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カテゴリ: Science
「暗号解読(上・下)」(サイモン・シン、新潮文庫)を読む。

古今東西の暗号の歴史・科学・技術とその背景にある人間・社会の問題について、非常に広範で専門的でありながら判り易く解説している作品。スコットランド女王メアリーの暗号に始まり、バベッジの解析機関、第二次世界大戦時にドイツ軍が使用したエニグマ暗号、エジプトのヒエログリフやギリシアの線文字Bといった古代文字の解読、近年の情報化社会で用いられるようになったDES暗号やRSA暗号、暗号の保護論者と規制論者の政治的論争、そして現在から未来に向けての新しい科学・技術である量子コンピュータ、量子暗号に至るまで、記述の対象は幅広い。そして例えばアラン・チューリングがエニグマ暗号を解読した時のエピソードなど、暗号とその解読を巡る人間・社会のドラマも活き活きと描かれている(もちろん私は戦争を賛美するつもりは毛頭ないが)。

個人的には、IT業界にいる人間としてちょっと情けないかも知れないが、DES暗号やRSA暗号が二進数レベルや数学レベルでどういう理論を基礎としていて、どういう挙動をするものなのかを始めてちゃんと知ることができたのも大きな収穫のひとつだ。

そして秀逸なのは、底本の末尾に付けられていた読者への挑戦状ともいえる暗号解読の問題と解答および解答に至るプロセスが示されていることである。特にこのプロセスの一部では訳者の青木薫氏らがチームを組んで実際に暗号を解読した様子やその時の気持ちが記されており、暗号解読とはこういうものなのかと実感できる。

以下少し気に入ったところを引用。



(マーティン・ヘルマン)

犯罪者が悪用するかもしれないからといって、特定のテクノロジーをすべての人に対して禁止するなどというのは実にお寒い政策だ。強盗は指紋を残さないように手袋をはめるかもしれないが、合衆国市民は自由に手袋を買うことができる。手袋が手を保護するテクノロジーであるように、暗号はデータを保護するテクノロジーなのだ。


これで今年31・32冊目読了。


暗号解読(上)/サイモン・シン


暗号解読(下)サイモン・シン





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Last updated  2015.05.05 13:42:45


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