躰道∞(無限) 

2005年09月30日
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 井戸の底には水が溜まっていた。膝の下までだった。見上げると空が遠くに見えた。見える。というよりも見えた、という過去のものになってしまっている。
 潮の満ち引きによって水嵩が増えることを知った。

 井戸の中で数時間、十数時間を過ごして見るものと考えの目標になるものは、狭い視野から大きく、遠くのものが自然の中にあるということだ。

 町の中で生きてきて、一番自然を感じる場所は、井戸の中と墓のなかではなかろうか。

 これだけ、ものを、他人の考えを愛しても屈折する光を浴びたような鏡の世界に入り込むと、パニックになり自分の存在しか見えなくなるときもあろう。一つのものを志すということは互いに告別式の写真を胸に持つと同じ型に鏡を持っている。形、大きさは異なりをみせていても真実を映し出す事に変わりは無い。井戸の中に落ちてみてもそうだ。空を見るのに疲れるとふっとうなだれたくなる。自然に自分の顔を見ることになる。
 水は下にあり、太陽光を直視できなくなった人間に水はやさしく存在してくれる。
 ときには現実を厳しく映し出してくれる。

 井戸の中に落ちてまで、他人の考えを全うする意気込みは誰がもっていようか。






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最終更新日  2005年09月30日 22時45分55秒
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