さて、宇治十帖の話に戻りたいと思います。
宇治十帖の7番目、源氏物語の五十一帖「浮舟」の古跡は、三室戸寺の境内、鐘楼の脇にありました。

「浮舟」は、薫が27歳の春のときの話です。
浮舟のことを忘れられない匂宮(においのみや)はやがて、薫君によって浮舟が宇治にかくまわれていることを知ります。
ある夜、薫君を装って浮舟の居所に忍び込んだ匂宮。それに気付いたときは時遅し。しだいに匂宮に惹かれていく浮舟。
浮舟は、穏やかな薫君と情熱的な匂宮の間で板挟みになって苦しみます。そしてついに、ことが露見するに至り、死を決意します。
ところで「浮舟」の由来ですが、浮舟が匂宮に連れだされ、小舟に乗って宇治川の対岸に渡るときに詠んだ歌、
「橘の小島の色はかはらじをこのうき舟ぞゆくへ知られぬ」
にちなんでいます。
悲劇のヒロインであり、宇治十帖で重要な役割を担う浮舟ですが、しかし、源氏物語の中では名前を与えられていないんだそうです。訳本では浮舟として登場しますが、その名は後世になって定着した名前なんだそうです。このように扱われることは、浮舟の身分が低いからなのでしょうかねえ。
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