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くーる31 @ 相互リンク 突然のコメント、失礼いたします。 私は…
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masashi25 @ コメント失礼します☆ ブログ覗かせてもらいましたm(__)m もし…
Tessera @ どうもありがとうございます。 カモメ7440さん 激励を頂き本当にありが…
カモメ7440 @ うまい! おそらく散文詩だと思います。 ショート…

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Aug 26, 2007
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カテゴリ: 柔らかい思念
25年間もわたしは同じ会社の同じビルの同じフロアに通っている。
わたしには未来がない。それでも毎日同じことを繰り返す以外にわたしは何もできない。

会社のエレベータの地下一階から乗り込んだ時には誰も同乗者がいなかった。早朝はそんなことが多い。
でも、その日エレベータがわたしの行き先階である9階を目指して上昇していく時に、わたしは誰かがこのエレベータの中にいると思った。
エレベータの一隅に彼がいた。物理的には見えないのだが、彼の意識が存在していた。
彼はわたしを見ているわけではなく、いつもの私と同じように9階に着くのを待つだけの手持ちぶたさを紛らわそうと、エレベータの現在位置を示す表示パネルを眺めている。わたしは物理的には見えないにもかかわらず、彼がそのようにしていると感じた。

一度彼の存在に気づくと、わたしがエレベータに一人で乗ると必ず彼がいるようになった。
そして彼が彼らになった。エレベータの四隅のすべてに彼らが立っていた。
わたしは努めて気にしないようにした。彼らは決してわたしに危害を加えない。


最初から同乗者がいると彼らは現れなかったし、また、最初はいても途中から誰かが乗り込んでくると彼らはいなくなった。とにかく、誰もいないと地下一階から9階までわたしにつきまとい、9階に到着すると彼らはいなくなった。
気にしなければ大きな問題はなかったのであるが、さらに彼らの人数が増え、エレベータの4隅だけでなく彼らが立ち始めた。乗り込む時は確かに人がいないのに、わたしが乗り込んでドアが閉じるとたくさんの彼らがいる。

だんだんわたしは身動きができなくなってきた。意識としての彼らはわたしに物理的に接触することはなかった。しかし、彼らは存在し、それを証明するかのようにわたしを威圧してくる。直属の上司、その上司の上司、とても偉い上司がそばにいるときのような、わたしがここで25年間勤務して感じてきたものと同じようなさまざまな威圧をわたしは感じた。そのためであろう。わたしは動けなくなった。緊張して手が、足が動かなくなった。

ある日の朝、わたしはもうだめだと思った。
わたしがエレベータに一人で乗り込むと、今やそこにかつてないほどたくさんの彼らがいた。
ドアが閉じエレベータが上昇し始め、わたしはもう逃げられないと観念した。立ち尽くす彼らの数があまりに多い。わたしは満員電車の中のような圧力を感じ、わたしの体は締め付けられていく。冷や汗が出てきた。呼吸すらうまくできない。
9階に着くまでわたしの意識があるかどうかわからないが、確かに彼らは存在する。








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Last updated  Sep 3, 2007 01:24:52 AM
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