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カテゴリ: Book Review
面白い小説との出会いはどこにころがっているか判らない。この作品を見つけたのは、キングの文庫本の巻末の既刊案内だった。印象的なタイトルと数行のあらすじに心を捉えられた。しかも、近所の図書館にあることが判り、早速借りて読んでみた。

まず著者の経歴が興味深い。幼くして視力を失い病床で小説のテープを濫読。視力回復ののち大学で統計学を専攻、MBAを取得。有名企業に勤めるも夢を叶えるため本作で作家デビュー。

そんな筆者が放つ本作は、大学院で統計学を学ぶケインが癲癇の発作を抑えるために主治医が開発した実験新薬を服用したところ、予知能力に目覚めるところから始まる。物語中盤までは何人かの登場人物に関する話が並行して進む。ケインを守ることになるCIAの女暗殺者ナヴァ、ケインの兄ジャスパー、ケインをつけ狙う諜報機関NSA(国家安全保障局)のメンバーなどなど…。そして終盤で戦いの構図が見えてくる。ケインvsNSA。すると物語は一気に加速。最後の一行まで何が起こるか判らない面白さを感じた。

本作はSFサスペンスで、確率・統計・量子力学などの専門用語がちりばめられていながらエンタメに徹しており読みにくさは感じない。不確定性原理や粒子と波動の二重性、いわゆる「バースデイ問題」などがしっかり解説されているところも面白い。何といっても最初のシーンでケインはポーカーをしており、天才的計算能力を持つ彼が自分の勝てる確率を瞬時に計算するという稀有な特技を発揮している。そこを読んだだけでも先が間違いなく面白いと思わせるものがある。

久しぶりに初読の作家の作品を堪能した気がする。

以下、印象的だった箇所の引用。

妄想にとりつかれた人間に、それが妄想だとわかるのだろうか?

高校。あのころ、ケインは卒業する日が待ち遠しくてたまらなかった。ところがいまは、当時のシンプルな生活に戻れるものなら、なにをなげうっても惜しくない。

現実を予言する最高の方法は、正しい答えを計算することではなく、間違っている確率がいちばん低い解答を考えることである―そうラプラスは示したわけだ。

慎重に決めた計画は……いつでも失敗する。

安全性を考えて高性能プラスティック爆弾をほんのわずかしか使わない爆破スペシャリストなど、クロウは見たことがない。





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Last updated  2019.05.11 17:13:26
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