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10月9日 レース 当日
■ラン
トランジットはすべて歩き。
テントでは、冷たいタオルで全身を冷やししばらく休んでから、スタートだ。
ランに入っても水しか受け付けない。コーラでも入れば走れるのだが、コーラも戻してしまう。
イガから用意してもらった、補給食もまるまる残ってしまう。10km地点、多分時速8km程度だろう、それでもまだ進んでいる。
15km地点のクイーンKに出ると、 ついに歩きが入ってしまった。
自分では走っているつもりだが、低血糖で眠くて眠くて、どうしようもなかった。
ハートレイトは、なんと70 。 これじゃ、運動してないのと同じだ。
だんだん蛇行がひどくなり、追い抜く選手、すれ違う選手も心配してくれる。 再び身の危険を感じ、またエイドで寝させてもらうことに。今度も20分。
この20分。8時間のように感じられた、この短い時間に様々な夢を見たような気がする。海の底に沈んであがってこれないような感覚だった。
20分後、起こしてもらうと、もう周囲は日が暮れかけていた。あと何時間かかるのだろう。
今年もこんな無様な姿をさらしてしまった、屈辱感と自分の無力を実感した。
俺は果たして、アイアンマンなのか? 俺は中道たけおなのか?
いろいろな想いが全身を駆け巡ってくる。それでも一歩づつ進んでいた。決して止まることなく。 30km地点のエナジーラボ近辺はもう真っ暗。まるで宇宙の中を独り漂っているような浮遊感。目に入ってくるのは、夜空一面の星と、はるか彼方に見える街の明かり。この一面の夜空は、まるでスターウォーズの世界みたいで、一面の星が俺に振りかかってくるようだ。
真っ暗な、この溶岩台地を独り、ただ前へ前へ。一歩づつ。
こんな無様な姿でも、決してリタイアだけはするつもりはなかった。
これが今の自分。これが中道たけおなのだ。
街の明かりが近づいてきた、ゴール地点の実況も聞こえてきた。残り2km。コナの街への下り道。ここに来ると、まだ応援の人がいて、声を掛けてくれる。次第にどこから沸いてくるのか、力が出てきて、ペースアップ。最後のアリイドライブは、こんな時間でも凄い観客だ。こんな自分にも皆、トップ選手同様に暖かく迎えてくれる。俺は、ゴールのスポットライトに飛び込んで行った。
時間は夜の9時を回っていた。なんと、14時間13分もの長い一日が終わった。
すれ違う選手は、皆生き生きしている、輝いている。
来年は、俺も満足のいくレースをして、偽りの笑顔でなく、心からの笑顔でテープを切りたい。

SWIM BIKE RUN OVERALL RANK DIV.POS.
1:22:49 6:37:12 5:57:05 14:13:55 1635 177

悔しくて、笑顔が出ない・・・
続く
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