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カテゴリ: Book Review
「きのうの影踏み」(辻村深月、角川文庫)を読む。

ホラーの短篇集なのだが、全体として独特な世界観が通奏低音的に存在しているなぁと思った。短い作品は4~5ページ程度、長くても20~30ページくらいの作品群は、どれも普通の日常生活のすぐ裏にある影みたいなものを描いている。ホラーと言っても「怖い」という感覚よりも寧ろ「うすら寒い」といった感覚に襲われる。ジワジワと背後から怖さが来る恐怖。

例えば「手紙の主」は、「実体化する思念」みたいなものを描いていて、キングの「ダーク・ハーフ」を思い出したが、またアレとは違う種類のホラーだし、「やみあかご」や「だまだまマーク」なんかは、子育て中の人が読んだらより怖いタイプの作品。私の一番のお気に入りは「噂地図」という作品で、本書の中でもミステリ色が濃いのと結末の意外性と示唆性もあって、面白怖い作品だと思う。

あと、これは邪推にも程があるが「私の町の占い師」で辻村の三年後の直木賞を予言した占い師、これは本書中唯一の実話なのではと思った。

辻村と言えばドラえもんだが、本書の作品たちは「少し不思議」でダークなホラー、といった感じだろうか。

以下、気に入ったところを切り取らせてもらう。

呼ばれても、絶対に後ろを向かないでください。
(「スイッチ」より)

恐怖とか嫌悪は、興味があるという点においては、好きという感情とも紙一重だ。
(「ナマハゲと私」より)





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Last updated  2018.12.12 10:14:33
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