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「仏陀再誕」
。
笑いを押さえるのが困難な映画だった。
とりあえず、劇場で エンディングが始まった瞬間に速攻で帰った親子連れ
は、信者じゃなかったんだろうなって思った。
詳しいストーリーに関しては、散々あっちこっちでレビューされているのでここでは詳しく述べない。
しかしながら、中盤までは、 「唯物論者が霊界で裁判にかけられて地獄に落ちる」
などいつも通りの幸福の科学である。再誕した仏陀である 聖☆おにいさん
空野太陽も登場し、少しずつ盛り上がりを見せてくる。
少なくとも、ストーリー的に破綻をきたしているという訳ではない。
が、敵役である 荒井東作
なるキャラクターの陰謀が明らかになってから一気に雲行きが怪しくなって来る。
荒井は全世界に信徒を持つ巨大宗教組織「操念会」のトップ。
この世は弱肉強食、 自分に従う者だけが生き残れるという。
マキャヴェリストに近いと言ったらいいだろうか。大川総裁の絶対的正しさを際立たせるためとはいえ、あまりにも解りやすい 「悪役」
像ですなあ。
荒井は主人公の弟に悪霊を取り憑かせて死病を患わせる。
しかし大川総裁……もとい空野太陽先生のお力によって悪霊は退散し、弟は助かった。
ここまで観てて思ったが、荒井と空野って方向性が違うだけで、 胡散臭さはどっこいどっこいではないのか?
なお主人公の仲間になるキャラクターとして一人の女優さん (CV:三石琴乃)
が登場するのだが、彼女は空野が主催する団体の信者だった。
彼女が空野の語る仏法真理に触れて涙する場面は、 危ない宗教の怖ろしさをまざまざと見せつけてくれる。
本作屈指の名場面である。
そして初めは宗教に懐疑的だった主人公も、 空野に感化されていつの間にか信者に。
なん…だと…。
どうでもいいが、この映画は空野太陽が登場するとほとんど例外なく仏法についての講釈が始まるため、 途端に説教臭くなる。
束の間の平和。
主人公とその彼氏が夏祭りを楽しんでいると、
突如として夜空に無数のUFOが出現!
街を爆撃し始める
という突拍子もない展開に。巨大なビルが屋上にビームを浴びて、最上階から順番に爆発していくという場面は「インデペンデンス・デイ」のオマージュだろうか?
実は、このUFOを操っていたのは荒井だ。
日本国民を宗教によって支配せんと目論む彼は、念力を発してUFOの幻を見せ、それを自分が撃退したように喧伝する事で人々の信仰を得ようと企んだのである。
が、仏陀の加護を得た主人公が不思議なパワーを発するとUFOは消滅してしまう。荒井のマッチポンプ作戦はあっさり瓦解。
作戦が失敗した荒井は、 テレビ各局をジャック。
今度は念力で 巨大津波の幻
を見せ、日本中に「私を信じた者だけが助かる!」と放送する。恐怖に駆られて信心し始める国民の皆さん。
が、またもや主人公と仏陀の力で幻は消え去る。
荒井の目論見は再び失敗した。
度重なる失敗に、操念会の幹部も次々と荒井を見限った。
教団本部で屈辱にのたうつ彼の前に、怪しげな囁きが……。
しばし行方をくらましていた荒井は主人公を誘拐し、5万の観客で埋め尽くされた東京ドームへと 空中浮揚する謎のメカ
に乗って出現。
このメカの原理に付いて、 劇中では全く説明されない。
荒井の元には主人公が!
二度とも荒井の陰謀を破った彼女は、マスコミが取り上げたことで謎の美少女として国民のカリスマとなっていた。彼女に「荒井こそ再誕した仏陀」と宣言させることで、今度こそ野望を成就させようともくろむ荒井。
東京ドームの各所に爆弾を仕掛けた、観客の命が押しければ荒井こそが真の仏陀と言え!
荒井はそんな要求を突き付ける……って。えっ? もしかして一人で爆弾を仕掛けたのか?
それとも逃げ出したのは幹部だけで、下部構成員はまだ彼に付き従っていたというのか? その辺が少し不明瞭。
しかし、主人公は 「空野先生こそが再誕した仏陀!」
と敢然と言い放つ。
おめでとう!
主人公 は 『女子高生』 から 『信者』 に 進化 した!
信仰は人命よりも尊いのだッ!
激怒した荒井、彼女をメカ上から突き落とす。
彼氏が受け止めてことなきを得るが……。
と、そこへ我らが空野太陽先生のご登場である!
ついに勃発する 聖☆おにいさん
教祖同士の大決戦。
荒井が 黒いオーラ
を放つと、空野は 黄金に輝く剣
(どこから取り出したのか)を振るって攻撃を次々と切り伏せる。CGをフルに使った大迫力のシーンである。 いったいコレは何の映画なんだ?
また上述の通り、 空野が登場したのでまたもや説教が始まった。
次第に劣勢なる荒井。
すると、彼の体内から悪魔『覚念』が出現する。
荒井は、この悪魔に操られていたのだ!
とりあえず、デザイン的には 「陰陽座の 瞬火
あたりに僧衣を着せて、思いっきり目つき悪くした」
感じだ。ちなみに、中の人は 三木眞一郎
である。
なおも戦いは続き、覚念は空野によって封印された。
空野は悪魔を断罪するも、荒井本人は「そなたもまた仏の子」と言って赦した。
全てが落着すると、何故かCGで描かれた天使が大量に出現。
空野はついに自らが再誕した仏陀であることを宣言するのであった。
仏法真理を説く映画で天使が登場するというのも解せないが、もっと不可解なのは、この場面の CGがとんでもなく適当
なことだと思う。喩えるなら 「一昔前のゲーム」。
ついさっきまであんなにバンバン派手なCG使ってたのに、何があったんだろう。
翼をください (※微ネタバレ) 2009.07.20
「歯ギター」もちゃんとあった 2008.09.29
堂廻目眩 2008.09.26