果的なものとしまして、DEET(30-50%), picaridin(20%), citriodiol(30-50%), IR35/35(20-35%.)を挙げています。すると、ピカリジンはディートの様な刺激性がありません(WHOの評価ICARIDIN(PDFです)では、ウサギで弱い目への刺激があります)ので、耳や周辺には使用できる可能性はあります。1点気になりますのは、Sutter Health のProducts that prevent insect bitesの中に、The American Academy of Pediatrics (AAP) は、2月齢以下の幼児には使用しない様推奨している、と記載があることです。2月齢以下(2歳以下ではありません)ですので、杞憂かも知れません。尚、citriodiolはシトリオドラとしてお馴染みと思います。CDC推奨のレモンユーカリ(oil of lemon eucalyptus )のことです(Explain citriodiol and what products contain them.? - Yahoo!7 Answers)けれど、このYAHOOのANSWERを見まして、毒性コードが2ということに改めて気が付きました。確かに、CITRIODIOL -- Product Profileを見ますと、toxicity code is 2 とあります。Toxicity Categoriesの定義(分類)は、Toxicity Categoriesの通りですけれど、カテゴリーIIは結構厳しいと思います。日本の、特に販売サイトではアロマを人体に無害な様に記載しているところが非常に多いですけれど、勿論アロマにも毒性や光毒性等はあります。勿論、レモンセントティーツリーオイル [エアーグリーン]様にきちんと書いているところも多くありますけれど、それでも、このサイトでも毒性は控えめな表現になっています。カテゴリーIIは、警告ラベルを表示しなければならない、とあり、Toxicity Category II criteria: Oral LD50: From 50 thru 500 mg/kg Inhalation LC50: From .2 thru 2 mg/liter Dermal LD50: From 200 thru 2000 mg/kg Eye effects: Corneal opacity reversible within 7 days; irritation persisting for 7 days Skin effects: Severe irritation at 72 hours という定義(分類)からはこれは当然と思います。前回のダニ対策の見直し2の中でディートの毒性カテゴリーを記載しましたけれど、IIIかIVでしたので、ディートより毒性は強い、ということになると思います。ディートは、Oral LD50-rat 2170 to 3664 mg/kg IIIでしたので経口の場合、一桁毒性が強いことになります。ちょっと違和感を覚えましたので、再度citriodiol Registration (Repel Lemon Eucalyptus) and the Manufacturing Use Product 5/02 (PDFです)を読んで見ました。皮膚に使用する忌避剤ということで、経口毒性には殆ど触れられていませんけれど、それでも、経口発達毒性の試験では、哺乳動物に対する300-1000mg/kg/日の投与で、一過性の臨床的影響(運動失調や正向反射障害)や、肝臓の肥大が見られ、100mg/kg/日でその効果が現れたケースもあった、とあります。尤も、製品にする場合はその辺りの対応も考慮されている様です。例えば、MOSI-GUARD NATURAL ROLL-ON, SPRAY, STICK, AEROSOL AND CREAM SUMMARY OF TOXICOLOGICAL AND EFFICACY DATAにあります様に、MOSI-GUARDという製品では、ラットのLD50は2408 (1914- 3030) mg/kg body weight と、ほぼディートと同様のレベルまで毒性を抑えています。IR3535(3-[N-Butyl-N-acetyl]-aminopropionic acid)は最近登録された新しい防虫剤(成分)の様です。(EPA: 3-[N-Butyl-N-acetyl]-aminopropionic acid, ethyl ester Technical Document)蚊の刺咬に対する防虫剤の有効性の比較を見ますと、かなり評価が低いですけれど、これは対象や使用方法によってはもうちょっと印象が変わるかも知れません。特性はWHOが評価しています(ETHYL BUTYLACETYLAMINOPROPIONATE(PDFです))。弱い刺激性等があります。ところで、こういった製品は、BackPacker等の雑誌等でよく効果が比較検討されています。こういった製品レビューのレビューを行なっているところもありました。(Insect Repellent Reviews)そのまとめ(?)Insect Repellent では、やっぱりディートやピカリジンが挙げられています。多くのレビューアーは、シトロネラ等の植物オイルには懐疑的、ともあります。上記の蚊の刺咬に対する防虫剤の有効性の比較 でも、植物性防虫剤はすべて,平均防御時間が 20 分未満であった、とありました。これらのレビュー結果を見まして、もう一つ気が付いたことがあります。防虫薬をしみ込ませたリストバンドは防御効果がなかった、という点です。同様に、虫刺されにも、greenz の中の、忌避剤の効果の検証でも、塗った部分は刺されないけれど、塗らない部分は刺された、とあり、塗布した場合、効果が及ぶ範囲が非常に狭いのではないか、という気がします。すると、もう一つ考えていました、忌避剤を染み込ませたバンダナのようなものは、耳をガードするには非効率かも知れない、という可能性があると思います。こういうことを考えて行きますと、頭部(特に耳)のガードには、ピカリジン或いはレモンユーカリの直接塗布(レモンユーカリは若干皮膚刺激性がある様です)位しか効果が見込めない、ということになります。フォートレオンの忌避(バリア)効果は全身に及ぶ可能性がありますけれど、フォートレオンは使用するにしても来年から、と考えていますので除外しています。今年は、この両者を入手して交互に試して見ようかと(今のところは)思います。(どちらも入手出来なかったら已む無くフォートレオンにするかも知れません)尚、レモンユーカリやその他のアロマ系の忌避剤に関しましては、耳以外の部分に使用するためであっても私は今のところ第一候補とは考えていません。特に国内の製品は、効果の持続時間や、実際の効果が明記していないものが殆ど(というより、明記してある製品が見当たらない)という状態ですので、怖くて使用出来ない、というのが実情です。レモンユーカリのダニに対する忌避効果自体は、上記の様に検証されていますけれど、この効果を発揮する濃度は、EPA等では当然きちんと規定しています。問題は、日本国内ではこういった規定がないため、効果や、効果の持続時間が怪しい製品が非常に多い、ということです。アロマ系の忌避剤を使用してもダニに寄生された、という人も多いと思います。2005/9/5 ダニの異常発生とフロントライン にも、「既存の植物性エキスによる駆除剤では毎年3~5回寄生されておりましたが、」と、フロントラインに切り替えた理由を記載しています。虫刺されにも、greenz で推奨されていました「Mosiguard Natural」の様な、きちんと効果を検証・明示した製品を早く国内でも販売する様になってほしいと思います。
2007/07/09
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現在のCDCの推奨は、西ナイル熱等の蚊対策としましては、ディート、ピカリジン、レモンユーカリ(CDC Adopts New Repellent Guidance for Upcoming Mosquito Season)、ダニ対策としましては、ディート、ペルメトリン、殺虫剤、据え置きタイプの殺虫剤(を含む装置)や、衣類等ダニを避ける工夫等(Prevent Tick Bites: Prevent Lyme Disease )となっています。何れの場合も、一番効果があるのはディートということですけれど、犬の場合は、ディートは充分な効力を現すとは言い難い面があります。ディートの特性としましては、遺伝毒性や変異原性等は認められない様ですけれど、目への刺激はあり、ウサギの場合はごく弱い皮膚への刺激作用があり、また、皮膚から吸収されるようです。EPAのDEET(RED)(PDFです)Table 2. Acute Toxicity Values for DEET Technical では以下の様な特性とされています。Study and Guideline Result Toxicity CategoryOral LD50-rat 2170 to 3664 mg/kg IIIDermal LD50-rabbbit 4280 mg/kg IIIAcute inhalation LD50-rat 5.95mg/L IVEye irritation-rabbit Eye irritation and corneal opacity III cleared by day seven and three. respectively.Dermal irritation-rabbit Minimal irritation-cleared by day IV seven Dermal sensitization Not a skin sensitizer -尚、ディートに関する資料としましては、平成17年に子供に対する注意等の通達を行なった際のディート(忌避剤)に関する検討会の配布資料が、当然ながら一番詳しく纏まっているのではないかと思います。資料No.5 各国の規制状況(PDFです)の後半に、参考資料としましてDEETの安全性に関するデータが掲載されています。この時の通達には、メーカーに対してディート濃度の明記を求めていますけれど、動物用は当然対象外ですので、多くの動物用スプレーは今でも明記していない様です。ディート濃度と効果の持続時間は大体比例し、Wikiには、5%では約90分、100%では10時間虫よけ効果が持続する、とありますけれど、濃度が不明の現状ではどこまで効果が信頼出来るのか聊か不安があります。ところで、資料No.1 『 「虫よけ剤ー子供への使用についてー」について(要望)』 の 10~21ページ(PDFです)には、エアゾールタイプとポンプタイプの付着効率等の検証結果が記載されています。ペット用は殆どがエアゾールタイプと思いますけれど、このタイプの付着効率は約2割と言うことですので、例え濃度100%のものを使用していても、最大2~3時間しか効果が持続しない可能性があります。勿論、何度も何度も吹き掛ければその分多く付着しますけれど、この場合は、周囲への拡散も当然多くなり、吸入による影響が懸念されるようになります。人間の場合の様に、顔面へ塗る場合は一旦手にスプレーしてそれを塗る方法が推奨されていますけれど、動物用の場合はこういった方法は、ペットが嫌がることもありますし、第一濃度が不明ですので危険かも知れません。濃度50%以上の製品の皮膚への塗布は推奨されていない様です。日本では、人間の場合、医薬品で12%、医薬部外品では11%以下の濃度のものしか発売されていない様ですけれど、動物用では濃度表示はありません。使用方法に1日1~2回スプレーする、と書いてあるものが多いと思いますけれど、これを散歩等の使用回数ではなく、効果の持続時間と考えた場合は、ひょっとしたら高濃度のものを使用している可能性もあるかも知れません(憶測)。また、人間の場合は、特に高濃度の場合等、直接肌に塗布するのではなく、衣類に塗布するという方法が可能で推奨もされているようですけれど、犬は服を着ていない場合も多く、ダニや蚊が多い夏場は特に暑さに弱く服を着ない、という個体も多いと思います。私の目的の耳(や顔面)の保護という観点からは、ディートは実はあまり効果的ではなかった可能性があります。2番目のペルメトリンに関しましては、 これまでもフォートレオン等で有効性に付いて書いて来ましたけれど、MEDLINEで検索しますとかなり検証されていることが分かります。例えばEvaluation of an imidacloprid (8.8% w/w)--permethrin (44.0% w/w) topical spot-on and a fipronil (9.8% w/w)--(S)-methoprene (8.8% w/w) topical spot-on to repel, prevent attachment, and kill adult Rhipicephalus sanguineus and Dermacentor variabilis ticks on dogsは、イミダクロプリド((8.8% w/w)とペルメトリン (44.0% w/w) を含有する製品(=フォートレオン)と、フィプロニル(9.8% w/w)とメトプレン(8.8% w/w) を含有する製品(=フロントラインプラス)の効果を比較したレポートです。ダニの成虫に関する効果は、どちらも良い成績だったけれども、イミダクロプリド-ペルメトリンの方が優れていた様です。同じく、Assessment of the efficacy of parasiticides for the control of tick infection in dogs under field conditions: what's new?もイミダクロプリド((10%)とぺルメトリン (50%)を含有する製品(=フォートレオン)と、フィプロニル(10%)とメトプレン(9%) を含有する製品(=フロントラインプラス)の効果を比較したレポートですけれど、ターゲットはダニ成虫に加え幼虫に対する効果も検証されています。ダニはノミとは異なり、卵以外の総てのステージで吸血します(マダニの生態)ので、ダニ媒介感染症の効果的な予防・コントロールには成虫に加え幼虫への抑制効果も欠かせない、ということが背景にあります。結果は、成虫に対しましてはどちらもほぼ同じように非常に優れた効果を発揮したけれど、幼虫に対する効果はイミダクロプリド-ペルメトリンの方がより効果的であった、とのことです。ついでに、フロントラインの副作用情報を再確認しておきます。以前、フロントラインで纏めました時点では、フロントラインプラスの副作用情報はあまり副作用情報DBに反映されていない様でした。現時点ではフロントラインプラスの副作用情報としまして、製造業者以外の、獣医師、使用成績、モニターからの報告としまして、猫で5件、犬で15件が反映されています。転帰は、回復が15件、不明が4件、治療中が1件ですけれど、症状は殆どが投与部位の発赤や脱毛、そう痒等で、不明の4件も同様ですので、多分死亡は殆どないと思います。フロントラインプラスの副作用情報 獣医師、使用成績、モニターからの軽度のもの フロントラインスポットオンの副作用情報 獣医師、使用成績、モニターからの軽度のもの 尚、製造業者からの報告(重篤なもの)は変わっていません。平成14~18年の重篤なもののみ一方のフォートレオンは発売間もないことから、充分な副作用情報が集計されているとは考えられませんので、もう一つの主成分イミダクロプリドの副作用情報を確認しておきます。主成分 イミダクロプリド 平成14年以降の副作用情報(メーカー)詳細 多分、フロントラインの方が販売数量が多いと思われますので、重篤な副作用に関しましては、若干イミダクロプリドの分が悪い様にも見えますけれど、獣医師や製造業者の意見をチェックしますと、投与時の健康状態に問題があったりして、健康な状態から副作用で死亡した例は、どちらも1、2件ですので、この面からの考慮はあまり必要ないかも知れません。更に、イミダクロプリドを主成分としますアドバンテージの、獣医師、使用成績、モニターからの副作用情報も確認しておきます。アドバンテージの副作用情報 獣医師、使用成績、モニターからの軽度のもの 以前、イミダクロプリドの中で、犬には比較的安全、というようなことを書きましたけれど、1件死亡しています。原因や状況等は良く分かりません。フロントラインの方が、投与部位の発赤や脱毛、そう痒等が多い(犬の場合)様な印象を受けます。こういう比較をして見ますと、ダニに関しましてはフロントラインよりペルメトリン(フォートレオン)の方が若干有利な様に思われます。(犬の場合は)
2007/07/04
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前回のCatandog'sで書きました様に、またダニが耳の中に寄生していました。これは、顔面とその周辺部には忌避剤が使用し難い、という理由から発生しています。フロントライン等の駆虫剤を使用していても、こういった薬剤では、最終的には死滅すると思いますけれど、刺し傷が出来てしまうことは避けられません。多分、忌避と駆虫の機能を併せ持ちますのは、以前フォートレオンで触れましたフォートレオンやデュオライン等のペルメトリンを含有する製品だけだと思います。読み返して見ますと、ペルメトリンの特性を書き忘れていた様ですので、追記します。アディオン乳剤というペルメトリンを20%含有する農薬の、東京都健康安全研究センターのデータシートペルメトリン(Permethrin)(PDFです)には、急性毒性 : LD50 3801mg/kg(ラット(♀).経口) LD50 539(♂)、464(♀)mg/kg(ラット経口) ADI 0.05(mg/kg/日)特殊毒性 : 眼、皮膚、気道を刺激。神経系に影響。ハチ及び魚に毒性高いとあります。この数値から分かります様に、哺乳類に対する毒性はかなり低い様で、E X T O X N E TのPesticide Information Profiles Permethrinには、犬に対して 5mg/kg/日 を90日間、経口摂取させ、悪影響は見られなかった、とあります。ラットに対して6ヶ月間、150mg/kg/日 を経口摂取させた場合、僅かに肝臓の重量が増加し、非常に低レベルの鶏への経口摂取(孵化後3~6週に0.1ppm)は免疫システムの活動を抑制した、ともあります。また、エストロゲン様および抗アンドロゲン様活性がある、というレポートもあります(Potential Estrogenic and Antiandrogenic Effects of Permethrin in Rats)。変異原性等は見られない、とあり、要するに、毒性はそれ程高くはないけれども長期間使用していると色々好ましくない影響が出て来るかも知れない薬剤の一種、という感じでしょうか。因みに、フォートレオンの副作用情報は猫で1件報告されています。注意書きにもありますけれど、猫にはフォートレオンは禁忌で、製造業者等の意見でも、犬用の高用量を舐め取ってしまった可能性が高い、としています。フォートレオンの副作用情報詳細FDA(CVM)の副作用情報には未だ登録されていない様です。ペルメトリンは、犬の蚤取り首輪や殺虫剤等にかなり使われて来ていますので、これからも重篤な事故は発生しないかも知れません。逆に、どちらかといえば耐性の方が問題になるのかも知れません。(皮膚の寄生虫感染症)忌避効果と駆虫効果を併せ持つというのは私には魅力が大きく、今年も大きな副作用情報が発生しなければ、来年辺りから使用を視野に入れたいとは思いますけれど、2点だけ注意がすることがあります。一点目は、シス-トランス異性体(cis-trans isomer)((幾何異性体)が存在し、異性体間及びその混合率により毒性は大きく異なる(幾B-4-4.ペルメトリン(Permethrin) )、ということです。一般的な化学製品の混合率は((±)cis-,trans-比が40-25:60-75)の様ですけれど、一口にペルメトリンと云いましても、製品間でLD50等の毒性値が大きく異なる可能性もありますので、製品の選択の際はこういった点の確認が必須と思います。二点目は、ディートとの併用による相乗効果が懸念される、という点です。ディート(ジエチルトルアミド) 昆虫忌避剤の「他の化学物質との相互作用(湾岸戦争症候群に関連して)」に、ラットでの臭化ピリドスチグミン、ペルメトリン、ディートの内、2剤併用で運動が有意に遅くなったというレポートが紹介されています。勿論、単独ではこういった影響は出なかった、というのは当然ですけれど、面白いことに、3剤同時併用でも有意な影響は現れなかった、とのことです。ペルメトリン(スポットオン)を使用しているのに、散歩の前に習慣的にディート(スプレー)を吹き掛ける、というようなことをうっかりやってしまいそうな気がします(ディートの愛用者は)。結局、Catandog's は効果に疑問が出ましたので見送りました。(楽天のユーザーレビューでも、自分も友人もダニに寄生され、現在はフロントラインを併用している、という6/24付のレビューが追加されています。使用する場合は効果を過信せず毎日チェックする必要があると思います。)これ以外で顔面や耳もカバー出来そうなものとして思いつきますのは、多分世界初!超音波でノミ・ダニ防除の様な、超音波と思います。同様の製品で、超音波で蚊を寄せ付けない、というものは数多く出されていますけれど、この効果が確実ではない、ということを、使用された方は経験しているかも知れません。残念ながらダニの場合も、超音波はあまり効果が見られない様です。The efficacy of ultrasonic pest controllers for fleas and ticks.では、首に装着するタイプと室内での据え置きタイプの両方を試験して、何れも効果がなかった、と報告しています。因みに、この関連に、Household pesticides and risk of pediatric brain tumors.というレポートがあります。ダニやノミ用の駆虫剤(スプレータイプ)と妊婦の関係を調査し、小児脳腫瘍を増加させる可能性が示唆されています。処置されたペットの数とリスクの増加は関連し、スプレータイプだけが影響を与えた様です。sprays/foggers とありますので、フロントラインスプレーのようなものではなく、以前からある(ペット用の)噴霧タイプの殺虫剤の様に思われます。結局、候補はオーソドックスな忌避剤しか残らない、ということになりそうです。尚、私はCatandog'sや超音波等は、全く効果がない、というわけではなく、弱いながらも忌避効果はあるかも知れない、とは思います。線虫の誘引・忌避行動における60Hz交流磁界影響(生体磁気・医療応用)にも一定の影響は見られることが示唆されています。けれども、Catandog's.でも触れましたけれど、この手の製品は、例え試験結果を公表していても、試験方法や環境等に不適切と思われるものが少なくありません。多少の忌避効果が見られたとしても、その効果が吸血欲求より強くなければ忌避剤としての意味がありません。例えば、直ぐ傍に忌避効果のない個体が存在していた場合は、その個体へ移動してしまい、見かけ上効果があったように看做されるかも知れません。でも、周囲に対象となる適当な個体が存在しない場合は、ずっと吸血活動を継続すると思います。どうもこういった様な点を(意図的に?)蔑ろにしている様な気がします。ですから、公的機関等で厳格な追加試験を行なった場合は、効果が見られない、ということになるのだと思います。ライム病やダニワクチン等でも書きました様に、どうやらアメリカを含む世界の多くの国々では、ダニにかなり苦しめられている様です。Maxforce Tick Management Systemの様に、地域からダニを根絶しようというコンセプトの製品も発売されています。本当に著効があるのであれば、直ぐに、CDC等がアナウンスしている筈、と思います。けれども、現在CDCが推奨している製品は、西ナイル熱等の蚊対策としましては、ディート、ピカリジン、レモンユーカリ(CDC Adopts New Repellent Guidance for Upcoming Mosquito Season)、ダニ対策としましては、ディート、ペルメトリン、殺虫剤、据え置きタイプの殺虫剤(を含む装置)や、衣類等ダニを避ける工夫等(Prevent Tick Bites: Prevent Lyme Disease )となっています。
2007/07/02
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