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2007.03.14
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カテゴリ: 学生村
 □ 行う

 さて、「する」と回答した人がいますが、「する」を業務体と考えるのはムリでしょう。医学では「~術」を施行するという言い方をします。
 この言い方が果たして日本語本来の原理を踏まえたものであるかどうか、私にも実はよくわかりません。施行するというのは本来、法律を施行するなどとは言えても、それ以外にはあまり使わないことばです。
 もともと、医学には日常の言い方から遠ざかろうとする妙な意識があります。たとえば、しゃれこうべのことを医学用語で頭蓋骨(ずがいこつ)と言っていたものを、庶民がこのことばを覚えてしまうと、今度は「とうがいこつ」と読ませて、庶民のことばとは一線を画しようとします。
 本来、庶民にとっていちばん身近なものでなければならないはずの医学知識を、庶民が普段使わないことばによって表現しようという意図自体、所詮は患者よりも自らのプライドを重んじる医学界の体質を物語るものにほかならないわけですが、それはそれとして、日本語としての問題がないかぎり、用語は用語として、慣用表現は慣用表現として認めざるをえません。
 さて、問題の「施行する」です。これももともとは医師のプライドから生まれた表現か、さもなくばドイツ語ないし英語を翻訳するときに、たまたま辞書に載っていた訳語を用いただけの愚かな先輩医師がいて、さらにそれに輪をかけたように愚かな後輩医師がまねをしたことによって定着してしまったのではないかと思います。
 ただ、~形成術などに限定して「施行する」を使うのであれば、日本語全体に悪い影響を及ぼすことは考えられず、翻訳者も翻訳にあたっては積極的に用語として受け入れていいのではないかと思います。ただし、それはあくまで個々の術式に言及する場合であって、単に「手術をする」というような日常の表現を「手術を施行する」とするのは不可。
 最近は調子に乗って、実験等にも「施行する」を使う医師、翻訳者がいますが、業界の慣行を踏まえつつも、いちばん根底には日本語という「憲法」があるのだということを忘れないでほしいものです。

 なお、「行う」の業務体としては「施行する」のほか、「実施する」が考えられます。「実行する」は医学ではめったにお目にかかりません。また、若干、趣がちがうような気もします。


 × なされる

 誤用であると断定するだけの根拠は今のところ、もちあわせていないのですが、日本語のシステムにとってきわめて有害なもので、トラドキスタンでは「なされる」をウイルスに指定しています。

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Last updated  2007.03.15 10:25:39
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