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カテゴリ: Book Review
「探偵AIのリアル・ディープラーニング」(早坂吝、新潮文庫)を読む。

昨今何かと話題のAI。私が初めてAIと出会ったのは小学生時代、DQ4の戦闘システムに組み込まれていたものだ。そのAIは何かと問題があったのだが、それはともかく、そんな私にとってAIは「昨今急に出てきた技術」では決してない。が、社会的にはそうである。そんな現代のAIに関する基礎知識やそれを取り巻く状況、今後の展望(特にAIが将来的に人間を支配するか否か)などを題材とした本作は、AI解説書ではなく小説であるが故の読みやすさ、判りやすさがあった。勿論、純粋にミステリとしても面白い。

AI研究者であった主人公の父は、「探偵」と「犯人」の双子のAIを残して火事で死亡してしまう。主人公の輔は父の死に疑問を抱き、残された「探偵」AIの「相以(あい)」とともに謎を追い始める。その過程で発見したのが、不完全な人間に変わって完璧なAIこそがこの世界を支配すべきと考えるカルト的テロ集団「オクタコア」だった。また、輔の父がAIを作った動機が母の死の真相追究にあったことを知った主人公は、そちらの真相にも「相以」とともに迫っていく。しかし、輔の動きを阻止しようとする者が次々と現れれる。輔と「相以」は協力して立ち向かっていくが…というお話。因みに「エロ」はなし。

各章には「フレーム問題」「シンボルグラウンディング問題」「不気味の谷」「中国語の部屋」といったAI関連用語がつけられており、またストーリーを追うごとにAI用語の基礎知識が自然に理解できるようになっている。下手な解説本より判りやすい。特にAIの「相以」が「人間性」や「感情」といったものを徐々に「学習」して「理解」していく様子は、機械的なAIのイメージを改めさせる感じがする(いや、私は元々AIに感情は学習できると思っていたが)。要はAIに関するイメージが変わると思う(だからこそ、結末がああなるのであって…)。

それにしても、早坂ってエロなしでもここまで書けるんだ。本作も「AIの皮を被った本格ミステリ」で、しかも「人間の本質」に迫る意欲作と言えると思う(「皮を被った」といっても早坂に毒されたわけではない)。

ひとつだけ、AIと関係ないところで指摘したいことが。それは、「2本の指を立てて相手の目を突く」という格闘シーン。これではまず目に当たらない。指と目がピンポイントで合わないとダメだからだ。ではどうするか?正しい目潰しの仕方は、手指を全て伸ばし、相手の目の周辺をひたすら薙ぎ払うのである。これなら当たる確率は格段に上がる、って私もTVで見た知識だけど。

以下、印象的だった箇所の引用。

「このアバターは気に入っていただけましたか。パソコン内に保存されている、女性の画像である確率が高いファイル群をディープラーニングし、あなたの好みに合いそうなアバターを作成しました」

「むしろ一日で千冊読めるなんて凄いよ、羨ましいよ。僕なんか死ぬまでに読みたい本を全部読めるかどうか心配になるくらいなのに」





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Last updated  2019.06.16 08:33:28
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