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2007年10月01日
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カテゴリ: 読書
 たまたまイギリス人の書いたミステリとスリラーを一冊づつ立て続けに読みました。キングズリイ・エイミス『リヴァーサイドの殺人』とイアン・フレミング『カジノ・ロワイヤル』。

 『リヴァーサイド~』を読んだのは、エイミスが書くミステリってどんなんだろ、と思ったためで、存在を知ったのはピーター・クラーク『イギリス現代史1900-2000』の記述より。
 『カジノ~』は言わずとしれた007の第一作(今年も映画化されましたね)。イギリスにおける大衆小説の代名詞みたいな作品で、誰か構造主義者がテキスト分析までやっている。なのでいつか読まないとなあ、と思っていてようやく第一作が読めた。

 この2つを比べても仕方ないのかもしれないけど、立て続けに読んでしまったためひとまず比べてみると、『リヴァーサイド~』の方が圧倒的につまらない。翻訳も悪いけど、プロットもいい加減だし、設定にも相当無理がある。ミステリとしては二流。昔のミステリだから荒いのかなあと考えてみたけど、この作品が書かれた頃(1973年)には、既にルース・レンデルなんかが今読んでも十分面白いミステリを書いていた訳で。
 では「小説」としてどうかというと、無茶苦茶ご都合主義的な「少年の性の目覚め」などが書かれていてこれまたお粗末。 

 訳者小倉さんによると、エイミスにとって小説家の目的とは「普遍的な人間性を描くことにある」のであって、それはどんなジャンルを書こうが一緒、なのだそうだ。きっとつまらない原因はここにある。
 つまりエイミスは人間のことだけ書けば「人間性」が描けると思っているんだろう。でも本当は、人間の周りにある細かいことを丁寧に書かないと「人間性」なんて浮かび上がってこないのだ。もちろんミステリを書くならミステリとして一流のものを書いた上でその「人間性」とやらを書いてくれとまず思うのだけど。

 一方フレミングは「人間性」なんてもちろん考えていない。ボンド以下、登場人物の単純さといったらないのだけど、それでも彼は最低限の決まり事を守ってスリラーを作りその中で書くべきことは書いている、と思う。だから(まだ)面白い。そして皮肉なことにエイミスよりも人間味のある人物描写が出来てしまっているのでした。






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最終更新日  2007年11月10日 15時33分43秒
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