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カテゴリ: Book Review
「〇〇〇〇〇〇〇〇殺人事件」(早坂吝、講談社文庫)を読む。

早坂のデビュー作にして、援交女子高生探偵「上木らいちシリーズ」の第1作。意味深なタイトルの「○○~」の部分には、発生する事件の様子を言い表すことわざが入る。これを読者に当ててもらおうというのが著者からの挑戦状である。まぁいきなり当てるのは難しいだろうからと、ご丁寧に例題まで用意されているのだが…私はこの例題も判らなかった。だって「猫」が閉じ込められた「箱」って言われたら、ことわざじゃなくて「シュレーディンガー」が頭に浮かんだものだから。

それはともかくストーリーは、公務員の沖らアウトドアの同行者らが小笠原諸島の「再従兄弟島」なる孤島(仮面の男・黒沼の所有)で、夏休み恒例のオフ会を開催するところから始まる。そこに常連メンバーの一人に連れられてらいちが初参加。ところが、島に着いた翌日メンバーの2人が失踪、さらにらいちを連れてきたライターの成瀬が殺害され、おまけに女性メンバー2人が内から鍵をかけた密室で発見されるという謎の出来事も発生。果たして事の真相は? そして「○○~」に入ることわざは? というミステリ。

このミステリ、「そんなのアリかよ」と言いたくなるような大前提が伏せてあって、勿論それが判らなければ犯人もことわざも判らない。勿論、私も判らなかった。だけど、大前提につながる伏線はいくつもあって、それには私も気づいていた。例えば、ラーメンのスープがはねてシャツが濡れたシーンで、普通ならシャツを着替えると思うのだが、主人公の沖はシャツを乾かしてそのまま着ていたシーンなんかは、読んでいて「!?」となった。他にも似たような伏線はいくつもあるのだが、大前提の意外さ故に全く辿り着けなかった。でもまぁ、その意外性ゆえに頭をガーンと殴られたような面白さを味わえたのであるが。

まぁ、ことわざを当てられなかったことへの意趣返しというわけでもないのだが、私はミステリを読むとき犯人当てとかを基本的にしない。潔く犯人に騙され、探偵役の名推理を読んで納得するという主義なのだ。そのほうが作品世界に没入できるし、「当ててやるぞ」と息巻いて読むのは面白さが半減する気がする。例えば、マジックを見る時にタネを見破ってやろうとして見るか、純粋にマジシャンの技に見とれて楽しむか、の違いである。勿論私は後者派。

(以下ちょっとネタバレ)それにしても犯人さん、あなたその道のプロなんだから、アレがみんなに丸見えになることが判っていたなら、何故事前になおしてから島に来なかったんだろう? ちょっと気になったもので。

以下、気に入ったところの引用。

「俺たちだって働き続けなきゃいけない限り死んでいるようなもんさ……」

「女の子とご飯は待たせるなってのが俺の信条ですから」

敵に回すと恐ろしいが、味方に付くと頼もしい。





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Last updated  2018.12.04 08:16:41
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