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カテゴリ: Book Review
「サクラ咲く」(辻村深月、光文社文庫)を読む。

「約束の場所、約束の時間」「サクラ咲く」「世界で一番美しい宝石」の3つの中篇からなる1冊。最初の2作は連作短篇としても読める。

「約束の場所~」は、病弱な転校生が中学に転校してくる話。これがまさかの学園SF。しかし、SFっぽさを感じさせない。

表題作「サクラ咲く」は、図書館の本の間に挟まっていた「サクラチル」と書かれた便箋を発端に始まる本を使った文通の話。文通相手は誰なのか、という意味でこれは学園ミステリと呼んでも差し支えあるまい。

「世界で~」は、高校の映画同好会のメンバーが作品を撮影すべく主演女優を探す話。主演にピッタリの女子生徒を見つけるも、なかなか説得できない。どうも過去に何かあったようなのだが…こちらもある意味学園ミステリ。

で、どれもSF・ミステリの味を残しつつ、それでも学園小説・青春小説である。中学生・高校生の揺れる心が見事に描かれている。巻末解説のあさのあつこ氏によれば、十代特有の人生に揺れる心の描写が見事とのこと。私もそう思った。読み終わった後、ふぅっと息が自然に出てきて、心が洗われる気がした。あさの氏は、もう自分は人生を云々できる歳ではないと書いているが、私は人生を考えなくなったらおしまいだと思っているので、十代ではないがこの本に出会えてよかった。もちろん、リアル十代でこの本に出会えていたら、今よりもっともっと心揺さぶられるものがあっただろう。

あとは蛇足。「サクラ咲く」では「遠い日の歌」を合唱するシーンがあるが、私も中学時代に歌った曲なので懐かしく思った。たしか文化祭の合唱コンで歌ったのは「大地讃頌」「黒い瞳」とあと1曲は忘れてしまったが、久しぶりに思い出した。中学時代のことは基本思い出したくないが、これはいい思い出である。

「世界で~」では、映画の主演を頼まれた女子生徒が図書室で読んでいる本の筆頭にスティーヴン・キングの名前があった。キングと辻村と言えばデビュー作「冷たい校舎の時は止まる」である。やはり辻村はキングが好きなのだろう。

最後に巻末解説から引用させて頂こう。作品があまりに素晴らしかったので、作中からの引用は無粋に思われたからだ。







これで今年45冊目。


サクラ咲く/辻村深月





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Last updated  2014.10.24 04:01:35
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