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ファガスの森は既にスーパー林道の途中なので、これから終点までオフロードが続き、JB23の独壇場だ。普段なら登山客がクルマを駐めに来るのだが、今日は誰も来ない。出発前にオフロードバイクが1台通過しただけで、閑散としたものだ。月末の金曜日だからかも知れないがこんなに車両が少ないのは初めてだ。
ファガスの森を後にして、徳島のヘソ、風の広場と走破するが、昨年カブで通った時と比べて路面は良く整備されている。所々に落石はあるが、クルマから降りて退かすような大きな物はない。この調子なら剣山トンネルを抜けた下り坂のガレ場も整地されているかも知れない。と楽観ムードであった。
ジムニーさんは渓流のルアー釣りが趣味なので、沢があるとクルマを止めて目を輝かせていた。同じようなカーブを数え切れないほど回り、長いオフロードを堪能していると、軈てジロー笈の見える坂に差し掛かった。
この坂を登れば山の家「奥槍戸」と剣山トンネルがあり、いよいよ佳境に差し掛かる筈であったが、工事現場から登って来た車高を上げて、オープンカントリーを履いた軽バンがJB23の前に入り、次の広いカーブで停止。愛想の良さそうな運転手が降りて来て、「実は~」と切り出す。何か嫌な予感。この人は奥槍戸の管理人で、「昨日の夕刻降った大雨で、この先の路面に土砂が流れ出して、通行不能になっているのを発見したので、先程通報したばかりだ。」と言うではないか。ジムニーなら行けるかも知れないので、見てみますか?と言うので行ってみる事にした。
坂を登って行くと、遠くにそれらしき現場があった。クルマから降りて現場を詳しく観察すると、左側の谷から夥しい土砂や石が流れ出し、道路一面を塞いでいた。堆積した土砂の中央辺りは、水が流れたためにV字になっている。無理をすればJB23なら走破できそうであるが、右側はガードレールの無い、深い谷になっているので、もし車体が倒れたり、スリップしたら、谷に落下する可能性もある。土砂と瓦礫は谷に向かって斜めに堆積しているので、クルマだと右に大きく傾きながらの走行となるので、恐怖感は尋常ではない事が予想される。轍が1本あったので朝すれ違ったバイクのものだろう。バイクなら楽勝で抜けられるのにと思っていると、ジムニーさんは「行けると思うが、スタックするかも知れない。」と言うので、昨日の事もあり、命あっての物種なので、泣く泣く引き返す事にした。
管理人さんは、引き返して直ぐの工事現場から通行止め表示のある県道295が通れるので、そちらから迂回したら国道に繋がると教えてくれたので、指示に従う。舗装はしてあるが、幅員の狭い木頭川渓流に沿ったクネクネ道を延々と下って行くと、ジムニーさんがまた目を輝かせる。時々止まって渓流釣りのポイントを確認するので時間が掛かる。下流まで降りて来ると、四季美谷温泉の看板が見えた。ここで初めて気が付いた。この県道はR195ではなく、R193に繋がる県道だ。と、言う事はスーパー林道西コース入口の近くまで引き返している事になる。地図を見て更に驚いた。スーパー林道からR195に繋がる道はこの県道295しかないのである。これは大きな時間ロスとなる。
しかし、無いものは仕方がないので、R193、R195と繋いで、スーパー林道終点まで只管走る。やっと「高の瀬峡」の案内看板が出たので給油。スーパー林道終点を通り過ぎ、四ツ足峠に向かう。時刻は既に12時を回っているが、そのまま今日の第一関門である別府峡に入って行くと、ここも素晴らしい渓谷で、ジムニーさんの目がまた輝く。この林道は長い間、通行止めであったが、土木事務所に連絡して現在は落石が多いが通行可との連絡を受けているので、安心して突入する事が出来た。GPS25000の位置情報もここでON。
狭隘舗装路ではあるが、予想に反して長い上り坂が続く、行けども行けども全て登りで、JB23のエンジンもかなり負荷が掛かっているようだ。かなり登って視界が開けたので、眺望してみると1,500m級の急峻な山肌に小さくガードレールが見えた。どうやらこの林道はあそこまで続いているようだ。JB23の水温計は大丈夫だが、頂上近くなったので、クルマを休ますために道路脇の東屋で昼食とする。
今日の行程では、飲食店などは1軒も無いので、ガスバーナーとマルチグリドル擬きで卵入りのうどんを煮る。時間が押して来ているので、早めに食べて即出発。標高1,200m付近でやっと頂上となり、西熊渓谷に向かって下って行くと、林道がやがて県道217となる。217からGPSで探した脇道を使いショートカットで県道49に分岐して、再び山を登る。この道も狭隘だが舗装路なので、不安はない。曲がりくねった長い登り坂を900mほど登ると、県道は消滅し林道となり、頂上に到着。ここが矢筈峠だ。頂上からは矢筈山登山道があり、駐車場やトイレもあるので登山客も来るのだろう。
第二の関門、矢筈峠はクリアできたので、記念写真を撮って林道を下る。暫く下ると分岐があり、右に曲がると三好からR439に繋がるのだが、何と!鉄ゲートが締まり、通行止めの看板が設置されていた。まさか!これは困った。ここまで来て通行出来ないとなると、引き返し?この道を引き返すとなると、かなり下って大回りして大豊に出るしか方策がない。とんでもない時間が掛かる。今日中に帰還が難しくなる事は明白だ。
何か妙案はないかと1/25000の地図と睨めっこしていたらルート設定の間違いに気が付いた。ルート設定では閉鎖されている林道を通って京柱峠に着くようになっていたが、設定間違いで、この道は同じR439に繋がるのだが、京柱峠ではない。京柱峠より数キロ東で合流するようになっていて、分岐を左に曲がった林道が京柱峠に繋がる道だった。助かったと思わず安堵した。
しかし、この林道は入口からオフロードだ。閉鎖されていなけば良いが、と祈りながら進む。オフロードだがフラットなので走りやすい。鹿の出迎えを受けながら進んで行くと、前方に軽トラが見えた。どうやら通行出来そうである。やれやれである。軽トラについて無事京柱峠に到着。第三の難関を突破したので峠で記念撮影。この峠は徳島から高知まで延びる四国で一番長いR439の高知県大豊市と徳島県三好市の県境にあり、眺望も良好である。
ここからは東に進路を変え、四国山脈の尾根伝いに走るのだが、国道とは言え狭隘路は変わりなく、かなりトリッキーだ。最後にもう一つ懸念がある。
事前に道路情報提供システムで調べたら、この先で県道32号に分岐するのであるが、その手前で工事のための通行止めが行われているようで、1時間の通行止めの後10分の通行時間が設けられているのである。予めその時間帯表を写メしてきていたので、確認してみると通行止めの最後は4時20分となっており、現在の時刻は4時過ぎなので、現場へ到着の頃は通行止めは解除されている筈であるが、もしも、夜間は通行止めだったらアウトである。反対の大豊方面も通行止めが2箇所あるので袋小路で逃げられない。
タイトな道を更に進むと問題の通行止め箇所にやって来た。赤い旗を持った警備員が立っており、停止を求められると思いきや、片付けをしている最中だったが通してくれた。やれやれである。これで今日中に帰還出来そうである。
東祖谷で県道32に分岐、久し振りに車線のある普通の道を走ると移動距離が早く感じるし、楽ちんである。それにしても、ここまで約300キロほど走ったが、工事用信号を除いたら1つの信号もなかった。四国の山間部は素晴らしい。
祖谷のかずら橋を通り、西祖谷谷でR32に向かわず、敢えて時間は掛かるが最短距離の県道32号を池田方面に直進して祖谷渓谷を走る。初めて走った道であったが、この道が凄い。
急峻な山に囲まれた祖谷渓谷は100mとも200mとも思える直角の絶壁が遙か下の川まで続いており、岩肌を縫うように走る道は所々コンクリートでオーバーハングが造られている。もしもこのコンクリートの支えが崩落したり、誤ってガードレールを越えてしまったら、あの深い谷に真っ逆さまだ。
車窓から覗いて見るだけでも足がすくむ。こんな恐ろしい崖が数キロにも及ぶのだ。もし、地震が来たら、大雨が降ったらと思うと早く抜けたい衝動に駆られる。
山城町でR32に合流して更に、綾歌町でR438に分岐、やっと坂出ICに辿り着き、瀬戸中央道を75キロで走って、午後7時過ぎ無事帰還する事ができた。
今回は、なかなかハードな行軍であったが、ジムニーさんは四国がたいそう気に入り、来年はスーパー林道でキャンプしながら渓流釣りを行うと言っていた。
明くる日、妻にJB23転落事件を話したら、レスキュー時の動画を撮れば良かったのに!と違う意味で叱られた。国道を私が運転した時にドラレコがあるのに気づいたが、30分で上書きされるとの事。衝撃を感知した一瞬は残っているかも。気が付いてSDカードを抜いておけば、転落の一部始終をYouTubeに上げれば再生回数が稼げたかも。まぁ。それよりも無事で帰ってこれた事が何よりであった。
朝食のホットサンドとコーヒー
ファガスの森で出発準備が整ったJB23
徳島のヘソ到着
ガスが流れ山容が美しい徳島のヘソ
徳島のヘソで見つけた小さなモミュメント
風の広場
風の広場からの風景
スーパー林道の路面状況
山肌が崩れ杉が落ちて来た崖
美しいジロー笈
前方に見える崩落現場
崩落現場の瓦礫
崩落現場を歩いて渡る奥槍戸の管理人
別府峡の山頂付近でうどんを煮る
西熊渓谷から四国山脈を望む
矢筈峠頂上
矢筈峠に設置されていた看板
京柱峠に続くオフロードの林道
京柱峠
京柱峠から大豊方面を望む
R439京柱峠の県境を示す看板
祖谷渓
祖谷渓谷
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