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カテゴリ: Book Review
「身元不明―ジェーン・ドゥ―特殊殺人対策官箱﨑ひかり」(古野まほろ、講談社)を読む。

「セーラー服と黙示録」シリーズ以外で初めて読む古野作品。適当に図書館の書架から選んだのだが、これが凄く私好みの作品で…まぁとにかく凄かった。

時代は2020東京五輪の後。五輪のために新設された東京メトロ湾岸線・日比谷駅のアクアリウム内に女性の全裸死体が浮いているのが見つかる。死体は片耳を切断され、おまけに致死量の血液が抜かれている。死体とともに水槽内から見つかった耳とペットボトル詰めされた血液は、DNA鑑定で女性とは別人のものと判る。すなわち、もう一人殺されている。

そんなところから始まるミステリは連続猟奇殺人・死体遺棄事件の様相を帯びてくる。そしてこの事件の捜査の陣頭指揮を執る箱﨑は何故か初っ端からゴスロリファッションで登場。定年間近の無気力巡査部長・浦安を引っ提げて、独自の勘と刑事らしい論理性で事件の謎に挑む。

ところがこの事件、そう簡単ではない。いわゆる「フーダニット・ハウダニット・ホワイダニット」どれをとっても一筋縄ではいかない難解さ。おまけに陰陽五行説までかかわってくるというから、犯人が誰で何を考えているのか判らないし、その背後にあるより大きな(そしてとんでもない)陰謀の全貌など知る由もない。猛烈な勢いでいろいろな事件が起こり、事実が判明していくので、先がどうなるのかが楽しみで、一気に読んでしまった。しかしこの事件とその背景、なんとも凄すぎるとしかいいようがない。これは、他の古野作品も読んで見なくては、という気持ちになった。

鉄道ファンの中には、独自に路線を考えて楽しむ人もいると聞く。本作の「湾岸線」のルートは、大体以下の通りの環状線だ。東京湾岸を「Y」の字を横倒しにしたような軌跡を描く。

品川→台場→青海埠頭→大井競馬場→羽田空港国際線ターミナル→羽田空港国内線ターミナル→海の森公園→若洲海浜公園→舞浜→夢の島→有明→豊洲→晴海→日比谷→品川(戻り)

しかも舞浜からJR京葉線、日比谷から都営三田線など各方面からの乗り入れもある。この路線、本当にあったらけっこう便利なのでは、と思う。

最後に、印象的な箇所の引用。

「質問に質問を返すなって、東大じゃ教えてくれなかったか?」

「クソみてえな組織だが、そして必ず夢を裏切る組織だが、夢見てる奴がいねえと本当に腐る。もし風穴を開けられる奴がいるのなら、それは末広みたいな我武者羅莫迦さ」

「私は一流の職人しか信頼しないので。」






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Last updated  2019.07.23 07:17:05
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