風・来・殿

2005.08.25
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カテゴリ: 通常



彼女は長い髪を手で振り払う。
彼女の言う口調は事務的で、冷たい物言いだ。
それだけ、彼女が欲しい物は手に入れられなかったのだろう。
いくらお金があっても、どんなに良い扱いを受けても、彼女は報われなかったんだ。

それだとしたら、僕は幸せだったんだ。
いつもいつも家族の温もりにあふれていた。

それなのに。僕はそれが嫌だった。

彼女は僕を妬ましいと思ったんだろう。

温もりがいいことを―――。

「時雨(しぐれ)さん」
「何よ?」

彼女は不機嫌そうに言う。それが彼女らしい。
数日間で彼女の事がよくわかってきた。

「好きですよ」
「あっそ………はああぁあぁ!?何言い出すのよ!あなたって人は!?」

予想通りの彼女の反応だった。
いつもの無表情ではなくて、感情が表れていて新鮮だ。
しかも、顔も赤いし、耳も赤い。

「え?それだったら愛し……」

「何を考えてるって……時雨さんが言って欲しかった言葉だと思ったから。あ、言っときますけど、僕時雨さんのこと好きですから。同情とかじゃなくて」

僕が微笑むと、彼女は大きくため息をついて、困った表情で僕を見ていた。

「ありがとう。夕吾」


 決して、涙を流さない。







お久しぶりです;毎日できるだけ書きたいと言ったくせに一週間経過してからすいません;
久しぶりにネタが降臨(?)して書きました。
一応、財力があるお嬢様と家出人の普通の少年という設定です。
このお話を書いてみたいなぁと思っています。
最近の趣味が変わってきたようで、こいうのを書きたいらしい。
でも、色々短編とかの残骸があるのでそれを書きたい…。
まぁわかりませんがね;





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Last updated  2005.08.25 17:10:52
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