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カテゴリ: Book Review
「DANCER」(柴田哲孝、文春文庫)を読む。

筑波の大学の遺伝子工学研究施設から「ダンサー」と呼ばれる謎の生命体が失踪。その際研究員2名が噛みつかれて死亡。その後、「ダンサー」によるものと思われる殺人事件が都内でも相次ぐ。一方、かつて誘拐・監禁の被害経験のある美しい踊り子・志摩子のもとを再びストーカーらしき男が訪れるようになる。やがて志摩子の周りの人々が次々に猟奇殺人の被害者に。

実はストーカー男の三浦は件の大学の研究員で、「ダンサー」が志摩子を狙っていると考え、彼女を守ろうとしているのだった。また、三浦の父・有賀も息子が巻き込まれた事件の真相を知ろうと、筑波の大学を訪れるなど独自に動き始める。やがて、志摩子・三浦・有賀とその愛犬ジャックは、4人で謎の生命体「ダンサー」を迎え撃つことになる。

「ダンサー」を生み出した研究室ではES細胞やキメラなどの研究を行っていたが、そこで生み出された「ダンサー」はただの遺伝子操作生物ではなく、とある目的のためだけに作られたものなのだが、その真相は読んでのお楽しみ。意外過ぎる真相に正直驚いた。

本作を読んで連想したのは、スティーヴン・キングの「ドクター・スリープ」。あれのバイオ・ホラー版といった感じがする。本作はホラー色はそこまで強くなく、科学的な背景がはっきりしているが、それでも正体不明の謎の生命体「ダンサー」による連続殺戮と、それに続く「ダンサー」との対決は読みごたえ抜群。

加えて、人物描写も巧みだ。両親が離婚後母方の姓を名乗っている主人公の三浦とその父・有賀の微妙な関係性だったり、一見華やかに思われる踊り子という職業の志摩子の裏の姿というか実態だったり、そして有賀の愛犬ジャック、彼の持つESP能力はこれまで有賀を幾度となく救っており、今回の対「ダンサー」戦においても活躍する。少し変わってはいるが、何となく微笑ましい家族の姿が見られる。

因みに至って個人的な感想だが、踊り子といえばDQ4のマーニャを連想する私であるが、本作の踊り子・志摩子はマーニャ的側面も勿論持っているが、DQ7のアイラといったほうが比喩としては適切かもしれない。まぁどうでもいいけど。

以下、気に入った箇所の引用。

素人に対して専門用語を多用するのは、医者などがエリート意識を誇示する常套手段だ。

科学は万能ではない。時として科学者は、自らの予測の範囲を超えた存在をこの世に産み出してしまうことがある。科学者は、けっして神にはなれない。

「主義の問題さ。実用品は使えれば何でもいいが、嗜好品に贅沢を怠ると、男は精神が枯渇する」






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Last updated  2019.12.02 07:32:11
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