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2021.11.13
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カテゴリ: 読書
僕がはじめて『近藤勇白書』を手にしたのは,たしか高校の図書室だったと思う。
冒頭を少し読んで,近藤の弱さにちょっと落胆して本棚に戻した。そんな記憶がある。
なので,本書を手に取ってから,読了まで20年以上をかけたわけだが,感想を書いていこう。

​
近藤勇白書【電子書籍】[ 池波 正太郎 ] ​

本書はタイトルの通り,近藤勇を主人公にした歴史小説である。
Wikipediaで本書の発売時期を見ると1969年である。池波正太郎は先行して1964年に『幕末新選組』を発表しており,同年に司馬遼太郎が『燃えよ剣』を出している。
時期的に,『近藤勇白書』が出た時期は,司馬遼太郎が『燃えよ剣』をヒットさせた時期以降になろうか。ある意味で,土方歳三を主人公とした『燃えよ剣』に対し,『近藤勇白書』は近藤勇を主人公にした,まるで兄弟のような作品といえるかもしれない。

さて,内容なのだが,冒頭が面白くないのである。

これが常態化しているわけだから,近藤の妻は冷ややかな対応をするし,高校時代の僕も読む気が失せた。
ただ,このあとの展開は非常に良かったのだ。
ある日,道場破りにやってきた男は本当に強く,竹刀での試合では永倉新八と沖田総司までが破れてしまう。そこで,近藤は協力先の道場から助っ人を呼んでなんとかするのだが,後日,その道場破りが路上で近藤に因縁を付けてくるのだ。
そこで,近藤は真剣で立ち会うのだが,なんと道場破りの男を一蹴してしまうのだ。

これは新選組の,というか天然理心流の評価でたまに言われる「実戦派であるがゆえ,竹刀での試合は弱いけれど真剣ならば恐ろしく強い」というやつだ。
読んでいた僕は爽快感に包まれた。チャンバラ小説を読むとき,僕は主人公になった気持ちで読むわけだから,僕に成り代わってバッタバッタと活躍して欲しいのだ。弱いとつまらんのである。
これ以降,近藤の妻も唐突に近藤への態度を改めるのだが,僕も近藤に対する態度を改めて,読んでいくことになる。

余談だが,この「実戦派だから竹刀での試合には弱いけれど真剣ならば恐ろしく強い」って,なんかうだつの上がらない社会人の心をとらえるような気がしませんかね。
こう,「俺は別にダメ男じゃないんだ。実力を発揮する場所がないだけなんだ」という感じでね。

しかし,本当に僕が本書を楽しんで読んだのは中盤くらいまでだろうか・・・。
栄達して行くに従い,近藤は徐々に威張ってくるようになる。

もちろん,近藤にも言い分があるだろう。アットホームだったころの試衛館のころとは規模が違うしメンバーが違う。
いつまでも昔の気分でいる永倉たちの方にも問題があるようにも思うのだが,どうも著者は永倉たちの方に共感しているように描かれている。
思えば,著者は本書以前に永倉新八を主役にした『幕末新選組』を書いているわけで,どうしても近藤に反感を持つ永倉の視点から抜け出せなかったのかもしれない。

最終的に,近藤はさらし首になってしまうのだ。
このあたり,最後まで戦って死んだ『燃えよ剣』の土方とはずいぶん違う。


総評として,どうしても先に『燃えよ剣』を読んでしまうと,あまり本書は楽しめないかもしれない。
近藤よりむしろ,永倉新八ファンかもしれんな。
『幕末新選組』と同様,永倉新八は「亡くなった弟と似ている」という理由で芹沢鴨から目をかけられるなど,いい話が多いから。

​
レジェンド歴史時代小説 近藤勇白書(下)【電子書籍】[ 池波正太郎 ] ​





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最終更新日  2021.11.13 14:43:34
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