一九四五年11月、アメリカ哲学会のフィラデルフィアの学会に招かれたオッペンハイマーの講演は、
その録音テープから流れる彼の沈んだ声を通して聞くことができる。
原爆はそんなにひどく悪い兵器ではないと言う人たちがいます。
ニューメキシコの実験の前は、何平方マイル壊滅できるか、
TNT火薬で何トン分かなどと検討し、空襲で荒廃したヨーロッパの写真を見ながら、
私たちも同じようなことを言っていました。
しかし、実験の後はもう言いませんでした。
僅かな人々が笑い声を立て、僅かな人々は泣いた。
殆どの人々は黙っていた。私は、ヒンズー教の聖典バガヴァド・ギータの一行を思い出した。
ヴィシュヌは、王子がその義務を果たすように説得を試み、
王子を威圧するために、自らは、多数の腕を持つ姿に変身して、
今や我は死となれり、世界の破壊者となれり と語る。
私たちの誰もが、あれこれ何らかの形で、そうした考えを抱いたものと私は推察する
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