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2007年10月23日
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カテゴリ: 読書

殺人作家同盟

ダイヤモンド警視シリーズ最新作!!かと思って読んだのですが実は違いました。三分の一くらい読んでからあとがきをちょっと除いてようやく気付くという情けない始末。おまけに、ダイヤモンド警視(邦訳)最新作である『漂う殺人鬼』で新たに登場した女性警部が物語の後半から出て来て事件を解決するといういわばダイヤモンド警視シリーズの番外編みたいな作品で、これは『漂う殺人鬼』を先に読んだ方が良かったなあ、と思ったものの、そこで読むのを止めるのも嫌で結局最後まで読み切りました。

最初の方、ちょっと人物がごちゃごちゃしていて読みにくいのですが、それさえクリアすれば、後は見事なプロットと人間関係の描写の上手さに引き込まれるでありましょう。正直、ラヴゼイについてはこれだけでいいのですが、それだけでは何なのでもう1つ、2つ。

物語の後半がかなり過ぎてから、新たな容疑者が出現します。ここで例の女性警部がこんなことをつぶやきます。「わたし、暇を見つけてはアガサ・クリスティーのテープを聴いてるでしょ。デイム・アガサはね、物語がこんなに進行したあとで犯人を登場させるようなことは、けっしてしない人なのよ。だから、わたし、カリビエット[注:その新たな容疑者]が犯人でないことを願っているの」。

こんなことを実際の警察官が言うかどうかはともかく、こういうお遊びが隠れてるのもラヴゼイの魅力なのでしょう。近年のイギリス・ミステリを読んでいる方はご存知の通り、最近ではそういう古典的ミステリの「お約束」は滅多に守られることはありません。真犯人はしばしばかなり後になって出てくるし、もしそうでない場合も、決定的な証拠となるような事実が最後まで明かされないことも当たり前。つまり読者が犯人を「当てる」ことはかなり難しいのです。もちろんそれが悪いわけでは全然なくて、ミステリの楽しみ方が代わったということです。ただそれを分かりつつも、こうしたことを書いてしまうラヴゼイはお茶目だなあ、と思うのでした。

実際に犯人がその警部の願望通りに言ったかどうかはさすがに書きませんが、余計なことと思いつつ付け加えると、優れたミステリがそうであるように、読者を惑わすのが上手な作品であることは確かだと思います。つまり、真犯人に行き着く伏線も用意しつつ、そこから目をそらさせるような伏線もたっぷり張ってあるということです。警部の独り言も、ちょっとした読者の攪乱ですね。

最後に書いておくと、この題名と表紙何とかならないかなあ。何も知らない人が見たら、どんなにおどろおどろしい作品かと思ってしまいますよ。おまけに「サークル」という原題の含意が全然生かされてないし。本当にこんなにどぎつくしないと売れないのでしょうか。むしろこの本に見合った読者を逃しているような気がするんですけどね。





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最終更新日  2007年11月12日 16時14分16秒
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