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くーる31 @ 相互リンク 突然のコメント、失礼いたします。 私は…
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masashi25 @ コメント失礼します☆ ブログ覗かせてもらいましたm(__)m もし…
Tessera @ どうもありがとうございます。 カモメ7440さん 激励を頂き本当にありが…
カモメ7440 @ うまい! おそらく散文詩だと思います。 ショート…

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Jul 1, 2006
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カテゴリ: 柔らかい思念
満員電車の中で窓に後頭部を押し付けて居眠りをしている男がいる。

口がぽっかりあいて、見る角度によっては、上側の歯の裏側すら見える。しかし、わたしが動けなくなったのは、彼の真正面から口の中を覗きこんだときだ。光がまったくはいりこまないのだろう、ぽっかり開いた口のすぐそこに小さな闇の空間ができている。
その入り口はとても小さいのだが、闇がそこから人間の頭の中にむかって無限に広がっているように見える。

人間の中は無限の闇だ。それぞれの人間がそれぞれの無限の闇を持っていることにわたしは恐怖を感じた。うっかり人々に近づいてはいけない。小さな口が開いて、その体内の闇の中にわたしは吸い込まれていくのではないかと怯えた。闇の無限性に耐えられなかった。
満員電車の中で口を開けて眠る男の前から急いで逃げようと思ったが、わたしは動けない。目をそらそうとしたが、その小さな口の中の闇が引きつけて許さない。

わたしはあぶら汗をだらだらと垂らしながら、必死に吊り革にしがみついている。次の駅に着く前にその闇の中に引き込まれないようにと祈りながら。





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Last updated  Jul 9, 2006 10:42:30 PM
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