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以前、オーガニックとクローン でミトコンドリアと母系遺伝に付いて触れましたけれど、ミトコンドリア病に関しましては、容量の問題もあり、書いていなかったと思います。瀬名秀明のパラサイト・イヴで広く知られるようになったとは思いますけれど、まず、ミトコンドリア に付いて確認しておきます。Wikiによりますと、ミトコンドリアとは真核生物の細胞小器官であり、酸素呼吸の場として知られている、とあります。機能 は「電子伝達系による酸化的リン酸化によるエネルギー生産」で、その起源 は、「進化論的にはミトコンドリアは好気的バクテリア細胞が真核細胞に共生することによって獲得されたと考えられている(リン・マーギュリスの細胞内共生説)」、とされている様です。人間の身体を日本という国に喩えますと、身体の各器官は(地方)自治体、各器官を構成する個々の細胞は一軒の家の様なものでしょうか。この家には主人と多数の召使が住んでいるとします。この召使が主人の食事の世話をしてくれる、という様なイメージだと思います。始めは主人だけが住んでいたのに、いつの間にか好気性バクテリア(=ミトコンドリアの前身)が入り込んで主人の世話を焼く様になり、そのまま済みつき、出来た集団が現在の真核細胞、というのが分かり易い喩えと思います。こういう経緯から、一つの細胞には、1つの核DNA(主人の遺伝子)と多数のミトコンドリアDNA(召使の遺伝子)が存在します。Wikiには、1つの細胞には多いものでは数千個も存在するとあります。ミトコンドリア病は、主にこの召使(ミトコンドリア)が上手く働けなくなって発生する問題(疾病)で、ミトコンドリアは体中の器官の至る所に存在しますから、発症する部位により様々な症状が出る、ということの様です。Wikiには、ミトコンドリア脳筋症の3大病型としまして・慢性進行性外眼麻痺症候群、CPEO - 眼瞼下垂、外眼筋麻痺 ・Kearns-Sayre症候群、KSS - 外眼筋麻痺、網膜色素変性、心伝導ブロックが三主徴である。筋力低下などを併発する。 ・赤色ぼろ線維・ミオクローヌスてんかん症候群(福原病、マーフ、ragged-red fibreを伴うミオクローヌスてんかん、MERRF) - ミオクローヌス、痙攣、小脳症状、筋症状が主。子供に多い。知的退行、歩行障害に至る。40%に心筋症を合併。・ミトコンドリア脳筋症・乳酸アシドーシス・脳卒中様症候群(メラス、卒中様症状を伴うミトコンドリア脳筋症、MELAS) - 脳卒中様の発作を起こすことが特徴。頭痛、嘔吐が初発症状であることが多い。筋力低下、知能障害などが起こる場合もある。が挙げられています。そして、これ以外にも多数あり、最近知れ渡るようになりました糖尿病(全体の1%程度?)や、肥大型心筋症等がお馴染みのところと思います。国立精神・神経センター武蔵病院の臨床検査部にDNA診断・治療室があり、病気の概要に関しましては、このミトコンドリア病 についてが分かり易いかも知れません。この病気の原因のひとつは、ミトコンドリアDNAの高い塩基置換速度にある様です。国立遺伝学研究所のDNA人類進化学 ミトコンドリアDNAには、「ミトコンドリアDNAは核DNAに比べて塩基置換の起こる速度が五倍から一〇倍速い」、とあります。つまり、突然変異が起こる可能性は、ミトコンドリアDNA(召使)の方が核DNA(主人)よりも5~10倍も高い、と言い換えることが出来ると思います。パラサイト・イブでは、このことから、ミトコンドリア(=召使)が核DNA(=主人)よりも非常に速く進化し、主人を操る能力を持つに至った、という設定でした。但し、現実の突然変異は、良い方(進化)に出ることは殆どなく、多くの場合は何らかの異常として現れる様です。ショウジョウバエに放射線を投射して突然変異を起こさせる実験は有名と思いますけれど、この放射線を利用した突然変異育種等、突然変異法の解説を見ましても、有用な突然変異は非常に少ない、とあると思います。ミトコンドリア病の原因のひとつも、こういった突然変異によるミトコンドリアの失活とこれが引き起こす細胞の呼吸困難(エネルギー不足)にある様です。原因に関しましては、この難病情報センターのミトコンドリア病 「4. この病気の原因はわかっているのですか」 が分かり易いと思います。要するに、召使が病気になって、主人のために食事が作れなくなった、というような状況と思いますけれど、原因としましては、これ以外にも核DNA(主人)側に問題がある場合もある様です。NIKKEIの日仏チーム、ミトコンドリア病の原因遺伝子発見というニュースがありましたけれど、難病情報センターのミトコンドリア病には、『ミトコンドリア遺伝子の変異が原因の場合には、遺伝する場合と遺伝しない場合があります。ミトコンドリア遺伝子の挿入や欠失などの再配置を原因とするミトコンドリア病は、ほとんどの場合、弧発例(兄弟・姉妹は正常)で、遺伝しません。』とあります。また、去年の暮には、ミトコンドリアDNA複製の常識の一端が覆る - ミトコンドリアDNA複製開始には遺伝的組換え開始と共通の装置がはたらく - というニュースもあり、・ホモプラスミーへのリセット・ミトコンドリアDNAの変異で呼吸の機能を失った細胞が器官の細胞集団で優性になってしまう理由が(酵母で)解明された、というものでした。これにより、「現在、手の打ちようがないとされている高齢化にともなうミトコンドリアDNAの変異蓄積やミトコンドリア症に対しても何らかの対策が見付かる可能性が出てきました。」、とあります。以上がミトコンドリア病の大まかな状況ですけれど、何故今回これを取り上げたかといいますと、ミトコンドリア関連の本を読んでいて、『動物のミトコンドリアゲノムの構成や配置、遺伝暗号やtRNAの特徴などが明らかにされていった。それらはヒトのmtDNAと同じ特徴を持っていた。』、という部分が目に留まったからです。ヒトも動物も同じ様なミトコンドリアDNAを持つのに、犬のミトコンドリア病というのは聞いた事がありませんでした。googleで『ミトコンドリア病 犬』や『犬のミトコンドリア病』を検索して見ましても、該当する様なサイトは見当たりません。けれども、MEDLINEで検索しますと、やっぱり見つかりました。Mitochondrial myopathy in a german shepherd dog.と、全文はMitochondrial myopathy in a german shepherd dog.(PDFです)に、9ヶ月のジャーマン・シェパードの例が掲載されています。進行性の運動不耐性で、筋肉症様の症状の様です。MerckのSmall Animalsには、クランバー/サセックス・スパニエルとオールド・イングリッシュ・シープドッグのミトコンドリア病が掲載されていました。ミトコンドリア病の患者数は、未だ正確には分かっていないようですけれど、難病情報センターのミトコンドリア病には、「ミトコンドリア病の患者数は数万人に達すると見積もられています」とあります。また、最近では、ミトコンドリアDNA欠失が脳に蓄積するマウスにおける躁うつ病類似の行動学的表現型や躁(そう)うつ病(双極性障害)にミトコンドリア機能障害が関連 - 躁うつ病の発症メカニズム解明につながる初めてのモデル動物の可能性 - 、躁うつ病の原因はここまでわかった!(PDFです)等にあります様に、躁鬱病の原因(の一つ?)ではないか、という可能性も示唆されています。単純に塩基置換速度から考えますと、通常の遺伝病の5~10倍の発生頻度であってもおかしくないと思います。ミトコンドリア病自体が最近分かった疾病ですので、正確な実体が分かれば、患者数はもっと多いのかも知れません。そして、犬に関しましても、これまでは分からなかっただけで、原因不明、或いは他の疾患と勘違いされたり、といった様な処置をされていた可能性はなかったのでしょうか?
2007/07/13
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このところ、レスキュー関連のことを書いていますけれど、人間の場合はやはり脳低温療法が大きな関心事と思います。かなり大きな話題を集めはしたものの、一頃はこの脳低温療法の明と暗に示されます様な色々な問題があり、ちょっと低迷していた様です。全身を冷却することの難しさや、目標温度への到達時間、状態管理等、克服すべき問題も多く、私も以前冬眠を書いた時は、犬への応用はちょっと悲観的でした。例えば、脳動脈瘤手術における中等度低体温麻酔の評価には、目標温度への到達時間は45±37分、とあり、これだけ時間が掛かるのは全身麻酔下で冷却ブランケットで全身を包み込むからです。ところが、最近ではまたこの方法が見直されて来ている様です。その一つの背景としまして、この“選択的急速脳冷却システムの開発”に関する研究に見られます様に、脳だけを急速に冷却する方法が工夫されて来ていることもある様です。この方法では、7分以内に所定の温度(20~25℃)まで下げることができ、表面脳低温療法の目安になる34℃には約1分程度で到達できる、とされています「。そして、この様な選択的急速脳冷却システムとして完成した様です。勿論、これだけでは、犬に取りましてはあまり大きなメリットは無いのかも知れません。しかし、この方法のもう一つの大きなメリットは、手術部位のHt値を下げた状態で手術を行うことにより、無血手術に近い状態での手術が可能となる、ということにある様です。“選択的急速脳冷却システムの開発”に関する研究の中でも、「将来、無血手術が各方面で可能となり、また、迅速な 脳保護により、各科の救急医療においても、広く応用される可能性が高い。」、としています。また、同時に、救命ということを考慮しまして、『 手術室や救急救命センターでの使用を考慮し、接液部はすべてディスポーザブルにすることに成功し、滅菌・感染などの安全面にも考慮した。装置自体も一般電源の使用が可能であり、本装置のみで治療が行えることを考慮し、小型化され移動可能としている。』とありますので、将来的には、(特殊)救急車の中での治療が可能、というようなことになるかも知れません。体温管理システムも、体温管理システムArcticSun 2000の様な自動管理システムが既に発売されている様です。(この装置自体は冷却には既存の全身冷却方式を使用している様で、目標体温到達まで90~120分とあります)これらの製品が、より効率的な冷却素子の開発等の問題はありますけれど、小型・軽量化・全自動化されて来れば、獣医療での利用も可能になるかも知れません。元々犬は、長い心肺停止後の犬が生き返る(PDFです)に見られます様に、この手の事故には人間より耐性があります。その内、犬の救急法も、心臓マッサージ等ではなく、冷却シートに包んで即座に搬送、というような時代が来てもおかしくない気もします。すると、その際の問題としましては、犬の救急体制をどう確立するか、ということが挙げられると思います。現時点では、救急車はおろか、動物用救急センターも数える程しか存在しないと思いますけれど、例えば、救急車の有料利用や、人間の場合と同様、地域の拠点動物病院の創出等、救急体制を作ることも必要になって来るのではないでしょうか。アメリカ等の例を見るまでも無く、室内飼いの割合が増えればそれだけ事故の可能性も高くなると思います。もう一方の応用の、冷却麻酔に関しましては、日本獣医師会の会報アメリカにおける獣医心臓外科の現況と開心術の諸課題の中で、人工心肺(CPB)回路と低体温麻酔法を併用する方法が紹介されています。『体重5kg以下の小型犬であれば体表に氷嚢をおいて表面冷却を,それ以上であれば熱交換器による血液冷却を併用して食道温20℃前後まで冷却し,ポンプ流量を常温下(100ml/kg/min)の1/3~1/4に下げておこなっている.』とありますので、発想は上記の選択的急速脳冷却システムと同様の様です。この筆者によりますと、『従来,日本でも「小型犬のMRの心臓手術は不可能」と諦められていたが,筆者のライフワークである「小型犬の開心術及びMRの外科療法の可能性」を今回紹介し,今までなすすべもなく死んでいった多くのMR犬に一筋の光を当てたいと願っている』、とありますので、この様な装置が普及する下地は大いにあると思います。
2007/07/12
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前回紹介しました中津動物病院 夕陽丘動物病院の救急時の看護(PDFです)を見ていて、間違ったことを色々やってきた事が分かりました。事態にも依る(痛み・外傷・おびえはタオル・毛布などで頭を覆い、抱き上げて運ぶ、とあります)と思いますけれど、病院への運び方としまして、・毛布等に包まない・抱きしめない・手で持たない・硬い床のケージに収容して、自由な体位をとれることが重要とあります。その理由としまして、例えば僧房弁閉鎖不全に伴う呼吸困難の場合は、・飼い主はこうしたイヌをタオルで包んで、抱きかかえたりして来院することが多い・直ちに抱きかかえることをやめさせる。平らな安定したケージに収容。ケージの床は排水のために傾斜している。イヌは姿勢を維持するために常に前肢を踏み替えなければならない⇒酸素不足の助長。とあり、犬の姿勢としましては、犬座姿勢 : 胸郭が最大に拡張して、換気量が最大になっている。伏せ/横臥では換気量が減って、一層の酸素不足となる。ということです。確かに、これまで何度か危篤状態にあり、ぐったりしている状態の犬や猫を運んだことがありましたけれど、何れの場合も、腕に抱きかかえていました。しかも、顔(お腹)が上を向く状態だった様な気がします。呼吸という観点からは、瀕死の状態では負担が大きい姿勢だったかも知れません。また、これは通常の飼い主さんとは無縁の行為と思いますけれど、僧房弁閉鎖不全の治療としまして、・過剰な血液量が心拍出能力を上回っている。 過剰な血液は右心房に帰りきらないで、肺に過剰に鬱積している=肺水腫・治療(降圧剤と強心剤)とありますけれど、緊急の手段としまして、写血が挙げられていました。・循環血量を減少させる : 写血・写血はHt値45%以上で適応。低いときはしない。・頚静脈から全血量の最大20%を採取する。 輸液バッグに保存、後日必要あれば再輸血。・教科書にはないが極めて即効性のある有力な方法。マイクル・パーマーの「沈黙の病棟」の中に、マンハッタン医療センター(という設定)で、心悸亢進からの肺浮腫のエマージェンシーの時、同様の方法で急激に回復させた描写があることを思い出しました。ところで、人工呼吸に関してですけれど、Googleの『犬 人工呼吸』の検索結果を見ますと、多くのサイトでは人工呼吸若しくは人工心肺蘇生法、或いは両者を組み合わせた方法等を紹介しています。人間の場合は、病院前救護 救急医療勉強会「興部進歩の会 OPS」の070501消える人工呼吸を見ますと、人工呼吸の必要性が疑問視されている様です。『マウスツーマウスを取り巻く状況は8つにまとめることができる。1.マウスツーマウスを要求することはバイスタンダーの効果を大きく減らす(注:やる人がいなくなる、ということです)。院外心停止にバイスタンダーは重要なのに。 2.バイスタンダーが心マさえやってくれれば、救急隊が駆けつけてからおもむろにCPRを始めるより生存率が高い 3.CPR一人法では人工呼吸にとても時間がかかってその間心マしてくれない 4.人工呼吸による胸腔圧上昇は冠状動脈血流と脳血流を減らす 5.突然の卒倒では患者の体に酸素がいっぱいある 6.突然の卒倒では患者の多くが引きつけたような呼吸(注:しゃっくりみたいな。gaspといいます)をしている。心マさえ続けていればこの呼吸は長く続き患者は自分で呼吸し続ける。この呼吸は引きつけなので胸腔内圧を下げて冠状動脈血流と脳血流を増やす 7.心マのみを長く続けると冠状動脈圧が上がり蘇生に有利に働く 8.呼吸を麻痺させていない動物による実験では心マのみの蘇生の方が心マ+人工呼吸より蘇生率が圧倒的にいい 』上記googleの検索結果から参照したサイトの中には、人工呼吸と人工心肺蘇生法を一人で同時にやるような方法を記載しているところもありますけれど、これは多分一人では出来ないと思います。交互にやる、としているサイトもありますけれど、原因別にどちらかに絞る方がいい様な気はします(根拠はありません)。人間の場合は、『驚くべき結果』としまして、人工呼吸+胸骨圧迫より胸骨圧迫のみのCPRのほうが優れていて、さらに呼吸停止でも胸骨圧迫のみのほうが神経学的に後遺症が少なく、同じ心室頻脈・心室細動であっても後遺症が少なかった、とあります。更には、胸骨圧迫だけを行った全くの素人の方が高い生存率と神経学的回復率を得ている、ともあります。見逃せないのは、『動物実験では人工呼吸回数を増やすと死亡率が高くなるし、胸骨圧迫の中断時間を増やしても死亡率が跳ね上がる。人工呼吸の旗色は悪くなるばかりである。』、という部分だと思います。ちょっと古いかも知れませんけれど、WSAVA 2003 Congress にCurrent Concepts in Cardiopulmonary Resuscitation が掲載されていました。まず、心臓マッサージの回数は人間の場合で1分間80回以上、犬や猫の場合は90~120回必要、とあります。人間の場合も、4. 心臓マッサージには、『2000年から大幅に簡略化され、心臓マッサージの回数は1分間に100回に統一されている。この数字は全体に以前よりは早くなっているが、これは頻回の心マのほうが動物実験での心拍出量が上がるという観察に基づいている。』とありますけれど、googleの検索結果から参照したサイトの多くは、この必要回数以下の回数を記載しています。ついでに、人間の場合、4.0.3 IAC-CPRで通常の心臓マッサージに加えて、もう一人の術者が腹部を圧迫する方法が紹介されています。ここでは(人間の場合は)複数の人間で行なう方法とされていますけれど、Current Concepts in Cardiopulmonary Resuscitation の「Alternative CPR Technique: Interposed Abdominal Compression (IAC-CPR) 」では、一人の人間が左右の手で(小動物の)胸と腹部を押す方法とされています。救急時の看護(PDFです)の中では、間歇的腹部圧迫法を併用した胸郭ポンプ法として紹介されています。人口呼吸の回数に関しましては、頻回のSVC-CPRよりは標準(犬で1分間12~15回)か、より少ない(1分間8~12回)の方が理に適った選択である様です。更に、Order of Priority では、人間の場合も問題になっています、気道の確保 → 人工呼吸 → 心臓マッサージ というプライオリティが検討されています。ここでも、(豚の場合ですけれど)人工呼吸の有無に拘らず心臓マッサージの有効性から、この優先順位も 心臓マッサージ → 気道の確保と人工呼吸 といった変更が検討される必要がある、としています。以下、薬剤等はあまり一般の飼い主さんとは無関係と思いますけれど、1点だけ、バソプレッシン はエピネフリンよりも有効、としていることは記憶しておいてもいいかも知れません。上記Wikiにも、救急医療における適応としまして、『近年では心停止の4つの病態、心室細動、無脈性心室頻拍、心静止、無脈性電気活動に対して第一選択として用いられるようになってきた、これはバソプレシン投与による救命率、生存退院率が共にアドレナリン投与群を有意に上回ることがわかったためである。』とありますけれど、動物の場合は未だ一般的ではない様です。同じく、一般的ではない、ということに関しましては、殆どの獣医師は電気除細動器を持っていない、とあります。人間の場合は、AED(自動体外式除細動器)がかなりニュースにもなり、医療従事者や救急隊員だけではなく、一般の人も使用できることになりました。心房細動は(心停止中)人間の33%と比較し、犬や猫では19.8%と若干発生率が低いですけれど、それでもこれだけの率の動物がもうちょっと高い蘇生の可能性を与えられるかもしれないのに、と事情はアメリカでも同様の様です。抗不整脈薬は電気細動除去とともに使われる時だけ、効果的であるだろうに、と結んでいます。
2007/07/11
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非常に良く知られていることだと思いますけれど、口呼吸は人間だけが行なう様です。犬が暑い時等にハアハアしているのは体温調節の為だという事は、犬を飼われている方には常識だと思います。人間の世界では、口呼吸を止めて鼻呼吸にしましょう、ということが流行っている(?)様です。AllAboutにも口呼吸には危険がいっぱい!という記事があり、口呼吸を続けていると、どうなるのでしょうか には、『免疫力は低下し、「免疫の混乱」と呼ばれるアレルギーも引き起こします』、ともあります。ヨガを始め、世の中の呼吸法はほぼ総て鼻呼吸が中心(ドッグ・ブレスのようなものや、意図して口呼吸を行なうものもありますけれど)ですので、何気なく見ていましたら、ちょっと気になる説明をしている箇所がありました。鼻呼吸と口呼吸の違いに、口呼吸をしていると病原菌が白血球の中に入り込み、全身に運ばれてしまう、という記載があり、何のことを言っているのか良く分からなくなりました。Wikiの白血球にも、一般常識としての白血球、例えば山口大学保健管理センター の白血球にも、白血球は細菌を捕食する、とあります。例えば、結核菌やレジオネラ等の様に、一旦食細胞に捕食されても, 細胞内で殺菌機構をかいくぐって繁殖する細胞内寄生体のことを指しているのでしょうか?でも、これらは鼻呼吸で回避できるという話を聞いたことはありません。でも、子育ての医学情報の子育ての医学情報>アレルギーの原因は「口呼吸」?にも同じことが書いてあります。アトピーマガジンの重力を忘れた医学では病気は治せない にこのことがもうちょっと詳しく説明されていました。『免疫学では最大の話題の自己免疫疾患は口呼吸習癖による扁桃リンパ輪の弱毒性、不顕性感染や胃腸内のピロリ菌による感染、ウイルスを抱えた白血球の性質の変化に起因すると考えられます。腸管の扁桃、白血球造血器が弱毒性または無害の常在菌の慢性の感染により細菌やウイルスを抱えた白血球が以下の臓器や器官、組織に感染が拡散されたときに発症すると考えられます。発症部位で分類します。 甲状腺→橋本病 唾液腺・涙腺→シェーグレン 胸腺→重症筋無力症 関節頭の白血球造血器→リウマチ・関節炎 白血球造血巣→白血病 リンパ造血器→悪性リンパ種・サルコイドーシス 膵臓→糖尿病 大腸→潰瘍性大腸炎 皮膚→皮疹・皮炎・アトピー 皮下組織→膠原病 脳神経系→扁頭痛・鬱病 気道・気管支→喘息・間質性肺炎 心臓・脈管系→心疾患・動脈炎・静脈炎・レーノー 手や足の掌蹠→掌蹠膿疱症 腎・副腎→ネフローゼ・腎炎いずれもこれらの疾患にかかる人がいて、同じ様な環境でもかからない人がいる、その違いを見ると人類特有で、ほ乳類でも人類だけが構造的な欠陥として持つ「口」呼吸と直立二足歩行によってこれらの疾患は発症しがちだということが分かります。鼻ではなく口で呼吸し睡眠不足をするといった「くだらない」ことが病気の原因や誘因になることを世界中の医者が見落としていたわけです。』ここまで読みますと、犬を飼っている人は「じゃあ犬や猫はどうなの」、と言いたくなると思います。アマゾンの『アレルギー体質は“口呼吸”が原因だった―ぜんそく・アトピー・花粉症 (新書)』 や『「赤ちゃん」の進化学―子供を病気にしない育児の科学 (単行本(ソフトカバー)) 』等のカスタマーレビューを見ますと概ね好評の様ですので、理屈付けは兎も角、結果オーライ、という様な気がしないでもありません。(この2冊は楽天以外のアフィリエイトが含まれている、というエラーになり、リンク出来ません。詳細はアマゾンで検索して見て下さい。)レビューの中に、『アレルギー性鼻炎は治りません, 2005/3/16 By みっく アレルギー性鼻炎なのでこの本を買ってみた。ところが最初にアレルギー性鼻炎の人はまず医者へ行って治してからこの方法を実践して下さいと書いてあった。おいおい・・ 』というのがありました。この手の本の本質 といったら言い過ぎでしょうか。何も無いのに犬の口呼吸の頻度が高かった場合(特に長頭種)、何か病気を危惧した方がいいかも知れない、ということもその通りだと思います。ところで、人間の場合、いびきをかくのは主に口を開いて寝ている時が多いと思います。犬がいびきをかくのはどういう時でしょうか。目がテン!の所も悩む!?イビキの謎 の実験では、「普通はイビキをかかない犬を、寝たまま仰向けにしてやると…やっぱりイビキをかいたのです」、ということが示されています。確かに、私の場合も、仰向けに寝ている時にしかいびきを聞いた事がありません。仰向けに寝ることにより、人工呼吸の際気道を確保するのと同じ状態になっているのでしょうか?若しこの状態で口呼吸をしているのであれば、普段は可愛いと思って見過ごしている犬の仰向け熟睡状態も注意が必要かも知れません。もう一つ、犬の人工呼吸はどう行なうのが正しい方法でしょうか?人間の場合は、マウス・トゥ・マウスの様ですけれど、犬の場合はマウス・トゥ・ノーズの様です。Googleの『犬 人工呼吸』の検索結果に多数掲載されていますけれど、私はこのDog saved by mouth-to-nose breathingで知りました。心臓マッサージで蘇生せず、人工呼吸で助かった、とのことです。すると、人間の場合もひょっとしたらマウス・トゥ・ノーズの方が有効かも知れない、という妄想が湧いて来ました。横向けにしてマウス・トゥ・ノーズを行なえば、わざわざ気道を確保する必要もないのでは?という疑問です。最後に、中津動物病院 夕陽丘動物病院の救急時の看護(PDFです)はAHT向けと思いますけれど、『飼い主が気付かない緊急事態』等、一般の飼い主さんも知っておいた方がいい様な情報が数多く掲載されています。普段からこまめに目にしていれば、いざという時慌てないで済むかも知れません。
2007/07/11
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SNOW DREAMという会社が、血液検査の一種のTh検査というサービスを始めていました(Th検査とは?)免疫系のヘルパーT細胞(Th1、Th2、Th3 )のバランス状態を見る、という考え方は、上記のシーソーの図を見ますと非常に分かり易く、説得力を持つと思います。具体的にどういうことに役立つのか、という点に関しましては、TOPページ(ペットの検診スノードリーム)には、・がん検診・アレルギー検査・免疫検査・お薬検査を挙げています。アレルギー検査と免疫検査に関しては説明の必要はないと思いますけれど、がん検診というのはちょっと意外な気がしました。ペットのがん検診には、「がん細胞が増殖する時にはTh3細胞の産生するサイトカインTGF-βが増加します。進化型Th1/Th2/Th3生体反応検査をすることで、早い時期にがんを診断することが可能です。」、とありますけれど、勿論これだけで直ぐに分かるというものでもないと思います。サイトカインTGF-βの増加要因はがんに限らず、ヘルパーT細胞間のバランスの崩れも同様と思います。勿論サイトカインTGF-βとがんは密接な関係にあることは事実とは思います。例えば、TGF-βによる上皮間葉移行の分子機構には、『TGF-β は古くより線維症との関連が示唆されており、フィブロネクチン等の間葉系マーカーの発現を誘導することも知られていた。・・・さらにTGF-β1、b2のノックアウトマウスが心臓形成に異常をきたすこと、TGF-β3が口蓋形成に異常が起こり、高頻度に口蓋裂を発症することからもTGF-βがもっとも重要なEMT誘導因子の1つとして考えられるようになった(図2)5』とあり、上記ページの目的も、「TGF-βによって誘導される上皮系マーカーの発現抑制機構と増殖制御に関する分子機構の概略を紹介」することにある様です。しかしながら、まとめのパートが、刺激に対する応答時間が短いこと等から得られた実験結果が原因なのか結果なのか判定が困難で、未だにEMT誘導におけるTGF-βシグナル研究は混沌としているように思える、というような基調にありますように、この方面の研究も未だ道半ば、というような感じと思います。ですから、腫瘍マーカーとして直ちに有用、というわけではなく、定期的に検査を行なうことにより、早期に異常の《可能性》を発見する、という利用方法になると思います。尤も、Wikiの腫瘍マーカーには、『腫瘍マーカー単独で癌の存在を診断できるものはPSA(前立腺癌のマーカーに用いる)など少数であるといわれている。しかし、癌患者の腫瘍マーカーを定期的に検査することは、再発の有無や病勢、手術で取りきれていない癌や画像診断で見えない程度の微小な癌の存在を知る上で、確実ではないが有用な方法である。』とありますので、腫瘍マーカーの多くは、実際には腫瘍マーカーではなく、腫瘍マーカー候補、というような表現の方が適切ではないのかな、とも思います。ところが、こういう使い方をするためには、現在のTh検査には大きな問題点が一つあると思います。それは検査料金が高すぎ、多くの人は頻繁には検査が出来ないであろうと思われることです。勿論、サービスを開始して間もないこともあり、検査機器の償却等色々な理由はあると思いますけれど、(多分)ちょっとした手術よりも高い、というのでは、特別な理由がない限り私には精々年に1回程度が限度です。アレルギーや(自己)免疫疾患の利用が増え、もっと料金を下げることが可能になるか、或いは営業政策的に定期健診の割引制度の導入やペット保険の適用(ひょっとしたら今でも可能かも知れませんけれど調べていません)、等が普及のためには必要な様な気がします。肝心のアレルギー/免疫検査に関してですけれど、確かに多くの場合は有用であるとは思います。でも、WikiのT細胞を見ますと、ちょっと気になることがあります。ヘルパーT細胞の説明としまして、『CD4陽性T細胞から分化し、IFN-γ(Th1細胞)、IL-4やIL-5(Th2細胞)またはIL-17(Th17細胞)等を産生し他の細胞の活性化、機能の行使等を助ける』とあり、このTh17細胞というのは何者?と思い、更にTh1細胞、Th2細胞とTh17細胞を見ますと、上記Th検査の背景と現状が説明されています。背景 :『・・・つまりTh1/Th2のバランスがお互いに拮抗しあって保たれているといわれている。アレルギーを罹患した患者がウイルス性の疾患にかかると重症化することがあるのは、Th2にシフトしてアレルギーを引き起こしている免疫系がTh1による細胞性免疫によってウイルスに対処することができないという考え方で説明がつく。また自己免疫疾患とアレルギーを同時に罹患することが比較的まれなのも、Th1型、Th2型の応答を同時に行うことが難しいからであると考えられている。』現状 :『Th1型サイトカインを外部から投与することによるアレルギー疾患の治療など、このバランスを操作することによる治療法が提唱されたが、成功は見ていない。発見直後の興奮が過ぎた最近では、実際には単純な対立構造ではなく、複雑に関連しあう関係があると見られている。』そして、Th17細胞は、多くの自己免疫疾患モデルマウスにおいて増加していることから自己免疫疾患に関わっていることが考えられている、とあります。このTh17をめぐって等も、Th1/Th2のパラダイムシフトを分かり易く説明していると思います。更には、このIL-17,IL-18とアレルギーには、『しかし近年, Th1細胞は好中球を活性化することで気管支喘息を誘発するとの結果や, 喘息患者の中にはTh1優位な免疫応答を示す症例も混在することが報告されるに至り, 気管支喘息の発症におけるTh1/Th2細胞のバランス説に対して疑問が投げかけられてきた. 』『 最近, 2つのサイトカインIL-17とIL-18が気管支喘息の発症に従来とは全く異なる機序でそれぞれ関与することが明らかとなった. 』とあります。つまり、Th検査も現状では、多くの場合は有用であるかも知れないけれども100%とはいえず、更に進化する必要がある、という気がします。多分犬の場合の自己免疫疾患も仕組み的にはヒトの場合と同様と思いますし、あまり聞いたことがありませんけれど、気管支喘息様の症状を呈し得るとも思います。尤も、犬とヒトでは呼吸の仕組みが若干異なる部分がありますので、犬の場合の気管支喘息様の症状はヒトの場合とは原因が異なるのかも知れません。また、利用方法も、直接バランスを操作する方法では上手く行かないことから、色々な調整(投薬や食事の改善等)と検査を何度か繰り返してバランスの変化を確認する、という方法が一番効果が高いのでは、とも思います。すると、現時点では、Th検査は有用ではあるけれど、料金に見合ったメリットが得られる人は限られているのではないか、という気がします。犬は症状を訴えることが出来ない分、こういった検査は導入するメリットが大きいと思いますので、出来るだけ普及して欲しいとは思います。けれども、その為にはもうちょっと営業政策的な努力や簡便なキットの開発、或いは最新動向のキャッチアップによる精度向上等、未だ多くの改善が必要と思います。尚、自分で試したわけではありませんけれど、がん検診には、以前高カルシウム血症2 の最後で紹介しました「ガン検診セット」 (全22項目の検査)のような、確実性の高い腫瘍マーカーを利用した方が、より有用ではないか、という気がします。こちらは料金は調べていませんけれど、多分結構高いと思いますので、必要性等との兼ね合いとは思います。勿論、こういった検査は行なわない、というのも、人間の場合も同様ですけれど一つの選択肢として大きな意味を持つとも思います。(殊に現在の犬を取り巻く状況では)
2007/07/09
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CDCの推奨は、以下、殺虫剤、据え置きタイプの殺虫剤(を含む装置)や、衣類等ダニを避ける工夫等(Prevent Tick Bites: Prevent Lyme Disease )となっています。その殺虫剤も、SEVIN (carbaryl カルバリル) 、PERMETHRIN (a pyrethroid) 、DURSBAN (chlorpyrifos クロルピリホス)、 DIAZINON (ダイアジノン、殺虫剤ダイアジノンを段階的廃止)という様に、ペルメトリン以外は犬にはどうかな、というようなものが挙げられています。多分犬の場合は、ここにフロントライン等が入るのだと思います。何度も書いていますけれど、これは忌避効果と(短時間での)即効性がありませんので、何時間か後には死亡するにしても、咬み傷が出来てしまいます。使用する場合には、頻繁に耳等の気になる部位をチェックするか、ディートとは相乗効果のない忌避剤を併用した方がいいかも知れません。これ以外では、西ナイル熱の蚊対策として挙げられていましたピカリジン(Pikaridin)ですけれど、MEDLINEで検索して見ますと、ダニに対しても一定の効果は見込める様です。Repellent efficacy of DEET and KBR 3023 against Amblyomma hebraeum (Acari: Ixodidae). は、Amblyomma hebraeum(キララマダニの一種で、多分アフリカに生息)に対するディートとKBR 3023(ピカリジン)の効果を検証したレポートです。2時間以上の効果持続には、ディートで70%前後、ピカリジンで50%前後必要な様です。2時間以内での効果は、両者には大きな違いはなく、20%ではディートで2時間、、ピカリジンは1時間は効果的な忌避効果が見込める様です。[What primary prevention should be used to prevent Lyme disease?]では、ライム病の予防に最も効果的なものとしまして、DEET(30-50%), picaridin(20%), citriodiol(30-50%), IR35/35(20-35%.)を挙げています。すると、ピカリジンはディートの様な刺激性がありません(WHOの評価ICARIDIN(PDFです)では、ウサギで弱い目への刺激があります)ので、耳や周辺には使用できる可能性はあります。1点気になりますのは、Sutter Health のProducts that prevent insect bitesの中に、The American Academy of Pediatrics (AAP) は、2月齢以下の幼児には使用しない様推奨している、と記載があることです。2月齢以下(2歳以下ではありません)ですので、杞憂かも知れません。尚、citriodiolはシトリオドラとしてお馴染みと思います。CDC推奨のレモンユーカリ(oil of lemon eucalyptus )のことです(Explain citriodiol and what products contain them.? - Yahoo!7 Answers)けれど、このYAHOOのANSWERを見まして、毒性コードが2ということに改めて気が付きました。確かに、CITRIODIOL -- Product Profileを見ますと、toxicity code is 2 とあります。Toxicity Categoriesの定義(分類)は、Toxicity Categoriesの通りですけれど、カテゴリーIIは結構厳しいと思います。日本の、特に販売サイトではアロマを人体に無害な様に記載しているところが非常に多いですけれど、勿論アロマにも毒性や光毒性等はあります。勿論、レモンセントティーツリーオイル [エアーグリーン]様にきちんと書いているところも多くありますけれど、それでも、このサイトでも毒性は控えめな表現になっています。カテゴリーIIは、警告ラベルを表示しなければならない、とあり、Toxicity Category II criteria: Oral LD50: From 50 thru 500 mg/kg Inhalation LC50: From .2 thru 2 mg/liter Dermal LD50: From 200 thru 2000 mg/kg Eye effects: Corneal opacity reversible within 7 days; irritation persisting for 7 days Skin effects: Severe irritation at 72 hours という定義(分類)からはこれは当然と思います。前回のダニ対策の見直し2の中でディートの毒性カテゴリーを記載しましたけれど、IIIかIVでしたので、ディートより毒性は強い、ということになると思います。ディートは、Oral LD50-rat 2170 to 3664 mg/kg IIIでしたので経口の場合、一桁毒性が強いことになります。ちょっと違和感を覚えましたので、再度citriodiol Registration (Repel Lemon Eucalyptus) and the Manufacturing Use Product 5/02 (PDFです)を読んで見ました。皮膚に使用する忌避剤ということで、経口毒性には殆ど触れられていませんけれど、それでも、経口発達毒性の試験では、哺乳動物に対する300-1000mg/kg/日の投与で、一過性の臨床的影響(運動失調や正向反射障害)や、肝臓の肥大が見られ、100mg/kg/日でその効果が現れたケースもあった、とあります。尤も、製品にする場合はその辺りの対応も考慮されている様です。例えば、MOSI-GUARD NATURAL ROLL-ON, SPRAY, STICK, AEROSOL AND CREAM SUMMARY OF TOXICOLOGICAL AND EFFICACY DATAにあります様に、MOSI-GUARDという製品では、ラットのLD50は2408 (1914- 3030) mg/kg body weight と、ほぼディートと同様のレベルまで毒性を抑えています。IR3535(3-[N-Butyl-N-acetyl]-aminopropionic acid)は最近登録された新しい防虫剤(成分)の様です。(EPA: 3-[N-Butyl-N-acetyl]-aminopropionic acid, ethyl ester Technical Document)蚊の刺咬に対する防虫剤の有効性の比較を見ますと、かなり評価が低いですけれど、これは対象や使用方法によってはもうちょっと印象が変わるかも知れません。特性はWHOが評価しています(ETHYL BUTYLACETYLAMINOPROPIONATE(PDFです))。弱い刺激性等があります。ところで、こういった製品は、BackPacker等の雑誌等でよく効果が比較検討されています。こういった製品レビューのレビューを行なっているところもありました。(Insect Repellent Reviews)そのまとめ(?)Insect Repellent では、やっぱりディートやピカリジンが挙げられています。多くのレビューアーは、シトロネラ等の植物オイルには懐疑的、ともあります。上記の蚊の刺咬に対する防虫剤の有効性の比較 でも、植物性防虫剤はすべて,平均防御時間が 20 分未満であった、とありました。これらのレビュー結果を見まして、もう一つ気が付いたことがあります。防虫薬をしみ込ませたリストバンドは防御効果がなかった、という点です。同様に、虫刺されにも、greenz の中の、忌避剤の効果の検証でも、塗った部分は刺されないけれど、塗らない部分は刺された、とあり、塗布した場合、効果が及ぶ範囲が非常に狭いのではないか、という気がします。すると、もう一つ考えていました、忌避剤を染み込ませたバンダナのようなものは、耳をガードするには非効率かも知れない、という可能性があると思います。こういうことを考えて行きますと、頭部(特に耳)のガードには、ピカリジン或いはレモンユーカリの直接塗布(レモンユーカリは若干皮膚刺激性がある様です)位しか効果が見込めない、ということになります。フォートレオンの忌避(バリア)効果は全身に及ぶ可能性がありますけれど、フォートレオンは使用するにしても来年から、と考えていますので除外しています。今年は、この両者を入手して交互に試して見ようかと(今のところは)思います。(どちらも入手出来なかったら已む無くフォートレオンにするかも知れません)尚、レモンユーカリやその他のアロマ系の忌避剤に関しましては、耳以外の部分に使用するためであっても私は今のところ第一候補とは考えていません。特に国内の製品は、効果の持続時間や、実際の効果が明記していないものが殆ど(というより、明記してある製品が見当たらない)という状態ですので、怖くて使用出来ない、というのが実情です。レモンユーカリのダニに対する忌避効果自体は、上記の様に検証されていますけれど、この効果を発揮する濃度は、EPA等では当然きちんと規定しています。問題は、日本国内ではこういった規定がないため、効果や、効果の持続時間が怪しい製品が非常に多い、ということです。アロマ系の忌避剤を使用してもダニに寄生された、という人も多いと思います。2005/9/5 ダニの異常発生とフロントライン にも、「既存の植物性エキスによる駆除剤では毎年3~5回寄生されておりましたが、」と、フロントラインに切り替えた理由を記載しています。虫刺されにも、greenz で推奨されていました「Mosiguard Natural」の様な、きちんと効果を検証・明示した製品を早く国内でも販売する様になってほしいと思います。
2007/07/09
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現在のCDCの推奨は、西ナイル熱等の蚊対策としましては、ディート、ピカリジン、レモンユーカリ(CDC Adopts New Repellent Guidance for Upcoming Mosquito Season)、ダニ対策としましては、ディート、ペルメトリン、殺虫剤、据え置きタイプの殺虫剤(を含む装置)や、衣類等ダニを避ける工夫等(Prevent Tick Bites: Prevent Lyme Disease )となっています。何れの場合も、一番効果があるのはディートということですけれど、犬の場合は、ディートは充分な効力を現すとは言い難い面があります。ディートの特性としましては、遺伝毒性や変異原性等は認められない様ですけれど、目への刺激はあり、ウサギの場合はごく弱い皮膚への刺激作用があり、また、皮膚から吸収されるようです。EPAのDEET(RED)(PDFです)Table 2. Acute Toxicity Values for DEET Technical では以下の様な特性とされています。Study and Guideline Result Toxicity CategoryOral LD50-rat 2170 to 3664 mg/kg IIIDermal LD50-rabbbit 4280 mg/kg IIIAcute inhalation LD50-rat 5.95mg/L IVEye irritation-rabbit Eye irritation and corneal opacity III cleared by day seven and three. respectively.Dermal irritation-rabbit Minimal irritation-cleared by day IV seven Dermal sensitization Not a skin sensitizer -尚、ディートに関する資料としましては、平成17年に子供に対する注意等の通達を行なった際のディート(忌避剤)に関する検討会の配布資料が、当然ながら一番詳しく纏まっているのではないかと思います。資料No.5 各国の規制状況(PDFです)の後半に、参考資料としましてDEETの安全性に関するデータが掲載されています。この時の通達には、メーカーに対してディート濃度の明記を求めていますけれど、動物用は当然対象外ですので、多くの動物用スプレーは今でも明記していない様です。ディート濃度と効果の持続時間は大体比例し、Wikiには、5%では約90分、100%では10時間虫よけ効果が持続する、とありますけれど、濃度が不明の現状ではどこまで効果が信頼出来るのか聊か不安があります。ところで、資料No.1 『 「虫よけ剤ー子供への使用についてー」について(要望)』 の 10~21ページ(PDFです)には、エアゾールタイプとポンプタイプの付着効率等の検証結果が記載されています。ペット用は殆どがエアゾールタイプと思いますけれど、このタイプの付着効率は約2割と言うことですので、例え濃度100%のものを使用していても、最大2~3時間しか効果が持続しない可能性があります。勿論、何度も何度も吹き掛ければその分多く付着しますけれど、この場合は、周囲への拡散も当然多くなり、吸入による影響が懸念されるようになります。人間の場合の様に、顔面へ塗る場合は一旦手にスプレーしてそれを塗る方法が推奨されていますけれど、動物用の場合はこういった方法は、ペットが嫌がることもありますし、第一濃度が不明ですので危険かも知れません。濃度50%以上の製品の皮膚への塗布は推奨されていない様です。日本では、人間の場合、医薬品で12%、医薬部外品では11%以下の濃度のものしか発売されていない様ですけれど、動物用では濃度表示はありません。使用方法に1日1~2回スプレーする、と書いてあるものが多いと思いますけれど、これを散歩等の使用回数ではなく、効果の持続時間と考えた場合は、ひょっとしたら高濃度のものを使用している可能性もあるかも知れません(憶測)。また、人間の場合は、特に高濃度の場合等、直接肌に塗布するのではなく、衣類に塗布するという方法が可能で推奨もされているようですけれど、犬は服を着ていない場合も多く、ダニや蚊が多い夏場は特に暑さに弱く服を着ない、という個体も多いと思います。私の目的の耳(や顔面)の保護という観点からは、ディートは実はあまり効果的ではなかった可能性があります。2番目のペルメトリンに関しましては、 これまでもフォートレオン等で有効性に付いて書いて来ましたけれど、MEDLINEで検索しますとかなり検証されていることが分かります。例えばEvaluation of an imidacloprid (8.8% w/w)--permethrin (44.0% w/w) topical spot-on and a fipronil (9.8% w/w)--(S)-methoprene (8.8% w/w) topical spot-on to repel, prevent attachment, and kill adult Rhipicephalus sanguineus and Dermacentor variabilis ticks on dogsは、イミダクロプリド((8.8% w/w)とペルメトリン (44.0% w/w) を含有する製品(=フォートレオン)と、フィプロニル(9.8% w/w)とメトプレン(8.8% w/w) を含有する製品(=フロントラインプラス)の効果を比較したレポートです。ダニの成虫に関する効果は、どちらも良い成績だったけれども、イミダクロプリド-ペルメトリンの方が優れていた様です。同じく、Assessment of the efficacy of parasiticides for the control of tick infection in dogs under field conditions: what's new?もイミダクロプリド((10%)とぺルメトリン (50%)を含有する製品(=フォートレオン)と、フィプロニル(10%)とメトプレン(9%) を含有する製品(=フロントラインプラス)の効果を比較したレポートですけれど、ターゲットはダニ成虫に加え幼虫に対する効果も検証されています。ダニはノミとは異なり、卵以外の総てのステージで吸血します(マダニの生態)ので、ダニ媒介感染症の効果的な予防・コントロールには成虫に加え幼虫への抑制効果も欠かせない、ということが背景にあります。結果は、成虫に対しましてはどちらもほぼ同じように非常に優れた効果を発揮したけれど、幼虫に対する効果はイミダクロプリド-ペルメトリンの方がより効果的であった、とのことです。ついでに、フロントラインの副作用情報を再確認しておきます。以前、フロントラインで纏めました時点では、フロントラインプラスの副作用情報はあまり副作用情報DBに反映されていない様でした。現時点ではフロントラインプラスの副作用情報としまして、製造業者以外の、獣医師、使用成績、モニターからの報告としまして、猫で5件、犬で15件が反映されています。転帰は、回復が15件、不明が4件、治療中が1件ですけれど、症状は殆どが投与部位の発赤や脱毛、そう痒等で、不明の4件も同様ですので、多分死亡は殆どないと思います。フロントラインプラスの副作用情報 獣医師、使用成績、モニターからの軽度のもの フロントラインスポットオンの副作用情報 獣医師、使用成績、モニターからの軽度のもの 尚、製造業者からの報告(重篤なもの)は変わっていません。平成14~18年の重篤なもののみ一方のフォートレオンは発売間もないことから、充分な副作用情報が集計されているとは考えられませんので、もう一つの主成分イミダクロプリドの副作用情報を確認しておきます。主成分 イミダクロプリド 平成14年以降の副作用情報(メーカー)詳細 多分、フロントラインの方が販売数量が多いと思われますので、重篤な副作用に関しましては、若干イミダクロプリドの分が悪い様にも見えますけれど、獣医師や製造業者の意見をチェックしますと、投与時の健康状態に問題があったりして、健康な状態から副作用で死亡した例は、どちらも1、2件ですので、この面からの考慮はあまり必要ないかも知れません。更に、イミダクロプリドを主成分としますアドバンテージの、獣医師、使用成績、モニターからの副作用情報も確認しておきます。アドバンテージの副作用情報 獣医師、使用成績、モニターからの軽度のもの 以前、イミダクロプリドの中で、犬には比較的安全、というようなことを書きましたけれど、1件死亡しています。原因や状況等は良く分かりません。フロントラインの方が、投与部位の発赤や脱毛、そう痒等が多い(犬の場合)様な印象を受けます。こういう比較をして見ますと、ダニに関しましてはフロントラインよりペルメトリン(フォートレオン)の方が若干有利な様に思われます。(犬の場合は)
2007/07/04
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前回のCatandog'sで書きました様に、またダニが耳の中に寄生していました。これは、顔面とその周辺部には忌避剤が使用し難い、という理由から発生しています。フロントライン等の駆虫剤を使用していても、こういった薬剤では、最終的には死滅すると思いますけれど、刺し傷が出来てしまうことは避けられません。多分、忌避と駆虫の機能を併せ持ちますのは、以前フォートレオンで触れましたフォートレオンやデュオライン等のペルメトリンを含有する製品だけだと思います。読み返して見ますと、ペルメトリンの特性を書き忘れていた様ですので、追記します。アディオン乳剤というペルメトリンを20%含有する農薬の、東京都健康安全研究センターのデータシートペルメトリン(Permethrin)(PDFです)には、急性毒性 : LD50 3801mg/kg(ラット(♀).経口) LD50 539(♂)、464(♀)mg/kg(ラット経口) ADI 0.05(mg/kg/日)特殊毒性 : 眼、皮膚、気道を刺激。神経系に影響。ハチ及び魚に毒性高いとあります。この数値から分かります様に、哺乳類に対する毒性はかなり低い様で、E X T O X N E TのPesticide Information Profiles Permethrinには、犬に対して 5mg/kg/日 を90日間、経口摂取させ、悪影響は見られなかった、とあります。ラットに対して6ヶ月間、150mg/kg/日 を経口摂取させた場合、僅かに肝臓の重量が増加し、非常に低レベルの鶏への経口摂取(孵化後3~6週に0.1ppm)は免疫システムの活動を抑制した、ともあります。また、エストロゲン様および抗アンドロゲン様活性がある、というレポートもあります(Potential Estrogenic and Antiandrogenic Effects of Permethrin in Rats)。変異原性等は見られない、とあり、要するに、毒性はそれ程高くはないけれども長期間使用していると色々好ましくない影響が出て来るかも知れない薬剤の一種、という感じでしょうか。因みに、フォートレオンの副作用情報は猫で1件報告されています。注意書きにもありますけれど、猫にはフォートレオンは禁忌で、製造業者等の意見でも、犬用の高用量を舐め取ってしまった可能性が高い、としています。フォートレオンの副作用情報詳細FDA(CVM)の副作用情報には未だ登録されていない様です。ペルメトリンは、犬の蚤取り首輪や殺虫剤等にかなり使われて来ていますので、これからも重篤な事故は発生しないかも知れません。逆に、どちらかといえば耐性の方が問題になるのかも知れません。(皮膚の寄生虫感染症)忌避効果と駆虫効果を併せ持つというのは私には魅力が大きく、今年も大きな副作用情報が発生しなければ、来年辺りから使用を視野に入れたいとは思いますけれど、2点だけ注意がすることがあります。一点目は、シス-トランス異性体(cis-trans isomer)((幾何異性体)が存在し、異性体間及びその混合率により毒性は大きく異なる(幾B-4-4.ペルメトリン(Permethrin) )、ということです。一般的な化学製品の混合率は((±)cis-,trans-比が40-25:60-75)の様ですけれど、一口にペルメトリンと云いましても、製品間でLD50等の毒性値が大きく異なる可能性もありますので、製品の選択の際はこういった点の確認が必須と思います。二点目は、ディートとの併用による相乗効果が懸念される、という点です。ディート(ジエチルトルアミド) 昆虫忌避剤の「他の化学物質との相互作用(湾岸戦争症候群に関連して)」に、ラットでの臭化ピリドスチグミン、ペルメトリン、ディートの内、2剤併用で運動が有意に遅くなったというレポートが紹介されています。勿論、単独ではこういった影響は出なかった、というのは当然ですけれど、面白いことに、3剤同時併用でも有意な影響は現れなかった、とのことです。ペルメトリン(スポットオン)を使用しているのに、散歩の前に習慣的にディート(スプレー)を吹き掛ける、というようなことをうっかりやってしまいそうな気がします(ディートの愛用者は)。結局、Catandog's は効果に疑問が出ましたので見送りました。(楽天のユーザーレビューでも、自分も友人もダニに寄生され、現在はフロントラインを併用している、という6/24付のレビューが追加されています。使用する場合は効果を過信せず毎日チェックする必要があると思います。)これ以外で顔面や耳もカバー出来そうなものとして思いつきますのは、多分世界初!超音波でノミ・ダニ防除の様な、超音波と思います。同様の製品で、超音波で蚊を寄せ付けない、というものは数多く出されていますけれど、この効果が確実ではない、ということを、使用された方は経験しているかも知れません。残念ながらダニの場合も、超音波はあまり効果が見られない様です。The efficacy of ultrasonic pest controllers for fleas and ticks.では、首に装着するタイプと室内での据え置きタイプの両方を試験して、何れも効果がなかった、と報告しています。因みに、この関連に、Household pesticides and risk of pediatric brain tumors.というレポートがあります。ダニやノミ用の駆虫剤(スプレータイプ)と妊婦の関係を調査し、小児脳腫瘍を増加させる可能性が示唆されています。処置されたペットの数とリスクの増加は関連し、スプレータイプだけが影響を与えた様です。sprays/foggers とありますので、フロントラインスプレーのようなものではなく、以前からある(ペット用の)噴霧タイプの殺虫剤の様に思われます。結局、候補はオーソドックスな忌避剤しか残らない、ということになりそうです。尚、私はCatandog'sや超音波等は、全く効果がない、というわけではなく、弱いながらも忌避効果はあるかも知れない、とは思います。線虫の誘引・忌避行動における60Hz交流磁界影響(生体磁気・医療応用)にも一定の影響は見られることが示唆されています。けれども、Catandog's.でも触れましたけれど、この手の製品は、例え試験結果を公表していても、試験方法や環境等に不適切と思われるものが少なくありません。多少の忌避効果が見られたとしても、その効果が吸血欲求より強くなければ忌避剤としての意味がありません。例えば、直ぐ傍に忌避効果のない個体が存在していた場合は、その個体へ移動してしまい、見かけ上効果があったように看做されるかも知れません。でも、周囲に対象となる適当な個体が存在しない場合は、ずっと吸血活動を継続すると思います。どうもこういった様な点を(意図的に?)蔑ろにしている様な気がします。ですから、公的機関等で厳格な追加試験を行なった場合は、効果が見られない、ということになるのだと思います。ライム病やダニワクチン等でも書きました様に、どうやらアメリカを含む世界の多くの国々では、ダニにかなり苦しめられている様です。Maxforce Tick Management Systemの様に、地域からダニを根絶しようというコンセプトの製品も発売されています。本当に著効があるのであれば、直ぐに、CDC等がアナウンスしている筈、と思います。けれども、現在CDCが推奨している製品は、西ナイル熱等の蚊対策としましては、ディート、ピカリジン、レモンユーカリ(CDC Adopts New Repellent Guidance for Upcoming Mosquito Season)、ダニ対策としましては、ディート、ペルメトリン、殺虫剤、据え置きタイプの殺虫剤(を含む装置)や、衣類等ダニを避ける工夫等(Prevent Tick Bites: Prevent Lyme Disease )となっています。
2007/07/02
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着けるだけでノミ・ダニを予防で触れましたカタンドッグメダルに付いてです。前回は、一応The Insecticide Evaluation of Catandog's, on the "European brown tick" in dogs (Rhipicephalus Sanguineus), in natural conditions.(PDFです)という検証結果もHPにアップされていましたけれど、色々疑問点もあり、使用を躊躇っていました。今日耳の中を見ますと、久々にマダニが寄生していました。時間があまり経っていない様で、まだ小さく、赤くなってもいませんでした。フロントラインスプレーを綿棒にしみ込ませ、マダニと周辺を拭いてしばらく経ってからピンセットで引き抜いたらあっさり抜けました。大体2時間位で動かなくなりましたので、フロントラインに対する耐性は現時点では杞憂の様です。それでも、引き抜いた後はちょっと傷が残り、嘗ては酷く化膿したこともありましたので、何とかマダニが付かない(接触しない)方法をもう一度考えて見ようと思い立ちました。といいましても、普段から外出時はディートやハーブ等の虫除けは使用しています。ですから、これまでも合計3度で済んでいたと思いますけれど、どうしても耳はこういったものの効果が及び難い様に思います。ダニの移動速度は思ったよりも速く、確かに蜘蛛の仲間、ということが感じられました。草叢から頭部に落下したら多分あっという間に耳に取り付くのでは、と思います。それで、頭部を保護する、という観点からもう一度考えますと、帽子かバンダナ等が浮かびます。けれども、どちらも耳は剥き出し(犬用の麦わら帽子やつば広は殆ど見つかりませんでした)ですので、あまり効果があるようには思われません。それでも、MOSCAPEの様に、防虫・防蚊を謳う製品は見つかりました。残念ながら、今回はMOSCAPEの実験結果(抗ダニ性)にあります様に、対象がヤケヒョウダニで忌避率も37.9%という結果ですので、マダニから耳を守るという目的にとってはあまり意味があるようには思われません 。防蚊効果はMOSCAPEの実験結果(防蚊性)からはそれなりに期待出来る様ですけれど、長毛犬で、極度の暑がりの犬に取っては、服という形態では使用出来ません。素材を利用して別の、夏でも身に着けることが出来る形状を工夫する必要があると思います。結局、Catandog'sに戻って来てしまいました。The Insecticide Evaluation of Catandog's, on the "European brown tick" in dogs (Rhipicephalus Sanguineus), in natural conditions.(PDFです)の結果の数値は、一つには聊か作為性を感じさせる部分もあるように思われますけれど、この点は取りあえず無視することにします。すると、前回も書きました様に、ダニに対する効果の方がノミに対する効果よりも高い、というメリットがあります。ノミは、Catandog'sを使用しても、最後まで完全駆除は出来ていませんけれど、ダニの場合は、TABLE2にあります様に、61日目にはCatandog'sを使用した場合は完全駆除出来ています。頭数が15頭+10頭(コントロール)と少ないことや、試験環境の適切さ等、不満はありますけれど、公正な試験である、という前提に立つのであれば、ダニに対してはある程度評価してもいいかも知れません。何故、「公正な試験である、という前提に立つのであれば」、という書き方をしたか、ということに付いてですけれど、今回、Evaluation of the CatanDog's tag to prevent flea infestations, inhibit flea reproduction or repel existing flea infestations on cats.というアメリカでの試験結果を見つけたからです。こちらも少数(3匹 + 3匹)で、しかもノミの猫に対する効果ですけれど、試験方法は前記The Insecticide Evaluation of Catandog's, on the "European brown tick" in dogs (Rhipicephalus Sanguineus), in natural conditions.(PDFです)よりも妥当に思われます。こちらの結果では、Catandog'sにはノミを防ぐ効果は全く見られない、とあります。今のところダニに関しての追加試験は見つかっていません。この2つの試験結果をどう評価すべきでしょうか。やはり、防虫には王道というものはなく、もっと地道な努力をしなさい、という啓示なのでしょうか。Catandog'sに関する別の疑問は、何故有効期限が2年間なのかの説明がない、という点にもあります。若し本当に、2年間しか効果がない、というのであれば、考えられる理由は、メダル自身が帯磁や帯電して所定の効果が発揮できなくなるかも、ということだと思います。けれども、こういった効果は使用状況で変わりますので、2年経過前に無効になってしまう可能性もあると思います(安全期間は見込んであるのかも知れませんけれど)。効果が継続しているかどうかをどうやって判定すればいいのでしょうか?ここまで考えて来まして、一時はCatandog'sにかなり傾きましたけれど、やっぱり断念します。犬ニュース01(ゼロワン)に着けるだけで愛犬のノミ・ダニ予防「カタンドッグ・メタル」では、確か定価15800円(?)でしたけれど、楽天のショップでは6800円で購入出来るようですので、大いに食指はそそられますけれど、効果があるかないか分からない状態で使用するのは精神衛生上好ましくありませんので。
2007/06/29
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始めにちょっと補足しておきます。これまでに書いたものを読み返して見ますと、私は何となくMSNBCのWish your pets could talk to you? Well, they doや、新しい理論?で提唱している方法に否定的であるかの様に受け取られたかも知れません。自分でもちょっと驚いていますけれど、どちらかといいますと、私はこういった最近の考え方の多くの部分に共感しています。多分私が農村部に居住していて周囲には空き地や野原等も多いことや、時間的には例えば夫婦共稼ぎの家庭よりは犬に掛けられるゆとりも多いこと等、この方式を実践するための条件を満たしやすいこともあると思います。例えば、築くべきものは服従関係ではなく信頼関係!という考え方や、放任や過干渉は問題行動の要因になるー1にあります、『人間と犬とは脳の仕組みは同じ。学習プロセスも同じ。違うのは、人間の言葉が通じないことと、時間や数が理解できないこと』という部分は非常に共感出来ます。多分、否定的なトーンというのは、「前の方式は全然駄目で、現在の自分の方式の方が最新式で合理的なので、総てにおいて優れている」、という様な、ありふれた強調技法で展開している部分が非常に嫌だからだと思います。所詮は人間の考えることですから、総ての場合上手く行く、ということは当然有り得ないと思いますし、増して犬の脳の仕組みどころか、人間の脳の仕組みや働きでさえまだ充分に解明されたとは言い難い状況だと思います。川野 なおこ さんのアルファシンドロームは正しい?や、山田 夏子 さんのアルファシンドロームは正しい?の様な、客観的で冷静な見解を見ますと、どうしてもこの点に付いての作為だけは気に入りません。ところで、私は、『人間と犬とは脳の仕組みは同じ。学習プロセスも同じ。違うのは、人間の言葉が通じないことと、時間や数が理解できないこと』、という部分に共感するからといって、決して犬を擬人化しているわけではありません。躾をする時の自分の心構えとしましては、『犬は人間の赤ちゃんと同じ(で、必ずしもこちらの言うことが直ぐに分かって貰えるわけではない。(けれど焦らず繰り返していれば何時かは理解してくれる))』と常に心の中で呟く様にしてはいます。けれど、同時に、その行動様式や学習プロセスは遺伝や犬の特性によって規定される部分も多い、ということも強く認識しています。例えば、よく子犬の躾に関して問題になります食糞ですけれど、私には良く言われるような、ストレスとか、飼い主の気を引くため、或いは不足している栄養分を補うため、というようなことではなく、犬の習性として糞を好ましいもの、或いは興味の向かうもの、と認識している様に思われます。ですから、食糞しても犬という動物の習性だから仕方ない、と思いますし、時間を掛けてじっくり矯正して行くべきことだと思います。犬の特性を変える、という大変なことだと認識すれば、直ぐに直らなくても寧ろ当然だ、と焦らなくなると思います。矯正で思い出しましたけれど、以前私は、今でも避妊手術を行なった心の痛みが消えない、と書いたことがあります。上記のような矯正は、親が子供に対する躾と同じだと捉えることが出来ますので、寧ろ積極的に肯定出来ます。ところが、この避妊手術に関しましては、確かにメリットもありますけれど、大きなデメリットも勿論あります。デメリットというより、当事者に取って見れば、自分の子孫が残せなくなる、という存在意義を問われる根幹に拘る問題だと思います。犬が人間に飼われるきっかけは、多くの人は、食料(餌)を人間に依存したことから始まり、その代償として犬は自由度を失い、人間に服従する様になった、と考えていると思います。云わば、食事と自由のトレードオフという契約を交わし、この契約は双方の自発的な意思による、と考えることが出来ると思います。犬は他の家畜と異なり、強制されて繋がれたのではない、と個人的には考えています。(ひょっとしたら、鷹のように強制的に飼い慣らされたのが始まりかも知れませんけれど、現時点ではこれを指示する具体的な根拠は存在しないと思います)この様に考えますと、若し犬が、自分の生殖権までこの契約に加えられていることが事前に理解出来ていたなら、果たして人間との服従関係を結んだだろうか、と非常に疑問に感じます。これが、私のトラウマの理由の一つであるかも知れません。もっとも、これはただの感傷に過ぎないことも承知しています。例えば、アメリカでは犬は自分の付属物という認識が強く、家庭の事情(離婚や子供が出来た、等)でいとも簡単に安楽死させていること等考えますと、本質は家畜、ということに変わりないのかな、とも思います。話を元に戻します。上記、『その行動様式や学習プロセスは遺伝や犬の特性によって規定される部分も多い』、ということが今回の本来のテーマです。犬の気質に関する行動遺伝学的研究(PDFです)では、勿論遺伝子が犬に与える影響を調べようとしています。例えば、ポリヌクレオチド、ポリペプチド及び有用犬の選別方法(PDFです)は、イヌのドーパミン受容体D4遺伝子のエクソン又はイントロンの対立遺伝子を調べ、該対立遺伝子の遺伝子型に基づいて有用犬を選別する、という特許です。興奮しやすさや攻撃性等は、勿論遺伝的要因も強く影響し、上記犬の気質に関する行動遺伝学的研究(PDFです)にも、ドーパミンの4型受容体のエクソン3領域の反復構造に関して、『イヌでの同部位を検索した結果,イヌにおいても領土防衛本能が高いと考えられる柴犬の方がゴールデンレトリバーよりこの領域が長い構造を有することが判明した[Niimi et al., 1999]。一方,セロトニン関連遺伝子が不安傾向や攻撃性,損害回避傾向の強弱と関連するらしいことも報告されている[Lesch et al., 1996; Ricketts et al., 1998; Lesch and Merschdorf, 2000]』とあります。「ヒトの気質に関わる遺伝子群」は、既にこれまでに神経伝達物質に関わる12種の遺伝子(セロトニントランスポーター,セロトニン2A・2C受容体,ドーパミントランスポーター,ドーパミンD2・D3・D4・D5受容体,モノアミンオキシダーゼA・B,カテコール-O-メチルトランスフェラーゼ,トリプトファンハイドロキシラーゼ)が報告されており、同様の研究を犬でも推し進めることも当然その目的の一つでもある、と思います。そして、同時に、環境(氏より育ち、の育ちの部分)の重要性も指摘されています。例としまして、ラットやマウスといった小型齧歯類の代表的な母性行動としてのグルーミングが、幼少期に受けた回数と将来の行動パターンの間に密接な関連のあることを示しています。母親からよくグルーミングを受けた子は将来おとなしい個体に育つ傾向にあり,一方,グルーミングの回数が少なかった子は大人になってから不安傾向が高かったり攻撃的な性質を示すという、母親が子を世話する頻度によって,その子の一生涯の行動パターンが決定付けられるという非常に示唆に富んだ研究結果が得られた、とあります。更には、この仕組みは,幼少期に母親からあまりグルーミングを受けなかった個体は視床下部室傍核におけるCRFmRNAの上昇や扁桃体におけるCRF受容体の上昇が確認され、対照的にグルーミングを良く受けた個体ではCRFに抑制的なフィードバックをかけるグルココルチコイド受容体が海馬で上昇しており,CRFの抑制がかかりやすい状態になっている、という具体的なメカニズムにまでフィードバックされています。また、問題を単純化するため、単一犬種を用い,さらに気質評価をより信頼できるものとするために使役犬を研究モデルとして気質データを含む遺伝子バンクを作出しています。この前提は、既に、脳内モノアミン関連遺伝子に存在する多型出現頻度に犬種差があること、及び、同一犬種内であっても地域もしくは使用目的(盲導犬か家庭犬か)による人為的選抜繁殖によって多型の出現頻度に差が認められることが分かっていることから派生している様です。残念ながら、現時点では、この気質データを含む遺伝子バンクと環境の影響のマッチングや、単一犬種から一般犬種へのフィードバック等は、更に時間が必要の様で、今すぐには明快な結論というようには行かない様です。けれども、このデータベースの公開もそう遠くないと思いますし、統合的な成果の発表も、長期間待たされるような難しい問題があるようにも思われません。ところで、研究の目的としまして、有用犬(盲導犬や探知犬)の作出は勿論、一般家庭においても、個々の気質に合わせた飼育環境の考慮のための科学的根拠の提供を可能とする、とあります。後者もメリットは勿論良く分かります。けれども、天邪鬼な私は、果たしてそれがいいことなのか、若干疑問に思います。犬が飼い主を成長させる、ということをずっと実感してきているからです。あんまり素直でいい子ばかり、というのは、飼い主を増長させ、社会の幼児化を逆に進行させることにも繋がりかねない気もします。若し可能であれば、ICタグは勿論ですけれど、飼い主の精神的成熟度も同時に測定し、未熟な飼い主には難しい犬を、という登録制度が出来てもいいかも、とも思います。飼い主の人権もありますので、ペットに掛けられる時間や費用等は充分考慮できる社会的ゆとりがある時代であることも必要と思います。
2007/06/28
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MSNBCにWish your pets could talk to you? Well, they doという記事が掲載されています。要するに、犬は言葉は話せなくても全身で感情表現をするので、よく観察すれば犬が言いたいことは分かるし、犬もきちんと訓練することによって飼い主の言うことが分かるようになり、言葉が話せなくても相互の意思疎通は出来る、ということの様です。ある程度長く犬を飼っている方には当たり前のことで、殊にコミュニケーションが上手く行っている場合は、顔の表情だけで言いたいことがほぼ分かる、という場合も多いのではないでしょうか。犬の行動に関して、約20年前にはアルファ(シンドローム)という考え方が一般的で、トレーナーも犬と人間の関係を誤解してアドバイスしていた、とあり、飼い主が上位であることを認識させても、魔法の様に行動上の問題の総てをを解決するというわけには行かないだろうとしています。その代わり、動物の行動原理の基本原則を覚え、終始一貫した対応をすることが大事で、夫々の行動に合わせたトレーニングが必要、とのことです。多分、新しい理論?で紹介しましたことと基本は同じだと思います。確かに、アルファシンドロームの考え方が総てを説明出来たわけでもなく、無理に躾けようとして逆に問題行動が起こった場合も結構あるのではないか、とも思いますし、そういったこと等が見直しのきっかけになったことは否定できないとも思いますけれど、逆に上手くいった場合も多かったのではないでしょうか。上記MSNBCは2007年(勿論今年)の記事です。凡そ20年も前の考え方だというのであれば、何故これだけ経過しているのにわざわざ言及する必要があるのでしょうか。そして、新しい考え方(?)が一般的になっているのであれば、何故MSNBCで取り上げる必要があるのでしょうか。 犬の行動学の見直しの根拠の一つとして、行動学に思うこと-2で、実は日本ザルの群れにはボスがいない、ということがわかり、『動物の行動に関する学問の世界では過去の常識が、新しい発見などにより否定されるケースが少なくありません。行動学における定説は鵜呑みにせず、現在はどうなのかという検証を必ずすることです。』と展開していました。けれど、これは展開的にはちょっと疑問があります。それでは、動物園等でよく観察される群れとボスの関係は間違っているの? これまで観察されて来た、狼や野犬の群れとボスの関係は? ということを考えますと明白だと思います。人間の集団でも同様だと思いますけれど、集団と個の関係は、その集団の状況に応じて変わり得る、というのが正解だと思います。つまり、強力な必要性が存在する場合にはリーダーが出現するけれど、その必要がない時には各自がある程度の自由度を持って行動する、ということです。外敵の存在は兎も角、何故動物園の場合ボスが存在するのか、ということに付いてですけれど、繁殖上の理由等もあると思いますけれど、私は、逃げ場の無い狭い空間であることも理由の一つではないか、と思います。ちょっと種は覚えていませんけれど、野生では同種で争いはするけれど殺さないのに、動物園等の飼育環境下では負けた方の逃げ場が無いため、結局殺してしまう、というような記事を読んだ記憶があり、そこからの連想です。争いがエスカレートしないためにも序列制度が必要なのではないか、と思います。集団内で個が行動様式を変える、ということで有名なのは、ハヌマンラングールの子殺しではないかと思います。Wikiには、『なお、ハヌマンラングールはインドから東の地域にも分布するが、その地域では、雄は単独でハーレムを維持するのではなく、雌の群れに複数の雄がつく。その地域では上記のような子殺しの行動は見られないという。』とあり、群れの形状に応じて個殺しという行動様式を変えている様です。元々、多くの動物の集団では、リーダーは自立発生的で、特定のリーダーが命令する、という形態をとる方が不自然、と思います。これは伝書鳩の行動を見ていると直ぐ気が付きますけれど、強いリーダーが(強い = 速い がために)自然に先頭に出て来てしうというパターンです。(中川 志郎さんの動物たちのリーダーシップ)人間の場合を考えて見ますと、個性としまして、集団生活を好むタイプや、孤独を好むタイプ等、様々な気質が存在すると思います。リーダータイプも存在すれば、逆に、自発的な行動より上からの指示を受けて行動する方を好む人もいます。一般によく言われます体育会系という、命令系統が律する集団の規律の中にいる方が落ち着く(?)性格もあれば、他からの支配を嫌う性格もあります。犬の場合も、属する集団も多様です。野犬の様な自発的な集団や、エスキモーや猟師の様な、厳然たる命令系統を持つ集団、愛玩動物として人間の家庭という緩やかな集団に属する場合もあります。更に、最近では人間と同様の遺伝的気質の存在も徐々に明らかになって来ています。Wikiの気質 動物には、『また、犬や猫については動物行動学においても研究され、また動物行動遺伝学で盲導犬などの気質に関与する性格関連遺伝子(ドパミン受容体であるドパミンD4受容体遺伝子)についての研究がなされている。 2005年に犬の品種間の気質などの遺伝子の差は人間の個性レベルであるとの発表もなされた。』とあります。猫の目通信の藪田研究室 大学院理工学研究科 修士課程 アニマルサイエンス専攻 一年生 鈴木美由紀さん の レポート(2番目です)は、柴犬・シェパード・ラブラドールレトリーバーを評価したもので、『柴犬は呼んでも来ない個体が多く(独立性のスコアが高い)、シェパードはすぐに来る個体が多く(支配性のスコアが高い)、ラブラドールはこの2犬種の中間的な反応をする個体が多い(従属性のスコアが高い)』とありますけれど、普段の観察から充分納得されると思います。犬の気質に関する行動遺伝学的研究(PDFです)は、犬の気質や精神疾患と遺伝子(多型)を調べたレポートですけれど、冒頭に、既存の調査結果の幾つかの例があります。・ドーベルマンやシェパードのような番犬に使われる犬種では領土防衛や警戒咆哮といった行動傾向が強く,逆にラブラドールやゴールデンレトリバーのようないわゆる家庭犬では攻撃性が全般に低く服従訓練に対する反応性が高いことなど,行動特性に際立った犬種差が存在する・興奮のしやすさ(過敏性)や一般的な活動性については遺伝的要因の影響が強いことが示唆され、また,気質に関わる攻撃行動や不安傾向,また常同症などといった問題行動についてもそれぞれの犬種で発現頻度が異なることから,遺伝的な素因との関連が指摘されている。 ・イングリッシュコッカースパニエルの攻撃行動では、単色の方が斑色よりも多くの個体が,そして単色の中では,赤茶色の方が黒色より多くの個体が攻撃行動を発現していた・ラブラドールレトリバーでは、攻撃行動が問題となる割合が黄色のラブでは高くチョコレート色のラブでは低い傾向にあることが示された勿論、こういったことは普段私たちが感じていることとも一致すると思います。つまり、アルファシンドロームで示されたような、上下関係が成立しやすい個体・犬種も当然存在すると思います。一部の犬の特性だけ強調して、特定の技法を強調するのは(アルファシンドロームの場合も同様ですけれど)ちょっと行き過ぎではないか、と懸念します。逆に、上記MSNBCや新しい理論?で提唱している方法では上手く行かない場合も多いのでは、と思います。犬と対等のパートナーシップを築いたと思っても、直ぐに犬が増長(?)して要求をエスカレートさせて来る場合や、コミュニケーション自体が苦手な犬種(個体?)の存在等、こちらも、どの個体にも通用するマジックではありませんし、時間と忍耐がより必要な分だけ、実践できる飼い主も限られてくると思います。だから、(必要上已む無く)叱る、という本来は否定している筈の方法を苦し紛れに展開する羽目に陥るのだという気がします。前回も書きましたけれど、どうも羹に懲りて膾を吹く、ではありませんけれど、アルファシンドローム理論(?)の良い部分まで否定している様な気がしてなりません。総ての飼い主が愛犬に無尽蔵の時間とお金を掛けられるわけではない、というのはアメリカでは通用しない言い訳なのでしょうか。(済みません。前振りで終わってしまいました。本当は遺伝をメインに書くつもりだったのですけれど。)
2007/06/27
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非常に良く知られた話だと思いますけれど、犬には鎖骨は無い、ということは一般的な認識かも知れません。Wikiの鎖骨にも、『ウマ、イヌの様な走行性の哺乳類等では退化している場合も多い。』とあります。骨格写真等を見ましても、確かに鎖骨らしきものは見られません。(以下は骨格標本が表示されますので、こういう写真を好まれない方はクリックしない方がいいと思います。)人体全身骨格模型イヌの全身骨格標本上記標本では分かりにくいかも知れませんので、絵で書いた骨の様子も参照リンクします。(犬の骨格の全体)このページには、『犬は鎖骨が無いので、ヒトが赤ちゃんの両脇に手を入れて、高い高いするような動作はしないほうがいいといわれています。』とありますけれど、ゴールデンの様な大人しい大型犬種に対してこれを行なっている場合(勿論持ち上げたりしませんけれど)を時々見掛けます。実際には、Wikiにも『・・・場合も多い。』とあります様に、完全に退化して無くなっているのではなく、大型犬では小さなものが見られる場合もあるようです。(日本獣医畜産大学 獣医解剖学研究室の動物のからだのしくみに関する質問コ-ナ-Q22「猫や熊や人は木に登る事が出来るのに、どうして犬は木に登る事が出来ないのですか?やっぱり骨格とか筋肉の付き方が違うからでしょうか?それならどう違うのか、というのも教えて欲しいです」の回答に、「この骨によって人は自由に上腕を動かすことができるのです。しかし、四つ足の動物では退化しているものが多いのです。犬では鎖骨はほとんど退化しています。しかし、猫では小さなものがたいてい残っています。また、犬の場合、もし見られる場合でも鎖骨は、特に大きな犬でのみで見られ、ほんとに小さなものだけが申し訳程度に確認できるだけなのです。」とあります。)ところで、今回この鎖骨を書いている理由ですけれど、犬は鎖骨が無いので肩がこりやすい、と書いてあるサイトに気が付いたからです。以前から、犬も肩がこる、と書いてあるサイトは個人のブログ等でも時々見掛けていました。針治療を書いた頃に、この犬のツボ療法と犬のツボを読み、100円ショップでコロコロ棒を買って来て試したこともありました。この時は、見慣れない物体、ということもあったのかも知れませんけれど、どうにも嫌がって全然好感触ではありませんでしたので諦めていました。この日清ペットフードの高齢犬の健康生活バイブル(表示されない方は、IEのメニューバーから、表示(V) → エンコード(M) → 自動選択 で、 自動選択(日本語) を選択して見て下さい。このページは日本語(EUC)の様です)に、『犬も人同様、肩がこります。犬には人にある鎖骨がなく、前足と体を筋肉によって支えているので、人よりも肩がこりやすい動物です。また、いつも飼い主の顔を見上げているということも原因のひとつと言えます。老化によって筋力が衰えると、さらにこりやすくなります。』とあり、同時に、猫ですけれど、この指圧出張治療 - 身辺雑記2002年7月のイメージを見たことにより、何となく、ツボのイメージが湧いて来ました。それまでは、長毛犬(襟巻きをしている様な感じです)ということもあり、何となくツボの部位がよく分かりませんでしたけれど、この図を見て、鎖骨ではなく筋肉で支えているイメージが理解出来たのか、実際に触った場合の位置が何となく分かって来ました。高齢犬の健康生活バイブルにあります、『円マッサージ 人差し指と中指の腹を使って“の”の字を描くようにして、肩の後ろをもみほぐします 』や、指圧出張治療 - 身辺雑記2002年7月にあります、『腰の部位』は、確かに気持ちよさそうに思われます。先入観からかも知れませんけれど、確かに肩がこっている様に感じましたけれど、これは、犬の肩(こり)の状態、特にこらない状態というのが良く分かりませんので、何とも言えません。肩がこっていない状態の犬の場合を検索して見ても、見つかりません(当然と思いますけれど)ので、比較することが出来ず、取り敢えずは自己満足で良しとしています。肩こりは兎も角、確かに小型犬では、飼い主を下から見上げることが非常に多いので、疲れるだろうな、ということにも改めて気が付きました。動物と同じ目線に立つ、ということは、気持ちの上だけではなく物理的にも大事かも知れない、と認識も改まりました。
2007/06/26
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ちょっと前に評判になりました、BTJジャーナルの2007年3月号(PDFです)の「がん研究のパラダイムシフト」を読んで見ました。多分、多くの方のがん組織のイメージは、均一ながん細胞の塊というものではないかと思います。それぞれのがん細胞が無限に増殖して行く、という捉え方かも知れません。上記BTJでは、分子標的薬は、がんを狙い撃ちしているにも拘らず、何故完全にたたくことが出来ないのか、ということから、がんを組織構造の観点からもう一度捉え直そうとする特集です。近年のニュース等から、がんは、周辺に血管(がんの血管新生は何度かこのブログでも取り上げたと思います)や、間質等を持つ組織だということが何となく伝わっていると思います。国立がんセンター東病院臨床開発センター臨床腫瘍病理部部長 落合敦志氏へのインタビューの中には、『がん組織において、がん細胞はたかだか30%ぐらいしかありません。スキルス胃がんのように種類によってがん組織におけるがん細胞の割合が10%にも満たないものもある。残りはがん細胞でない細胞で構築されています。』『抗がん剤を投与することでがんがなくなるということは、言い換えるとがん組織の主要構成成分である間質がなくなるということです。』とあります。組織中に30%以下しか存在しないのでは、幾ら薬剤を投与しても中々効果が出難いのは、寧ろ当然かも知れません。例えますと、東京大空襲の時の様に、人家が密集していると思って絨毯爆撃を行っていたのに、実はゲリラ戦術を行っていたベトコン(?)の様なものでしょうか?最近の例では、難民キャンプに紛れ込んで多くの人々を盾に取る某ゲリラ組織の様なものかも知れません。ひょっとしたら、自爆テロの概念を一般大衆にも植え付け、女性や少年までも巻き込み、勢力を拡大している某組織の方ががんのイメージと瓜二つに思える気もします。何れにせよ、戦うには非常な苦労を伴います。そして、がん組織のかなりの部分は骨髄に由来する線維芽細胞で、マウスへのがんの植え込み試験を行うと、同じがんでも植える部位(皮膚、肝臓、肺等)によってこの間質の誘導能が異なった、ということです。がん細胞は、自己の存在の場を形成するために、植え込まれた部位に応じて必要な間質細胞を適宜取り込んでいることが示唆される、ということから、逆に、この間質の誘導・形成をブロックすればがんの進行が抑制出来るのでは、という研究が進行中とのことです。更に、この環境構築にはマクロファージが大きな役割を果たしているのではないか、とも想定されている様です。マクロファージは、Wikiにもあります様に、本来は免疫システムの一部をになう細胞の筈です。ところが、マクロファージを欠失させたマウスでは前立腺や乳腺が出来ないと同時に、乳がんも育ちにくいことが分かっていて、更にはヒトのがんでもマクロファージの数と悪性度は非常によく相関する事等から、がん細胞がマクロファージを教育している、という理論も提唱されているそうです。これも、従来の、がんに対抗するためには普段から免疫力を高めておくことが大事、という考え方とどの様に拘るのか、今後の研究が非常に興味深い、と思います。また、大阪大学微生物病研究所情報伝達分野 教授 高倉伸幸氏のインタビューでは、がん細胞は従来考えられていたような均一な細胞集団ではなく、がん細胞と《がん幹細胞》からなる集団である、とのことです。まだ、がん幹細胞は仮説の段階で、明確な定義も確立されたとは言いがたい状況だ、とはありますけれど、これまで未研究の分野、ということで、これから徐々に解明されて行く分野、という印象を持ちました。実際、googleでがん幹細胞を検索しますと、既に多数の機関で研究されていることが分かります。(『がん幹細胞』の検索結果)一方、正常な体組織にも当然幹細胞が存在し、万能ES細胞を作り出そうとしていること等は最近のニュースでよく知られるようになった思います。(万能幹細胞:ESに、より近く 京大チーム、マウス実験で作成)上記BJTのインタビューでは、造血幹細胞に、分化性(自己複製)に加えて、血管新生を誘導する機能も持っていることが明らかになったとし、「まるで女王蜂の様に、血管を自分で導き、自分にとって住みよい場所を作り、増殖するイメージです。」と喩えています。まるで、落合敦志氏へインタビューと申し合わせたかの様な表現ですけれど、これらは独立のインタビューの様です。それだけ、正常組織とがん組織の類似性が非常に高い、ということかも知れません。どこかで、がんが正常組織を乗っ取った、という表現を目にした記憶がありますけれど、BTJを読んだ感想としまして、この乗っ取ったリーダーを叩く、というのは勿論ですけれど、リーダーを説得する、というのも一つの方法として考えられないかな、ということを思いました。戦う、ということはどちらにも犠牲がつきものですけれど、リーダーを説得して組織を(正規軍として)認定出来れば、正常組織として活動出来ないまでも、いわゆるがんが落ち着いた状況で安定出来るのでは?という妄想です。がん治療最前線(PDFです)として、分子標的薬等を説明したこのドキュメントは2005年4月のラジオNIKKEIによるものです。この分野の研究の進展が如何にめまぐるしいものかが良く分かります。BTJジャーナルは無料でダウンロード出来ますので、一読(定期購読)されることをお勧めします。いざ、という時、最新の情報を知っていれば色々役に立つことは言うまでもありません。
2007/06/25
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といっても、もう全然新しくないかも知れません。googleで『新しい創傷治療』を検索しますと、26、000件ヒットします。この、消毒とガーゼを禁忌とする新しい創傷治療のことです。既にかなり知られていると思いますけれど、これまでは、犬は傷の治りが非常に早いこともあり、あまり関心がありませんでした。指摘されますと、なるほどと納得しますけれど、傷口は消毒してはいけない、とか、傷にガーゼをあてるのは治りを遅くする、という様なことを始めて聞きますと、これまでの常識から、ちょっとびっくりすると思います。(創傷ケアの「常識の嘘」)消毒に関しましては、この消毒についてに詳細があります。大きくは、消毒は生体細胞にとっても有害(消毒薬の組織障害性)、ということと、滅菌に一番有効なのは洗浄(リスターはなぜ,消毒で創感染率を下げられたのか?)、ということだと思います。滅菌とはちょっと意味合いが違いますけれど、LSI製造工程でも薬品や微粒子を除去するため、多量の超純水を使用し洗浄することも良く知られていると思います。(純水・超純水の用途)ガーゼに関しましては、表皮の再生に不可欠の真皮が乾燥に弱いため、ガーゼで覆うと水分を吸収してしまう(ガーゼ考)、ことから、代わりにサランラップ等を使用する、という方法(褥創のラップ療法)ですけれど、最近もうちょっと進化したようです(進化したラップ療法 これからはラップを使わないラップ療法)。私がこのサイトを記憶に留めている理由は、その内、母が寝た切りになったら、褥瘡の心配をしないといけなくなるからです。でも未だしばらくは大丈夫だと思っていました。ところが、どうも人間より犬の方が先にこういったことを考える必要が出て来るかも知れない、ということで、最近読み直したところ、犬に付いても湿潤療法を行っている獣医師が、まだ少数ですけれど存在することに気が付きました(動物の傷を湿潤療法(うるおい療法)で 治療している獣医師のリスト )。以前から記載はあったようですけれど、前述しましたように、犬は傷の治りが非常に早いので、まさか犬でこの『新しい創傷治療』を行っているとは思いませんでした。先入観から見逃していた様です。そして、犬の場合は、やっぱり褥瘡がメインの様です(◆◇「褥創」の治療・管理について )。自分で使用していませんので良く分かりませんけれど、◆◆自家製ドレッシングの作り方◆◆で紹介しています、「開放性ウェットドレッシング」では、染み出てくる浸出液だけ吸収する、とありますけれど、何となく毛管現象(?)でその下の水分も吸い取ってしまうような気もしました。ところで、こうして、傷が治る最適な方法を説明されて始めて、犬が傷口を舐めて直す意味が理解出来ました。単純に考えますと、口内には雑菌が多数繁殖していますので、傷口を舐めることはまずいのではないか、と思いますけれど、創縫合前後の消毒は危険だ!等を見ますと、寧ろ消毒した方が傷が治らない、とあります。やっぱり、人間の浅知恵より自然の摂理、ということでしょうか。また、私達に関連しそうなところでは、他に、カテーテルや注射の前のアルコール消毒等、これまで習慣的に疑わなかった事例が結構あります。医療行為といいますと、無条件に科学に基いた、と考え勝ちですけれど、多くは一般の社会的行為と同質だ、ということが改めて分かりました。最後に、念の為ですけれど、当然、必要な消毒というものもあります(必要な消毒と,消毒したフリ )
2007/06/22
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Wikiの血管内皮細胞増殖因子には、『脈管形成(胚形成期に、血管がないところに新たに血管がつくられること)および血管新生(既存の血管から分枝伸長して血管を形成すること)に関与する一群の糖タンパク』とあります。わかりやすかった日本血栓止血学会のVascular endothelial growth factor(VEGF)(血管内皮細胞増殖因子)には、『がんがある程度大きくなって酸素不足になると、VEGFとその受容体が増加して 血管新生が起こる。胎児期に血管をつくるだけではなく、病的な血管をつくるときにも作用している。』とあり、悪性腫瘍の増加と大きな関連があることを窺わせます。実際、Wikiの悪性腫瘍におけるVEGFには、『VEGFの過剰発現は腫瘍の血管増生や転移と関連し、また腫瘍の進行や予後不良と相関することが、大腸癌[12][13]、胃癌[14][15]、肺癌[16][17][18]など様々な癌で報告され、VEGFを標的にした分子標的治療が進められている。』とあります。WikiでVEGFを標的にした薬剤として挙げられているベバシツマブ(アバスチン® )は結構知られていると思います。血管新生を阻害する、といいますと、以前COX-2選択的阻害剤の用途やもう一つの血管新生阻害剤 を書いていますけれど、アバスチンもこれらと同じような副作用が発生する様です。副作用 : 消化管出血、喀血などの出血、脳卒中、一過性脳虚血発作、心筋梗塞などの動脈血栓が起こり得る。犬の場合も、VEGFに関して色々な調査・研究があります。例えば、犬の乳腺腫瘍における血中血管内皮増殖因子濃度の臨床的意義(外科学)では、血中濃度の、良性腫瘍群と悪性群に於ける有意差、術後転移群と非転移群に於ける有意差を指摘しています。改めて乳腺腫瘍を見ますと、『犬の場合、「良性」と「悪性」の比率は約五十%ずつ。さらに、その(約五十%の)「悪性腫瘍」のうち、がん細胞が早期の段階で血液やリンパの流れに乗って、あちこちのリンパ節や肺などの臓器に転移するものは約五十%(つまり、乳腺腫瘍全体の約二十五%)。悪性腫瘍のほぼ半数が局所だけで増殖したり、転移速度が非常にゆっくりしているといわれている。これを、犬の乳腺腫瘍の「五十・五十・五十%ルール」と呼ぶ。・・・たとえ「悪性腫瘍」であっても、早期に発見・治療すれば、治る確率が猫よりもずっと高いのが、犬の乳腺腫瘍の特徴である。』とあります。そして、避妊手術により、悪性腫瘍に罹患する割合は著しく減少するということは周知の事実と思いますけれど、この比率は『初発情前に避妊手術を受けたメス犬が乳腺腫瘍になる確率は、避妊手術を受けていないメス犬の約○・五%。また、初発情と二回目の発情のあいだに避妊手術を受けた場合は約八%。発情二回目と三回目のあいだに避妊手術を受けた場合は約二十六%となっている。』とありますけれど、同時に、『ただし、犬の乳腺腫瘍で女性ホルモンがかかわると見られるものは、悪性度の低い症例が多い。』ともあります。すると、極論しますと、避妊手術を行ったことにより防ぎ得る乳腺腫瘍は大部分が良性の場合で、悪性の場合は避妊手術の有無とは無関係、といえるかも知れません。ところが、この関係を正しく評価することは現状では中々難しいような気がします。今回のデータの元となりましたアメリカでは、早期の避妊手術が半ば常識化している様に思われるからです。もしかしたら、逆に避妊手術を行っているのに乳腺腫瘍に罹患する場合が、想定より多いのかも知れません。0.5%というのは、避妊手術を受けていても200頭に1頭は発症する(正確にはちょっと違いますけれど)、ということです。子宮蓄膿症等、他の要因も考慮する必要はあるとは思いますけれど、乳腺腫瘍のみに関して言えば、平均余命(平均寿命)を考えますと、手術による延長分は思ったより少ないかも知れません。今のところ、人間の大腸がんや肺がんに対するベバシツマブ(アバスチン® )やゲフィチニブ(イレッサ® )の様な分子標的治療薬は犬の場合はまだ多くは見られない様ですけれど、がんの治療薬は、肺がん治療のいま にもあります様に、細胞毒性製剤(がん細胞を殺すための抗がん剤)は既に限界が見え、分子標的薬や遺伝子治療(等の組み合わせ)等、より効果的な方法が模索されています。前述のVEGFのマーカーとしての利用等も含め、乳腺腫瘍のみならず他の悪性腫瘍の治療・予防成績の向上や、麻酔技術の向上等による子宮蓄膿症の手術可能年齢(平均)の引き上げ等、今後の展開次第では、避妊手術の必要性の大きな見直しがどこかで必要になるかも知れません。勿論、現時点での避妊手術の必要性は(望まない子供が出来てしまうこと等も含め)、充分認識しているつもりですけれど、私の中には、今でも避妊手術を行ったことへの罪悪感が消えていません。避妊手術を行ったことによるホルモンバランスの乱れも、影響は小さい、という多くの研究レポートがあることは、このブログで書いた覚えもありますけれど、その結果が総てではないだろう、とも思います。(これは何れ別立てで書こうと思います)こういった、将来の疾病を理由とする避妊手術の必要性が無くなり、選択が合理的なものである様な時が来ることを切望していますけれど、一方では、現状の流れから、半ば避妊が習慣化していくのでは、という懸念も強く持っています。
2007/06/22
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実際の改定は確か2月だったと思いますけれど、読売のコレステロール新基準を始め、最近、新聞等のメディアでこの新基準に関する記事が目に付きます。これまでの総コレステロールでの判定に変わり、内容(悪玉コレステロール等)での判定を推奨する、というものです。これまでも、コレステロールやや高めが長生き?や、高コレステロールの薬物療法 女性への効果に「?」 等、数多くの批判があり、特に女性の場合は、多少コレステロール値が高いというだけで、多くの場合は、不要と思われるコレステロール低下薬を飲まされ続けて来ました。上記記事からの抜粋ですけれど、『「もともと女性は心筋梗塞が少ない。単にコレステロールが高いという理由で女性に薬物療法を行う根拠は乏しいことが示された」 ・・・ 心筋梗塞による死亡率は、75歳までは女性は男性の半分に満たない。』という状況にも拘らず、『日本では、2000万人以上が高コレステロール(基準値は血液1デシ・リットル中220ミリ・グラム以上)とされ、約3000億円の薬が使われている。その3分の2程度が女性に使われているとみられる。』という、単に製薬会社を儲けさせるだけという状況がやっと(日本人の)データに合わせて改善されました。ところで、コレステロール改善、といいますと、リピトールで大成功した(トップはリピトールの130億ドル 世界の医薬品売り上げ)ファイザーが、次のトルセトラピブで大きく躓いた(Pfizer製薬、新薬の開発中止で苦境に)ということも去年の年末の大きなニュースだったと思います。ファイザーはこの時期、Slentrol(ついに出た!米で犬用やせ薬 世界初、犬も人並みに肥満)やCerenia(犬の肥満薬の次は乗り物酔い防止薬。FDA初認可(07/03/01))等、変わった薬を承認申請していますけれど、背景には、こういった財政的苦境があったのかも知れません。(ファイザー、全世界で1万人リストラ)Slentrolは6/12に発売開始した様です(Pfizer Launches BARC - Body Assessment Rating for Canines )。これは獣医師の処方が必要ということで、まだ売り上げ等は分かりませんけれど、同時期に発売の、人間用の処方箋不要の痩せ薬は大ヒットしている様です(米で処方せん不要の「やせ薬」発売、売り切れ続出 )。Slentrolは3ヶ月程度は継続して服用させることが好ましいようですので、秋がちょっと楽しみです。一つ気になりますのは、USA TODAYのEven painkillers for dogs have serious risksには、承認前には、例えば人間用のCialisでは4000人以上の患者で評価されたのに対し、リマダイル( Rimadyl )では549頭、デラマックス(Deramaxx)では約700頭でしかテストされなかった(ため、副作用が相次いだ)、とあります。SlentrolとCereniaが駆け込み申請でなければいいのですけれど。トルセトラピブに戻りますけれど、効果は確かに確認されている様です。例えば、HDL コレステロールに対するコレステリルエステル転送蛋白阻害薬の効果では、ファイザーが申請した様な併用の形態ではなく、単独投与の場合でも効果があったとしています。ところが、Effect of Torcetrapib on the Progression of Coronary Atherosclerosisを見ますと、非常に奇妙な結果が出ています。結論としまして、トルセトラピブは善玉コレステロールの増加と悪玉コレステロールの減少と関連していた、と同時に、血圧の上昇を伴い、冠動脈硬化の進行に対する抑制効果は見られなかった、とあります。薬剤の作用メカニズム等は不明、としていますけれど、単純に考えますと、今回のコレステロールの新指針の推奨通りのことを行ったけれど、逆効果だった、様にも見えます。新指針の効果の大規模な検証はまだ時間が必要と思いますけれど、こちらの検証もちょっと興味を惹かれます。
2007/06/20
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多分、多くの方には御馴染みだと思います。Wikiのヒレハリソウには『ヨーロッパでは、古くから根や葉を抗炎症薬として用いてきた。日本では昭和40年代に健康食品として一時期大ブームとなり、植えられたものが一部野生化した。日本では、葉を天ぷらなどにして食べることが多かった。』とあります。そして、厚生労働省から、肝障害が疑われる事例が海外で多数報告されているとして、・自粛を求める通知(シンフィツム(いわゆるコンフリー)及びこれを含む食品の取扱いについて)・食品として販売等を禁止する通知(シンフィツム(いわゆるコンフリー)及びこれを含む食品の取扱いについて(その2))が出されています。独立行政法人 国立健康・栄養研究所の英国MHRAが発表したSenecio属植物を含む無許可の内服用医薬品の販売・供給等について(070412)のピロリジジンアルカロイドの毒性に付いての説明には、『毒性には種差があり、ラットでは発がん性が認められていますが、ヒトでは発ガン性や催奇形性の報告はありません。ヒトにおけるピロリジジンアルカロイドの主な毒性は肝静脈閉塞性疾患です。幼児はピロリジジンアルカロイドへの感受性が高く、影響を受けやすいことが知られています。』とあります。シンフィツム(いわゆるコンフリー)及びこれを含む食品の食品健康影響評価について(PDFです)に具体的な中毒事例が掲載されています。葉は毒性が低く、天麩羅等で現在も限定的ながら食用として利用されているようです。根が一番毒性が強いようで、サプリメントでの摂取被害が一番問題になるのは当然ですけれど、お茶としての飲用による死亡事故も結構発生し、経胎盤中毒の可能性も示唆されている、とあります。一方、毒性そのものに関しては、コンフリーのPAs(ピロリジジンアルカロイド)は、あまり毒性が高くなく、豚や鶏では有害作用を示さない、とあります。ラットは感受性が高いようですけれど、犬に関しては、MEDLINEでの検索では見つかりません。コンフリーそのものの各種毒性試験は十分に実施されておらず、リスクの程度に付いて定量的に評価するための情報は現時点では不十分である、ともありますので、犬に関しての毒性量も不明の様です。食品としての販売は禁止されていますけれど、犬用のサプリメントとしましては、未だに広く販売されているようです。ヒルトンハーブ社では、コンフリーを含むハーブ健康補助食品に関するお知らせ等を見ますと、コーンフリーを除いた配合の製品に切り替えた様です。尚、上記ページ中の『コンフリー論争について(ヒルトンハーブ社の見解)』には、「数年ごとに繰り返される見苦しい論争」である、として、発がん性の根拠となったラットでの試験が、通常摂取ではあり得ない多量の投与であり、この報告は恐怖をさそう脅し的な考え方です、としていますけれど、今回の厚生労働省の禁止措置は、このラットの発がん性に基づくものではなく、上記の、肝毒性に基づくものです。更に、『・・・この15年間の中で今回厚生労働省から指摘がありましたコンフリーの主に根の部分に含まれるピロリジアンアルカロイドが原因となった肝臓等への健康被害の報告は一件もございません。』、とありますけれど、これは、それ以前に人間での中毒例が多数報告され、規制されているため、と思われます。(シンフィツム(いわゆるコンフリー)及びこれを含む食品の食品健康影響評価について(PDFです)にそれ以前の事例が多数掲載されています)。勿論、ヒルトンハーブ社は動物用サプリメント会社として創立以来、とありますので、報告事例がないのも当然かも知れません。犬用としましては、例えばスキンケア-Hilton Heabs-の様に、サプリメントとしてではなくとも、根からの抽出成分をマッサージ用や、傷の保護用等に使用している製品も多数あるようです。犬や猫、フェレット用等、舐める心配がある動物に使用するのはどうか、という気がします。また、犬のサイトでは、コンフリー COMFREYの様に、長期間大量摂取は戒めてはいるものの、『コンフリーは胃の内部の炎症を減少させ、それにより、胃の不調、胃潰瘍や疝痛、大腸炎に用いられる。』の様に、飲用を示唆するところも結構あるようです。『臨床リサーチ結果によると、』とありますけれど、犬への毒性量も不明だと思いますし、犬は体格的には大体幼児見当の場合が多いとも思います。積極的にコンフリーを使用する必然性(高い癌治癒力等)があれば話は別ですけれど、現時点では積極的に摂取する必然性は無い様に思います。尚、今回私が取り上げたきっかけは、何年か前の厚生労働省の勧告からではありません。2007.06.06の食品安全情報 No.12/2007(PDFです)に、欧州食品安全機関(European Food Safety Authority )の、『動物飼料中の望ましくない物質としてのピロリジジンアルカロイドに関するCONTAMパネル(フードチェーンにおける汚染物質に関する科学パネル)の意見』が掲載されているのを見たからです。『動物由来組織に残留するPAsによるヒト暴露への寄与率は低い。しかしながら常にPAsが検出されているハチミツについては、特に注意が必要である。』という結論の様です。
2007/06/19
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また分割しました。こうして見ますと、アルファシンドロームを否定したまではよかったものの、どうも代わりとなる有効な原則、というものを上手く確立できていない様な気がします。一般の家庭で犬をしつける際には、効果的な原則、というものがあった方が望ましく、これは人間の子育てでも同様だと思います。人間の場合の『褒めて育てる』も、それ以前からの様々なしつけの方法や、犬の場合の『アルファシンドローム』も、分かりやすく、実践しやすいから普及したのだと思います。一般の家庭で、誰でもわかる『原則』と、スクールの様な特定の状況では、考え方が違うのかも知れません。例えば、バイクに無駄吠えでは、バイクの音のCDや実際にバイクを購入して音に慣らす、という方法が推奨されていますけれど、私にはとても一般的な方法とは思えません。大きな音を恐がるワンちゃんで、『恐怖反応が強い場合は、獣医師の協力の下で薬物の使用も考える必要もあります。』と、躾に薬物、ということも考えているようですけれど、これもどうかな、と思います。これも、犬と人間の地位関係等まで否定したための方法論の不足の様な気がします。多くのトレーナーさんは、多分、2年くらい前から極端に嫌がるようになった、ということから、まず原因を探ろうとするのではないでしょうか。そして、飼い主さんが犬に取って本当に信頼できる存在であることを徐々に(身を持って)教えて行き、雷や花火などの大きな音は怖くない、ということを分からせてあげる、というのが一般的な方法だと思います。私の愛犬も、子犬の時は(成犬になってもある程度は)こういった音を怖がりました。散歩の途中で飛んで逃げ帰ったこともありました。でも、そういった時、抱き上げて撫でて、安全な場所へ誘導する、というようなことを繰り返し、飼い主は全然怯えていない、ということを徐々に分からせた結果(と私は思っています)、今では雷に吠えるまでになりましたので、決して無理なことではないと思います。誤解を与えたかも知れませんけれど、私は西川さんが駄目なトレーナだと言っている訳ではありません。寧ろ、威嚇して吠えて咬むの中で、『私が実際にこのケースの改善にあたるとすれば、初回2~3時間のお話しが必要でしょう。その時間は、飼い方や家族構成などのプロファイル取り及び、飼い主に「犬とはどういった動物か」「犬に何かを伝えるにはどうしたらいいのか」「問題は犬にあるのではなく飼い主にある」ことを理解してもらうための時間です。』とあることや、サブシリーズ: 築くべきものは服従関係ではなく信頼関係!等を見ますと、非常に共感出来る部分もまた多く、優れたトレーナーさんの一人だと思います。ただ、アルファシンドロームの否定 → 犬と人間の上下関係への疑問 → 叱ることへの疑問という最近の理論に則ったがため、叱る、という技術を使えなくなったこと等から、どうしても方法に制約が出て来て、小さな矛盾も目に付くのでは、という気がします。私は、アルファシンドロームは否定しても、犬と人間の上下関係は否定すべきではなく、こういった行為は、所謂、羹に懲りて膾を吹く、ということではないか、と思います。愛情を持って叱ればうまく行くのか?ー2等では、『人間の言葉が理解できない犬は、叱られた理由がわからない。』というような理由を挙げています。私の現在の愛犬を購入したブリーダーさんから一緒に頂いたハンドブックには、『まずよし、といけないを教えなさい』、とあります。勿論、いけない、ということを教えるのも時間が掛かりますけれど、母犬も実際に子犬を叱りますので、そういった方法を真似て、恐怖を与えない叱り方を子犬に示すことは可能だと思います。これが出来れば、勿論以後の躾は上手くいく場合が多いということも、多くの方が体験されていることだと思います。ですから、私は、最新の理論(?)でなくても、実際に効果のある方法は幾らでもあるし、アルファシンドロームの全否定にも疑問です。
2007/06/19
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前回のアルファシンドロームは終わった?で、最新の犬のトレーニング理論や、犬の行動学では、アルファシンドロームは多くの人が否定している様だ、ということが分かりました。確かに、例えばASPCAのSIMPLE SOLUTIONS FOR BEHAVIOR PROBLEMS を見ましても、犬と飼い主の地位(関係)を見直す、ということや、アルファシンドローム等とは一言も書いていません。勿論、問題行動への対処に限らず、躾け全般に関しても。(Animal Behavior Center )総て目を通したわけではありませんけれど、 Barking や Teaching Your Dog to Come 等にざっと見た限りでは、後述の 西川 文二さんの方法と基本方針は同じ様に思われます。今回は、アルファシンドロームは古い考え方ですね。、ということであれば、じゃあ最新の考え方というのは? ということをちょっと書いてみようと思います。AllAboutと他のメディアで書いている内容は若干異なる様ですけれど、西川さんの躾の原則は、日経WagaMagaの第1回 しつけに必要な3原則 を見ますと、以下の3点、ということの様です。(07/2/26の掲載ですので、最新と思います )・犬に学習させたくないことは体験させない・犬は前触れを感じるのが得意な動物であることを知る・犬の学習パターンを理解する『その原理原則はわずかに3つだけです』、とあり、一見如何にも簡単そうに見えますけれど、実際のところはどうでしょうか。「犬に学習させたくないことは体験させない」というのは、犬の価値判断と人間の価値判断は異なりますので、犬が自分に取っては快適でも、飼い主さんに取ってはやられたら困る行動は、やらせないように予防する、ということの様です。快適な行為は放置するとエスカレートする、ということと、犬を叱らないため、と思われますけれど、一般の家庭、特に室内飼いの場合はこれが難しいことも多々あるのではないでしょうか。遊び好きの犬種、特にゴールデンの場合は、何でも玩具にしてしまいますので、これを防ごうと思うと、室内に何も置かない、ということになると思いますけれど、それでも、障子の棧等を齧ったりします。犬友達で、しょっちゅう布団を齧られたり咥えて振り回されて、直ぐにボロボロにされる、と嘆いている人がいますけれど、先日はブランド物のバッグを噛み割かれて怒っていました。多分ビーグル等もこの原則は適用し難いと思います。多くの犬種では、成犬になりますと例え室内飼いでも、暇な時間の多くは寝ている様になると思いますので、あまり心配することもないのでは、という気がしますけれど、特定の個体や犬種では必ずしも有効ではない、と思います。ところで、第2回目の連載第2回 飼い主が知恵を絞るには、この原則の例としまして、ごみ箱をあさる行動が挙げられています。『犬は、一度体験して「快適だ、楽しい」と感じた行動を学習し、繰り返します。させたくない行動は、物理的にできないようにするのが、一番大切なことなのです。』とありますけれど、驚くことに、その後、『それでも人間のすることですから、たまにはごみ箱にふたをし忘れたりすることもあるでしょう。そんな時に犬がゴミをあさっていたら、机を叩く、大声を出すなどして、しっかりしかってください。』とあります。Can!Do!は「ほめてしつける」を標榜しており、AllAboutでも愛情を持って叱ればうまく行くのか?ー1や叱ることは犬にわかりにくいという事実ー1、更にはトイレを叱って教えると・・・・-1等、叱る、という行為には否定的な見解を示しているにも拘らず、です。『ただし、このときにしかる相手は、決して犬ではありません。自分自身をしかるのだと思ってください。ごみ箱をあさる犬が悪いのではなく、ふたをし忘れた自分の責任なのですから。』と一応理屈付けしていますけれど、これは明白な言い訳だと思います。自分を叱るのであれば、心の中で、或いは犬がいない所で自分を叱ればいいだけのことです。大声を出したり、机を叩いたりすれば犬が怯えるのは自明の理です。犬が悪くない、こういう場合は犬を叱らない、というのであれば、こういった、犬を怯えさせる行為は禁物の筈です。これでは、犬が望ましくない行為をした場合、天罰を与える(飼い主が立てたと犬に悟られない様な方法で大きな物音を立てる)等で、その行為を行うと望ましくない結果が起きる、と犬に学習させる、というようなよくある方法の方が(結果は別として)余程望ましいのでは、と思います。一応好意的に考えますと、AllAboutやCan!Do!では、飼い主さんにじっくり考え方を伝える余裕があるけれど、日経WagaMagaの様な短期間の連載では、こういった余裕がなく、どうしても一般的な飼い主さん向けには、短期間で効果が出るノウハウ的なことを書かないといけない、という使い分けをしているのかも知れません。けれども、こういう風に、局面で使い分けする、ということは、この方針が『原則』ではない、ということを示していると思います。原則、という言葉の定義は、多くの場合に適用される根本的な法則、というものであることは言うまでもない、と思います。2点目の「犬は前触れを感じるのが得意な動物であることを知る」ということは、あるシグナル(クリッカーや笛等)を前触れ(きっかけ)として、ある行動をしつける、というものだと思います。これも、今までもよくあった訓練方法の一つに過ぎませんし、上手く行かない場合も多々あることは、多くの方が経験されていると思います。原則、というのもどうかな、という気もしますけれど、有効性は否定はしません。3点目の「犬の学習パターンを理解する」は、『犬の』というより、生物の基本反応パターンのことの様です。第3回 犬の行動パターンは4つには、 いいこと 嫌なこと 起きる ある行動の頻度が高まる(A) ある行動の頻度が減る(B)なくなる ある行動の頻度が減る(C) ある行動の頻度が高まる(D)というパターン表があり、この内、(A)パターンの・いいことが起きる → ある行動の頻度が高まる と、(D)パターンの ・嫌なことがなくなる → ある行動の頻度が高まるを利用してしつける、ということの様です。因みに、(D)パターンは、正しくは、・嫌なことがなくなる → ある行動の頻度は高まるかも知れないし、変わらないかもしれない(減るかも知れない)ということだと思います。嫌なことで押さえつけられていた行為が犬に取って望ましい(興味の向く)行為であれば、頻度は高まると思いますし、それ程興味を惹かれない行為であれば、頻度は変わらない、ということです。そして、この(A)パターンの、「いいことが起きる → ある行動の頻度が高まる」という原則の実践方法は、どうも上記のASPCAや第4回 フードを効果的に使うを見ますと、結局は餌付け、ということの様です。犬が人間と一緒に暮らす最大の(唯一の?)理由はこの『餌』にあり、共生の始まりは餌付けだった様ですから、当然かも知れません。褒める、といっても、撫でられたり触られたりすることを嫌う(小)犬も多いですから、結局、多くの犬に取っての『いいこと』とはつまり『フードで躾ける』、ということの様です。これは別に『新しい科学的なしつけ』でも何でもないことは明白だと思います。新しいのは、上記行動マトリックスを『科学的に定義』しただけの話ではないか、と思います。そして、多くの飼い主さんは、こういったフードに頼る安直な方法が嫌で、『褒めて躾ける』や、『犬と人間の位置付け』等の新しい概念に惹かれて実践して来たと思います。餌付けの弊害は、上記第4回 フードを効果的に使うにもありますけれど、摂取カロリーの問題もありますし、スクール等と違い、家庭では徐々に量を減らし、最終的に与えないようにする、ということが難しい、ということもあります。特に、犬の喜ぶ様子を見て飼い主さんも嬉しくなるので、どうしてもエスカレートし易い、ということも多くの方が経験されていると思います。ご褒美をあげないと拗ねたり怒ったりする個体も多いと思いますので、私はこういった方法はちょっとどうかな、と思います。勿論、心情的な問題もあると思います。
2007/06/19
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AllAboutに、アルファシンドロームは正しい?というコラムが掲載されています。私自身は、犬の行動学や躾の方法等にはあまり関心がありませんし、最新情報等にも疎いですけれど、流石にアルファシンドロームは知っていますので、ちょっと興味を惹かれました。9名のガイドさんの回答を見ますと、2名が明確に否定、4名が(ほぼ)肯定乃至は否定しない、否定も肯定もしない、が1名、言葉の定義よりも、現場や犬を実際に見る方が大事、言葉に捉われても意味がない、とする人が2名、というような感じです。但し、否定している2名はCan ! Do ! Dog School 代表とそのインストラクターですので、これは一体と看做すべきかも知れません。勿論、全員が、近年イアン・ダンバーやテリー・ライアン等がアルファシンドロームという考え方に否定的、ということを承知した上での見解です。多分、多くの人は、アルファシンドロームが古い考え方だ、といわれると不思議に思うのではないでしょうか。何となく私には、ガイドさんの多くは、新しい考え方は認めつつも、アルファシンドロームの否定を躊躇っている様な印象を受けます。何故、同じ犬のトレーナーの間でこれだけ見解の相違があるのか、ということや、多くの人がアルファシンドロームという考え方は間違っている、と云われると戸惑うのは、「アルファシンドローム」という言葉の定義・認識自体が個人間で異なっているための様な気がします。まず、本来のアルファシンドロームの定義は、これを否定する西川さんのアルファシンドロームは古い考え方ですね。にあります、『犬はオオカミと同じ生態を持ち、オオカミの群れにアルファ(第一位の存在)がいるように犬の群れにもアルファが存在し、飼い主と暮らし始めた犬は飼い主家族を群れと認識し、その群れのアルファの言うことには従うが自分より下と見たもののいうことには従わない、家族の中でアルファがいない場合は自分がアルファになろうとする。犬の問題行動の多くは、家族という群れの中で地位を高く感じているか、その地位を高めようとして起きる。自分の地位を誇示する、または地位を高めようと挑戦してくる、そうした犬の問題行動を、アルファシンドローム(日本語訳は権勢症候群)と呼ぶ。』が妥当と思います。そして、多分否定される主な部分は、・犬の群れにもアルファが存在する・飼い主家族を群れと認識する・アルファの言うことには従うが自分より下と見たもののいうことには従わない・アルファがいない場合は自分がアルファになろうとする・地位を高めようとする・地位を誇示するというところではないでしょうか。私は、大きな問題行動を起こす犬と付き合ったことがありませんので、アルファシンドロームの考え方は真剣に受け取っていませんでしたけれど、一部分だけは躾に便利だと思っている部分があります。それは、犬との上下関係が存在するということを認識する、という点と、飼い主はアルファになる(=尊敬される)行動を取る必要がある、という点です。犬が集団心理を持つかどうか、特に、アルファになろうとする、という部分はちょっと懐疑的です。リーダーが存在する集団、といいますと、身近な所では伝書鳩が有名だと思います。私の近所でも、朝晩、リーダーを中心として綺麗なV字を形成しながら飛行訓練で飛び回っています。これは、見知らぬ遠距離まで輸送され、そこから無事帰還するためには、判断力の優れたリーダーの存在が必要不可欠だからだと思います。正しいかどうか分かりませんけれど、集団で渡来する渡り鳥も多くはこういったリーダーが存在するのではないでしょうか?狼の場合も、集団で狩を行う、という必然性からリーダーが発生すると思いますけれど、犬の場合は1万年近く人間との集団生活を営んで来ている様ですので、(犬の認識する)リーダーという存在は不要ではないか、と思います。或いは、狩猟犬の場合は、狩人をリーダーとみなすという習性が形成されていてもおかしくはないかな、とは思いますけれど、愛玩犬や家庭犬として長年月飼われて来ている場合には、人間との共存関係を維持するという観点に習性が変わっている方が普通で、例え祖先が狼だったとしてもその習性を引き摺っている方が不自然な様な気がします。何十年か前のスピッツは、割とよく見かける存在でしたけれど、よく吠えることから次第に敬遠されて一時期は飼育頭数が極端に減っていました。最近のスピッツは改良されて吠えなくなっている様で、またちょっとずつ人気が出て来ている様です。ドーベルマンも、嘗ては怖い、というイメージがありましたけれど、最近のドーベルマンは穏やかになった様です。人間には10年はあっという間でも、犬はその間に何世代も経過しますので、狼の時代の、人間との共存生活では邪魔になる習性を長年月引き摺って行くことの方が私には不自然に思えます。ですから、アルファシンドロームが否定されても私は全然不思議には思いませんし、逆に、嘗ての理論が、総ての部分に於いて正しいと受け止められていたのであれば、逆にそちらの方が不思議な気がします。では、一般的にはアルファシンドロームはどう受け止められてきたのか、ということですけれど、『犬 アルファシンドローム 』の検索結果や『犬 アルファシンドローム 』の検索結果 2に見られます様に、『犬と飼い主の上下関係が既に逆転し問題行動を起こしている状態』を指して言っている場合が非常に目立ちます。これは、プロのトレーナーさんの中でも見受けられ、例えば、α-シンドロームは正しいか?で、アルファシンドロームを肯定している渡部さんは、その後、α-シンドロームについてで、α-シンドロームの定義と自分の認識のズレを訂正しています。つまり、α-シンドロームの定義を「犬がリーダーになろうして、様々な問題行動を起こすこと」と捉えた場合は、定義できないのも無理はない、という認識を新たに示していますの、この意味からのアルファシンドロームは結局否定する、ということになると思います。但し、アルファシンドロームに陥った犬の矯正方法として、この関係を元に戻してあげる事が有効である、という部分は訂正していません。私も、犬と人間との上位関係、というものは存在するし、この上下関係をきちんと認識出来ないで問題行動を起こす犬というものは存在する気がします。但し、その原因は、単にきちんと躾をしていない、或いは犬の要求を何でも受け入れ、我侭に育ててしまった、というところにあり、人間の子供の場合と一緒だと思います。渡部さんの『そしてリーダーの座から降ろしてあげたことで、精神的に落ち着いてきた犬』、という部分はちょっと疑問だと思います。犬がリーダーの座ということを認識して葛藤する、等と考えなくても、犬をきちんと躾け直し、飼い主との上下関係をきちんとすれば、自然に飼い主との争いが減り、精神的に楽になるのでは?と思います。他の、アルファシンドロームを肯定する(否定はしない、という)ガイドさんも、この部分に関しての肯定の様に思われます。何れも、実際にアドバイスや矯正した実績からその存在を肯定している、と思います。ですから、本来の意味での、アルファシンドロームは、現在の犬の行動学上からは過ちだとする意見が大方である、しかし、日本的な解釈でのアルファシンドローム(状態)は存在する、というのがAllAboutの質問に対する回答に近いのではないでしょうか。英語のサイトをアルファシンドロームで検索しますと、現在も若干ながら存在します(『”Alpha syndrome” dog』の検索結果)。ブルドッグやブラッドハウンド等、如何にも、というような犬種のサイトが目に付きます。(因みに、家族の中での愛犬の位置に、GoogleでAlfa Syndromeを検索したら見つからず、Beta Syndromeでは一つあり、アルファシンドロームで日本語のページを検索すると簡単に見つかる、とありますけれど、見つからないのは単にスペリングミスが理由です。決してアルファシンドロームが造語(和製英語)というわけではありません)このことからも、現在は本来の意味でのアルファシンドロームが最早認知されていない状態である、ということが分かると思います。
2007/06/17
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人間の場合ですけれど、愛知県がんセンターのQ&A耳の中のがんのAに、外耳道がんと中耳がん、とあります様に、言われてみれば確かに耳にもがんが発生してもおかしくはない、と思いますけれど、発生件数の少なさから、普段はあまり意識しないと思います。統合医療会の耳のがんとは?には、『外耳がんの内、耳介がんは、組織学的には扁平上皮がんまたは基底細胞がんで、紫外線によって誘発される皮膚がんです。扁平上皮がんや基底細胞がんは、外耳道にまで発生または浸潤することがあります。また、外耳道には、耳垢腺腫瘍(耳垢を産生する細胞の癌)が発生することがあります。』とあります。耳介がん対策としましては、やはりツバの広い帽子等が必要な様です。(特に男性の場合)犬の場合は発生頻度が少ないのかも知れません。犬の副鼻腔がん は割りと知られていると思いますけれど、耳介がんは殆ど聞いたことがありません。猫の場合は、P-WELL 通信の鼻や耳の辺りがただれてくるによりますと、麻布大学附属動物病院のデータ(06年3月現在)5936例中、「皮膚の腫瘍」は272例で、鼻や耳の扁平上皮がんの割合はこの15.4%( → 42例)、とのことです。因みに、がん以外でも、人間と犬や猫では、耳の病気の発生状況もちょっと違うようです。Gooペットの耳の話には、『また、耳介が大きいために耳血腫といって耳介の中に血液がたまってしまう病気がみられることがあります。その反面、人間に割合多い中耳炎は犬や猫では非常に少ない傾向があります。』とあります。アイリスペットどっとコムの犬の耳血腫には、耳血腫の原因を、耳を引っ掻いたり頭を激しく振ったりする物理的刺激の場合が多い、とあり、普段の犬の挙動を考えますと、納得出来ると思います。犬の耳のがんに付いてですけれど、北里研究所コンパニオンアニマルラボラトリーの耳垢腺腫 Ceruminous Adenomaには、『耳垢腺(耳道腺)は外耳道に存在する特殊なアポクリン腺です。』とあります。アポクリン腺で思い出しますのは、肛門嚢のアポクリン腺癌です(高カルシウム血症2)。確かに、犬はアポクリン腺が発達していますので、耳にもアポクリン腺があるのは当然で、すると腫瘍が発生しても全然おかしくない気がします。更に、上記サイトには、『耳垢腺への分化を示す悪性腫瘍は耳垢腺癌(Ceruminous carcinoma)と呼ばれます。』、ともあります。私は、アポクリン腺で検索するまで、この耳垢腺腫や耳垢腺癌を知りませんでしたので、そんなに発生頻度が高くはない、という気はしますけれど、AllAboutの意外に多い、こわ~い耳の病気には、『このうち耳垢腺癌は、その症状が慢性外耳炎にかなり近く、発見されたときには耳下腺や下顎リンパ節に転移しているケースが多いとか。くれぐれも「どうせ外耳炎だろう」との思い込みで放置せず、定期的な検診を受けることが大切ということですね。』とありますので、ひょっとしたら、実際の発生件数はもっと多く、飼い主さんが気が付きやすい下顎リンパ腫等を発症してわかる場合もあるのかも知れません。原因に関しましては、明確に指摘しているサイトは見当らない様ですけれど、人間の場合の上記耳のがんの原因には、『耳垢腺腫瘍は、耳かきを頻繁に行う人に多く発生するといわれています。』とありますので、綿棒等を使用しての強引な耳掃除はやはり好ましくない様です。以前も書きましたけれど、私もかつては綿棒を使用していましたけれど、耳の中はうまく掃除出来ませんでした。現在はシャンプーの際にこのエピオティックを耳に注入して振らせています。シャンプーの後は脱脂綿でふき取り、外耳だけは時々綿棒を使用することもあります。耳に液体を入れると嫌がる個体は非常に多いようです。飼い主さんもあまり使いたがらない様ですけれど、シャンプーの際、頭を洗った時一緒に耳も洗浄すれば殆ど気にしないと思います。Cancer in DogsThe 28th Annual Canine Symposiumには、コッカーが好発犬種、とありますので、たれ耳の犬種は注意が必要かも知れません。
2007/06/14
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通常、犬や猫は足の裏にしか汗腺がなく、殆ど汗をかかないといわれる様です。(犬のからだのしくみ-2)実際は、人間のエクリン腺が全身にあり、ここからサラサラの汗をかくのに対し、犬や猫はこのエクリン腺が足の裏(と鼻)にしかなく、代わりに、人間では腋の下等の一部にしかないアポクリン腺が全身にある、ということもよく知られていると思います。AllAboutの犬は敏感!?皮膚トラブルの原因はおうちに? - [犬の健康]All Aboutを見ますと、体に汗をかかないわけではなく、アポクリン腺から脂分の多いベタつきのある汗を分泌している、ということです。先日、知り合いのシーズーの飼い主さんと汗の話をしていましたら、普段は服を着せているけれど、この季節は汗をかいて皮膚が湿ったような感じになるので着せない、とのことでしたので、非常に非効率ながらも、一応、「汗」であることには違いないような気もします。犬は汗をかかない、という先入観がありますので、普段は気が付かないだけなのかも知れませんし、体質による差も大きいのかも知れません。猫や犬に限らず、汗腺(エクリン腺)の発達していない哺乳類は非常に多いようです。先哺乳類~哺乳類の汗腺についてを見ますと、進化的にはアポクリン腺が先行獲得され、エクリン腺を全身に持つのはごく一部の高等動物に限られる、とあります。確かに、身近な所では、豚(やミニ豚)、ネズミ等も殆ど汗腺を持っていません。では、逆にどういった動物が汗をかくか、と考えますと、直ぐ思い浮かびますのは馬ではないか、と思います。サラブレッドも非常に発汗することはよく知れれていると思います(競馬の質問ですパッドクを歩く馬の見方を教えてくださいどんな馬が良い馬なんで... - Yahoo!知恵袋)ところが、動物と水(PDFです)を見ますと、エクリン腺が全身に分布しているのはサルの仲間だけ、とあります。つまり、馬の発汗はアポクリン腺からの様です。パドック等で興奮して多量に発汗するのも、アポクリン腺と考えますと非常に納得できます。同様に、カバも、赤い汗をかくことで知られていると思います。(那須サファリパークのサファリ動物図鑑の中段にカバの発汗の説明があります。)北海道大学関西エルム会新聞 VOl.53 のカバの赤い汗の秘密 を見ますと、こちらもアポクリン腺(特殊な形態)の様です。こうして見ますと、上記のシーズーがしっとり汗をかく、ということもありえない話ではない気がします。ところで、こうして ヒト → 馬 → カバ と見て行きますと、いずれも無毛(に近い)ということに気が付かれるかも知れません。(かなり強引ですけれど)無毛の犬といいますと、メキシカン・ヘアレスドッグ が有名だと思います。このサイトでは、発汗に関しては触れていませんけれど、個人のHP等では汗をかく、と記載があるところが幾つかあります。同様に、このチャイニーズ・クレステッド・ドッグもほぼ無毛の様ですけれど、こちらは明確に、発汗する、と記載があります。『ヘアレスの皮膚はあたかも人間の皮膚のようであり、汗腺があり人間同様に汗をかく。体温を下げるための、あえぎ呼吸をしない珍しい犬種である。』アメリカンテリアも、ヘアレスが劣性遺伝するようですけれど、同様に、『ヘアレスの子の肌は汗をかきます。』、とあります。ついでに、猫の場合を見ますと、こちらもスフィンクスという無毛の猫がいます。かなり汗っかきだという記載があちこちで見受けられます(スフィンクスについてのクチコミ【価格.com】等)。こうして見ますと、無毛の犬や猫は汗をかく、というような印象を受けますけれど、無毛と発汗機能の発現が常にペアで起こる、ということもちょっと考え難い気がしないでもありません。ひょっとしたら、毛のある犬や猫でも実際のアポクリン腺からの発汗は思った以上に発生しているのに、先入観と毛に妨げられて普段は気が付かないだけ、ということもありえない話ではない、という気もします。もうひとつ、カバの赤い汗で思い出しましたけれど、何日か前に、緑の血、というニュースがありました(Patient's green blood baffles doctors)。原因は、片頭痛薬スマトリプタンの大量服用によるサルフヘモグロビン血症(ヘモグロビンに酸素ではなく硫黄が結合してしまう)、ということの様ですけれど、これは犬にも起き得るのではないか、と思います
2007/06/13
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ちょっとこのブログで取り上げるべきではない事柄かも知れませんけれど、問題がワクチンのアジュバント(チメロサール)という事の様ですので、関連する部分だけ言及します。Vaccine-Autism Link Case Goes To Courtというニュースが割りと大きく取り上げられています。問題の発端自体はかなり古いようです。日本小児神経学会の自閉症における水銀・チメロサールの関与に関する声明によりますと、「自閉症と水銀の関係が提起されたのは2001年Bernardらの論文に始まる 」、とあります。そして、上記学会では、関連性を積極的に肯定する根拠は乏しい、としています。また、上記学会は、公的発言として多少自粛した様な感じです。英医学雑誌が「ワクチンと自閉症の関連示した論文の掲載は誤り」と発表 には、MMRワクチンの接種と自閉症の発症の間に関連があるとした1998年の論文の掲載は、誤りであったと発表し、理由が、著者が訴訟関係者からの金銭の受諾があった、というものの様です(リンクが切れていて、事実かどうかは未確認です)。こちらのMMR騒動から学ぶべきこと (Wakefield先生のオリジナル論文の部分的撤回(上記)に関するコメンタリー)を見ますと、実際に当時Lancetに掲載された様です。この水銀と自閉症(5)を見ますと、政治的な問題、という印象を強く受けます。Wikiの自閉症の原因を見ましても、先天的な機能障害としており、この問題を取り上げていないことからも、現在ではほぼ無関係、というのが一般的な認識ではないか、と思います。(Wikiの社会的影響 日本では、水銀などの重金属の蓄積が原因だとの説がある、という補足はあります)それにも拘らず、今回取り上げる理由は、この自己免疫疾患ネズミのエチル水銀中毒にあります。自己免疫疾患のあるネズミと、疾患が無いネズミをそれぞれ3群に分け、チメロサール、チメロサール入りのワクチン、コントロール溶液を注射して、その後の成長と発達を観察したところ、成長と行動に差が出た、というものです。以前、ワクチンと水銀で、チメロサ-ル(エチル水銀)は水俣病を引き起こしたメチル水銀と比べると遥かに安全(そうでなければ、人間用のワクチンに使用するわけがありません)、ということを書きました。けれども、この時は自己免疫疾患にまで考えが及んでいなかったことも事実です。また、前回のワクチンの副作用発現状況を見ますと、不適切な接種がかなり見受けられます。例えば、デュラミューン 8 平成19年3月22日やデュラミューン5 平成17年11月7日 の場合は、ワクチンによるアレルギー反応を示していたにも拘らず継続して接種しています。デュラミューン 8 平成18年5月10日では、前年ムーンフェースが出たにも拘らず、次年度は予防的にステロイドを併用して接種し、再度発症しています。デュラミューン 6 平成17年7月15日では、注射前の健康診断で体温36.5℃と子犬としては低体温を示し、担当獣医師の所見でも先天的異常が示唆されていたにも拘らず接種し、ノビバック DHPPi+L 平成18年3月7日では、気管支虚脱及び甲状腺機能低下症で治療中であり、なおかつ10歳という高齢です。何れも死亡しています。デュラミューン 5 平成18年1月13日 では、1回目の接種で軽い咳と発熱を確認していたけれど、原因追求やワクチン延期せず接種しています。その他、興奮状態にあったり、健康状態から考えると延期すべきと思われるのにそのまま接種、という場合はかなり見受けられます。そして、デュラミューン 8 平成18年4月26日は回復していますけれど、獣医師の意見としまして、「多発しているので、詳細な調査を希望する 」との要望にメーカーは「弊社へ寄せられる報告では、当該ロットにおけるアナフィラキシー様反応が特別に多発している傾向はなく、連続で発生したのは偶発的なものと考えられる」と回答しています。ワクチン接種は避けては通れないものだと思います。人間の日本脳炎の場合でさえ、国による日本脳炎ワクチン接種の積極的勧奨の差し控えについて ―日本小児科学会コメントを見ますと、人間以外の感染源の存在(西日本以南ではブタの感染状況は調査対象の80-90%に達している地域が多い)と、不顕性感染者が少なくとも数パーセントは存在する、ということです。犬の場合も人間の場合も、現在主流の感染源(病原体)を例え根絶できたとしても、新たな感染源が次々に出現することは歴史的にも必然ですし、自然の摂理から考えましても、対立存在というものは必ず存在します。(何を言いたいのかうまく伝わらないかも知れません。その内補足します)それだけに、獣医師側もメーカー側も、極力副作用の無い接種を目指す義務があるということを常に自覚して欲しいものだと思います。ところが、犬の場合は未だこの安全性を考慮する姿勢には欠ける気がします。人間の場合は、出来るだけチメロサールを使用しない、という方向にあり、犬の場合、海外では、アジュバントを使用しないRECOMBITEKが既にあります。馬の西ナイルウイルスに対するワクチンはかなり好評な様です。これと、 Intervet の PreveNile が期待されているようです(Equine Vaccines Move Into The 21st Century)(まだ調べていませんけれど、ノビバックはアジュバントを使用していない様です。それにも拘らず結構死亡事例はありますので、この理由はもうちょっと調べようと思います。ユーリカンもどうやら不使用の様です。勿論、アジュバント無添加だからといって副作用が全く発生しないということはワクチンの仕組み上ありえないとは思います。)ちょっと書ききれませんでしたけれど、Synbioticsがパルボとジステンパーのタイターチェックキットを発売したようです(Antibodies Test )。ひょっとしたら、手軽に抗体価チェックが出来るようになるかも知れません。
2007/06/12
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前回の一覧から傾向を見ました。メーカーからの報告以外のデータ(死亡等の重大な副作用以外)は、件数はありますけれど、犬種や年齢等の情報がありませんので、対象外としました。また、平成13年度以前のデータも同様ですので、これも対象外としました。デュラミューン 平成14年以降の副作用情報(メーカー)詳細(概要のみ)キャナイン 平成14年以降の副作用情報(メーカー)詳細(概要のみ)ノビパック 平成14年以降の副作用情報(メーカー)詳細(概要のみ)バンガード 平成14年以降の副作用情報(メーカー)詳細(概要のみ)ユーリカン 平成14年以降の副作用情報(メーカー)詳細(概要のみ)上記5データをまとめると、平成14年以降の副作用情報(メーカー)になります。これを平成14年以降の副作用情報(メーカー) 死亡 と 平成14年以降の副作用情報(メーカー) 回復に二分しました。この死亡と回復の状況を、年齢別、犬種別に分類しますと、平成14年以降の副作用情報(メーカー) 分類結果になります。これを見ますと、飼育頭数が多いこともありますけれど、死亡も回復も圧倒的にミニチュアダックスが多く、予想されますように、多くは小型犬種に偏っています。大型犬種は、幼齢の場合でも死亡に至らない様です。そして、中型犬に多少発生する程度となっています。死亡事例を見ますと、1歳未満の死亡が非常に多いのは当然ですけれど、10歳位の高齢になりますと再び死亡する割合が増加します。そして、この死亡は、ゴールデン等の大型や、その他の中型犬等の多くを含み、サイズに無関係に発生するようです。不思議なのは、パグやチワワは、死亡例が多いのに、回復例が少ない、ということです。尤も、メーカーの報告に挙がる以外の軽度の場合は多数発生しているのかもしれませんけれど、死亡に至らないけれど重篤な副作用の場合は、パグやチワワは死亡しやすいのかも知れません。こうして見ますと、特定の犬種、小型犬の場合は、特に初年度のワクチンは十分慎重になるべきであるように思います。
2007/06/11
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たまたま、このアニコムデータラボの犬猫の混合ワクチン、全国平均金額発表!!を目にしまして、8種混合が41.3%、9種混合が15.8%もあり、5種混合は18.2%しかないことにちょっとびっくりしました。このシンシア動物病院のAAHA(アメリカ動物病院)の'06ワクチン・ガイドラインを始め、最近は色々なところで、アメリカのワクチンガイドラインは3年、ということを良く耳にします。ネットとは無縁の人々からも聞かれますので、結構浸透しているのでは、と思います。私の知っている獣医さん(複数)は何れも、5種を推奨(日本では3種は殆ど見当たらないようです)しますので、てっきり、推奨ワクチンの種類に付いても世間に周知されているのかと思っていましたけれど、どうやらこちらはまだまだの様です。ちょっとソースは思い出せませんけれど、ワクチンの種類が多くなるとそれだけ副作用が出やすくなる、というようなことを目にしたことがありましたので、この傾向が出るのかどうか、一覧を作ってみました。ワクチンの副作用情報対象は、デュラミューン、キャナイン、ノビバック、バンガード、ユーリカンです。これ以外にも、ノビバックやビルバゲン等がありますけれど、副作用症例が少ないようです。まず、デュラミューン 平成14年以降の副作用情報(メーカー)を、種類別に見ますと、以下の様になります。 回復 死亡デュラミューン5 4 11デュラミューン6 2 5デュラミューン8 11 17確かに8種の方が件数は多いですけれど、アニコムの比率を考えますと、8種の方が多いとは言えません。(勿論アニコムのデータが一般化できるかどうかも不明ですけれど、とりあえずそういう仮定にします)死亡数だけを考えますと、寧ろ5種の方が不利です。いずれにしても、件数が少なすぎて、一定の結論を出すのはちょっと厳しい気もします。そこで、メーカー申告対象以外の副作用情報(2)それ以外のもの 情報源:上記2,3,4(上記1と重複するものを除く) をも対称として考えて見ます。こちらは、死亡は勿論ゼロで、内訳はデュラミューン5 31 デュラミューン6 14デュラミューン8 108 です。(デュラミューン5、デュラミューン6、デュラミューン8)合計ではデュラミューン5 46 デュラミューン6 21デュラミューン8 136 これを見ますと、確かに、8種の方が、副作用が出やすいといえるかも知れません。けれど、死亡率では、5種の方が厳しい気もします。キャナインは、哀願動物用ワクチンにありますように、5種が無く、9種の副作用が多いようですけれど、8種の副作用数と比較しますと、アニコムの比率は成立し難い、と思います。(6種:8種:9種 = 11:11:21)これはでは、キャナインの投与数(母数)がわからないと意味がありませんので、判断は出来ません。残りの3種は、副作用の件数自体がちょっと少ないので、これも対象外としました。ところで、一覧を見て気が付きましたけれど、(超)小型犬に非常に死亡事故が多い、と思います。ワクチン自体は、幼犬でも事故が起きないような安全性を確保している筈ですけれど、死亡は幼犬と体重10Kg以下の小型犬に偏っている気がします。もうちょっと小型犬用としては安全性を高めるか、年齢・体重別に容量を細かく分ける、というような配慮が必要なのではないでしょうか?
2007/06/10
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といっても、ノミ取り首輪等のことではありません。犬ニュース01(ゼロワン)に着けるだけで愛犬のノミ・ダニ予防「カタンドッグ・メタル」の無償モニター募集開始の記事が掲載されていました。製品の説明を見ますと、アルミニウムのメダルを着けるだけでノミ・ダニの予防が出来る様ですので、ちょっと興味を持ちました。製品の詳細はこのCatanDog's Japanを見ますと、有害な化学成分は一切使用しておらず、副作用等もない、とあります。そして、カタンドッグメタルの概要には、『カタンドッグ・メタルは、ノミ・ダニの予防・駆除について、95%以上の効果があります。』とありますので、若しこれが本当なら、かなり魅力的な商品の様に思われます。実際、検索してみますと、結構売れている様です。楽天のレビューもそこそこあります(みんなのお買い物レビュー カタンドッグメタル)。けれど、その仕組みや効果等がHPを見ただけではよくわかりません。最初は、電磁波によるゴキブリやネズミの駆除装置の様なものかな、と思いました。理系の方なら当然電磁誘導をご存知だと思います。地磁気の中で導体(この場合はアルミニウムのカタンドッグ・メタル)を動かせば電気が発生します。自転車のライト(勿論、電池を使用しないダイナモ)は、ペダルを漕ぐ力で磁石を動かし発電します。(この2つは、Wikiの起電力の説明に「これは、磁束の強さそれ自体が変化した場合であっても、導体が移動した場合であっても適用される。」とありますように、同一事象です)でもよく読みますと、『首に着けた最初の日から7日~20日間で効果が表われます。効果が表われるまでの7日~20日間は順応期間です。』とありますので、この効果ではない様です。『カタンドッグ・メタルは共鳴器として機能し、電磁波を発生させ、さらにその電磁波を徐々に広げて犬・猫を保護する磁界を作ります。この保護磁界がノミやダニを追い払い、新たに寄生しようとするノミ・ダニを防止します。』という説明が続いています。保護磁界という言葉はあまり聴きません。何故、これがノミ・ダニを防止するのかは、CatanDog's Japanでは勿論説明していませんし、同じようにこの製品を紹介していますDog Magazineの犬の首に着けるだけで犬のノミ・ダニ予防できるカタンドッグ・メタル--効果は科学的に立証!の中でも、『カタンドッグ・メタルが有効なのは保護磁界システムによるものだが、その保護磁界がなぜノミ・ダニを寄せつけないのかという疑問も湧いてくる。その疑問には前述のマドリッド大学獣医部のジョー・アルベルト・ロドリゲス教授らのプロジェクトのデータが“医学的根拠”として答えている。』としか記載がありません。要するに、試験したら効果があったので科学的だ、ということなのでしょうか?素人考えですけれど、装着してから効果が出るまでに日数が必要、とありますので、ひょっとしたらこの製品のコンセプトは生体磁気を増加させる、ということではないでしょうか。人間の体も磁気を帯びていることはよく知られていると思います。磁気ネックレス等もかなりポピュラーになったと思います。こういった血流促進具も、『人の血液は帯磁していることを利用し、銅とアルミの間で血液が流れる際、両金属の電位差があることで、より血流がよくなることが可能に構成されてなることを特徴とする』、と説明されています。すると、次の疑問は、磁気がノミやダニに対する忌避効果を持つのか、ということだと思います。確かに、渡り鳥等は地磁気を感知して方角を決める、などといわれています。線虫の誘引・忌避行動における60Hz交流磁界影響(生体磁気・医療応用)の様に、一定の影響を確認したレポートもあります。けれど、この手の製品は、例えば電磁波によるゴキブリの忌避効果は少ない(電磁波によるゴキブリとネズミの忌避について)様ですし、超音波による蚊の忌避器具は私も持っていますけれど、刺されます。カタンドッグのHPらしきCatanDog's your pets' comfortがありましたので、掲載ドキュメントThe Insecticide Evaluation of Catandog's, on the "European brown tick" in dogs (Rhipicephalus Sanguineus), in natural conditions.(PDFです)を読んでみました。試験は、過去1年間駆虫剤(殺虫剤)を使用していない犬を対象にして、コントロール群とカタンドッグ着用群でノミとダニの数がどう変化するかを計測したものの様です。試験結果のグラフを見ますと、ダニに対する効果の方が、ノミに対する効果よりも大きいような感じですけれど、どちらも完全駆除までには至っていません。これが、『また、メタルを着ける前にノミ・ダニやシラミなどを駆除することをお薦めします。』、という理由のようですけれど、この試験からは、例え着用時に寄生体が存在しないからといって、その後も寄生されない、という保証はないと思います。事実、上記楽天のレビューでも、1名、着用していたのにダニが付いた、というレビューがあります。グラフの駆除(というより忌避)件数は、コントロール群に比べると高い様ですけれど、当然のことながら、フロントライン等の殺虫剤には及びません。ダニに対する効果だけ見ますと、カタンドッグだけでも結構使用に耐えるような感じもします。ノミには効きが悪い、というような印象を受けます。95%というのはちょっと誇張しすぎのような気もします。このドキュメントからは、ダニ用と割り切るのであれば選択肢の一つに入れてもいいような気がします。もっとも、過信は禁物だと思います。一つ気になりますのは、ダニによる被害は、このライム病を始めとして、世界中で多数発生しています。カタンドッグは2002年の発売から既に数年経過しているのに、あまり認知されているような感じがありません。日本のHPで宣伝しているような効果が本当にあるのであれば、もっと広く認知されてもいいような気がします。(超音波による蚊の忌避装置の同類、と思われて売れないだけかも知れませんけれど。未感染状態からの装着試験等、もうちょっとレポートを見ないと何とも。)
2007/06/07
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前回、ペットフードのリコールに関して、未だ拡大し続けている例としてShrimp feed recalled, linked to pet-food deathsを挙げましたけれど、これはタイトル通り、(極く少量の)メラミンに汚染された小エビのリコールのニュースでした。銘柄の拡大のニュースはAnother Pet Food Recalled By FDAです。アセトアミノフェンの混入に関しては訂正はありません。Texas lab finds pain medicine in pet foodでは、FDAも確認しているようですけれど、これ以外にも、Local lab finds pet food contaminated with painkiller等、複数の団体や個人が確認している様です。アメリカでは、個人で検査依頼している人が結構いる様です。まだFDAは確認していない様ですけれど、アセトアミノフェン以外にも、今回の被害拡大の原因となりましたシアヌル酸(腎臓内にメラミンと共存すると、結晶を生じて腎臓障害になる)も、今回のリコール対象外のペットフードから検出した、とするブログも見当たります。もうちょっとこのペットフード問題は長引くかも知れません。ついでに、最近書き切れなかったことを何点か挙げておきます。ジステンパーに針治療が有効、という記事が獣医東洋医学会のニュースレターNo.7に掲載されています。(ページの一番下です)抜粋します。『A:ブラジルではジステンパーの犬に針治療を施し有効な結果を出している。ジステンパーに罹患し後肢麻痺を呈する52頭の犬を3群に分けた。すべての犬の神経学的スコアを採点した後,行動の評価,頭神経機能,神経・筋反射,歩行様式,抵抗性,頭,頸,前肢,後肢,肛門,尾,眼,てんかん発作,そして筋萎縮について検討した。17頭の犬に対して従来の抗生物質,ステロイド,ビタミン剤などを投与した。18頭の犬に対して針治療をBL10,BL12,BL13,GB20,GB30,GB34,S36を実施した。そして17頭に対しては全く治療を行わなかった。針治療は1週に1回で1カ月実施した。治療終了後に再びスコアを評価し,統計的に群間で検討した。治療の成功は,再び歩けるようになる,そして失禁などの合併症がないこととした。その結果,針治療を受けた9頭,従来の治療を受けた1頭が完全に回復し歩けるようになったが,無処置の群では1頭も回復しなかった。針治療群のすべての犬は生存したが,従来の治療を受けた3頭,そして無治療の5頭は1カ月経過後に死亡した。これらの結果,マニュアル通りの神経障害の針治療はジステンパーの神経障害に有効であることが示された。(第1回獣医鍼灸学会In Brazilで発表)』纏めますと、 対象 完全回復 死亡針治療 18頭 9頭 0頭従来の治療 17頭 1頭 3頭無治療 17頭 0頭 5頭という成績で、『マニュアル通りの神経障害の針治療』でこの成績が出るのであれば針治療はもっと積極的に導入されてもいいような気がします。『無作為に割付』という文言が見当たりませんので即断は出来ませんけれど、若し試験方法に問題がなければ有効性は高いと思います。もう一点、鍼灸は施術者の技量によって治療成績に差がかなり出ると思いますので、このレポートに限らず、鍼灸の場合は、レポート通りの成績を上げるために必要な技術レベル、といったような、客観的な評価材料も必要ではないか、と思います。白内障に対するビタミンCの効果について、今年に入ってから、厚生労働省からレポートが出ています。(多量のビタミンC、白内障予防に効果)このレポートでは、サプリメントは除外して、野菜やかんきつ類からの摂取だけを調査対象にしています。犬の場合は、もともとビタミンCを体内で合成出来るせいか、ビタミンCの効果が結構曖昧なようです。例えば、Antioxidant profile of cataractous English Cocker Spaniels.は、白内障の好発犬種であるイングリッシュ・コッカー・スパニエルの白内障と、血中ビタミンC濃度、(赤血球中の)抗酸化酵素との関係を調べたレポートです。このレポート中では、白内障のコッカーの血中ビタミンC濃度は一貫して未発症の犬より低く、このことが前眼房の抗酸化能力減少に通じている可能性を示唆しています。ところが、5年後の、同じメンバーを含むチームによって提出されたBlood and aqueous humour antioxidants in cataractous poodlesでは、ビタミンCの血中濃度に関しては差がなかったとしています。今回は、白内障のプードル(35頭)、未発症のプードル(14頭)、未発症の雑種(15頭)を使用して、麻酔により、前眼房の抗酸化度やビタミンC濃度の測定等を行っています。抗酸化酵素の減少は今回も見られ、これがレンズの白濁化の原因である(抗酸化能力低下を引き起こした)可能性を示唆しています。勿論、人間の場合も犬の場合も、効果がある、というレポートも多数ありますし、逆に効果がない、というレポートもあります。何となく、ビタミンCとE、「効く人」と「効かない人」がいる ハプトグロビン遺伝子が関与かを連想させられます。Wikiの白内障等を見ましても、混濁化の原因を『加齢による』としか記述していませんので、具体的な原因(プロセス)はもうちょっと複雑なのかも知れません。野菜やフルーツを愛犬に与えることは、運が良ければ(?)、白内障の予防になるかも知れません。ところで、最近評価が変わって来た研究に、野菜と大腸がんの関係があります。かつては、がん発症と野菜摂取の関係に見られますように、野菜摂取は大腸がんリスクも減少させる、というのが一般的な認識だったと思います。ところが、野菜と果物、大腸がんリスクを下げず。にあります様に、アメリカでの大規模調査の結果から、この関係が疑われるようになってきました。日本での調査でも、野菜・果物摂取と大腸がんとの関係について ―概要―で、殆ど予防効果がないであろう、という結果が出ています。勿論、他のがんに対しては効果がある、例えば、野菜・果物摂取と胃がん発生率との関係について -- 概要 --では、少量の野菜・果物の摂取で胃がんの発症リスクを下げることが示されています。また、肉類の摂取が大腸がんのリスクを高めることもわかっていますので、相対的に野菜や果物の摂取量を増やすことはそれなりの意味はあると思います。
2007/06/07
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以前、オーガニックが流行ると・・・等で、無農薬(野菜)の方が寧ろ毒性は高い、ということを取り上げましたけれど、アレルギーに関しても同様のことが言えるそうです。「無農薬だから安心」とは限らないには、この植物が害虫等から身を守る為に合成する物質が、「口腔アレルギー症候群」(Oral Allergy Syndrome:OAS)と呼ばれるアレルギー症状を引き起こすことがある、とあります。これらの物質は、通常の場合はその刺激性からか、美味しさとして感じられるようで、無農薬(有機)野菜が美味しい、という理由のひとつでもあるようです。(エームス・ショック)問題なのは、このアレルギー症状が、花粉症の患者に併発することが多い、ということで、『スギ花粉症患者の場合はトマト、ヨモギ花粉症の場合はセロリなどのセリ科の野菜、イネ科やブタクサの花粉症ではメロンやスイカなどのウリ科の野菜で、アレルギーが起きやすいことが知られている。』という組み合わせは犬でも結構起きそうな気がします。実際、スギ花粉症の犬におけるトマトに対する口腔アレルギー症候群(短報)(内科学)というレポートがあります。私の愛犬はトマトの様なすっぱいフルーツ(野菜)は好みませんけれど、人間と同様、犬の嗜好も千差万別の様で、トマトを好む犬も結構いる様です。ブタクサに反応する個体も割りと多いと思いますし、スイカやメロンを好む、という個体も結構目にしますので、この交差反応も、現実に発生している可能性はありそうです。こうなってくると、愛犬のためを思って無農薬の野菜やフルーツを買うということが逆に裏目に、という可能性もありますので、長時間煮込むか、(農薬使用のものを買ってきて)徹底的に洗浄する方がいいような気もしてきました。(私は生協に加入していますので、必然的に、現在は農薬が少ないものを使用しています。)アメリカのペットフード事件は、未だに終息していない様で、Shrimp feed recalled, linked to pet-food deathsの様に、更にリコールの対象が拡大するばかりではなく、Texas lab finds pain medicine in pet foodの様に、アセトアミノフェンまで混入しているようです。アセトアミノフェンは周知の様に、人間では風邪薬として使用されますけれど、犬や猫には非常に毒性が強く、Wikiには『犬や猫(特に猫)ではグルクロン酸抱合能が低く、少量のアセトアミノフェンの摂取でも中毒を起こす。したがってアセトアミノフェンを含む解熱鎮痛剤を犬猫に投与してはならない。』とあります。時々、人間用の医薬品を犬に使用する人を見かけますけれど、人間用の風邪薬は犬には禁忌の様です。勢い、人間用の食材を与える割合が多くなりますので、早く終息して欲しいものです。ところで、アレルギーで以前から気に掛かっていたことがありましたので、ついでに検索してみました。『猫アレルギーの犬』、と 『猫アレルギーの猫』 というのは存在するようです。最近はアレルギー検査するペットも増えましたので、『猫の毛』に擬陽性反応が出ることが結構あるようです。幸い、『犬アレルギーの犬』 と 『犬アレルギーの猫』 は検索結果が0件でした(日本語検索)ひょっとしたら海外では見つかるかも知れませんけれど。AboutのDog Allergyにも、犬アレルギーは比較的よくあるけれど、猫アレルギーの方が遥かに多い、とあります。以前、遺伝子操作でアレルギーの少ない猫を作出・販売したALLERCAのことを取り上げましたけれど、依然としてアレルギーの少ない犬を作り出そうという動きはない様です。これも、犬アレルギーの方が少ないことの現われかも知れません。アレルギーの少ないとされる犬のTOP10がTop 10 Dog Breeds for People with Dog Allergiesyにありますけれど、これはある程度AKC Dog Registration Statistics 等のランキングに影響しているかも知れません。ただ、都会でのランキングTop 10 Most Popular Breeds in the 50 Largest U.S. Cities - 2006 AKC Registration Figuresとはちょっと傾向が違うところもあるようです。勿論、日本のランキングとは全然違います(JKC登録ランキング2005)アレルギーを検索していて、偶々WSR(Wisconsin Sheltie Rescue)を見つけました。アメリカでシェルティ単種のレスキュー協会があるとは思いもしませんでしたけれど、WSR - What is Rescueを見ますと、やっぱりアレルギーも理由のひとつのようです。AKCの登録ランキングで20位と比較的高く、アレルギーが少ない犬種には入っていませんので、こういったことも多いのかも知れません。
2007/06/05
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ビタミンCの犬に対する機能を確認(?)してみました。・股関節形成不全の予防ビタミンCは、結合組織でコラーゲンを生成する過程で必要とされる(ビタミンC)ことから、股関節形成不全の防止に有効、とするサイトが幾つか見受けられます。勿論必要なビタミンCが不足すればそういうことも起き得るとは思いますけれど、以前、大型犬の股関節形成不全補足等でも書きました様に、最近では、犬の股関節形成不全は、遺伝及びカルシウムやたんぱく質等の過剰摂取が主な原因、ということが試験データから明らかになってきています。ビタミンCが股関節形成不全の予防にはならない、ということはかなり以前から確認されているようで、サマリ的なThe pathogenesis and diagnosis of canine hip dysplasia: a review.の中でも、明確に「High dose vitamin C supplementation in growing puppies does not prevent hip dysplasia」(高用量のビタミンC投与は成長期の子犬の股関節形成不全を防がない)と否定しています。それどころか、WSAVA 2004 CongressのNutritional Influences On Hip Dysplasiaでは、高用量のビタミン投与は、おそらく骨内部の微小環境のPHを変えることにより、高カルシウム症を引起しかねず、高カルシトニン血症を誘引し、骨格形成に悪影響を与えるかも知れない(Hypervitaminosis C can cause hypercalcaemia, probably by changing the pH of the microenvironment in the bone, and thus induce hypercalcitoninism and thus may hamper modeling)、とあります。ビタミンC の中でも触れましたけれど、成長期にある子犬には、カルシウムやたんぱく質の過剰摂取と同様、高用量のサプリメント等によるビタミンCの過剰摂取も、骨格形成に望ましくない影響を及ぼすかも知れません。・運動能力の改善ビタミンC添加はソリ競技犬の競争能力を向上させる というレポートがあり、一方では、Supplemental vitamin C appears to slow racing greyhounds. という、一見すると相矛盾する様なレポートが発表されています。前者は、詳細な投与方法等、試験条件が要約からは不明です。後者は、血中のα-トコフェロール(ビタミンE)、TBARS(チオバルビツール酸反応物質 : 過酸化脂質の指標の1つ)、TEAC(=ORAC )はビタミンC投与の影響を受けず、レース前にビタミンCの投与を受けた群のレース後の血中ビタミンC濃度のみ高かった、という測定結果を報告しています。そして、表題にもあります、ビタミンCを投与した群では、レース能力が落ちた(500m走で3m分遅くなった)様に見える、という報告ですけれど、これはちょっとよくわかりません。レースはメンタルな部分も大きいと思いますので、投与条件やモチベーション等への影響で実際に遅くなったのか、或いは持久力が増す代わりに瞬発力が落ちる、等、機能面の変化があったのか、等、測定条件と方法は非常に不備が多いような気がします。Effect of dietary supplements containing antioxidants on attenuation of muscle damage in exercising sled dogsは、ビタミンE等も含む抗酸化剤の影響を調べたものです。血中のCK(クレアチンキナーゼ : 激しい運動で筋線維が壊れるため、価が上昇する)を測定し、抗酸化剤はこれを抑えない、と結論付けています。(最初の2件の相反するような事例は、ひょっとしたら投与タイミングにより、実際に機能を変えた可能性もあるかも知れない、とちょっと気付きました。)・火傷に対するビタミンCの効果これはThe effects of high-dose vitamin C therapy on postburn lipid peroxidation.では、リンパ液の流量やマロンジアルデヒド(脂質過酸化物)の量を測定し、明確な効果を認めています。・ジステンパーへの効果ジステンパーは、ノア動物病院のジステンパーにありますように、未だに確立された治療法はなく、対症療法が中心、という怖い病気ですけれど、Clinical Guide to the Use of Vitamin Cや、Megascorbic Prophylaxis and Megascorbic Therapy: A New Orthomolecular Modality in Veterinary Medicineを始めとして、高用量ビタミンCの静注が非常に有効だ、とするサイトは結構あるようです。不思議なことに、日本のホリスティックのサイト等ではあまり取り上げられていませんので、ひょっとしたらオカルトかも知れません。MEDLINEで検索しますと、タイトルだけですけれど、Vitamin C in treatment of canine and feline distemper complexや、Ascorbic acid in treatment of the canine distemper complex等が見つかりますので、まるっきり根拠がないわけでもなさそうですけれど。人間の場合も、最近は高用量ビタミンC静注のがんへの効果が見直されているようで、ビタミンCは、がん治療の救世主?という記事がありました(夕刊フジですのでひょっとしたら、とは思いますけれど)。Pharmacologic ascorbic acid concentrations selectively kill cancer cells: Action as a pro-drug to deliver hydrogen peroxide to tissues の様に、確かに再評価する動きはあるようです。FDA OKs vitamin C trial for cancer と、FDAも臨床試験を承認したようです。(期待度等は勿論、わかりませんけれど)驚いたことに、日本でも既に実施するところがあるようです(最新ガン治療 <超高濃度ビタミンC点滴療法> )但し、このクリニックでは、副作用はない(副作用のないビタミンC点滴療法)としていますけれど、Wikiのライナス・ポーリングを見ますと、『高用量ビタミンCの点滴投与は患者に重要な毒性を与えることが分かっており、腎不全や下痢などの副作用は十分に立証されている。[』とありますので、充分な症例を経験しているのかどうか、ちょっと疑問です。以下はWikiの抜粋です。『2006年、高用量ビタミンCの効能に関する新事実がカナダの研究グループによって提示された。同グループは、高用量ビタミンCを点滴投与した3人の患者が予想よりも長く生存していたことを確認した。[23]、また、同グループは新たな第I相臨床試験を予定していると報道された。ビタミンCの癌細胞への選択毒性は、2005年にin vitro(つまりペトリ皿を使用した細胞培養)で実証されている。[24]高用量ビタミンCの点滴投与は患者に重要な毒性を与えることが分かっており、腎不全や下痢などの副作用は十分に立証されている。[25]事例報告データと臨床前情報を組み合わせは、臨床効果の生物学的妥当性及び可能性を示唆している。』ジステンパーへの応用は、理論的にはちょっと疑問点もありますけれど、実際の症例として高い治癒率と安全性が確立されれば、近年パルボの治療方法も選択肢が広がってきていることもありますので、ワクチン接種の必要性も大幅に低下するかも知れません。
2007/06/04
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ここまでは、犬の場合と人間の場合をあまり意識せずにビタミンCに付いて書いてきました。そろそろ犬のビタミンCに関して触れようと思います。犬のビタミンC合成能力に関してですけれど、通常、犬は飼われている場合でも、野生状態(野犬)でも、壊血病の兆候を示さないと思います。殆ど全ての犬が、様々な給餌状況で、少なくとも幼犬~成犬の期間はビタミンC欠乏症の症状を示さず、活発な日常生活を送っている以上、幾ら、「合成量は高々40~60mg」とか、「体重が7kgになった時、その合成能力は限界となる」というような主張をしてもあまり意味が無いのでは、という気がします。私が子供の時飼っていた犬達(秋田の様な大型もいました)も、当時の例に漏れず残飯のみで育ち、子供を生み、何の問題もありませんでした。このPlasma ascorbic acid concentrations in healthy dogs.による、ビタミンCの血中濃度が犬種や性差に係わらず一定の範囲にある、という測定結果や、更には[The concentration of ascorbic acid in the liver, the cerebrum, the kidney, the adrenal glands and the musculus longissimus dorsi of dog fetuses, dogs and cats of different ages]による犬や猫の胎児や幼児期のビタミンC蓄積状況や血中濃度の測定結果等も、間接的にですけれど、犬の体内に充分なビタミンCが存在することを示していると思います。更に、こういったビタミンCを(生)合成できる種に於いては、ストレスが発生した場合には、その合成能力は通常レベルの10倍以上にも及ぶことが、Conney et al. (1961) 等によって示されています(SOME BASIC CONCEPTS .)。考えて見ますと、野生動物、殊に草食動物は、常に狩られる恐怖にビクビクしていると思いますので、かなりのストレスを感じるのかも知れません。上記レポートに、兎は犬や猫の5倍以上の合成能力を持つ、とありますけれど、当然の様な気がします。WikiのVitamin Cにも、「An adult goat, a typical example of a vitamin C-producing animal, will manufacture more than 13,000 mg of vitamin C per day in normal health and as much as 100,000 mg daily when faced with life-threatening disease, trauma or stress」(山羊は通常、13000mg/日以上生産するけれど、命にかかわる疾病や(心的)外傷、ストレス等に直面すると、100,000mg/日 ( = 100 g/日)以上に及び得る)とあります。こういった点では、海外のショップはきちんと事実を記載しているところが多いように思います。例えば、Pet Place.comのAscorbic Acid (Vitamin C).には、「犬(と猫)でビタミンC欠乏症が起きるのは、唯一肝臓の疾患の場合だけ」とあります。こういったことを考えますと、成犬までのステージの犬に追加的にビタミンCを与える必要がある場合はそう多くはない、と思います。病気や肝臓の疾患を除きますと、私が思い付く限りでは、極端な喫煙の巻き添えや深刻な大気汚染の場合位です。喫煙は、煙草1本で25mgのビタミンCが失われる、とよく言われるようですけれど、根拠数字も曖昧ですので、一日100本以上も吸ったり、喫煙所の様な多数の人がひっきりなしに喫煙しに来る場所に繋留されたり、というようなことでもない限り、そんなに心配することも無いのかな?という気はします(無責任な憶測)。でも、大気汚染等の場合も含め、こういったケースでは、サプリメントでビタミンCを補充しようと考える前に、愛犬の生活環境を見直す方が先決だと思いますので、現実にはあまり発生しない心配かも知れません。尚、門脈シャント の場合でも、多くは血中ビタミンC濃度は影響を受けない様です(Plasma concentration of vitamin C in dogs with a portosystemic shunt.)また、私は、ビタミンCは予防効果より治療効果の方が遥かに大きい、と思っていますけれど、それでも、予防等の観点から、血中ビタミンC濃度を高い状態に保たせたい、ということであれば、サプリメントよりもリンゴ類を与えた方が良いかも知れません。ビタミンC補給にはリンゴがおすすめ には、リンゴはビタミンCの含有量自体は非常に少ないけれども血中濃度や、体内での蓄積量を著しく増加させる、とあります。リンゴはカフェー酸の問題がありますけれど、摂取を薦める人も、ブリーダーさんを始め割と見掛けますので、悪い影響が出ているとはちょっと考え難い気がします。動物実験でも同様の結果が出ているようです(残念ながら対象種は不明ですけれど)ので、ひょっとしたら、犬の場合もサプリメントを飲ませるよりも効果があるかも知れません。この様に、幼~成犬期には、特にビタミンCの補給を心掛けなくても通常は問題ない様ですけれど、老齢期に差し掛かった時はどうでしょうか。私は、動物、殊に野生動物は老齢期に対する準備が、充分ではない(というより考慮する必要がない)、と思います。(人間も含めて)生物の最大の目的は子孫を残すことにありますので、野生の世界では老齢の動物が殆ど見られない、というのも当然だと思います。Dietary enrichment counteracts age-associated cognitive dysfunction in caninesは、老齢期の中枢神経系の(機能)障害、特に認知機能等の問題に対して、抗酸化剤や(ミトコンドリア)酵素補助因子等、機能強化フードがその助けになることを示したレポートです。Long-term treatment with antioxidants and a program of behavioral enrichment reduces age-dependent impairment in discrimination and reversal learning in beagle dogs..も同様に、老犬を4群に分け、機能強化フードと行動コントロールが認知機能に及ぼす影響を調査したレポートです。同様のレポートは他にも数多くあり、シニア用ドッグフードが必要な理由を裏付けていることは、現在ではかなり認知されていると思います。こういったことを考えますと、犬の場合も、老齢期に差し掛かった時は、ビタミンCを含む補助栄養素を与えることは、理に適っているのではないでしょうか。すると、次には、こういった栄養素の摂取は、高容量、手軽さ等を考慮してサプリメントを使うか、フルーツや野菜等のフードから摂取させるか、という選択になりますけれど、私はビタミンCの場合はフルーツを考えています。サプリメントは、人間の場合、抗酸化ビタミン剤、心臓病の再発予防に効果なし。を始めとして、大規模統計調査の結果、効果がない、若しくは逆に悪影響がある、と判断されるものが散見されます。これが犬の場合も当てはまるのであれば敬遠したいところですけれど、ビタミンCとE、「効く人」と「効かない人」がいる ハプトグロビン遺伝子が関与か--米と加の共同「WAVE」研究よりというようなレポートもあります。未だ完全に認知されているわけではありませんけれど、追試もチラホラ行われ始めています。上記は高齢(閉経後)の女性がターゲットでしたけれど、若い女性も(小規模試験では)同様の結果のようです(ビタミンと遺伝疫学(PDFです))。これが一般化されますと、犬の場合は問題ないことになりますので、サプリメントでも大丈夫かも知れません。けれど、私は犬も高齢になりますと、運動能力も不十分になり、必然的に食の楽しみの比率が増すと思いますので、好きなフルーツで彩を与えたい、と考えています。まだ調べていませんので何とも言えませんけれど、犬の場合も例えばDHAやEPA等が有効、ということであれば、そういったものはサプリメントに頼るかも知れません。
2007/06/03
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ビタミンCはかなり安全性が高い(毒性が低い)ことは非常によく知られていると思います。アスコルビン酸カルシウム指定のための検討報告書(PDFです)には、単回投与試験におけるLD50価として投与経路 動物種 LD50強制経口 ラット 5000mg/kg< マウス 5000mg/kg< モルモット 5000mg/kg< ウサギ 2000mg/kg< イヌ 500mg/kg<皮下 ラット 2500mg/kg< マウス 5000mg/kg< モルモット 1000mg/kg< ウサギ 1000mg/kg< イヌ 200mg/kg<静脈内 ラット 1000mg/kg< マウス 1100mg/kg< モルモット 500mg/kg< ウサギ 1000mg/kg< イヌ 200mg/kg<腹腔内 マウス 2000mg/kg< ウサギ 1000mg/kg<とあります。尤も、これは控えめな数字で、実際には死亡するまで投与した試験ではなく、5000mg/kgを投与上限とした試験データに基いている様に思われます。NTP(National Toxicology Program)では、ラット(経口)のLD50は 11,900 mg/kg としている様です(ASCORBIC ACID の Material Safety Data Sheet)。大量摂取時の副作用としまして、下痢、嘔気、嘔吐、顔面の潮紅、頭痛、疲労、睡眠障害等が挙げられ、幼児では皮膚の発疹が主、ということです( WikiのAdverse effects)。この下痢に関しましては、多量ビタミンC投与による治療で有名なカスカート(VITAMIN C:THE NONTOXIC, NONRATE-LIMITED, ANTIOXIDANT FREE RADICAL SCAVENGER)は、投与可能な最大量の目安とし、この80~90%の投与が治療に効果的、と考えている様です。カスカートは、この腸許容限界は一般に病人はかなり大きく、回復するに連れて下がる、としています。ところで、人間の場合、ビタミンCの体内動態は、通常はほぼ一定の範囲(10 ~ 20 μg/mL)にあり、多量のビタミンCを経口摂取した場合、ある程度(閾値)まではこの濃度は上昇するけれど、それ以上摂取しても腎臓での再吸収は飽和し、未変化のアスコルビン酸は尿中に排泄される、様です。(KINETICS)犬の場合も同様、犬種や性差に係わらず、一定の範囲にあり(Plasma ascorbic acid concentrations in healthy dogs.)、経口投与された場合の動態もほぼ同じ様です(Pharmacokinetics in dogs after oral administration of two different forms of ascorbic acid.)因みに、通常のアスコルビン酸とエスターCでは動態は同じだった様ですので、特に高価なエスターCに拘る必要はなさそうです。また、ラット等の場合も、血中濃度はほぼ一定に保たれている様です(生体内における抗酸化物質代謝と輸送の動的様相(PDFです))。勿論ビタミンC濃度以外にも色々な観点から、人体(勿論動物も)は平衡状態を保とうとする性質があることはよく知られていると思います。代表的な、血液のPHは7.4で、これより上でも下でも異常な状態です(アシドーシスとアルカローシス)。この血液の緩衝・平衡の霍乱要因として、特定物質の多量摂取が考えられると思います。ビタミンCは比較的毒性が低いですけれど、静注は勿論(量にも因りますけれど)危険性は高いと思います。経口摂取の場合も、一定量までは、血中濃度が一定レベル(閾値)まで上昇した後は尿として排泄されるようですけれど、多量の場合は、この排泄機能の処理が追い付かない場合もあるのではないでしょうか。(勿論尿のPHも変わります。)元々ビタミンCは毒性がかなり低い物質ですので、多量のビタミンCの服用が直ちにPHの大きな変動に結び付くものではない、とは思いますけれど、多量摂取により個人差はあるにしても、嘔気、嘔吐、顔面の潮紅、頭痛、疲労、睡眠障害等の副作用が出るのも当然の様な気がします。以前引用しました水も砂糖もみんな毒? 身近な食品の致死量を調べるには、食塩の中毒症状として『・・・数時間以内に嘔吐、下痢、口渇、頭痛、発熱などの症状が発現し、・・・』とありましたので、代謝経路等も全然違いますけれど、症状的には、食塩中毒の軽度な場合、というような印象を受けます。ビタミンCの多量摂取が、特定の疾病に目覚しい効果がある場合もある様だ、ということは、上記のVITAMIN C:THE NONTOXIC, NONRATE-LIMITED, ANTIOXIDANT FREE RADICAL SCAVENGERでの治療例や、これも有名なライナス・ポーリングのLinus Pauling Institute の研究レポート等からも、ありえると思います。この場合の大量のビタミンCは、疾病によって直ぐに消費されてしまいますので、予防のためと称して、疾病も無いのに漫然と高濃度のビタミンCを体内に蓄積するのとは全く別のことだと思います。実際、カスカートも、治療の進展に従い、適量は直ぐに大幅に下がる、としていて、いつまでも高用量の摂取を勧めているわけではない様です。前回も、似非(?)健康管理士が、『ビタミンCは生体を守る40以上もの働きをしていますが、たくさん働いてくれた方が身体のために良いはずです。水位の高いダム(体内ストックが多い)では充分に発電できますが、水位の低いダム(体内ストックが少ない)では、充分に発電する事ができないという状態を考えると分かり易いと思います。』(ビタミンCについて)、という様な、とんでもないことを如何にも科学的事実であるかの様に掲載していますので、と書きましたけれど、なぜこういう書き方をしたか御理解頂けたでしょうか。『だんだん量を増やしていって、おなかがゆるくなる量がその人のそのときの健康状態での最大摂取量(腸の耐用量)の一応の目安』、というのも、上記VITAMIN C:THE NONTOXIC, NONRATE-LIMITED, ANTIOXIDANT FREE RADICAL SCAVENGERを見る限りでは、カスカートはあくまでも病人のための目安としていっているのであって、予防のためとは一言も書いていません。また、高用量のビタミンCが癌やインフルエンザ等の予防に寄与する、という主張は、がんの代替療法、有効性と安全性のまとめ。や、WikiのビタミンC 摂取を見ますと、何れも否定的な統計結果となっているようです。大体、多量のビタミンCを毎日摂取し続けたライナス・ポーリング自身が前立腺がんで死亡(93歳ですので、効果があったということかも知れませんけれど)し、妻のAva Helen Paulingは73歳から5年間の闘病生活を経て78歳で胃癌で死去しています。ストレス等に対処するため、高用量のビタミンCが必要、という主張もある様ですけれど、まずストレスの原因を取り除くことが先決の様な気がします。確固たる必然性(どうしても同居人の喫煙を止めさせられない)等の場合を除き、(高用量の)ビタミンCの補充は、殊に犬の場合は不要の様な気がします。
2007/06/01
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これまで、ビタミンCを過剰摂取した場合骨形成異常を示す可能性がある、ということを中心に取り上げて来ました。ビタミンCは比較的高用量でも目立った副作用が出にくいため、「ビタミンCは水溶性なので、多めに与えても不要な分は直ぐに体外に排出される。予防のために多めに摂取した方がいい」、というような安直な記載が、サプリメント等のショップ関係者のみならず、通常の愛犬家のサイトでもかなり見られる、ということもありました。一般に日本のショップは販売に好都合な部分だけ引用する誇大広告が目に付きますし、健康管理士を名乗るサイトがこの日米サプリメント事情、という様なでっち上げを堂々と行っている位ですから、無理も無いのかも知れませんけれど。(JAMAが自説をひるがえす、というような事実はありません。ビタミンEやベータカロチンのサプリメント摂取の弊害等が何度も取り上げられたことは、日本の新聞・雑誌等でご存知だと思います。ロバート フレッチャー及び、キャサリン フェアフィールド 両医学博士が発表、という記載と(2002.6.19)という日付からすると、多分オリジナルはVitamins for chronic disease prevention in adults: clinical applications.だと思います。これは、タイトルこそ「慢性病予防のためのビタミン」とありますけれど、内容は、欠乏症を防ぐ通常用量の摂取は必要かも知れないけれど、全ての成人がビタミンサプリメントを摂取することに関しては慎重であるべき(未だエビデンスが存在しないので)、ということや、妊婦の高用量ビタミンAや、脂溶性ビタミンの過剰摂取を控えるべき、というものです。最近の米医学会誌、「抗酸化サプリで寿命短縮」の報告というレポートからも、この姿勢が継続していることがわかると思います) こういった、似非(?)健康管理士が、『ビタミンCは生体を守る40以上もの働きをしていますが、たくさん働いてくれた方が身体のために良いはずです。水位の高いダム(体内ストックが多い)では充分に発電できますが、水位の低いダム(体内ストックが少ない)では、充分に発電する事ができないという状態を考えると分かり易いと思います。』(ビタミンCについて)、という様な、とんでもないことを如何にも科学的事実であるかの様に掲載していますので、ビタミンCは高用量の方がいい、と思い込む人も多いのかも知れません。厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2005年版)」では、摂取上限値の設定されていない栄養素に付いては、『上限量が設定されていない栄養素が存在する。これは、数値を決定するための科学的根拠が十分に存在していないことを示すものであって、多量に摂取しても健康障害が発生しないことを保障するものではない。』としています。また、ショップでも、大手のケンコーコム等ではきちんとビタミンCの様に『多量摂取により疫病が治癒したり、より健康が増進するものではありません。1日の摂取目安量を守ってください』と記載しています。ビタミンCの副作用に関しましては、ちょっと面白い資料があります。アスコルビン酸カルシウム指定のための検討報告書(PDFです)の中で、アスコルビン酸、アスコルビン酸カルシウム等の特性や毒性等に付いて詳細に検討しています。安全性や毒性等は次回記載することとしまして、今回は薬理作用に付いてです。アスコルビン酸の薬理作用としましては、・血小板増加作用・赤血球溶血作用・アドレナリン作動神経系への作用・利尿作用等が挙げられています。この中で気になりますのは、赤血球溶血作用です。これまでは、私は、この貧血にありますように、ビタミンCの欠乏による貧血しか頭にありませんでした。改めてMEDLINEで検索しますと、Ascorbic acid-induced hemolysis of paroxysmal nocturnal hemoglobinuria erythrocytesが見つかりました。タイトルの「アスコルビン酸起因の発作性夜間血色素尿症の溶血」から、何となくわかりますけれど、このレポートはタイトルだけで、アブストラクトもありません。更に検索しますと、Acute haemolysis induced by high dose ascorbic acid in glucose-6-phosphate dehydrogenase deficiency.(PDFです)が見つかり、G6-PD欠損症は全世界で1億人以上患者がいるけれど、ビタミンC(の多量摂取)は危ない様だ、とわかりました。このG6-PD欠損症に関しましては、結構ビタミンCとの関連を指摘するサイトがあり、他にもAIDS関連での言及も目に付きました。これらは、元々急性溶血の素養があるので・・・、と思いましたけれど、このVitamin C-induced erythrocyte damage in premature infants.はマルチビタミンが素因となる幼児のハインツ小体による溶血性貧血のレポートです。モルモットも影響を受けた、ともあります。犬の場合はモルモットやヒトとビタミンCに対する動態は異なる様ですので、犬の場合も同様に発生するのかどうかはもうちょっと調べてみないと何とも言えませんけれど、高用量のサプリメントは避けた方がいいかも知れません。尚、ビタミンCの大量投与による結石(シュウ酸カルシウム)は、この大塚製薬のビタミンCを取りすぎると結石になると聞いたのですが、本当ですか?でも特に問題ない、と回答されていますし、上記アスコルビン酸カルシウム指定のための検討報告書(PDFです)の中でも、色々な実験レポートにより、問題ないことが示されています。
2007/05/29
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前回のAscorbic acid deficiency and hypertrophic osteodystrophy in the dog: a rebuttal.に関しまして、類似事例の記載を忘れていました。High dose vitamin C harmful, say scientistsは、モルモットを使用した研究ですけれど、高用量のビタミンCを投与した群では、自発性の膝変形性関節症発症の兆候が増加する、という研究に基づくニュースです。オリジナルのレポートはAscorbic acid increases the severity of spontaneous knee osteoarthritis in a guinea pig modelで、モルモットを3群に分け、ビタミンCの投与量をそれぞれ・低用量 : 壊血病を防ぐ最低用量・中用量 : 実験室のモルモットの標準的な給餌用量で、人間が200mg/日摂取した場合と同程度の血中濃度をもたらす用量・高用量 : 外科的に誘発されたOA(骨関節炎)の進行を抑制すると考えられていた用量とし、高用量の場合、OAを悪化させた、とあります。ビタミンCの投与に連れ、活性化されたTGF(トランスフォーミング増殖因子)ベータによる骨棘の形成が進行し、関節の炎症に繋がるのではないか、としています。このレポートの最後には、この結果はビタミンCが推奨値(男性は 90 mg/日 女性は 75 mg/日)を越えてサプリメント摂取すべきではないことを示唆する、とあります。上記ニュースが、このYahoo!知恵袋のビタミンCをいっぱい取るとどうなるんですか? に対するベストアンサーの中で『また医学誌「Arthritis & Rheumatism」ではビタミンCの過剰摂取は変形性関節症の原因になる可能性があることがモルモット実験で示されました。』という言及のソースと思われます。更に、このベストアンサーのリンク【ビタミンCといえども過ぎたるは・・・・】の最後には、『ビタミンCには酸化作用もある?』というタイトルで、過剰のビタミンC(500mg/日)がリンパ球の遺伝子DNA構成塩基の内のアデニンを酸化する、ということが雑誌「Nature」に報告された、とあります。多分、これがきっかけとなって、このVitamin C Pills Tied to DNA Risk の様な、過剰ビタミンCが(非常に効率的に)DNA損傷性の高い物質を作り出し得る、というレポートに繋がったのではないか、と思います。このニュースでは、DNAの損傷は直ちに発がんを意味するものではない、細胞は精巧な修復メカニズムを持つ、としていますけれど、日本では、【ビタミンCが遺伝子毒素を作る!? の様に、DNA損傷性だけに焦点を当てて報道されている様に思います。そして、この関連としまして、Vitamin C-induced decomposition of lipid hydroperoxides to endogenous genotoxins. に見られるような、一連のビタミンCの詳細な挙動の研究が現在も進行中の様です。上記レポートは、田辺製薬のビタミンCによる脂質ヒドロペロキシドの内因性遺伝子毒素への分解(4件目です)という翻訳があります。『・・・しかし、vitCは癌の化学予防療法研究では無効であることが示されており、さらに、前酸化体は遷移金属イオンを介して有害な影響を及ぼすのではないかとの懸念も生じてきた。・・・遷移金属イオン非存在下では脂質ヒドロペロキシドからvitCを介して遺伝子毒素が形成されることから、vitCが癌の化学予防薬として効力を持たないことが容易にうなずけるであろう。』容易にはうなずけませんけれど、ビタミンCが癌の予防に効果がない、ということだけは何となくわかったような気がします。
2007/05/28
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犬とビタミンCに付いては色々なサイトで、時には矛盾するような色々な情報が、断片的に記載されています。愛犬家としましては、どの情報を信じていいのか、お困りの方も多いのではないでしょうか。私は、前回バナナを書く際、ちょっと困りました。それで、今回はビタミンCに付いてまとめておこうと思います。ビタミンCに付いての情報は、大別しますと以下の様なものが多いのではないでしょうか。・犬や猫はビタミンCを体内で合成できるので、特に追加して与える必要はない・犬はビタミンCを作ることができるが、病気を予防したり顕著な健康上の恩恵を得るのに十分な量ではない・犬はビタミンCを合成出来るけれど、合成量は必要量に達していないので、別に与える必要がある → 合成量は高々40~60mg → 体重が7kgになった時、その合成能力は限界となるので、大型犬では不足する(ビタミンCが必要な理由)・犬はビタミンCを合成できるけれど、肝臓で合成されるので肝機能が低下している場合や、加齢によって合成量が減る・犬はビタミンCの合成が出来るけれど、ストレス等が多い現在の環境では、ビタミンCは追加する必要がある・老化防止や癌等の予防としてビタミンCを多めに与えた方がいい。・ビタミンCは水溶性なので、多めに与えても不要な分は直ぐに体外に排出される・ビタミンCを過剰摂取すると結石(シュウ酸カルシウム)が出来る →ビタミンCを過剰摂取すると骨内のカルシウムが減少する他にもあるかも知れませんけれど、これだけでも相矛盾する内容で、しかも、殆どが根拠となる出典や試験データを示していません。これだけ見て、相互の矛盾を出来るだけ解消するような方法を取る、というのも一つの方針だとは思います。多くの方は半ば無意識的にそうされていると思います。まず、犬がビタミンCを合成できることに付いては、異論はないと思います。WikiのビタミンCにも、『一方、多くの動物にとっては、アスコルビン酸は生体内で生合成できる物質であるため、必ずしも外界から摂取する必要は無い。体内でアスコルビン酸を合成できないのは、モルモットやヒトを含む霊長類の一部などだけである。』とあり、動物ではビタミンCを合成できない方が圧倒的に少ない様です。通常の環境ではビタミンCを与えなくても成長に問題ないことはかなり前から調べられている様です。THE NATIONAL ACADEMIES PRESS のNutrient Requirements of Dogs, Revised 1985 (1985) Vitamin Cには、Innes(1931) はビタミンCを欠いた食事で子犬を育て(147日~154日)、骨や歯を含め、問題なく成長する一方、同様の食事で育てたモルモットは25日以内に重篤な壊血病で死亡する、ということを示した、とあります。更に、ビタミンCを欠いた食事で育てた犬の肝臓が多量のビタミンCを含むことは、犬がビタミンCを合成できることを示す、ということも確認しています。同じく、Naismith (1958)は、この合成能力が生後1週間以内に発現することを示しています。彼は、同じ母犬から生まれた子犬を幾つかのグループに分け、それぞれ、母乳、ビタミンCを欠いた食事、ビタミンCを添加した食事で育て、ビタミンCの血中濃度に大きな差が無いことを確認しています。・体重が7kgになった時、その合成能力は限界となるので、大型犬では不足する(ビタミンCが必要な理由)これは、根拠となるレポートが見つかりませんでした。日本では4,5件同じようなコピー&ペーストと思われる記載がありましたけれど、何れも根拠を示していません。その内、一番古いと思われるショップには、1993年からずっとビタミンCの重要性を主張して来たと、あり、「・・・ジョン医師は・・・」ともありますので、アメリカのホリスティック関係か何かの引用だと思いますけれど、この名前でも引っ掛かって来ませんでした。ソースは見つかりませんでしたけれど、この主張が誤りであることは明白です。例えば、体重15Kg程度の中型犬の場合を考えて見れば明らかだと思います。殆どの中・大型犬は壊血病の兆候を示しませんし、これはビタミンCを考慮されない餌を与えられていた一昔前でも同様だったと思います。多分、元々はHYPERTROPHIC OSTEODYSTROPHYのPATHOGENESISで指摘されています様に、骨形成異常(骨異栄養症) = HOD は人間の小児の壊血病(小児の症状)との臨床的、X線写真上の類似から当初は犬の骨格壊血病と呼ばれ、小数の患畜では尿や血中のビタミンC濃度の低下と、ビタミンC療法による迅速な正常値への回復と見かけ上の迅速な反応等が一層混乱に拍車を掛けた様です。犬はビタミンCを合成できることから、合成能力の撹乱や、年齢、犬種等による合成能力の不足、等様々な検討が行われたようです。そして、多くの動物では、人間の場合と異なり、尿や血中ビタミンC濃度の低下は見られず、ビタミンC療法には反応しなかった、とあります。そして、サプリメントの投与は、相対的に血中カルシウム濃度を高め、高カルシトニン症状の亢進により骨吸収を減少させることが証明され、HOD(骨形成異常(骨異栄養症))には禁忌かも知れない、とのことです。尤も、原因に関しましては、ビタミンDやミネラルを含む過栄養状態がこの疾病の多くで見られるけれど、そうでない症例もあり、更なる検討が必要、としてはいます。骨つながりでもう1件や大型犬の股関節形成不全補足で書きました様に、大型犬の子犬をカルシウムやたんぱく質等が多い状態で育てると骨格形成に異常をきたしやすい、ということは最近では結構認知されていると思います。Ascorbic acid deficiency and hypertrophic osteodystrophy in the dog: a rebuttal.は、ラブラドール・レトリバーを、タンパク質、エネルギー、およびカルシウムの比率が高い餌で育て、肥大性骨形成異常(HOD)を含む、過栄養の典型的な骨疾患を発症させ、ビタミンCの尿中・血中濃度測定や、治療としてビタミンCを投与して効果を検証したレポートです。このレポートが、上記のHODにはビタミンC投与は禁忌、としている根拠です。一日1gのビタミンC投与は、症状を改善させるどころか、血中カルシウム濃度を高め、骨吸収を減少させた、とあります。googleを『肥大性骨異栄養症』 (= 上記のHOD(肥大製骨形成異常))で検索しますと、結構見つかります(『肥大性骨異栄養症』の検索結果)けれど、多くは、予防や初期段階の治療ではビタミンCが有効としています。しかし、動物病院での治療例では、この犬の肥大性骨異栄養症の1治験例(4例目です)にありますように、大量のビタミンCと非ステロイド消炎鎮痛剤の投与では症状が好転せず、血管強化薬のカルバゾクロムスルホン酸ナトリウムと骨構築強化の目的で蛋白同化ホルモンを併用したところ良好に経過し症状の改善がみられた、とあります。そして、これも根拠が不明で、未検証ですけれど、Pet Clinicアニホスのカルシウムの敵!? には、『5.【過剰なビタミンC(アスコルビン酸ナトリウム)】砂糖同様、体内が酸性に傾かないようにするため骨内のカルシウムが減少します。』とあります。これが上記HOD(肥大製骨形成異常)の場合の、アスコルビン酸の投与は血中カルシウム濃度を高め、骨吸収を減少させるので禁忌、という一因になっているのかどうかはよくわかりませんけれど、予防時はともかく、HODの疑いがある場合は、検索でHODを調べてビタミンCを投与して様子を見る、というようなことはせず、直ちに動物病院へ、という方が正解だと思います。
2007/05/27
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このバナナが「がん」を予防するを始め、新聞やTV等で何度も取り上げられていますので、免疫力増強効果は結構認知されているようです。WEBでは既に削除されていますけれど、2005年8月の毎日新聞のはつらつライフでは、『驚異のバナナ』というタイトルで割りと詳しく解説しています。『がん細胞を移植したマウス20匹に65日間、エサと水を与える実験で、半数の10匹だけに5回にわたりバナナ果汁を注射した。エサと水だけの10匹は65日目までに全滅(平均生存日数43.7日)。バナナを与えた方は10匹中3匹が完治、7匹に延命効果があった(平均生存日数52.8日。生き残ったマウスの生存日数は65日で計算。)同様にがん細胞を移植したマウスに乾燥バナナ30%を含むエサを与える実験でも1カ月後、バナナを食べ続けた方が15%も腫瘍が小さかった。』この理由としましては、TNF産生量の増加が挙げられています。『バナナの注射で白血球の一種のマクロファージが活性化され、腫瘍壊死因子(TNF)という物質を出します。TNFはがん細胞や病原体を殺し、免疫系を刺激します。バナナ果汁でマクロファージが出すTNFの量は、がん治療に使う免疫増強剤とほぼ同等なのです(山崎教授)』とあり、免疫増強剤(OK432)、バナナ、ブドウ、ナシ、等色々な果物を比較したグラフも掲載されていて、ブドウ、ナシ等もかなり多いですけれど、バナナだけが免疫増強剤(OK432)を上回っています。(バナナのガン予防効果ってなに?)また、マウスだけではなく、このバナナ給与がF1子牛の免疫細胞に及ぼす影響(内科学)にありますように、子牛においても、バナナ給与はTリンパ球を増加させる、という検証が行われています。人間の場合は、このLectins as bioactive plant proteins: a potential in cancer treatment.や、Fruits, vegetables and risk of renal cell carcinoma: a prospective study of Swedish women.等、結構調べられているようですけれど、多くは他の野菜や果物と一緒に、というもので、バナナ単独というものは少ないようです。このAllAboutのがん予防に効果のあるデザイナーフーズで紹介しています、アメリカ国立がん研究所のデザイナーフーズにバナナが入っていないことが影響しているのかも知れません。(因みに、TOPは犬には禁忌のガーリック(ニンニク)です)犬の場合は、残念ながら、MEDLINEを『banana cancer canine』で検索しても1件もヒットしません。(正確には、[A case-control study for assessing the relation between the incidence of malignant lymphomas and environmental factors in Sichuan province]の1件だけで、これは免疫とは無関係)現在のところは、経験則から犬にバナナを与えても大きな問題にはならないと思いますけれど、癌や腫瘍に効果があるかどうかは不明です。人間の場合は、私の知人の場合は癌に効果がありましたので、お勧めは出来ますけれど、犬の場合は前回のピモベンダンの逆で、犬には、特異的に効果がない、という可能性もあると思います。ビタミン効果がありますので、与えない方がいい、ということはないと思いますけれど。バナナを犬に与えた場合、一番気になるのはやはりカリウムだと思います。WikiのBanana Propertiesでは、バナナ100g中カリウムは358 mg とあります。ドッグフードは色々な考え方があり、必ずしも全項目AAFCO準拠ではない製品もあるようです(『犬 カリウム 含有量 aafco』の検索結果)けれど、バナナの含有量は概ね多くのドッグフード添加量(0.6%以上、320mg etc)以下か同じ程度の様です。(療法食以外の場合)犬の場合、適当なレポートが見つかりませんでしたので、人間の場合でですけれど、江崎グリコの 栄養成分百科 カリウムには、『カリウムは、細胞の外液に存在するナトリウムとバランスをとりながら、細胞を正常に保ったり、血圧を調整したりして、常に一定したよい体内の状態(恒常性)を維持するのに役立っています。ナトリウムはとり過ぎると高血圧の一因になりますが、その一方でカリウムは血圧を下げる働きがあります。』とあります。多くのサイトには、カリウムは過剰なナトリウムを排出させる、とあり、適度な摂取は犬にも好ましいようです。但し、『腎機能が低下している人などはカリウムの摂取に制限のある場合がありますので、専門家にご相談ください。』、というのは犬にも当てはまるようですので、こういった個体は摂取を控えた方がいいかも知れません。2点目は、カルシウムが5 mg、リンが22 mg ですので、カルシウム:リンの比率は1:4.4と、通常のドッグフードの比率1:1~1.2よりもリンが多くなっています。肉類程極端ではありませんので、あまり気にすることはないのかも知れませんけれど、多量摂取は控えた方がいいような気がします。因みに、魚類に付いても、簡単!栄養andカロリー計算のカルシウムの多い食品と、カルシウムの含有量一覧表、及びリンの多い食品と、食品のリンの含有量一覧表から比較して見ましたけれど、多くはリンの含有量の方が多いようです。わかさぎの、 カルシウム:リン = 450:350 = 1:0.78 位がカルシウムが多い場合で、殆どはリンの方が多いようです。国際学院埼玉短期大学の卒業論文からですけれど、生体内におけるカルシウムの機能と魚肉中のカルシウム含有量には、獲れた海域や部位によっても変わってくるけれど概ね比率のバランスがよくなく、皮が入るとカルシウム含有量は高くなる、とあります。若し、魚を食べさせのであれば、皮付きの方が良さそうです。3点目がマグネシウムで、アイリスペットどっとコムの犬の尿石症にありますように、ミネラルを多く含むものを日常的に与えた場合、(個体によっては)ストルバイトが出来やすくなる可能性があります。遺伝的要因も大きく、またバナナの含有量 27 mg もそれ程飛び抜けて多い、というわけではありませんけれど、ダルメシアンやシーズー、シュナウザー等の好発犬種は避けた方が良いかも知れません。4点目に、カルシウムとマグネシウムの比率ですけれど、根拠はちょっとよくわかりませんけれど犬の場合も 2:1 の比率が理想的、とするサイトは結構あるようです。人間の場合は、マグネシウムに比べてカルシウムが多すぎると、心疾患での死亡率が高くなる といった報告があり、また、過剰なカルシウムは鉄の吸収を低める様ですけれど、犬の場合、きちんと根拠まで示してあるサイトは見つかりませんので、果たして犬の場合もこの比率が最適かどうかは何とも言えません。一様、バナナの場合は 5 mg : 27 mg = 1 : 5.4 とマグネシウムの方が多くなっています。最後に、カロリーですけれど、90 kcal と、思ったより高くはありません。長期給与の場合は、カロリーよりも、歯に付着することの方が問題になるかも知れません。以上から、犬の場合は免疫力増強効果は不明(バナナに含まれる原因物質も未だ特定されていない様です)ですので、確実な予防効果はビタミンとカリウム、と割り切って与えた方がいいかも知れません。その際、他の食品と同様、総合ドッグフードのミネラルバランスを崩しますので、この崩れを補う食品も併せて与えた方がいいと思います。また、腎臓等に障害を持つ、或いはそのような傾向のある犬種、系統は控えた方がよく、尿石が出来やすい犬種、系統も同様と思われます。勿論、現実に腫瘍等が発生してしまった場合は、免疫効果を期待していちかばちか多量に給与する、というのも一つの手だとは思います。私の経験では、悪性腫瘍の場合、サメ軟骨やアガリクス等の高価なサプリメントは殆ど効果がありませんでしたので。(勿論、コンドロイチンや、 コラーゲン目的での摂取jは別の話です)。
2007/05/24
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また分割しました。検索結果の3番目が、医薬ビジランスセンターのプロトピック軟膏の発がん性を分かりやすく解説です。この文章は一見しますと、公平で客観的に見えるかも知れません。例えば、マウスを用いた評価方法として『藤沢薬品は、対照群に「毛刈のみ」を採用』や、『新たながんの発生割合(注1 )は、プロトピック軟膏の成分タクロリムスの血中濃度の増加に応じて増加し、理論曲線(注2 )によく一致する濃厚な濃度-反応関係が見られている。』等の記述、更には『科学的問題点を提起し、冷静に科学的議論をする場を』という主張等、如何にも自分自身は客観的で科学的である、というような印象を与える書き方です。しかし、その根拠資料は例によって『文献TIP誌2003年6月号p65-73(速報No18),同7月号p85-90(速報No31),同8/9月合併号p93-97(速報No34),p105-109(速報No35、36) 『薬のチェックは命のチェック』インターネット速報版18-27,29,31,34-36 』というものであり、プロトピック軟膏の使用報告その2(2000年9月)や「プロトピック軟膏」の安全性についてで言及のあります、『明らかにリンパ腫を好発することが知られているマウスを用いた試験』ということには触れてもいませんし勿論評価項目としてもいません。更には、『日本でも悪性リンパ腫が最近報告された(速報No33、No34参照)』と如何にも発がん性が決定付けられたかのように記述していますけれど、この(速報No33、No34参照)というのは大阪読売朝刊・社会面 で大きく報道)16歳少女/免疫低下、進行かであり、元々の大阪新聞の記事では、『プロトピックを処方した大阪の病院によると、少女は最初に入院した九七年末、体中のリンパ節がはれており、別の専門病院の組織検査でも悪性リンパ腫の疑いを指摘されていたが、・・・当時の担当医は「悪性リンパ腫だった場合に悪化の可能性があるとは思っていた」という。』とあり、更に用量に関しましても、『少女の母親は「医師には『薄く塗れ』と言われたが、娘は治りたい一心でたくさん塗ることが多く、体にも塗った。まさかがんだったなんて」と話している。』とあり、非常な濫用をしたようです。『副作用報告をした京都市の島津恒敏医師(アレルギー科)は「皮膚に現れる小児の悪性リンパ腫は初期の診断が難しく、重症のアトピー性皮膚炎とされることも多い。免疫抑制剤を使うと免疫力が落ち、潜在しているがんが急速に進行する恐れがある」としている。』という部分を見ますと、プロトピックのみならず、免疫抑制剤の宿命のようですので、医薬ビジランスセンターは、薬害を監視する、という観点からはプロトピックを糾弾するのではなく、免疫抑制剤(の一般薬転用等)全般に渡って注意喚起することが正しい使命なのではないか、と思います。こうして見ますと、『わかりやすく解説』、では無く、『自分に都合よく解説』、という方が的確な表現ではないか、と思います。薬害監視団体は、本来ならこの様な自己中心的な発言ではなく、客観的で信頼される発言をすべきだと思います。信用されない発言を繰り返しそのようなレッテルを貼られた場合、いざ本当の薬害を発見して告発しても、同じように信用して貰えず、薬害の拡大を招きかねないからです。イレッサの様に、治療効果が上がらず、使わない方が余命が長い様な薬剤は中止勧告が当然だと思います。しかし、ピモベンダンやプロトピックの様な大きなメリットが存在するものは、(或いは、性質上薬というものに当然ある)メリットと副作用をきちんと評価し、適切な使用方法を勧告する、というのが本来の使命ではないでしょうか。プロトピックは、無くなると困る人が大勢存在するのではないか、と思います。それを、一面だけ見て、詭弁を使ってまでして廃薬させようというのは一体どんな思惑があるのでしょうか?ピモベンダンに戻ります。ピモベンダンを人間に適用した場合、gooヘルスケアの慢性心不全にあります、『強心薬は、一時的に心臓のはたらきをよくしますが、長期間使っているとむしろ心不全を悪化させることがわかってきました。』という一面が当てはまるのかも知れません。犬では非常に効果が上がったので人間での治験に踏み切ったけれど、思ったような効果が得られず、それでも承認申請したのかも知れません。犬の場合、非常に治療効果が上がる、ということも多くのレポートが示している通りです。これは、犬の体質とピモベンダンの相性がいいのか、それともこれまでの治療があまり効果が上がらないので相対的にいい成績に見えるのか、どちらでしょうか。今のところ、ピモベンダンのマイナスの面を指摘するレポートは1,2例しか目にしたことはありません。今回の承認で更に症例が増え、日本でも一般的になって来た時、再度評価したいと思います。
2007/05/22
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5月16日付けでFDAが犬の心不全用新薬として Vetmedin (pimobendan) を 承認(FDA Approves New Drug for Heart Failure in Dogsを見てびっくりしました。以前、犬の心臓病でも触れていますけれど、ピモベンダンは多分現在では、拡張型心筋症(DCM)や心臓弁膜症(MVD)による心不全の第一選択になりうる(ベーリンガーのサマリ・レポート(2005)(PDFでかなり大きいです))、というほどの使用実績があり、アメリカで未承認だと思っていませんでした。FDAの副作用情報O ~ Rにもpimobendanとして記載があり、犬は6件、猫は22件です。猫は嘔吐7件、運動失調5件、痙攣3件、震顫3件、単収縮3件、脱力3件、・・・とどうも相性がよくないようで、人間の場合を連想されられます。ピモペンダンは犬での評価が非常にいいのとは裏腹に人間の場合はかなり問題になったようです。gooヘルスケアのアカルディには、『旧西ドイツで開発されたものですが,日本で初めて製品化されました。外国での治験結果はまだ出ていません。 本剤は,補助薬としての位置づけのわりには高い薬価がつけられています(一日薬価213.40~426.80円)。』とあります。1994年の承認から10年以上経過しており、犬の場合はヨーロッパ、カナダ、今回のアメリカ等、広く承認されています。また、重大な副作用 として(1)心室頻拍,心室性期外収縮,心室細動などが現れることがあります。(2)AST・ALT・γ-GTPなどの上昇を伴う肝機能障害,黄疸が現れることがあります。とあります。(勿論上記gooヘルスケアに記載されている、人間の場合です。)医薬ビジランスセンターの参議院厚生労働委員会参考人での発言 薬の監視を製薬企業に任せることになる「本法案」に反対ですには、このピモベンダン(アカルディ)に関して『慢性心不全に用いられるアカルディという強心剤は、急性心不全に短期には効果があるものの、慢性心不全に長期間使うと、かえって死亡率が1.8倍高まり、寿命が短くなるという結果がでました(資料7,8)。ところが、この結果を待たずに、直前の1994年に駆け込み承認されました(資料8)。こんな危険なのを売り続けているのは日本だけです(資料9)。しかもこの標準的な心不全の薬の10倍以上も高いのです。』とあり、あまり評判はよくないようです。ところで、この慢性心不全に長期使用した際のリスク上昇の根拠は、このEffect of pimobendan on exercise capacity in patients with heart failure: main results from the Pimobendan in Congestive Heart Failure (PICO) trial.というレポートですけれど、このレポートの結論自体は、医薬ビジランスセンターが主張するような否定的なものではありません。CONCLUSIONS: Pimobendan improves exercise capacity in patients with chronic heart failure who are also on conventional treatment. The balance between benefit and risk of treatment with this compound remains to be established however.結論:ピモベンダンは従来の治療受けている慢性心不全の患者の運動能力を改善する。しかしながら、利益とリスクの兼ね合いは未だ確立されていない。もう一点、このレポートに関しましては、ちょっと気になることがあります。24週経過時点で、ピモベンダン2.5mg投与群と5mg投与群の何れも、プラシーボ群と比較して6%の持続時間(自転車運動力測定)の向上が見られ、ピモペンダン投与群の63%とプラシーボ群の59%は、生存しており且つ少なくともエントリー時点と同等の運動能力があった、とあります。つまり、この時点ではピモベンダン投与群の方が勝っていた、と思います。ところが結論を記述する直前では、死亡の時期や条件等の提示をせずに、いきなり、両ピモベンダン投与群の方が、プラシーボ群より1.8(95%の信頼区間0.9~3.5)倍死亡の危険性が高かった、としています。FullTextでは、この状況が明確に提示されているのかも知れませんけれど、少なくともアブストラクトの条件からは、この様な危険性は直ちには導き出せないと思います。例えば、プラシーボ群の多くが、早い段階で運動負荷に耐えられず脱落し、結果的に(運動負荷が低い状態で)長期生存した、等の場合が考えられ得るからです。gooヘルスケアの慢性心不全には、『原因と経過次第ですが、5年で半数近くの人が亡くなります。』とあります。こういった、放置しておいても半数が死亡するような集団に対する薬剤の影響は、機械的に処理するのではなくもうちょっとデータ処理の配慮が必要ではないか、と思います。因みに、上記レポートは、Problems in dealing with missing data and informative censoring in clinical trialsでも指摘されています(Example 3)ので、FullTextでもこの部分がきちんと考慮されていないと思います。この様に、上記アブストラクトを根拠資料としては、(資料自体も言及していない)『こんな危険なの』という主張は出来ない筈、と思います。尚、根拠としましては、資料7(上記アブストラクト)と資料8(TIP誌1998年3月号)とありますけれど、資料8のTIP誌はこのTIP誌目次(20世紀)の一番下に『Copyright (C)2000 by NPOJIP All Rights Reserved.』とありますように、医薬ビジランスセンター自身が発行する雑誌ですので、客観的な評価、とはいい難いと思います。蛇足ながら、参議院厚生労働委員会等の公の場で、自分自身が発行する雑誌を証拠として挙げるのはどうか、と思います。例え手間を省くためだとしても、きちんと第3者のデータを提示して、客観性を担保すべきではないでしょうか。どうしても自分自身の発行する雑誌を根拠資料として提示したい、というのであれば、その雑誌が公平で客観的である、という第3者の評価を添えて出すべき、とも思います。これがこの団体の体質なのか、たまたま(一度だけ)こういう展開の仕方をしたのかは、始めてこの団体を知りましたので何とも言えませんけれど、以前薬害オンブズパースン会議等でも、こういった欺瞞的で強引な主張を指摘していますので、体質的なものもあるのかも知れません。このリンクや全国薬害被害者団体連絡協議会加盟団体の一覧を見て始めて、私はこういった団体がこれほどある、ということを知りました。動物愛護団体も、純粋に動物愛護を考える団体ばかりではなく、広島ドッグパークで有名になりました某団体の様に生活のためや、実績を上げる事が最優先の団体等数多くあるようです。考えたくはありませんけれど、ひょっとしたら、薬害の世界にもそういった、例えば実績や名前を売ることを優先する風潮もあるのかも知れません。ちょっとピモペンダンから脱線していますけれど、この活動内容(速報版)から無作為(?)に、『プロトピック軟膏(タクロリムス水和物)は危険』を検証して見ます。無作為、とはいえないかも知れません。イレッサに関しまして、この団体は便乗しているだけのようですので、その次に出てきたものを取り上げた、という作為(?)はあります。私自身はプロトピック軟膏は使用したこともありませんし、どんな疾病に使用するのかも知りません。速報版を見ますと、長期に渡って、発がん性や悪性リンパ腫の危険性、小児への使用等を問題視しているようです。逐次検証する時間がありませんので、最新の評価を見ることにします。おくすり110番のタクロリムスを見ますと、作用として、『実際の効果もよく、ステロイド外用薬と同等の効力があるといわれます(ステロイド3群に匹敵)。』、特徴として『ステロイド外用薬の長期使用で問題となる皮膚萎縮などの副作用はありません。また中止後のリバウンド症状もほとんどありません。』とあり、悪い印象は受けません(何れも一部抜粋です)注意として、『塗布部位をできるだけ日光にさらさないようにしてください。もともと日光(紫外線)は皮膚ガンの危険因子なのですが、この薬を塗ると、その危険性が少し高まるおそれがあります。』、『紫外線ランプの使用を避ける必要があります。日焼けサロンもいけません。』、とあり、副作用として『また、長期使用における有用性や安全性が必ずしも確かめられているわけではありません。とくに、リンパ腫や皮膚がんの発現リスクを完全に否定することができません。ステロイド外用薬と同様に、医師の指示どおりに慎重に使用する必要があります。』とありますけれど、特に危険だ、という印象は受けません。Googleで『プロトピック軟膏』で検索した結果の先頭が上記タクロリムスでしたので、2番目に出てきましたプロトピック軟膏の使用報告その2(2000年9月)から<光発ガンの可能性が増大する?> を抜粋します。『 インターネットなどに、プロトピック軟膏に発ガン性があるなどと書かれていたのを見て、びびった人もいたと思います。この件に関する正確な情報を以下に示します。 アメリカのFDAで義務ずけられた試験で、皮膚ガンになりやすい特殊なマウスに紫外線を40週間連続照射し、その間プロトピック軟膏及び軟膏基剤ぬってガンの発生時期を調べたデータがあります。何も塗らなかったマウスはだいたい40週でガンが発生します。 これに対して、軟膏基剤(ワセリン)を塗った群は、光線の透過性が上昇するので、平均33.75週で50%にガンが発生しました。プロトピック軟膏をぬった群も軟膏基剤群と大差ありませんでした。 従って結論として発ガン性はありませんので、プロトピック軟膏を塗っていても日常生活ていどの紫外線をあびることに問題はありません。もちろんわざわざ日焼けしたりすることや、PUVA療法との併用は困ります。 』現在でも、上記おくすり110番のタクロリムスが訂正されていないこと等も考えますと、また、充分な検証無しで騒ぎ立てた、という印象を私は持ちます。
2007/05/22
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リンパ(肉)腫に関しましては、前回書きました様に、日生研の犬と猫のリンパ腫治療マニュアル-その基本から最新の動向まで-を見るだけでほぼ足りる、と思います。ただ、読み返して見ますと、治療法の主流である化学療法が中心で、外科的療法や放射線療法には殆ど触れていませんので、この点は注意が必要かと思います。外科手術は勿論実施されていますし、高カルシウム血症2の後半で触れましたように、放射線療法はリンパ腫に対して感受性が高いようです。口腔内や鼻腔等の治療例が多いようです。但し、前記放射線治療の事例では、追跡調査を行っていませんので、再発の可能性や、化学療法を併用・継続した場合の成績等は不明です。また、最近では免疫療法を行う動物病院も増えてきていることはご存知と思います。獣医再生医療研究会の治療法についてを見ますと、腹部皮膚の腫瘍両後肢リンパ腫大や舌のリンパ肉腫等の事例が見られます。上記サイトやテッツ犬猫病院 の、免疫療法 → 実際の症例 を見ましても、高価な割には成績はいいとは言えないかもしれませんけれど、私は『言い方は悪いかもしれませんが末期癌でもいい死に方をしてくれます。亡くなる直前まで結構元気で、食欲もあり、あまり苦しむことなく すっ と亡くなる場合が多いです。』という部分が非常に気に掛かっています。化学療法は大きな副作用や苦痛等は少ない場合が多い、と記載されているサイトが多いと思いますけれど、個人のブログやHP等を見ますと、かなり苦しむ場合もあるようですので。治療プロトコルに関しましては、日生研のレポートの中でも、L―アスパラギナーゼを使用することによって生存期間が有意に長くなるということは証明されていない、とありました。Influence of asparaginase on a combination chemotherapy protocol for canine multicentric lymphoma.では、42頭及び34頭のコントロール犬の比較調査の結果、臨床的な寛解の増加あるいは、初期の無進行期間を延長させないかも知れない、としています。また、IDoes L-asparaginase influence efficacy or toxicity when added to a standard CHOP protocol for dogs with lymphoma?も同様の調査・研究を行い、L-アスパラギナーゼを加えなくても効果に大きな違いは見られないと思われるので、導入が失敗している犬の再発に備えて取っておく方がいいかもしれない、としています。リンパ腫の再発時におけるレスキュー療法に関しましては、日生研のレポートには『どのレスキュー療法が一般的に最も優れているとは言えず,ほとんどの治療法において,その反応率は40~50%,反応期間は1.5~2ヶ月といったところが標準のようである。』とありました。Dexamethasone, Melphalan, Actinomycin D, Cytosine Arabinoside (DMAC) Protocol for Dogs with Relapsed LymphomaはDMAC(デキサメサゾン、メルファラン、アクチノマイシンD、シトシンアラビノシド)プロトコルの有効性を検証しています。72%の犬に寛解が見られ、内訳は、完全寛解44%、部分寛解28%で、安定状態は11%、進行性疾患は17%という結果です。寛解期間の中央値約61日(2-467+ 日)で、完全寛解、部分寛解、安定状態の寛解期間中央値はそれぞれ112、44、27日、ということです。血小板減少は56%の犬に見られ、好中球減少は17%。胃腸管中毒は22%とあります。2005年 World Small Animal Veterinary Association World Congress のRescue Treatment of Canine Lymphomaに、このDMACプロトコルを含むレスキュー療法の詳細な解説があります。また、このレポートでは、アスパラギナーゼに付いて言及があります。アスパラギナーゼ単独で使用すると、多くの場合は完全寛解を得られるけれど、その期間は通常は短い、それゆえ、他の薬剤とのコンビネーション(薬剤管理)が必要、ということで、このことが上記IDoes L-asparaginase influence efficacy or toxicity when added to a standard CHOP protocol for dogs with lymphoma?の、再発に備えて取っておこう、という発想に繋がるようです。最後に、動物病院や獣医療関係のサイトでは殆ど記載がありませんので信頼性はよくわかりませんけれど、犬の病気・猫の病気大辞典のリンパ腫には、食事に関して『がん細胞のなかでも、とくにリンパ腫およびリンパ肉腫には、炭水化物で異常増殖する細胞があるというデータがあります。よって、炭水化物を豊富に含む食事を避け、かわりに高脂肪 の食事を勧める場合もあります。』『 この種の食事は味もよく、高エネルギーです。高脂肪の食事を長期固犬に与えることによって、脂肪を自身のエネルギーに利用できなくなったがん細胞は、死滅する可能性があります。』という記載があります。日本でも、人間のがんの場合は炭水化物を減らす食事療法に言及するサイトがかなりありますけれど、犬の場合は動物病院でもあまり見当りません。海外の文献を検索してみましたけれど、評価は定まっていないようです(否定的なレポートも多い)。炭水化物ではありませんけれど、Effect of fish oil, arginine, and doxorubicin chemotherapy on remission and survival time for dogs with lymphoma: a double-blind, randomized placebo-controlled studyは、DHAやEPA等のオメガ3不飽和脂肪酸がドキソルビシンによる治療効果や寛解期に与える影響を二重盲検により検証したものです。結論は、有意に効果あり、というものです。一方、Energy expenditure in dogs with lymphoma fed two specialized dietsは高炭水化物食と高脂肪食の二重盲検で、上記例と同様ドキソルビシンによる治療に与える効果の検証です。結論は、食事による有意な差は見られない、ということです。一時期のビタミン・サプリメントの評価の様な感じで、病勢や治療法等、様々な条件が多すぎて上手く整理できていないのではないか、という気もします。必ずしも効果を否定するものではありませんけれど、少なくとも治療法の一部として確立されているとは言い難いと思います。癌と食事に関しましては、2002年 World Small Animal Veterinary Association World Congress のNutrition and Cancer: Exciting Advances for 2002!が比較的纏まっています。上記オメガ3不飽和脂肪酸以外にも、アルギニン、シスチン、グルタミンは価値があるかも知れない、等とあります。
2007/05/21
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前回の高カルシウム血症2で、犬の高カルシウム血症はリンパ肉腫の場合が多いことがわかりました。検査結果がまだ届いていませんので、何とも言えませんけれど取り敢えずリンパ肉腫に付いて調べて見ました。普段の挙動からは、何となく(若しあるとすれば)骨肉腫か肛門嚢のアポクリン腺癌等ではないかな、と疑っていますけれど、今のところ特にこれといった兆候も窺えませんので発生頻度の高い方から調べて行こうと思います。例によって、まずgoogleで『犬 リンパ肉腫』で検索して見ました。(『犬 リンパ肉腫』の検索結果)多くの症例や症状の説明があり、かなり頻繁に犬(や猫)でも見られる事が間接的にわかります。放置しておくと1~3ヵ月で死亡することや、化学的療法に比較的よく反応すること等、断片的な説明が多く、いまいちよくわからなかったので、これも例によって人間の場合を調べて見ました。Wikiの悪性リンパ腫によりますと、『リンパ系組織に由来し全身に発生する悪性腫瘍である。』『リンパ系は全身組織であるため癌と異なり切除による治療は不可能(但し、腫大による圧迫などを緩和するため姑息手術を行うことはある)。』とあります。多くの動物病院では、再発することも多い、としてありましたけれど、背景等の説明がないため、理由がよくわからず、Wikiを見てやっと納得しました。発生は『リンパ節に発生するものもリンパ節外に発生するものもある』ということで、触知出来ない場合も多いのも当然かと思います。治療に関しましては、『全身に発生するというその性質上、治療を行っても腫瘍細胞が完全に消えたことを証明することはできない。』『そのため「完治」という表現はせず、腫瘍を検出できなくなった時点で「緩解(寛解)」したと表現する。これは白血病と同様の扱いである。』『緩解に至っても腫瘍細胞が残存していることがあって再発と緩解を繰り返す例も多く、現在もなお治療は困難な疾患である。』と、やはり中々厳しいようです。抗癌剤に関しましては、『小児白血病、絨毛癌などと並んで悪性腫瘍の中では比較的抗癌剤が効きやすいとされる。また一般に、悪性度の高いものほど化学療法に対する感受性が強く、緩解に至る確率も高いとされている。』と、悪性度が高い方がいいのか悪いのか、よくわかりません。Pet Clinic アニホスの低悪性度リンパ腫の犬の1例は、正しくこれが当てはまる事例で、2年間に渡って緩徐に増大した膝窩リンパ節の切除生検と舌の病変の生検を行った後、ドキソルビシンとプレドニゾロンを用いて治療し、1年4ヶ月経過後も再発を見ていない例です。ノア動物病院の【犬のリンパ腫】にも、化学療法に対する反応がよく,使用する方法にもよりますが,60-90%において完全寛解が誘導され、また,その中央生存期間は6-12ヶ月と比較的長いものとなる、とあります。他の動物病院の記載も概ねこの様な内容で、比較的よく寛解するけれど、(私の感覚では)中央生存期間は短い、という不思議な記述になっているのは、再発が非常に多く、予後が不良の場合が多いようです。素人考えでは、6-12ヶ月というのは非常に短い、と思いますけれど、未治療の場合は1~2(乃至3)ヶ月、或いは一般的な悪性腫瘍の場合を考えますと、これでも長い方なのかも知れません。WikiのLymphoma in animalsには、完治は難しく、対症療法(緩和療法)になる傾向があるが、化学療法により(比較的)長い寛解期が可能である、とあります。効果的な治療プロトコルの選択による最初の平均的な寛解期は6~8ヶ月であるが、2度目の寛解期はより短く、厳しい、そして平均存命期間は9~12ヶ月である、とあります。最近では、人間で一般的な、同種間幹細胞移植も治療のオプションとして可能になってきた、とあり、確かにUse of multigeneration-family molecular dog leukocyte antigen typing to select a hematopoietic cell transplant donor for a dog with T-cell lymphoma.のようなレポートもあるようです。What price a pet's life? $45,000 to treat Cometは、リンパ腫のゴールデン・レトリーバーに同種間幹細胞移植を行ったニュースです。2005年のニュースですけれど、移植自体は去年の6月に行われた、とありますので、2004年の出来事です。費用が$45,000 (1ドル120円として540万円)とちょっと一般的ではありませんけれど、この事例を見て更に4件が計画中とあり、費用も約$25,000の料金、とありますので、もう直ぐ手の届く料金になるかも知れません。因みに、Canine cancer campaign fetches $500,000 from Golden Retriever Foundation は、ゴールデン・レトリーバー基金が癌(特にゴールデンにはリンパ腫と血管肉腫が多い)撲滅キャンペーンに、次年度からの5ヵ年で50万ドル(=6000万円)を拠出した、というニュースです。(犬の)癌撲滅キャンペーン(Canine Cancer Campaign )自体は、犬の癌のために次の10~20年で、3000万ドル(=36億円)という空前の予算を予定しています。拒絶反応も強かったけれど、体の頑健さと忍耐力があった、ということですので、基礎体力のある犬種に限られる可能性はあると思います。人間の場合でも、年齢や体の状態に条件が付きますので、この療法の場合は早期発見が一層重要になると思います。技術的には、人間の移植技術は犬による研究に基いていますので特に問題ない様です。日本の場合は、人間の場合は悪性リンパ腫に対する造血幹細胞移植に示されています様に、自家移植も同種間も行われているようですけれど、国立がんセンターの悪性リンパ腫 造血幹細胞移植 2)同種移植を見ますと、現状はまだ厳しいようです。犬の場合は、検索して見ても同種間は行われていない様です。予算(費用)の問題も大きいと思いますけれど、供血を行うという考え方も浸透していないので、ドナーを見つけるのが一番難しいかな、という気もします。生存期間に関しましては、上記ゴールデンの同種間移植の記事にも、通常の治療(化学療法)は犬の余命を一年半程度延ばすことが出来るだけ(だったので移植に踏み切った)、とあります。日本の動物病院等では、感情面を配慮するためか、多くが、腫瘍になる(リンパ腫)の様に、『適切な化学療法をおこなえば、リンパ腫に効果的で、かなりの期間、生き延びる可能性がある』、というような曖昧な書き方をしていますけれど、この『かなりの期間』というのは、最大1年~1年半の様です。例えば、Lymphosarcoma in Dogsには、一年半が経過して寛解の状態にあれば、治療を中断できるけれど、このポイントに達するのは10-15%だけ、とあります。また、治療プロトコルに関しましては、日生研の犬と猫のリンパ腫治療マニュアル-その基本から最新の動向まで-に詳しく解説されています。一部抜粋します。『COPプロトコール:シクロフォスファミド(C)+オンコビン(O)(ビンクリスチンの商品名)+プレドニゾン(P)である。この併用療法は,単純で,容易に行うことができ,また副作用も少なく,寛解率60~70%,生存期間の中央値6~7ヶ月の成績が得られているため,以前には広く用いられたプロトコールである。 その後,ヒトの非ホジキンリンパ腫で用いられているCHOPプロトコール:シクロフォスファミド(C)+ハイドロキシダウノルビシン(H)(アドリアマイシン)+オンコビン(O)+プレドニゾン(P)をもとにして,アドリアマイシンを組み込んだ複数のプロトコールが用いられるようになった。このようなCHOPプロトコールを基本とした方法を犬のリンパ腫に用いた場合,寛解率80~90%,生存期間の中央値約12ヶ月,の成績が得られており,アドリアマイシンを使用しないプロトコールよりも明らかに有効な治療法であることが示されている(表2)。』『このようなCHOP-baseでL―アスパラギナーゼを加えた治療法として,ニューヨークアニマルメディカルセンターのAMC-1,2プロトコール,ウィスコンシン大学のUW-Madisonプロトコール(表3),タフツ大学のVELCAPプロトコール,イリノイ大学のCOPLA/LVPプロトコールなどがある。いずれも,基本的には同様の治療法であり,その成績も同様である。』『つまり,生存期間の中央値は12ヶ月,2年生存率は25%という壁を越えることができず,最新の報告でも,それよりも優れた成績は得られていない。したがって,CHOP-baseのプロトコールにL―アスパラギナーゼを加えた現在の治療法では限界が見えてきているようである。』結局、治療プロトコル以外の全ての点に関しましても、この日生研の解説が一番詳しく、最初にこれを見つけていればわざわざ海外の文献を検索する必要が無かった、と思います。残念ながら、検索ランクがそう高くなく、断片的な解説しか記載していないのに検索ランクで上位に来るサイトが非常に多い、というのが日本の獣医学関連サイトの現状の様です。『4. 犬のリンパ腫の予後と関連する因子』や、『化学療法によって寛解が得られた後,ほとんどの犬のリンパ腫は再発する。』という厳然たる事実、更には、薬剤耐性の問題等は、他のサイトでは殆ど記載が見られません。尚、治療プロトコルに関しましては、今年に入ってからもReevaluation of the University of Wisconsin 2-year protocol for treating canine lymphosarcomaの再評価のレポートもあり、これからも大きな進展はあまり期待は出来ないようです。
2007/05/19
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高カルシウム血症の傾向に付いてもうちょっと調べて見ました。[Differential diagnosis of hypercalcemia--a retrospective study of 46 dogs]は、46頭の高カルシウム血症の犬の回顧的研究です。ちょっと古いですけれど、面白い傾向を指摘しています。悪性腫瘍 : 31 リンパ肉腫 : 23 肛門嚢のアポクリン腺癌 : 4 乳腺腫瘍(乳腺癌) : 2 未分化癌 : 1 悪性組織球症 : 1非腫瘍性 : 15 副腎皮質機能低下 : 5 急性腎不全 : 2 慢性腎不全 : 2 ビタミンD過剰症 : 1 原発性副甲状腺機能亢進症 : 1 診断未確定 : 4この様な内訳になっていますけれど、触知可能なリンパ節腫脹は15頭のみに見られた、とあります。このことから、触知可能なリンパ節腫脹が見られない場合でも、リンパ肉腫の可能性を除外できず、更なる診断ステップが必要かも知れない、としています。そして、中程度~著しい高リン酸血症と高窒素血症は原発性腎疾患の全ての犬と、副腎皮質機能低下の5頭のうち4頭に見られ、対照的に、悪性腫瘍の犬では31頭中4頭のみが(軽度の)高リン酸血症、20頭が軽~中程度の高窒素血症であった、という点からの切り分けの可能性が示唆されています。PTH(副甲状腺ホルモン(上皮小体ホルモン ))に関しての分析は以下の通りです。PTHの上昇は原発性慢性腎疾患と原発性副甲状腺機能亢進症の犬で見られたが、腫瘍の犬では1頭しか見られなかった。PTHの低下は ビタミンD過剰症および腫瘍の8例で見られた。腫瘍の3例では基準範囲内にあった。腫瘍随伴高カルシウム血症のみられた漿液性卵巣乳頭状腺癌の犬の一例(短報)(内科学)の場合は、血清カルシウム濃度ならびに上皮小体ホルモン関連蛋白(PTH-rP)の上昇が認められ、術後の血清カルシウム濃度およびPTH-rP濃度は減少し,卵巣腺病との関連が示唆された、という例です。悪性腫瘍の中で、リンパ肉腫に次いで多い肛門嚢のアポクリン腺癌に付いては、翻訳ですけれど、鳥取県動物臨床医学研究所に犬の肛門嚢のアポクリン腺癌:113例(1985-1995)というレポートがあります。(オリジナルはCarcinoma of the apocrine glands of the anal sac in dogs: 113 cases (1985 - 8211;1995))『いずれかの治療を受けた犬の生存期間の中央値は544 日であった(範囲,0-1,873日)。高カルシウム血症の犬の生存期間は,カルシウム濃度 が正常の場合より有意に短かった。』とあります。治療に関しましては、前述の 2001年 World Small Animal Veterinary Association World Congress のHypercalcemia in Dogs: Approach to Diagnosis and Treatmentにも、根本的な原因の除去が高カルシウム血症の最終的治療であるけれど、これは必ずしもすぐに可能というわけではない、とあり、(一時的に)カルシウム濃度を抑える生理食塩水や利尿剤、ステロイド等が記載されています。ビスホスホネートも一覧にはありますけれど、殆ど説明していません。コメントには高い(アレディアは非常に高価)、とありますので、googleで『アレディア 薬価』で検索しますと(『アレディア 薬価』の検索結果)、アレディアは、薬価基準: 15mg 注 1 バイアル:13037円. 30mg 注 1 バイアル:24857円、ゾメタは 4mg 41257円、とあります。日本骨髄腫患者の会の骨髄腫に対するビスフォスフォネート治療-最近の取り組みには、90mgを250ml~500mlの生理食塩水に溶解し4週間に一度2~4時間かけて静脈内投与する、とあります。国や時期の違いはありますけれど、ここでも高価なことには言及があります。『一回の投与に必要な費用は700ドル~1600ドル、それ以上のこともあります。3年間に渡るパミドロネートの投与には25,200ドル~57,600ドルかかると予想されます。投与量を上げて投与間隔を短くすれば費用はさらに高額になり、3年間では1人につき150,000ドルになります。』放射線治療に関しましては、最近では獣医学でも結構行われてくるようになったようです。外科的切除と放射線療法により治療した犬の原発性脳腫瘍の2例 や、小動物の放射線治療に関する臨床的研究 : 1.犬の鼻腔悪性腫瘍に対する高エネルギーX線・低分割・多門照射の臨床的影響(一般講演,第78回麻布獣医学会)の様に、大学病院では当然、行われていますけれど、平成18年度日本産業動物獣医学会(近畿)優秀研究褒章の放射線治療を実施した790例における各腫瘍の放射線反応率と急性障害の発生率に関する回顧的調査(1997-2006) (PDFです)は三重県(南動物病院)における過去9年間の放射線治療全症例の回顧的調査です。但し、紹介病院先への追跡調査を行っていないため、寛解期間や生存期間については調査していない、とのことです。以下、抜粋します。『動物種は犬が85%、猫が15%であり、672 例の犬の中では、雑種、ゴールデンレトリーバー、シェルティーが多かった。平均年齢は 9.4 歳(範囲 1~18 歳)であった。積極的放射線治療(低線量高分割照射)を実施した症例が58%、緩和的治療(高線量低分割照射)を実施した症例が42%であった。治療部位は口腔内が26%と最も多く、次いで鼻腔19%、四肢13%と続いた(図1)。腫瘍の診断名は、扁平上皮癌が最も多く16%、次いで肥満細胞の腫瘍15%、メラノーマ10%、リンパ腫9%が続いた(図2)。扁平上皮癌に関しては、鼻腔内のものがほぼ半数、口腔内のものが約 3 割含まれていた。肥満細胞の腫瘍では、ほとんどの症例が手術を行いマージンダーティなグレード2の症例に実施されていた。リンパ腫に関しては、鼻腔内や前縦隔に発生した症例で多く行われていた。線維肉腫に関しては、犬の口腔内腫瘍、猫のワクチン関連肉腫の症例で多く実施されていた。 』『肛門周囲腺の腫瘍に関しては、腺腫で反応率 100%、腺癌で 80%と高い数字を示した。一方で肛門嚢腺癌に関しては反応率 30%と低い結果が示された(図5)。』また、放射線照射に伴う正常組織の障害に付いては、『10Gy 未満の症例では急性障害が認められず、10Gy 以上の症例では半数の症例で皮膚の急性障害が認められたが、重篤な障害がでた症例は 5%であり、全ての症例で治療終了後に急性障害は治癒した(図8)。また、猫では発生がほとんどみられなかった(図9)。 』と人間の場合よりも障害で苦しむことは少ない様に思われます。結論として、『各腫瘍の中で肉眼的病変が放射線照射によって縮小傾向を示しやすかった腫瘍は、犬の肛門周囲腺腫、犬・猫のリンパ腫、犬の鼻腔内扁平上皮癌、犬の肛門周囲腺癌、猫の線維肉腫、犬の肥満細胞の腫瘍であり、各腫瘍が治療中にどの程度縮小する見込みがあるか具体的な数値が得られた。または照射によってどの程度の急性障害が発生するかに関しても発生頻度が数値として得られた事により明確な飼い主への説明が可能になった。』とありますが、生存期間あるいは晩発性障害の発生に関する調査はこれからの課題のようです。リンパ腫に関しては感受性が非常に高く、今回の調査でも約 8 割の症例で反応がみられ、さらに 4 割の症例では腫瘤が消失した、とありますので、高カルシウム血症の場合は相性が良いかも知れません。最後に、日本ペットライフでは、人間用の腫瘍マーカーの小動物への応用を考え、がん検診が可能になったということです。(「ガン検診のお話し」)尤も、発症部位の特定はできませんが、早期における悪性腫瘍の有無確認が行えます、という但し書きは付いています。
2007/05/17
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抜糸後、念のため血液検査をお願いしました。その結果、心配だった肝機能・腎機能は共に正常で、他の項目もほぼ正常範囲内でした。ただ1点、Ca(カルシウム)が正常値から飛び抜けて高いことがわかりました。色々な動物病院での血液検査結果の見方(2.検査異常値を解釈するための指針等)を見ますと、Caが高い場合は、高カルシウム摂取、ビタミンDの過剰症、真性の上皮小体機能亢進症(癌または副腎)、仮性の上皮小体機能亢進症(リンパ肉腫)、骨の新生物、高蛋白血症、高アルブミン血症、高脂肪血症等色々考えられますけれど、Caのみ高い場合は、悪性腫瘍(や甲状腺機能亢進)が非常に多いようです。犬の甲状腺機能亢進は、ノア動物病院の医療情報-甲状腺機能亢進症は、犬では甲状腺癌が唯一の原因、とあります。2001年のWorld Small Animal Veterinary Association World Congress のHypercalcemia in Dogs: Approach to Diagnosis and Treatmentにはこの割合として Incidence 43 dogs Incidence 40 dogs (Kruger 1996) (Elliott 1991) Neoplasia(腫瘍、新生物) 32.5% 57.5% Hypoadrenocorticism 28% 27.5% (副腎皮質機能低下)Primary Hyperparathyroidism 21% 2.5% (原発性副甲状腺機能亢進症)Chronic Renal Failure 16% 7.5% (慢性腎不全) Hypervitaminosis D 2.3% (ビタミンD過剰症)Chronic Panniculitis 2.5%(慢性脂肪織炎)Undiagnosed(診断未確定) 2.5%とあります。獣医さんの勧めで、血液を多めに採取しホルモン検査を依頼しましたけれど、腫瘍の場合、当院では治療は出来ず紹介ということになります、とのことでした。対処も、手術以外に放射線も、ということでしたけれど、犬の場合行われているかどうかわからない、ということで、何となく検査して結果がわかっても・・・、というような感じがしないでもありませんでした。犬の高カルシウム血症の説明が、googleで『犬 高カルシウム血症』で検索しても中々見つからず(症例は数多く出てきますけれど、原因や対処等、高カルシウム血症自体を説明しているサイトが見つからない)、人間の場合で調べて見ました。ノバルティスの悪性腫瘍による高カルシウム血症とはによりますと、『悪性腫瘍による高カルシウム血症の原因は、体内の癌細胞から産み出される物質によって、破骨細胞のはたらきが活発になり、骨から溶け出すカルシウムの量が多くなったり、尿として体外に出される余分なカルシウムが腎臓で血液中に戻ったりすることによって起きます。』とあります。このアレディアやゾメタ(ゾレドロン)のようなビスホスホネートは多少なりとも効腫瘍効果もあるようです(アレディアに抗腫瘍効果はあるのでしょうか? 『抗癌剤としてのビスホスホネート』 )そして、動物でも使用されているようです。動物臨床医学の外科手術を行った原発性上皮小体機能亢進症の犬の1例 (3番目の症例報告です)には、『ビスホスホネート系薬剤を使用することにより動物のQOLは改善した。しかし内科的治療のみでは長期の安定した維持は困難であり、その後外科的に片側上皮小体の摘出を行った。』とあります。翻訳ですけれど、鳥取県動物臨床医学研究所の犬と猫の高カルシウム血症治療におけるパミドロン酸2ナトリウムの使用と効果 では、7例の犬と2例の猫に投与してその効果と安全性を確認しています。また、in vitroですけれど、The bisphosphonates alendronate and zoledronate are inhibitors of canine and human osteosarcoma cell growth in vitroには、ビスホスホネートは細胞系の増殖を有意に低下させ、用量依存的にアポトーシスを誘発する細胞の比率を増加させた、とあります。尤も、日本骨髄腫患者の会の骨髄腫における顎の骨壊死には、日本の医師団のコメントとして、『2004年の米国血液学会(ASH)では,この調査を受けた812名の骨髄腫患者さんについての報告がありました。そのうち46名が顎骨壊死と診断され,さらに別の46名が顎骨壊死の疑い有りとのことでした』とあり、長期使用には懸念もあるようです。同じく日本骨髄腫患者の会の専門医に聞く:高カルシウム血症のすべてには、『高カルシウム血症とは、血清カルシウムの値が12.0mg/dL以上の状態を言います。』『中等度高カルシウム血症の場合(血清カルシウム値が12mg/dL以下)は体を動かすことを増やし、塩分を控え水分を多く取ることが治療になります。しかし値が高い(血清カルシウム値12-13.5mg/dL以上)および非常に高い(血清カルシウム値13.5mg/dL以上)患者は薬剤による治療が必要となります。.』とあります。血液検査の項目によっては人間と犬では正常値の範囲がかなり異なるものもありますけれど、Caは犬も人間も大体同じ様です。私の場合は16mg/dLですので、かなり高い値だと思います。
2007/05/17
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塩分と高血圧の関係を調査したレポートを検索して見ました。確かに犬の高血圧を調査した件数はそう多くなく、対照的に腎疾患と関連付けたドキュメントが非常に目に付きました。まず、自然発症の割合は、かなり古いですけれど、レニンに関しては、Wikiには『レニン酵素タンパク質の遺伝子の活性が強いと高血圧になりやすくなる』とあります。上記研究者(GEORGE E. WAKERLIN M.D., PH.D)には、Effect of Chronic Hypertension on Renal Function in Dogsが、ラットの食塩感受性系統と同じような集団を犬でも作出して検証しています。前段として、高血圧の人間とラットにおける状況(付随する疾病、原因等)の類似性と研究レポートの多さ、そして対照的に(本来は人間の疾病の研究モデルである筈の)犬に付いての調査・研究の少なさが挙げられています。また、人間の場合は、もっとも顕著な高血圧は、腎疾患を誘発する(真性)糖尿病や腎硬化症、腎血管性高血圧等が原因であるけれど、犬の場合はこうした原因(状況は)殆ど見られない、ともあります。そして、20年以上掛けてラインブリーディングして、色々なレベルの高血圧を持つ120頭を作出しています。この群を使用して、長期間に渡る慢性高血圧が腎機能に与える影響を調査しています。毎年様々な検査を行い、最終的には、7歳~13歳の間で安楽死させ、剖検して検証しています。その結論は、腎機能及び組織病理学上からは、高血圧犬と通常の犬では差が見分けられなかった、ということです。腎機能は高血圧犬でも正常なままで残っており、これらの結果からは、他の種における高血圧の病態生理学メカニズムは犬には適用されないことが示された、とあります。(少なくとも本態性高血圧症としては)この研究からは、 対談 「塩と健康」や、実際味噌汁掛けご飯で育てても高血圧にならない、等)からは、犬は塩分の影響を受け難い、という可能性は高いかも知れません(犬種の偏りは不明です)また、腎疾患に関しては、例えば、Effects of dietary sodium chloride intake on renal function and blood pressure in cats with normal and reduced renal function)尤も、猫の場合は、発症前から減塩フードを使用することは意味があると思います。猫の場合は、フードにこだわり、フードを変えると、空腹でも口にしない個体が結構多いからです。犬の場合は、定期的に(半年に1回程度?)血液検査や血圧を測定する、ということがきちんと出来るのであれば、犬と共に食事を愉しむ、という選択も可能かも知れません。(まだ胃癌を書いていませんのでちょっと気が早いですけれど)
2007/05/16
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どうもよくわからないのが、ペットフードの塩分含有量基準です。ご存知の様に、多くのペットフードはAAFCOを意識しています。自分で実際のドキュメントを読んだわけではありませんけれど、多くのサイトでは、この A&ME NATURAL PET STORE の食塩中毒の中で触れました様に、厚生労働省の人間の食べ物を犬に与える話 塩編2を紹介したかったのでこういう形にしました。『いままでに、何度か神経疾患に間違えられたワンちゃんを診た経験が有ります。』前回の続きではありませんけれど、この2ページ以外にも、『目から鱗が落ちる』、かも知れない事例が多く掲載されています。尚、念のため補足しておきますけれど、上記ページの趣旨は『適塩』ということです。
2007/05/14
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以前、塩分の過剰摂取 には、・塩分の取り過ぎは高血圧や腎臓病、心臓病などの遠因となる。・塩分濃度の高い食事を日常的に摂取する人たちは、そうでない人たちに比べて胃癌となるリスクが高いことが統計的に示されているとあります。一点目の内、高血圧に付いては、犬は高血圧になりにくい、というのが多くの獣医さんの見解ではないかと思います。色々な動物病院のHPや、北海道新聞に連載されました高血圧の原因にあります様に、・95%以上を占める本態性高血圧の原因は遺伝因子と生活習慣・本態性高血圧はいくつかの原因が複雑に絡み合っている(原因が特定できない)というのがほぼ一致した見解ではないでしょうか。犬の場合も、マイクロチップの普及等により、大規模な調査・研究が行われるようになれば、現在とは認識が一変するかも知れません。血圧測定も、最近ではオシロメトリック法を用いた非観血的血圧測定による犬の血圧評価に、『正常群では測定回数を重ねるに従い低下し, 安定する傾向が認められた』、とありますので、こういうストレスの少ない装置を使用しても尚、動物病院の雰囲気等、犬の正確な血圧測定に関してはまだまだ問題があるようです。更に、このオシロメトリック法を用いた非観血的血圧測定による犬の血圧評価では、『年齢と血圧の関係は認められなかった』、と異なる測定結果になっています。やはり、精々200頭前後の少数では一般的な知見が得られるとは言い難く、大規模な疫学的調査が必要と思います。人間でも、人種的な傾向の相違や環境的・地域的な特性等、様々な要因が影響していたことを考えますと、当然の結果と思います。どちらにも共通している『雌犬より雄犬が高かった』、という点に関しましても、ひょっとしたらこれは雄の方が興奮しやすいことを反映しているだけで、平静な状態で測定すると差は見られないかも知れません。(人間と同様、雌の方が寿命が長いのであれば、正しい結果の様な気もします。)データ的な裏付けはありませんけれど、オシロメトリック法を用いた非観血的血圧測定による犬の血圧評価の『犬における腎疾患の症例では高血圧が発症していると考えられた』、という指摘と、BARFで書きました様に、私は、(野生)動物は老後を上手く維持していくための仕組みを持っていない、と思っています。人間と同じように、類人猿や、体の大きさが同じような動物を、動物園の様な衛生上を含めた外部からの脅威がない環境で育てても、人間とは(平均)寿命の差が大きすぎると感じます。人間の場合は、衛生面や食事内容等、長期間掛けて長寿命化の方向に適応して行っているのではないか、と思います。犬の場合は、高齢化して来ますと、JBVPの
2007/05/13
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More power to FDA on drug safetyというニュースのタイトルでちょっと勘違いしました。てっきり、ペットフードへのメラミン混入事件を受けてのことだな、と思いましたけれど、他にも色々あり(例えば、以前取り上げましたCOX-2阻害剤のVioxx等)、ペットフードは付け足しの様な感じがしないでもありません。(on drug safety ですので当然ですけれど)確かに私の関心事はアメリカのペットフードが一番でしたけれど、その時でも、アメリカでのニュースの扱いはあまり大きくなかった気がします。勿論イラク問題や韓国人留学生の大量射殺事件等相次いだためかも知れません。そういえば、Senate backs standard pet food labelsには、”voluntarily”とあり、ちょっと意外に感じていました。確か、フードのリコールも"voluntarily"だったと思いますので、FDAに強制力を持たせる法案かな、と瞬間的に連想しましたけれど、今年に入ってからだけでも、ホウレンソウやピーナッツ・バターの汚染、ミネラルウォーターのヒ素等、人間用の食材の方がリコールの回数としては多かったと記憶しています。また、ジェネリックならぬ偽薬も大きな問題になっているようです(Counterfeit Drugs )ので、まさにアメリカの食・医療が脅かされている、というような状況だと思います。そこへ、メラミンの家畜飼料への混入(Melamine Contaminant Found In Chicken Feed)という事件が追い討ちを掛けたように思われます。勿論ペットフードの問題も今回の改正には入っているようです。気になるのは、この汚染された小麦を韓国でもリコールしている(S.Korea recalls Chinese wheat gluten, U.S. pet food)、ということです。ひょっとしたら、日本の食材も、という可能性もあるかも知れません。こういう状況では、確かに食料安全庁のようなものが必要かも知れません。それ以上に問題なのは、ご存知の様に、日本ではペットフードに対する規制が存在しない、という点です。人間の健康は厚生労働省、人間の食料の安全性は農林水産省、という分担ですけれど、ペットは(概念的には)何れの範疇でもありません。(法制上は・・・に準ずる、ということになっていますけれど)こうしてみますと、動物愛護法(「動物の愛護及び管理に関する法律」)がいかに中途半端で、愛護動物を守らないか、ということがよくわかると思います。現在の日本で、若し、アメリカの様にペットフードによる大規模な被害が発覚した場合、一体どこが主体となって被害の拡大を防止するのでしょうか。犠牲となったペットへの保障や飼い主への補助・援助等は誰がおこなうのでしょうか。
2007/05/11
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RAW FOOD でちょっと取り上げましたけれど、最近のメラミン混入事件で、また悩んでいます。現在は、BiologicallyAppropriateRawFood と定義付けしている様ですけれど、元々は Bones And Raw Food ということで、「GIVE YOUR DOG A BONE」や「GROW YOUR PUPS WITH BONES」等の書名を目にされた方も多いと思います。Holistic Nutrition ; The BARF Diet(PDFです)は、商業的ペットフードの有害性や食事(栄養素)の重要性等の点に関しては同意する、というJohn Burns が、2002年のAmerican Holistic Vet Conference で質疑応答した結果、自身の経験からの批評を纏めたものです。そのさわりはHolistic Nutrition - The BARF Raw Food Diet A critique by John Burns BVMS MRCVSです。基本的な、『家庭犬』としての適切なフードに対する考え方や、炭水化物問題等、主要観点に言及していますけれど、オリジナルのPDF(7ページあります)では、更にフリーラジカルや、生野菜と栄養素等、詳細に検討されていますので、一読の価値はあると思います。そして、質疑がよほど頭にきたのでしょうか、『私が最もBARF哲学を批判するのは、その独りよがりな点にあります』と書いていますけれど、最近の、例えばイアン・ビリングハースト博士の生食セミナー体験等を見ますと、『犬本来の食事に似せるため、生野菜は完全にすりつぶし、ヨーグルト、必須脂肪酸、ビタミン・ミネラルなど多彩な食材を加えることが、単純な骨と生肉の食事とは一線を画した、臨床栄養学的にも正しいとも言える食事となります。一方で先生は、栄養学的にまだまだ未知である部分も多いため、完全に必要な栄養をすべて含んだ食事を作ることは不可能であるともいっています。 』とありますので、多少は批判にも耳を傾けているようです。上記Holistic Nutrition ; The BARF Diet(PDFです)に比べますと、例えばWorking Dogs のShould Your Dog Eat BARF?等の様なものは如何にも表面的な批評に終わっていて、栄養学等の専門家には受けが良くない、ということはよくわかる、という程度と思います。尤も、この中にあります、『生ですり砕いてあっても、骨は消化管を穿孔しうる。 そして、腹膜炎、重症感染症から緊急オペ、死亡といったことが毎年起こる』、という事実は、臨床家としての実体験と思いますので充分注意が必要と思います。そういえば、グリニーズでさえ事故が起こっています(今更、グリニーズ )。例え粉末にしたところで、骨の様な消化の悪いものを多量に摂取させるということは決して勧められるべきことではないと思います。肉食の大型野生獣ではハイエナのみが骨を食べるようで、オオカミも食料が不足している時等は骨も食べるようです。犬の先祖は狼と言われていますので犬も骨を食べられるのかも知れませんけれど、現代のひ弱な犬には止めておいた方が無難なような気がします。(確かに先代のハスキーは骨を好みましたので、犬種的な差異は大きいのかも知れません)BARFに関して、ほぼ全ての人が認めると思われます点は、衛生面を別にしますと、生肉は(犬の)嗜好に合っていて、消化吸収がいい、という点だと思います。(少なくとも2002年までの)BARFは、生肉は勿論腐肉や、野菜屑等、調理された炭水化物以外のものを摂取して来たのが犬だ、とその食事を規定しています。これは、高い免疫力があるので寄生虫や細菌等に対抗出来る、ということだと思いますけれど、野生動物の寿命が短いこともまた周知の事実だと思います。動物たちの寿命には、『野生の動物たちの寿命は一般に想像されるよりもはるかに短いのです。動物の老化の研究者がアフリカに渡り現地で材料を収集してついに果たせなかった、という報告があるくらいです。それは野生動物たちの一生が生理的な生存限界に達するずっと前に、生態的な寿命で終わってしまうからです。 』とあります。つまり、ちょっとでも活力が落ちると、肉食獣では獲物を狩ることが出来ず、草食動物では逃げる速度・スタミナが落ち狩られる、勿論細菌等にもやられるでしょうから、老化する前に死亡してしまう、という現実です。(有性)生物の常として、子孫を作るまでは高い活力を維持しているけれど、子孫が出来てしまえば自らの役割はそこで終わる、というライフ・サイクルに適しているのが自然の食事、ということでもある、と思います。犬の場合は、BARFに切り替えると確かに一時的には活性が上がり、疾病等が少なくなると思います。BARFの問題点の一つは、この活力が落ちた段階を、人間と共存する環境下ではどこまで維持出来るか、ということにもあると思います。BARFにすると、何時までも高い活力が維持される、ということは絶対ありえないと思います。それは自然界に於いて、活力が落ちた時点で直ぐ、外部(若しくは内部)からの(飢餓を含む)攻撃に耐えられず死亡してしまう、そしてその時点というのはそんなに長い間のことではない、という現実があるからです。ちょっと抽象的な書き方になりますけれど、こういう考え方は成立するでしょうか。『自然界では、高い活性状態に達した後も常に内外から攻撃に晒され続けていて、終に活性が剥ぎ取られてしまう。こういった攻撃の少ない人間との共存状態では高い活性が落ちない。』BARFの考え方によりますと、これも不自然な状態になってしまうと思います。自然界では高い活性が必要となる故に、それに見合った食事を取るのであり、それが不要な状態(人間との共存状態)では、必要も無いのに、無駄に高いエネルギーを供給し続けている、ということになるのではないでしょうか。尤も、この問題は後何年か経って、BARFで育った犬が数多く老齢期に差し掛かりますので、その時の判断、ということになると思います。人間の場合は、高齢になってきますと、肉や油は駄目、という人が非常に多くなってくると思います。犬の場合は、高齢になっても肉が最適な食物でしょうか?私は、自然界にはこれに対処する仕組みは存在しなかったと思います。高齢になる前に、子孫を残した時点で自らは使命を終えますので、老後のことを考える必要がない。これは例えば、群れを作る野生動物を考えて見ますと、明らかだと思います。群れや個体として、幼児を守る仕組みや意識は存在するのに、高齢の個体は守らず、淘汰されるのが自然の仕組みだからです。消化・吸収に関しても、とりあえず子孫を残すまで体内器官が持てば良い、という仕組みになっているような気がします。つまり、犬も高齢になったら、人間界で長期間生存していくためには、自然を見習うのではなく、人間が試行錯誤して老齢期の犬に最適な食事を見つけてあげる必要があるのではないか、と思います。この間接的な証拠としましては、私は最近人間に付いてよく言われます、肉食は癌を誘発する、ということが挙げられると思います。ちょっと直接のレポートは見つけられませんでしたので又聞きになりますけれど、発癌物質を農薬としてはならないのか。には『牛肉が発癌物質であることは誰でも知っている。米国人は日本人に比較して大腸癌になりやすいが,その原因は,牛肉を食べすぎるためであることが疫学的に確かめられている。普通の食品だからたとえ食べて癌になっても発癌性物質などではないなどという御仁もいるかもしれないが,食べて癌になるから発癌性物質なのである。最近の詳しい研究の結果,牛肉を多量に食べると消化酵素であるリパーゼが腸内に放出され,腸が高濃度のリパーゼに長い時間曝されて腸の内側が傷むことがその直接の原因であることが明らかにされている。消化酵素は多少とも自分の腸をも消化し傷めるのである。』とあります。リパーゼといいますと、この消化酵素による自己消化疾患急性膵炎を連想しますけれど、犬の場合も当然あります(犬の膵炎(すいえん))。そして、上記Holistic Nutrition ; The BARF Diet(PDFです)の中にも、太った犬は急性膵炎を起こしやすく、膵炎の犬はBARFを始めるには不適だ、と認めている、とあります。更には、彼はBARFdietを通して、この症状に何度か遭遇したのではないか、との推測も記載してあります。他にも色々検討する必要のある項目はありますけれど、私にとって一番気になりますのはこの点です。(中途半端な終わり方は、例によって朝御飯を催促されているからです。その内続きを書きます。)
2007/05/11
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トキソプラズマ症は、犬や人間でも発症しますけれど、本来は猫を終宿主とするトキソプラズマによる原虫感染症です。Wikiには、『有性生殖はネコ科の動物の腸内でのみ起きるが、無性生殖はネコ科を含む幅広い哺乳類や鳥類で行われる。』とあります。感染者数は、Wikiには『世界人口の3分の1が感染していると推測されている』、とあり、横浜市衛生研究所のトキソプラズマ症についてには、『アメリカ合衆国では,6000万人以上が感染していますが,ごくわずかの人でしか症状は見られません。・・・フランスでは,トキソプラズマに感染している人の率が85%と高いですが,これは,フランスでは生の肉や加熱が不十分な肉を食べる傾向が高いことと関係しているようです。』とあります。多くの場合は、感染しても免疫機能の働きにより無症状ですけれど、このAllAboutの妊娠したらネコはどうする?Vol.1 トキソプラズマ感染症についてにありますように、妊娠中に感染した場合、胎盤を介して児に感染し、児に水頭症(すいとうしょう)や脈絡網膜炎(みゃくらくもうまくえん)を起こすことがある(トキソプラズマ症<女性の病気と妊娠・出産>)、ということはよく知られていると思います。gooペットのトキソプラズマ症には、感染した場合の人間の性格の変化、というちょっと面白いコメントがあります。『余談となりますがチェコのチャールズ大学の研究者たちがユニークな研究結果を報告しています。英国、アメリカ、チェコの男女394人を対象にトキソプラズマに感染した人の性格を調べたところ感染した女性は、性的な魅力が増したと結んでいます(プラハ・ロイター共同通信)。 一方、男性が感染した場合には、規則に従うのを嫌い、反社会的行動に走りやすく、さらには嫉妬深くなり、女性から見て魅力がなくなる傾向があった結論付けています。 』この、猫のトキソプラズマとよく似ているのが、犬のネオスポラ症です。犬が終宿主ですけれど、検索しますと、牛のネオスポラ症が非常に多く出て来ます。主要症状が流産のための様で、わが国における乳牛のネオスポラ症による経済損失には、『米国カリフォルニア州での調査では,牛の流産の19.0%[1]もしくは42.5%[2]がネオスポラ症によるものと報告され,その損失総額は年間3,500万ドルともいわれている[3].』、とあります。発見されたのは比較的新しく、牛の新しい原虫病・ネオスポラ症の診断、予防法開発へ前進には、『1988年に米国の犬の脳神経組織内で確認された比較的新しい疾病である。その後、他の動物主にもネオスポラ原虫の感染があることが確認され、1989年に乳牛へのネオスポラ原虫の感染により流産や仔牛の神経症状を主徴とする疾病が報告されている。』、とあります。牛や水牛等が対象の届出伝染病に指定されていまして、この家畜伝染病発生情報データベースで検索しますと、2005年01月~2006年12月の2年間では、全国で35戸38頭(牛)発生しています。因みに、同期間の豚のトキソプラズマは全国で36戸66頭発生しています。(沖縄県が34戸64頭で、東京都が2戸2頭)犬が終宿主なのに、犬に関する情報が少ない、という奇妙な状況ですけれど、国内で全く症例が無いわけではありません。平成4年2月の犬のネオスポラ症:本邦初発例及びネオスポラ症の犬の1例が最初の発見例のようです(同一患畜のようです)若齢犬のネオスポラ症の1例等を見ますと、弱齢で発症した場合は死亡率が高いようです。ちょっと古いですけれど、Clinical aspects of 27 cases of neosporosis in dogsでは、27例中10頭が完全に回復した、とあります。平成11年8月発行の畜産技術ひょうご53号牛のネオスポラ症には、『現在のところ、特効的な治療法、ワクチン接種等による予防法は無い。』、とあります。また、上記情報誌には、感染率に関して、『日本においても、ネオスポラ抗体陽性農家にいる犬の抗体陽性率は(31,3%)、都市における犬の陽性率(7.1%)より高くなっている。』、という記述があります。平成13年4月には、帯広畜産大学(全共)原虫病研究センターから、ネオスポラ原虫感染犬細胞における犬インターフェロンα,βおよびγの増殖抑制効果の比較というレポートが出され、すべてのIFNが濃度依存的に原虫の増殖を抑制した、とのことです。平成15年7月の動物衛生研究所講演会牛ネオスポラ症の疫学には、『全国の道県に保存されているブルセラ検査用保存血清を用いた抗体調査を行ったところ、ネオスポラ症の報告がある道県と報告がない県の間で、抗体陽性率(平均5.7-5.8%)に大きな違いはなく、発生報告の有無に関わらずネオスポラ感染が全国的に拡がっていることが示唆された。』とあります。また、イヌの炎症性神経疾患には、『イヌの原虫性神経感染症では、エンセファリトゾーン(ノゼマ症)、トキソプラズマ症、ネオスポラ症が知られるが、・・・形態的には前述のトキソプラズマと判別が困難であり、特異抗体による免疫染色により確定診断が実施される。』とあります。この様に、技術的な難しさ等から、ネオスポラ症と判定されない場合もあるようです。実際、The 30th Congress of the World Small Animal Veterinary Associationの Neosporosis in Dogsには、『1988年以前にトキソプラズマと診断された多くの犬が実際はネオスポラだったというのはありそうなことです』、とあります。確実な治療法及び予防法は今のところは見つかっていないようですので、犬の場合は、垂直感染を発生させない、出来るだけ水平感染を防ぐ(生肉、特に牛を避ける)等を普段から心掛ける必要がありそうです。PREVENTIONIn dogs, N. caninum can be transmitted repeatedly through successive litters and litters of their progeny. This should be considered when planning the breeding of Neospora-infected bitches. Dogs should not be fed uncooked meat, especially beef. There is no vaccine to combat neosporosis. No drugs are known to prevent transplacental transmission.尚、トキソプラズマと違って、人間の流産は無いようです。妊娠しても愛犬と別れる必要はありません。
2007/05/09
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最近悩んでいることの一つに、愛犬のフードをどうするか、という問題があります。勿論、例のメラミン混入事件のためで、療法食がリコールされている現状には、多くのペット飼育者も同じように頭を抱えていると思います。現在はフードの量を出来るだけ少なくして人間の食材を多めに加えていますけれど、もうじき手持ちのフードが底をつきそうです。次のフードの選択も問題ですけれど、もう一つ気になるのが、人間用の食材をどれ位使用するか、ということです。ことに、野菜や果物類に関しては、ビタミン類等を摂取させるためにも欠かせないと思いますけれど、以前、Neemの中で『寧ろ、自然(天然)は危ない、といった方がいいのかも知れません。』と書きました様に、毒性に関しての問題が出て来ます。現在、私の家では生協の宅配を利用していますので、必然的に無・減農薬の作物を使用することが多くなります。でも、有機野菜には、有名なこのエームス・ショックの問題があります。これは、野菜類を無農薬で育てた場合に、虫の食害が発生すると、その植物は害虫から実を守るため天然の農薬(キャベツのシニグリン(アリルイソチオシアネート)、リンゴ、ニンジン、レタスなどのカフェー酸、等多種類)を多量に生成する、というものです。詳細な数値等は参照リンクにありますけれど、これらは何れも発がん性を持ち、科学農薬の残留濃度とは比べ物にならないほど多い、ということで、確かに当時は非常な『ショック』だったのかも知れません。この『ショック』は、よく考えて見ますと、錯誤から発生していると思います。農薬というものが世界中で広く用いられるようになるかなり前から、人間は無農薬の野菜を食べて来ている筈ですので、人間が食べる分にはそれ程影響があるとは思われません(ビタミン等が発癌効果を上回る好影響を与えていた?)。それにも拘らず、残留農薬の何百倍も(一日あたり1.5g(米国の場合))、といわれると、残留農薬、というネガティブなイメージに引きずられてショックを受けるのだと思います。実際は、農薬の残留濃度は、農作物の残留農薬基準の安全性にありますように、動物実験によって得られる無毒性上限を、更に安全係数を見込んで100分の1以下に設定されています。つまり、洗わないで食べても大丈夫な量を、更に安全性を見込んで100倍以下に薄めているわけです。更に、この厚生労働省の食品中の残留農薬検査結果の公表について等の様に、色々な局面で、こういう膨大な残留農薬基準に基き検査が行われています。(膨大な量の検査をこなす方法は検疫所ではどんな分析法で200農薬もモニタリングしているのか(2005/10/12)が参考になると思います)。また、4-8[残効性]にありますように、嘗てのDDT等は何年も残留しましたけれど、最近の農薬は殆どが1ヶ月以内に消滅します。それでも、私たちは野菜等を食べる時、念入りに洗います。『残留農薬』という言葉のネガティブなイメージに無意識的に引きずられている面が大きいのでは、と思います。勿論、有害なものは極力除去する、という慎重な態度は、個体差や万が一を考えた場合、望ましい行動であると思います。そして、安全係数を考えますと、天然の農薬は化学農薬の何百倍、といっても、濃度面から考えましても、実質の危険性はそれ程高くないかも知れません。また、この天然の農薬は、生成の多くが食害をきっかけとすると思いますので、水耕栽培の様に完全無農薬・無害中の環境で生育されたものであれば問題にはならないと思います。実際、私の家の近くに植物工場(化粧品向けですけれど)がありますので、野菜や果物類ではそういったものも実際あるかもしれません。ですから、人間の場合はそれ程気にするような『ショック』でもないと思います。けれど、オーガニックとして犬が食べる場合はちょっと検討が必要な気がする数値ではあります。勿論犬も雑食性で、人と同じものを長年食べて来た実績はあります。けれども、それは殆どが残飯(色々な残り物の混合物)としてであって、特定の有機農産物を特定量食べてきたわけではない、と思います。例えば、人間のサラダは珍しくありませんけれど、犬にも同様に(体重比で同量の)サラダを与える、ということはあまりなかった、という気がします。例えば、キャベツやカラシ、芽キャベツ等に含まれます アリルイソチオシアネートは、Wikiには『大量に摂取すると有害で、1996年には兵庫県で牛が中毒を起こした。』、とあります。このセイヨウカラシナを見ますと、ラットのLD50は,339 mg/kg(経口)とありますので、カラシ以外のキャベツや芽キャベツは犬でも問題になる量ではないと思います。(芽キャベツの含有量を1560ppmとすると、芽キャベツ100g摂取時では、100 * 1560 / 1000000 = 0.156g = 156mg で、体重10Kgの犬の場合は更に10分の1の 15.6mg/kg)でも、『イソチオシアネートやゴイトリンは甲状腺でのよう素の取り込みを阻害するので,甲状腺ホルモンの合成が抑制される.したがって,多量のからし油配糖体を長期間摂取すると甲状腺腫になる. 』とありますので、量は不明ですけれど、過剰摂取は避けた方がいいような気がします。Wikiには、『適量であれば、抗癌作用、抗菌作用などの効果を示す。』とあり、茹でたりしてダイエット用等に与えている愛犬家も多いと思いますので、キャベツや芽キャベツを主食とする、というような極端なことをしなければ、通常の品種では問題ないと思います。『通常の品種では』と書く理由ですけれど、このOrganic Food Sales Shoot up from Pet Food RecallやCapitalizing on Pet-Food Panicに見られますように、やっぱりオーガニックへの逃避がブームになってしまったからです。急激に需要が増えた場合、通常の原料が調達出来ず代替品を使用する、というのはよくあることですので、キャベツや芽キャベツも、代替品を使用する可能性はあると思います。すると、意識せずアリルイソチオシアネート含有量の多い品種を使用してしまう、ということはありそうです。フランスやイタリアでは犬にはキャベツは厳禁、というサイトを結構目にすることがあり、ひょっとしたらそういう種類ではないのかな、と思っています。(この『犬 キャベツ フランス』の検索結果では、6件目と7件目にあります)もう一つ、エームス・ショックでは取り上げられていませんけれど、問題の多い食材にジャガイモがあります。この兵庫県で発生したバレイショのソラニン等自然毒によると思われる幼稚園児の中毒事例についてを始めとして、多くの中毒事件が発生しています。ソラニンがジャガイモの芽や皮に多く含有され、茹でて皮を剥いたものであれば安全だというのが一般的な認識だと思いますけれど、実際は少量ながら可食部にも含有され、自家栽培のものなどは可食部の含有量が多い場合も多く、中毒しやすい、とWikiにもあります。そして、上記兵庫県で発生したバレイショのソラニン等自然毒によると思われる幼稚園児の中毒事例についてによりますと、実際の中毒はソラニン単独ではなく、より毒性の強いチャコニンとの相乗効果で、毒性が増強される、とあります。農林水産省のソラニン、チャコニンには、『ジャガイモの可食部分は、100 gあたり平均7.5 mg(0.0075 g)のソラニンやチャコニンを含んでいて ・・・体重が50 kgの人の場合、ソラニンやチャコニンを50 mg(0.05 g)摂取すると症状が出る可能性があり、150 mg~300 mg(0.15 g~0.3 g)摂取すると死ぬ可能性があります。・・・』とあります。つまり、体重10Kg以下の犬が、皮の周辺部分までも含めて100g以上摂取すると、症状が出る可能性がありそうです。私も時々茹でたジャガイモのかけらを与えることがありますけれど、ソラニンは水溶性のため、水に晒したり茹でたりした方が安全で、サラダは犬には特に避けるべきではないかと思います。これもオーガニックが流行ると、原料の安全供給の懸念が残るのではないか、と思います。一つ忘れていましたけれど、カフェ酸は嘗て取り上げました食品衛生調査会毒性部会・添加物部会合同部会議事録の中で『一番最後に付け加えたいのは、BHAが今問題になっているんですけれども、天然の中にはカフェ酸、あるいはセサモールのように、BHAよりもはるかに強力な前胃の発がん物質が見出されています。 特にカフェ酸に関しましては、リンゴ、あるいはジャガイモの中には数百ミリグラムそのほかにいろいろな穀物、豆類にも含まれておりまして、ヒトの摂取量はBHAの比ではありません。しかしながら、疫学的には野菜や果実などの摂取はかえって発がんのリスクを下げるということも知られている。ここに書くのを忘れたんですけれども、アスコルビン酸と亜硝酸、これをまぜてネズミに投与しますと、BHAよりもはかるに強い変化が前胃に起こってまいりまして、1年間で乳頭腫、あるいはがんができるという事実もありまして、BHAよりもいろいろな天然の物質でもBHAと同じ、あるいはそれ以上の強い発がん性のあるものがこの環境中にはあるということを最後にお伝えしたい。』と延べていたことを記憶されていると思います。
2007/05/08
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毎年、今頃になりますと非常に悩みます。夜間の蚊の対策です。部屋を閉め切って蚊取り線香を焚いても何故か真夜中にあの羽音で目を覚ますことが珍しくありません。多分カーテンの陰等の煙が届かないところに潜んでいるのだと思いますけれど、まるで耐性が出来ているのかと思う位頻繁に悩まされます。人間だけなら蚊帳という手がありますけれど、犬は暑い時期は苦手ですので、フローリングや廊下、玄関のコンクリートの上等、一晩中あちこちうろうろしています。かといって、一晩中蚊取り線香を焚き続けるのはやっぱり躊躇われます。以前から、線香の煙は体によくないだろうな、と思っていましたけれど、最近は有名なこのCarcinogens in Chinese Incense Smokeで、線香に含まれるベンゾピレンの有害性を指摘されてから一層憂鬱になりました。CNNのIncense burning 'may spark cancer'には、換気の悪い台湾の寺院での有害レベルは、一般家庭での喫煙に比べ40倍以上癌の危険性がある、とあります。この場合、問題になりますベンゾピレンは、サイトによっては、「日本の線香やアロマテラピー用の線香にも同様の化学物質を含有するかどうかはニュースでは言及していない」というような趣旨のことを書いているようです。Wikiでは、『コールタールや自動車の排気ガス(特にディーゼルエンジン)、タバコの煙、焦げた食べ物の一部などに含まれる。』とありますけれど、含まれる、というよりも、炭素化合物の(不完全)燃焼の際に生成される、と言う方が正しいのではないかと思います(ベンゾピレン)。不完全燃焼によりますので、煙草の場合も、副流煙中の有害物質の方が主流煙中よりも多いことが厚生労働省のこの平成11-12年度 たばこ煙の成分分析について(概要)からも判ります。(イメージ的には、不完全燃焼による一酸化炭素中毒を思い浮かべるとわかりやすいと思います)念のため書きますけれど、これは受動喫煙の方が被害が大きい、といっているわけではありません。あくまでも、副流煙中の成分比のことだけです。喫煙者も勿論大きなダメージを受けていますし、傍にいるペットにも勿論大きなダメージがあると思います。線香の場合も、実際測定した、というサイトは見つかりませんでしたけれど、色々な燃焼・焼却(ゴミ焼却器等)関連サイトでベンゾピレンの発生を確認しています。(質量分析法による大気中のクリセン及びベンゾピレンの測定を見ますと、大気中の粉塵にも微量に含まれているようです)日本の線香も燃焼の際にベンゾピレンを生成していると考えた方が妥当だというような気がします。ひょっとしたら、(ほぼ)完全燃焼する材料だけ使用している、というようなこともあるかな、と思いまして、100%天然除虫菊の蚊取り線香も調べましたけれど、除虫菊以外に(多分燃焼時間を安定させる為だと思いますけれど)木粉やヤシガラ粉等を添加していました。ところが、線香で肺癌になった(特に犬)、という例は国内では見当りませんでした。(台湾当たりにはあるかもしれませんけれど)線香だけかどうかは不明ですけれど、僧侶で肺癌で死亡した人は存在します。urlを記載するのはどうかと思いますので、興味のある方はgoogleでキーワードに『僧侶 肺癌』等で検索して見て下さい。(実は私は、母の姉が尼ということもあり、個人的にこういう事例を知っています。)因みに、嘗てBHAに付いて参照しました動物を用いた研究の重要性 -酸化防止剤の発がん性と癌予防作用の研究を通して-には、『BHA は ベンゾピレンのマウス前胃に対するイニシエーション作用を抑えるが、メチルニトロソウレア (MNU) や 3,2'-ジメチル-4-アミノジフェニール (DMAB) のラット前胃や膀胱に対するイニシエーション作用は促進させる。』とあったことを記憶されていますでしょうか?犬も件数としては少ないですけれど肺癌になります(20-MC気管支内注入による犬の肺癌 : 実験的肺癌等、『犬の肺癌』で検索出来ます)。線香が原因の疾病としましては、人間の場合は線香の煙の吸入が原因と考えられた急性好酸球性肺炎の一例という事例がありました。急性好酸球性肺炎は、煙草が原因の場合が多いようです( 喫煙が誘因として疑われた急性好酸球性肺炎の一例 )そして、犬も、色々な原因で急性好酸球性肺炎を発症します(『犬の好酸球性肺炎の1例』の検索結果)。線香でも煙草でも可能性はありそうです。犬も煙草の間接喫煙によって癌やリンパ腫の発症頻度が高くなる、というレポートは既に目を通されていると思います。(『副流煙でリンパ節がん2倍に』の検索結果)最後に、分煙という誤った考えについてを参照リンクしておきます。2,3日前に、室外だけで喫煙しても室内の人間に対する影響は変わらない、というレポートを見ましたけれど、urlが思い出せません。思い出しましたら追記します。
2007/05/07
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非常に有名だと思いますけれど、この役に立つ回虫の藤田紘一郎博士が提唱する、回虫がヒトの免疫力を高める、というのはちょっと面白い仮説ではある、と思います。寄生虫の駆逐によってアトピーや花粉症が登場や、この“中韓キムチ戦争”で発覚、とっても怖い「回虫」等でもお馴染みだと思います。この回虫による免疫力増強仮説は、日立ハイテクの科学シンポジウム サピエンス:第16回 生命の寄生と共生をめぐってパラサイトの科学 プレゼンテーション(1):ヒトと寄生虫の共生 でも説明されています。ところで、この説明は、一見するとわかりやすい様に思えますけれど、何となく釈然としない気もします。回虫の排泄物がアレルギー反応を抑える仕組みは何となくわからないでもありません。回虫が、生存の為にヒトの免疫力を低下させる、というのもありそうな仕組みだと思います。判らないのは、一度下げた免疫力を高める必然性と仕組みです。上記サイトでは、『寄生虫の場合ではどうでしょうか。たとえば,体内に残ったサナダ虫は,免疫機能を助けるヘルパーT細胞の数を減少させたり,抑制するサプレッサーT細胞の数を増加させることによりヒトの免疫機能を一時低下させながら,ぬくぬくと生きています。とはいえ,ヒトを弱らせてしまうことは寄生虫にとって不利です。サナダ虫は1日20cmも伸び,1日20万個から100万個の卵を産むほどに大量のエネルギーが必要ですから,ヒトが元気でたくさんの食事をしてもらわないと困ります。そこで一旦は下げたヒトの免疫機能を元に戻します。ですからヒトは,アレルギーにもガンにもなりにくい体質に変化するのです。』とありますけれど、これでは単なる希望的推測に過ぎません。これまでの業績や、日経ヘルスの寄生虫で腸の病気を治すというような記事からは一概に否定も出来ないと思いますけれど、あくまでも仮説の域に留まるものである、と思います。アレルギーを押さえる、という点に関しても、三好耳鼻咽喉科クリニックのQ 寄生虫がいるとアレルギーになりにくいという話を聞いたのですが・・・寄生虫感染の減少が、スギ花粉症を増加させたとする話を聞きましたが、本当なのでしょうか。を見ますと、スギ花粉症の増加したのが寄生虫の減少によるものではないかと初めて提唱したのが、当時の国立公衆衛生院微生物学部長であった井上栄氏で、藤田博士とともに結局はデータ不足(?)を認めています。そして、調査からは、寄生虫はアレルギー反応を抑制するのではなく、むしろその程度をひどくしている可能性がある、ということも指摘しています。但し、私はこの点に関しては、論文等を読んだ結果ではなく、あくまでもサイトの記載のみによってですけれど、この三好耳鼻咽喉科クリニックの主張も検証不足ではないかと思います。日本と中国のデータを比較していますけれど、サイトにあります、『実は論文の公表されたこの時期、北京の威信をかけた国家的規模の寄生虫撲滅運動が中国全土で展開されており、寄生虫感染率は短期間に劇的に減少していたことが、後から判りました.江蘇省呉江市黎里鎮の子どもたちの検便の結果は、まったく不自然ではなかったのです。』という点が事実なら、(存在すると仮定して)回虫による免疫力増強効果の影響(持続期間)に付いては検証されていないからです。尚、このサイトでは、『なお、繰り返しますが寄生虫感染とアレルギー全体との関わり合いについては、まだ世界的に結論が出ていません。私がここで説明するのは、スギ花粉症などアレルギー鼻炎に限った話です。』と念押ししています。この点に関しては、関西医科大学第4回市民連続公開講座の「グルメの代償-食品媒介寄生虫疾患について-」の中で西川 光重教授も否定的な発言をしています。『質問2 回虫をお腹に入れてダイエットに使うとか回虫がいればアトピーにならないとか言われていますが、どうでしょうか。 西 山 藤田紘一郎先生が割によく言っています。非常にかわいがってもらっている先生です。藤田先生は日本人はあまりにもきれいになりすぎて、細菌や寄生虫に暴露される機会があまりにも少なくなったので、逆に人間が弱くなっているのではないかという考えを持たれている人です。思考の根底がそこにあると思います。 ところが例えば回虫に罹って本当に病気にならないかと言えば、僕はそれはまちがいだと思います。アトピーに関しても、奈良医大のときに科学技術庁からお金をもらって花粉症と回虫症の相関を見るプロジェクトに参加しましたが、結論的に言えば相関はありませんでした。サナダムシに感染している98kgの二十歳の女性も見ています。「これにかかって3カ月ですが、痩せましたか」「痩せていません」。実際に痩せていませんし、痩せるものではありません。そういう話はとっつきやすく話題になりやすいのですが、現実とはかけ離れています。』ですから、研究的業績は別にして、出版物やマスコミに流れたものは、あくまでも読み物として捕らえるのが妥当ではないか、と思います。勿論、個々の引用例、実験データは事実に基づくものと思います。例えば、Th1/Th2と回虫、フィラリアの関係等は当然実験結果に基づくものであろうと思いますし、藤田博士以外にも多くのレポートがあります。(New Understanding Of Immune System Creates Unexpected Links In Medicine)ところで、なぜこういう前振りを持ってきたかといいますと、未だ検証されてはいないにしても、アレルギーと回虫(を始めとする寄生虫)に何らかの関係が存在するかも知れない、ということは犬の場合も同様ではないか、という気がしたからです。私は読んでいませんけれど、「笑う回虫」の中には、次のような記述があるようです。『寄生虫自体がIgE抗体産生を上昇させる特殊な物質を持っているのか? そこで犬のフィラリア(犬の寄生虫の一種)をたくさん集めてきてそれを擦りつぶし犬に注射したところ、犬のIgEが上昇し、さらに分析していくと、寄生虫の分泌腺の中に抗原(抗体の産生を刺激するもの)があることがわかり、最終的には寄生虫の排泄物の中にあることがわかった。(この抗原はダニ、花粉等のI型アレルギーの起因物質に良く似ていることも判明している)』犬の世界でも最近は人間と同様、アレルギーが多いようです。私はアレルギー持った犬を1頭しか知りませんけれど、その犬は肥満気味で、ダイエットの為にキャベツ等の野菜をよく与えられていました。そして、7歳で悪性腫瘍で安楽死、という最後でした。ご存知の様に、フィラリアの予防薬には回虫を駆除する効果もあります。最近の犬はフィラリアや回虫等も少なく、状況は人間と似通っていると思います。若し藤田博士の仮説が正しい(少なくとも、ある程度該当する個体が存在する)としたら、人間と同じようなジレンマを抱えていることになるのではないでしょうか。けれども、残念なことに犬の場合は、アレルギーがあるからといって回虫を飲ませる、ということにはなりません。勿論、異種感染(人間への)の危険性があるからです。これは犬にとって幸運なのでしょうか、それとも不幸なことなのでしょうか。
2007/05/07
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