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やっと晴れた朝、陽の光を待っていたかのように蝉が鳴き出しました。「み~ん みんみんみ~んん」真っ先に鳴き出したのは一匹のミンミンゼミ。心なしかゆっくりしたテンポです。エゾゼミが追いかけるように鳴き出しました。こっちは一匹ではありません。タバになっての大合唱。森一杯に響くような声に、ソリストのミンミン君もかすんでしまいました。あんな土砂降りの雨の中、蝉たちはどこにいたのだろう。空気が白く霞むような雨では、雨粒の攻撃から身をかわす場所は、ないはずです。もし雨に濡れない秘密の場所があるなら、私にも教えてほしい・・・。八ヶ岳の森の様子はこちら
Aug 31, 2008
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今日、お墓参りにいってきました。花と手桶を持ってお墓の前に立つと、お盆に親戚が供えていった花がまだ生き生きとしていました。ご住職に挨拶に行くと、笑顔で迎えてくれました。ゆっくりした動作と噛み締めるように話される様子を見ていると、お年を召されたな、と。そんな心を見透かすように、「君は今年、いくつになった?」と、おっしゃられました。梅雨の終わりを告げる篠つく雨は、やっと小やみになり、寺をあとにしました。
Jul 18, 2008
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学生時代からもう何度も読んだのに、ある日、発作的に読みたくなるのです。本屋の店先で、探せば家にあるのはわかっていながら、買ってしまう。そんなタイトル、ありませんか。私にとって「こころ」がそうです。本棚を探したら、おそらく2~3冊は見つかるんじゃないでしょうか。そして、今回も買ってしまいました。だって、表紙カバーが限定で真っ白だったんだもん。出版社の計略にまんまと引っ掛かったと知りつつ、レジに並んでしまう自分が悲しい。で、久しぶりの「こころ」。どんなふうに読んだかこちら。をご覧下さい。
Jul 17, 2008
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銀座で用事を済ませて、人々が忙しく行き交う舗道にしばし立ち止まり、なんとなく思い立って日比谷公園まで足を伸ばしてみることにしました。子どもの頃替え歌で歌った「ひび~や公園ぶ~らぶら♪」を頭の中で口ずさみながら、晴海通りを西へ向かって、ガード下で蕎麦を食って、交差点を渡った先にその公園はありました。しょっちゅう前を通っているし、日比谷公会堂や日比谷の野音は何度も出掛けたことがあるし、こちらとしてはまったく何気なく、”いつもの公園”のつもりで園内に入ると、真正面に、大きな朽ちた樹がありました。吸い寄せられるように斜面を登って、それを間近に見た私は、思わず息をのみました。地面から数メートルのところで途絶えたその幹は大きく裂けて、まるで断末魔の叫びをあげたまま硬直してしまったかのようです。積年の営みを物語る木肌は、かつて根から養分を枝葉末節に運んだ管を露にして、その規則正しい矩形と緩やかな曲線はまるで幾何学模様のようでした。あちこちに、蝉の脱け殻が取っ付いていました。この脱け殻の主達も、今頃はその寿命を終え、土に帰りつつあるんだと思うと、生き物たちの営みがいとおしく思えて、喉の奥のほうがつんとなりました。
Oct 2, 2007
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不意の雨でした。PM11:00、遅い夕食をとろうはいったラーメン屋で、二本目のビールを飲み終わっても雨脚は弱まるどころかますます強くなって、アスファルトに叩き付けられた雨粒が白いしぶきになって行き交う車のヘッドライトに浮かび上がっています。三本目を注文するか、ずぶ濡れ覚悟で帰るか。濡れると言っても、この雨では半端な濡れ方ではすまされまい。とにかく店を出て、目の前のコンビニに飛び込みました。入り口脇にビニール傘が数本あります。一本手に取ってから窓の外を見ると、空車のタクシーが二台ばかりとまっていました。一本500円の傘と、ワンメーターのタクシー代。タクシーに乗ればほとんど濡れないですむけど、傘を買えば多少濡れても手元に傘は残る。傘を戻してしばし考えました。買うべきか、乗るべきか。そうこうしているうちに一台のタクシーが客を乗せて走り去り、傘は次々と売れて、あと3本。持ち物に濡れて困るものは、ない。よし、傘だ。レジでお金を払って、自動ドアが開くか開かないうちに傘をひろげ、篠つく雨の中を猛然と走り出す。十歩も行かないうちに、Tシャツが肌に張り付く感触がしました。横断歩道にさしかかったところに大きな水たまりが出現していて、ちょっと迷ったけどえいとばかりに飛び越えたら、はねた水でジーンズの裾が一気に重くなりました。走れ、走れ、髪の毛から滴る水が容赦なく目に入り、滲んだ視界に見えるのは川のような道。傘はまったく役に立ちませんでした。風であおられる傘をすぼめて走ると、滝のようなしずくが腰のあたりに流れ落ちて、ジーンズはなお重くなります。タクシーに乗れば良かった。エレベーターの中で、びしょびしょになった床を見ながら、そう思いました。
Aug 24, 2007
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山から下りたら、とんかつ定食、略してカッ定。立派な駅ビルの中に、東京でもおなじみの「とんかつ和幸」でロースかつ定食を食べて、東京まで3時間の列車の旅。ビールと行動食の残りではちょっと寂しいかと思って、本屋さんで文庫を一冊買いました。蓮見圭一著「ラジオ・エチオピア」タイトルに惹かれて手に取りました。厚さも、ビールで眠くなったって読み切れそうだし、ま、いっか。一本目の缶ビールを飲み終えてから、読みはじめました。ワールドカップ日本大会の年、主人公で妻子ある男性「僕」と、離婚歴のある女「片山はるか」との大人のラヴストーリー、早くいえば不倫のお話。ストーリーの展開に必然性は感じられず、唐突に提示される事実は私の理解を超え、張られた伏線は最後までわからずじまい。いきなり「メールのやり取りを妻に読まれていた!」なんて言われても、「え、そうなるんだ?」って感じ。話の脈略上あまり意味はないと思うのは私だけでしょうか。それでも救いはありました。「はるか」の「僕」宛に出すメールの文章の美しいこと。恋をした人はみんな詩人だと言うけれど、彼女の燃えるような思いが伝わってきてます。熱く、深く。優しい。それでいて少しわがままで、こんなメールをもらったら、誰だって恋に落ちるだろうなと思わせる文章です。この部分に関しては売れっ子作家の面目躍如というところでしょうか。そしてこの部分は、全編のかなりを占めています。それに対して、「僕」の返信が作中にまったく登場しないのは、主人公の軽薄さを浮き彫りにしようとする作者の意図なのかしら、そう思うほど、「僕」の人となりは描かれていません。こうすることで作者は、「はるか」のメールに読者のフォーカスを持っていこうとしたのかな。それもわからなくはないけれど、それだけじゃ小説として成り立たないと思うのです。この作品には、いろんなものが登場します。グラッパにカルバドス、アニアのワイン、マッカラン・・・。代官山の一戸建てに等々力のマンション。タクシーで第三京浜を飛ばして帰る横浜の自宅。何ともバブリーな香りがプンプン。本質を知らないでうわべにこだわる軽薄さは、否が応にも鼻につきます。極めつけは「音楽」。「はるか」の好きなクラシック音楽が作中ではキーを握っていますが、登場する曲も演奏も、なんか変。一貫性がないと言うか。主にバッハとモーツァルトですが、おそらく作者はクラシックに縁遠く、本作を書くにあたってわざわざ調べたんではないでしょうか。だとすると、あまりにも取材不足です。付け焼き刃と言うか・・・、作者は自身が聞いたことのない曲を取り上げているんじゃないかと思うほどです。百歩譲って、まるきり傾向も解釈も違う演奏を「はるか」に好きだと言わせて、このことで「はるか」のエキセントリックな性格を表現しようとしているならば、はっきり言って失敗だと思います。知らない人には作者の知識のひけらかしとしか見えないし、知ってる人にはとっては居心地の悪い文章としか感じられないと思うのです。これを読んで、ベストセラーになった「水曜の朝、午前三時」がどんな作品か、興味がわいてきました。Simon&Garfunkelの名曲をタイトルに冠したお話がどんなものなのか。というわけで、こないだ本屋さんで見つけて買ってしまいました。
Aug 15, 2007
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テントで仰向けになると、目に入るのはテントの布とそれを繋いでいる「縫い目」。布の端を二重に折り返して、アールを描きながら延びる縫い目は、おそらく人が手で縫ったものなんでしょう、微妙な揺らぎがあります。だいたい、テントの中で話題がつきると、見るとはなしに見るのはこの縫い目か、コンロの炎でした。この縫い目を見ながら、いろんなことを思ったっけ。当時所属していた山岳会では、正月と五月の連休。それにお盆の時期と、年に三回合宿がありました。合宿の行先は年間計画で発表されているので、各自予定されている山域で目標とするルートを決めて、それに照準を合わせてトレーニングを重ねて合宿にのぞむわけです。でも、必ずしも希望のルートに行けるとは限らない、むしろ行けないことのほうが多かった気がします。天候やその年の山の状態、パーティー全体の都合、自分自身のトレーニング不足。もし行けたとしても、必ず登って来れるとも限りません。思い出してみると、落ち込んだ時にこの「縫い目」を眺めていたことが多かった気がします。夏なら、灯りに誘われた虫が縫い目に沿って這っていたり、雨が降れば、縫い目のむこうに現れる水滴が作った幾何学模様をじっとみていたり。眺めているというより、ただ視線がそこにあると言ったほうが正確かも知れません。頭の中はまったく別のことがぐるぐる回っていて、そんな思いの出口が視線の先の「縫い目」だったののでしょう。そして必ずたどり着く結論が、「山は逃げないから」でした。またくればいいじゃん、そういって慰めてくれた先輩もいました。今になって、いい言葉だと、つくづく思います。あの頃は、実は気持ちに折り合いをつけられないまま山を下りていました。でも、おかげで今また、こうして山に来れるんだと思います。
Aug 14, 2007
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真夏の光は、全てのものを輝かせる。空に向かっていっぱいに広がった木々の葉も、しなやかに風を受け止める枝も、燦々と太陽を浴びて、一瞬の季節を謳歌しています。冬の雪崩に堪え抜いた太い幹、その逞しい根はたっぷり養分を含んだ土に深々と食い込んで、漲る力ははち切れんばかりの濃い緑となって峰々を彩っています。上へ上へと力強く登るあの尾根も、しぶきを上げて流れる水に刻まれた深い谷も、むせ返るような命の息吹に溢れ、それらを見下ろす青い空と白い雲は、何のけれん味もなく澄み切っています。あと二週間もすれば秋の気配は確実に訪れるというのに、このめくるめく躍動感。やがて巡りくる季節も知らず、きらめくような時を過ごす、「夏」とはそういう季節なのでしょうか。
Aug 13, 2007
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もう寝ようかとランタンの灯りを消して、ふと見上げた空の、満天の星。ここは標高2000m、南アルプス北沢峠です。日の暮れる頃から、今夜の星空はどうかなと、気にはしていました。昼間よく晴れていても、夜になってガスがかることは山ではよくあることです。でも、今夜は違いました。沢沿いのキャンプサイトからは地平近くの星は見えませんが、視野を大きく横切る天の川は天頂よりやや下で二股に分かれて、そこを目印に「夏の第三角」を探します。普段なら簡単に判る一等星も、これだけたくさんの星があると判然としません。それならばと知ってる星座を線で結ぼうとしても、星が多すぎてわからないほどです。ペルセウス座流星群の極大日に近いことだし、ここは一つ、腰を据えて星を見ることにしました。就寝用に使うマットを背中に敷いて仰向けになると、目の前、手の届きそうなところに銀の砂を撒いたような星空が広がります。やや暗い星に目を留めて視線を集中すると、目の奥がキーンとしてきます。夜風が、心地いいを通り越して冷たくなってきました。テントからシュラフまで引っ張り出してもぐり込んで、今夜はこのまま外で・・・。ホントにそのまま寝ちゃいました。
Aug 12, 2007
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ちょっと空いた時間を利用して、散歩に出ました。読みかけの文庫本を一冊、それに行きがけにマクドナルドに寄って、100円マックと冷たいものを買って、いつものお気に入りのベンチまで、ゆっくり歩いて向かいました。行き交う車は忙しそうだし、足早に追い越していく営業カバンを持ったサラリーマンは、白いハンカチで汗をふいています。なんか、ちょっと申し訳ないような気がしてきて、ベンチに腰を下ろした時はちょっとあたりを見回してしまいました。ハンバーガーをかじり、カップの氷も溶けきった頃、どこかで携帯電話の音がしました。自分かなと思ってポケットに手をやると、ない!持って出たつもりが家に置いてきてしまったようです。急に落ち着かなくなってきて、本を読むのもそこそこに席を立ちました。
Jun 18, 2007
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ちょっと身体が重いことは、昼間からわかっていました。いつものコースをちょっと端折って、スタート地点に戻って隅田川を見ながらストレッチをすると、かがんだ目線の先の、手の届きそうなところに川面がありました。さっき通りかかった屋形船の余波が川べりにあたって折り返し、きた波と折り重なって歪んだ市松模様をつくっています。22時を過ぎて橋のライトアップも消えてしまうと、隅田川のその黒々とした水が底なしのように思えてきて、吸い込まれるような錯覚に襲われます。突然、モーターボートの爆音が聞こえてきました。大音響をまき散らす音楽に混じって、若者たちの歓声が響いています。「うるさい!」と怒鳴りたい衝動に駆られましたが、相手に聞こえるはずもないことに気が付いてやめました。白いしぶきと歓声に包まれたボートは目の前を駆け抜けて、上流に向かってカーブしていきました。急にシャワーを浴びたくなって、まだ火照ったままの身体と思い足を引きずりながら、階段を上って家に帰りました。
Jun 12, 2007
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「ゴロゴロ、ドーン」まだ入梅前だというのに、夏の訪れを告げるように派手に雷が鳴っています。やがて土砂降りの雨になって、ガラス越しに雨に煙る外を眺めていました。もう十年以上前のことを、不意に思い出しました。職場のお隣さんで、大きな犬を飼っていました。名前は「タロ」お隣とこちらの作業場は簡単な金網で仕切られていて、ちょうど犬が通れるくらいの穴があいています。タロは家の人が出払って誰もいなくなると、良くこちらに遊びにきていました。つながれた鎖の長さだけしかこっちにはこれませんが、それでもお昼のお弁当のおかずをあげたり、暇な時にかまってやると、尻尾を振って喜ぶのでした。ところがこの「タロ」、笑っちゃうくらいの雷嫌い。怖がる犬は多いのですが、こいつは極端でした。雷が遠くで鳴りだしただけで妙な声で吼え始めます。こっちが雷鳴に気が付かない頃から鳴き出すものだから、ある意味、雷検知犬。タロが鳴きだすと、「お、雷か?」とすぐわかるほどです。本格的にゴロゴロ始まると、もう大変です。必死の形相でこちらには入ってきて、鎖が引きちぎれんばかりにウロウロしたかと思うと、訴えるような目で私を見て、助けて!といわんばかりです。いよいよ雷が佳境に入ると、作業場の隅に詰まれたダンボール箱の間に強引に鼻先を突っ込んで、まさに、頭かくして尻隠さずでプルプル震えているのです。そばに行って、ダンボールからはみ出した胴体を手で撫でやっても、本人は完全にパニックに陥っているのか、ひたすら震えるばかり。雷の音と悲痛なタロの咆哮が交互に、「ピシッ、ドーン」、「ウォーン」と聞こえて、職場限定の夏の風物詩でした。そのタロも、ずいぶん前に逝ってしまいました。ある年の月曜日、出勤すると犬小屋はもぬけの殻。その頃はもう老犬で、ほとんどお散歩に出ることもなかったので、すぐにピンときました。いつもタロがご飯を食べていた陶器の大きめなお皿には、ご飯にお味噌汁のかかったいつもの食事が、入れられていました。お隣さんの奥さんに聞いたら、土曜日にご飯を食べなくなり、昨日みんなに看取られて息を引き取ったとのことでした。荒れ狂う雷雨を見ていたら、タロのこと、思い出しました。
Jun 8, 2007
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列車の窓から見える建物は、次から次へと後ろに飛んでいきます。線路が密集した建物の中を走っているのか、窓やベランダ、看板などがすごい勢いで流れていきます。町並みが途切れたら、突然視界が開けました。目に飛び込んできたのは、初夏の日を浴びた緑の土手と、青い空。一瞬、風景がとまったような錯覚にとらわれて、今までとは打って変わった穏やかな景色に目が慣れるのに、少し時間がかかりました。目の奥が、ジンとします。ガタンゴトンという鉄橋を渡る音が車内に響いて、郊外に向かう休日ダイヤの列車は、やっとゆとりを取り戻したようです。
Jun 2, 2007
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夕方のラッシュ時でも、郊外から都心へ向かう近郊列車は閑散としています。一両に数人しか乗っていない車内から、通勤客でごった返す上野駅のホームに放り出されると、忙しく歩く人々の足音が高い天井に抑揚のない潮騒のように響き、私は乗車を促す場内アナウンスに追い立てられるように中央改札を出ました。上野駅を知る人には「途中で平らになるエスカレーター」といえばピンと来るかもしれません。切符売り場をやり過ごして左側、地下鉄に降りるそれに乗ると、対向する上りは勤め帰りのサラリーマンが鈴なりになって地上に向かっています。私は、エスカレーターを降りたらそのまま真っ直ぐ改札に行かずに右に折れます。すぐ先の改札をはいってしまうと、下車した駅でホームを端から端まで歩かなければならないのです。上りのエスカレーターに乗り込む人は間断なく続き、かといってこちらが立ち止まるわけにもゆかず、ここはちょっと緊張するところです。人波の切れ間を見計らって、さっと肩を翻して向こう側に抜けると、その先の地下道は急に静かになります。地下鉄とJRを結ぶ連絡通路を横につなぐような形になっているため、あまり人が通らないのです。とりわけ通勤時間帯は忘れ去られたようになって、雑踏の列からほんの数メートル離れただけで、あたりはまるで別世界のよう。低い天井につけられた暗い蛍光灯が古ぼけた壁のタイルをぼんやり照らし、中途半端なスロープの脇には白いコインロッカーがひとつ。ここを抜けた先はJR改札方面から階段を降りた人がたくさん歩いているはずなのに、カーブしていてここからは見えません。通路に人影がなかったりすると、後ろの雑踏を確認するように、つい振り返ってしまいます。このまま足を踏み入れたら、そのまま帰ってこれないような気がして、どこか知らない土地につれていかれそうな気がして。意を決して早足で進むと、向こうからおじいさんが歩いてきました。杖を突いて、ゆっくりと。すれ違いざまに、わずかに会釈をされたような気がしました。*************************************************地下鉄って、ミステリアスだなって思うことがあります。そしたら、こんな作品がありました。「地下鉄(メトロ)に乗って」出演 堤真一 岡本綾 大沢たかお映画には上野駅は出てきませんが、原作には出てきます。作者 浅田次郎の精神的自叙伝だとか。
May 31, 2007
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通りすがりの薬局から、ふわっと冷たい風が頬を撫でました。反射的に「あ、気持ちいいな。」と思って、額に腕をやると、しっとりと汗ばんでいました。ついこの間までコートを着ていたような気がします。知らないうちに、こんな季節になったんだと、気づかされました。
May 19, 2007
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まだ降らないだろうと、高をくくっていました。空も、雨が降りだすにしてはまだ明るかったし、雲の切れ間も見えていたのです。風が強いのが気にはなっていたのですが。しばらくして、道行く人が傘をさしているのが見えました。「!」大粒の雨で乾いた地面がまだら模様になったかと思うと、いきなりしぶきを上げて雨粒が叩きつけてきました。大急ぎで濡れては困るものを片付けて、雷鳴に追い立てられるように大きなひさしの下に。先に逃げ込んでいた猫が雷に驚いて、飛び上がるようにして自販機の下に隠れてしまいました。「すごい雨だね」そう話し合う声が聞き取りづらい。地面をバウンドする白い固まり・・・雹が混じっています。コロンころんと不規則に弾む雹の粒はすぐには融けず、まるで白い砂利を撒いたよう。ほどなく雨は止んで、あたりは静かになりましたが、一気に寒くなりました。
May 10, 2007
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ラジオから流れてきた、聞き覚えのある旋律。思わず口ずさむあの歌詞。「She was Beautiful・・・」映画「ディア・ハンター」のワンシーン。無事ベトナムから帰還した我らが「英雄」を出迎えようと集まった町の人たちを避け、寂しい裏通りを密かに思いを寄せる「彼女」(メリル・ストリープ)の家へ向かうマイケル(ロバート・デニーロ)。彼女の待つフィアンセはべトナムで共に戦い、行方不明になった親友。窓越しに彼女の元気な姿を眺め、黙って立ち去る彼の心の内はいくばくか。この旋律を聴くと、どういうわけかデニーロがカーブした黄色い土の道を彼女の家に向かって登っていくシーンが思い出されます。何故、彼女に会わなかったのか?当時子供だった私には、わかりませんでした。ただ、切ないだけでした。今なら分るのかと言われれば、未だ確信とまではいきませんが、少しは分るようになったようです。彼は、親友を救えなかった自責の念から彼女に会わなかったのではないと思います。もっと自己的な理由。例えば、死線を越えてきた男のストイックな心、もしくは、彼女の温かい部屋への反射的な拒絶。どれも、なんとなくしっくりくるようなこないような。。いずれにしても、彼女に対する深い思いを訴えたかったことは間違いないようです。どう深いか、はその時の見た人の心のありようで、大きく変わるんだなと思いました。
May 9, 2007
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休み明けに出勤したら、休み前にポッコリ丸かった「キジトラ」のお腹が劇的にスリムになっていました。どこでお産したんだろうと探してみても、見つかるはずもありません。ところが、午後から雨が本降りになってくると、ずぶ濡れで物置に入る「キジトラ」の姿が!「もしや?」と耳を澄ませてみると、物置の奥からミャーミャーと声がするではありませんか。まだ姿を見せてはくれないけれど、元気に育ってね、ベイビー!そういえば、母猫の「キジトラ」も、去年の連休に生まれた子でした。ちょうど一歳の「ヤンママ」。がんばれ! キジ子!「お母さんはお腹が空きます」食が細かったこの子も、いい喰いっぷりになりました。
May 6, 2007
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「さあ、着いた」林道の突き当たりに車を止めて、ここから歩きはじめます。支度をして、杉林の中の道を辿ると、道は緩やかに上りながら山の中腹を縫って、小尾根を越えたあたりから急な登りになりました。静まり返った森は、自分が踏む枯れ枝の音さえ思いのほか大きくあたりに響きます。少し遠くで、カッコーが鳴きました。「ちぇっ、出来過ぎだな」上がった息を整えようと、ふうっと大きく息を吸い込むと、湿った、私にとっては久しぶりの、木々の萌える匂いがしました。
May 3, 2007
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ランニングを終えて、いつものように地面にへたり込んでストレッチをしていたら、目の前をテントウムシが歩いていました。初夏の日差しに焼かれたアスファルトの上を、どこへ向かっているのかうつむき加減で黙々と通り過ぎていきます。「ナナホシだ。ありゃぁ、いい虫だ。」子供の頃教わった「人間の論理」を思い出して、思わず苦笑してしまいました。別にナナホシだろうがニジュウヤホシだろうが、本能に従って生きているわけで、それが人間にとって都合が良かろうが悪かろうが、彼らにとっては大きなお世話です。だいぶ大きくなってから、昆虫好きの友達にこう言われて、「目からウロコ」な思いをしたものです。そんなことを考えながらボーっとしていたら、目の前にいたはずのテントウムシははるか彼方、どっかへ歩き去ってしまいました。
May 2, 2007
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何年か前に定年退職された方から、葉書をいただきました。息子さんと鍼灸院をはじめられたとのこと。印刷された住所や名前の余白に、くせのある字で「お元気ですか」と書かれていました。あの人の現役時代、毎日この字のメモや書類に追いかけられていたことを、懐かしく思い出しました。そういえば、「身体が資本」 が口癖だったっけ。
May 1, 2007
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夕方、川沿いに撮影に出掛けました。満ち潮なのだろうか?手摺から乗り出したら手が届きそうな川面は斜光線を浴びてきらきら輝き、緩やかに吹く柔らかい風はもう初夏を告げています。太陽がビルに隠れる寸前の、僅かなきらめきを追ってシャッターを切りました。陽が翳ったらもう少し低いビル、また低いほうへと三脚を移動しながら行ったり来たり。乗客を満載した「卑弥呼」が通り過ぎていきました。すっかり陽が落ちても、まだそう寒くはありません。「もう少し撮れるな。。」今度は天空の残照を鈍く反射している川面に、レンズを向けました。
Apr 30, 2007
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出勤しようとマンションを出たら、外はいいお天気、しかし、気味の悪いくらい静かな朝でした。いつもなら、自動ドアが開いたとたんに表の喧噪がわっと飛び込んでくるのに、今日は拍子抜けです。「そうか、今日から大型連休だっけ」車の走っていない道路は、センターラインがやけに白くて眩しいほどです。と、その先の電光表示を見たら・・・「渋滞25キロ」やばっ、遅刻するかも・・・。
Apr 29, 2007
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いつもの串カツ定食を食べながら、おしゃべりをしていました。「そういえば、あの人、仕事辞めたって知ってる?」「へぇ~・・・」少し驚きましたが、なぜ辞めたのかも辞めてどうするのかも、だいたい察しがつきました。彼の今後の創作に、心から期待します。
Apr 28, 2007
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帰る日は朝から雨でした。土砂降りの雨の中、私を乗せたタクシーは東シナ海を見せてくれたかと思うと太平洋側を走り、一路那覇空港に向かっています。浅黒い顔をした初老の運転手さんは話し好きと見えて、沖縄の見所や最近の出来事などを独特のイントネーションで話してくれました。車が米軍基地の脇を通ると、話題は最近の国際情勢から返還当時のいろいろなエピソード、そして返還前の話。「昔は、いろんなことがあったさぁ~」そういって笑った横顔には、深いしわが刻まれていました。*************************ホテルのロビーで見た沖縄の地元各紙の一面は、こぞって「国民投票法案衆院通過」でした。この島の戦後はまだ終わっていないのだ、と思いました。
Apr 15, 2007
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ビーチパラソルの下にに寝そべって、うとうとしていました。丸い日陰からはみ出した足首がじりじりと熱くて、仕方なくひざを立ててこちらに避難させると、時折吹き抜けていく風はわずかに冷たさを帯びていて、Tシャツの裾をくすぐってゆきます。渇きを癒そうとさっき飲んだビールが反対に渇きを誘ったようで、もう一本と手を伸ばしたら、それもすでにカラでした。あれ、いつ飲んだっけ・・・思い出すのものも億劫で、「ま、いいか」とつぶやいて、伸ばした手を頭の下に戻しました。
Apr 14, 2007
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ゆっくり起きだしてシャワーを浴び、遅い朝食をとりました。曇り空だったけど、緩やかな風が心地よかったので、テラス席に出ました。雲間からやっと落ちてくる日差しがプールを青く輝かせ、その青さがここは亜熱帯なんだと気付かせてくれます。二杯目のコーヒーを手に取った時、不意に雨が降りだしました。部屋に戻ろうか?と一瞬思ったけれど、雨が降ったかかといって慌てることはない、止むまでコーヒーを飲んでいればいいんだと思い直して、雨の音を聞いていることにしました。「これ、お使いください。ここに置いておきます。」しばらくして、ホテルのスタッフが傘を持ってきてくれました。さて、部屋に戻ってもう一眠りするとしよう。
Apr 13, 2007
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週末までにやらなければならない事を、かっちり、しかも大急ぎでやり終えて空港に向かおうと家を出たら、時計の針はすでにフライトの時刻の一時間前。バスでは無理だ。ええぃ、ままよ! とばかりタクシーに飛び乗ったとたんに携帯が鳴りました。しまった、切っておけばよかった。おそるおそる出た電話の向こうで、聞き慣れた同僚の声がしました。「お~い、もう南の島かぁ?」冷やかしの電話だけど、留守を預けるのでむげに切るわけにもいかず、しばらく冗談に付き合ってから電話を切りました。私は、旅に出掛ける機会は多いほうなのかもしれませんが、たいがい仕事が絡んでいたりします。でも、白状すると今回はまったくの「バケイション」。忙しい思いをした1~3月の「時間」を取り戻そうと、週末を過ごすことにした沖縄のビーチには、買ったまま読めないでいた文庫本を3冊と、都会の暮らしで淀んだ溜息を持っていこうと思います。南の島で何するわけじゃないけど、恋などするものかしら♪あれっ? ちょっと違うな、なんてサザンの古い歌を口ずさみながら、ボディチェックをくぐり抜けたら、あとは飛行機に乗るだけ。羽田発那覇行き最終便。窓の外は漆黒の闇です。缶ビールを開けて、一眠りすることにしました。
Apr 12, 2007
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「おうか」って読むそうです。あたらしく恵比寿にオープンしたアイスクリーム屋さん。オープニングレセプションのお招きを頂き、甘いもん大好きな私はいそいそ出掛けてきました。お店の入り口脇の植え込みの桜は、ちょうどいい具合に咲いて開店に花を添え、お店の中はお客さんでいっぱい。受付をすませて、オーナーさんやスタッフの方達にご挨拶してから、早速アイスクリームを頂きました。ここのお店のアイスのコンセプトは「ジャパニーズ」。「和」のテイストあふれるアイスクリームがいろいろありました。私が選んだのは抹茶・桜・かりんとう。「桜」はアイスの中に花びらが入ってまさに春の香り、そう、桜って「桜餅」とか「桜茶」があるように、見るだけでなく食べるものだったんですよね。まさに「花よりアイス」?「かりんとう」はちょうどナッツ入りのアイスのような食感でしたが、かりんとうの蜜がアイスと絶妙の組み合わせでした。蜜といえば、このお店のもう一つのウリは、アイスの上に温かい蜜をかけるという食べ方。蜜も3種類選べて、こちらも絶品でした。ジャパニーズ アイス OUCA
Apr 9, 2007
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昨夏の展覧会のときは、うっそうとした森に蝉時雨がこだましていた新宿中央公園も、今は桜が満開。芝生の上に思い思いにシートを広げてお花見をする人たちのあいだを抜けて、目指すギャラリーはありました。半年あまりのあいだに、よくこれだけ創作できたものだと感心するくらい、力作ぞろいでした。絵画、写真、映像、立体、書。若いアーティストたちの自由な表現の世界に、どっぷり使ってきました。「好きなようにやればいい」当たり前のことなのに、これがなかなかできなかったりする。そんな自分に、「歳食ったな・・・」と苦笑して、目の前の作品に力をもらって、楽しい時間を過ごしました。
Apr 2, 2007
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生暖かい風が吹く春の宵、職場の向かいのアパートの階段を学生風の若い男の人が上っていきます。やがて部屋のドアを開けると、その人は暗い部屋の中に入っていきました。バタンと、やたら大きなドアの閉まる音がして、ぱっと窓に明かりがともります。先週まで、カーテンすらなかった空部屋に新しい住人がやってきたようです。ふっと、初めて一人暮らしをはじめた頃のことを思い出しました。二部学生だった私は、まだ友達もいなくて、授業が終わるとまっすぐ部屋に帰ったものでした。帰り道、花見客でにぎわう飯田濠ぞいには屋台が何件も出て、大声で話す勤め人や、寄り添って歩くカップルのあいだを足早に駅に向かいます。山手線に揺られて降りた駅からアパートまでは歩いて15分、急な下り坂の途中に「吉野家」があったっけ。ちょっと小腹が空いたと、わざわざテイクアウトで買った牛丼を片手にぶら下げて歩くと、「やったねパパ、明日はホームランだ!」のフレーズが部屋に着くまで頭の中をぐるぐる回っていました。今部屋に帰った新しい住人は、すぐにテレビのスイッチを入れただろうか、今日は郵便物はありましたか?春の風は、まだちょっと、冬の冷たさをふくんでいました。
Apr 1, 2007
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遅ればせながら、「パイレーツ・オブ・カリビアン」見ました。というより、ややはまり気味で、このところこのDVDが我が家ではヘビーローテーション。私も、酒棚からラム酒を取り出して、映画の中のジョニー・ディップのようにラッパ飲みというわけにはいかないけれど、ショットグラスでちびちびやりながら、気分はPirate!一作目でキーラ・ナイトレィに酔い潰されたジョニー・ディップが、二作目では彼女を見たとたんに「ラムを隠せ!」と部下に言うのが可笑しくて、二作目では彼女のラッパ飲みは見られないかと思ったら、やっぱりやりました、ぐびっと。。ラム酒の香りは、私にとってなんとなくノスタルジックです。小さい頃、禁じられた「お酒」を唯一味わえる、ラムの香りのついた「ケーキ」。「酔っ払っちゃうから、ちょっとだけね」と念を押されて、大人の食べているのを一口もらうのが、小学生の掟でした。お酒の染み込んだスポンジを鼻に近づけると、ツンと甘くて刺激のある匂いがしてきます。口に入れると、アルコールがふわりと口いっぱいに拡がって、鼻の奥から後頭部へ抜けるあの感じ。「お酒ってこんな味がするんだ」子供心にそう思ったものです。大人になってからは、「ラム酒」に接する機会はあまりなくなりました。ケーキは相変わらず美味しくいただきますが、飲む「酒」としてはもっぱら他の酒種ばかりですし、たまにカクテルなどに入っていることはあっても、ストレートで飲むのは、ほとんどなかったかもしれません。今回、あらためて飲んでみて、美味しいお酒だということを再発見しました。何でも、海賊が活躍した時代、イギリス海軍支給の酒も「ラム酒」だったとか。あまり強いので、ある海軍のえらい人が薄めて支給するように命令したそうで、その人の着ていたコートがにちなんで「グロック」と呼ばれるようになり、これが「グロッキー」(泥酔)の語源だそうです。それくらい昔の船乗りには、定番のお酒だったのでしょう。甘い香りと強烈なのど越し、豊かなフレーバー。シングルモルトもいいけれど、ラムにもすばらしい味わいがあります。陽気な海の男たちの歌声が聞こえてきそうなお酒「ラム」。しばらくこちらも、はまりそうです。YO- HO- YO- HO-, Pirate's Life Foe Me!*********************「NO PLOBLEM!」の文字がいかにもジャマイカっぽくて、お気に入りのショットグラス。
Mar 30, 2007
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昨秋、個展でお世話になった嵯峨嵐山のギャラリーに顔を出してきました。路面電車に揺られること20分。何度も通った停留所を降りて、今自分が乗ってきた電車を踏切でやり過ごすと、ゆっくり上がる遮断機のむこうに見慣れた入り口が見えました。「おひさしぶりです。」「あれっ? 髪切りました?」4ヶ月ぶりに会うスタッフの面々は全然変わってなかったけれど、むこうは私の髪が短くなったことに驚いた様子です。そういえば暮れに思いきって短くしたっけ。今はシーズンオフなので2Fのギャラリーは休廊中。1Fの庭に面した席に座って、カフェラテをお願いしました。両方の手のひらにも余るくらいの大きな白い器に、なみなみ注がれた温かいカフェラテを飲みながら、お互いの近況を話しました。京都も例年になく暖かく雪もほとんど降らなくて、それでも昨日あたりからやっと冷え込んできたとのこと。春の桜の時期が早まるのか、繁忙期を控えて気をもんでいる様子でした。オーナーが足で探してきたアンティークの椅子に腰掛けて、読みかけの「シャーロック・ホームズ」を開くと、ホームズはワトソンと一緒に大陸に出掛けたところでした。静かな店内に流れる音楽に身を委ねながら活字を追っていくと、ページをめくる音が思いのほか大きく感じられます。ゆっくり、ゆっくりページをめくって、目の前の白い器が冷えきった頃、ホームズはモリアーティ教授と滝壺に消えました。『秋には必ず』と念を押されて、『また近いうちにきます』と答えた私。どうもありがとう。今年も秋には必ずやってきます。***************************************Cafe SAGANO-YU京都府京都市右京区嵯峨天龍寺今堀町4-3JR山陰本線 「嵯峨嵐山」駅 徒歩1分京福電鉄 「嵯峨駅前」駅 徒歩30秒
Mar 13, 2007
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「おまちどうさま、たぬきそばどす。」京なまりの、独特の柔らかなイントネーションは、どことなく聴く人をホッとさせる響きがあります。冬の京都の街は、東京よりはだいぶ寒く、時々時雨れるあいにくの天気でした。今も不意のみぞれに降られて、震えながら飛び込んだ東山のお蕎麦屋さん。昼時を過ぎてがらんとした店内には私のほかにお客さんはいません。本当はざるそばにでもしたかったけれど、冷えた体を温めようと「たぬきそば」を注文したのでした。いかにも「京女」といった品のいいおばさんがお盆に載せて運んできた器の中をのぞきこんでびっくり。おそばの上にあんがかかっているではありませんか。関西では、「きつね」といえば関東で言う「きつねうどん」。「たぬき」といえば、あげの乗ったおそば、つまり「きつねそば」を意味するということは聞いていました。確かに短冊に切ったあげはのっていますが、箸で探ってみると、おつゆはなく、全部「あん」。関東流に、すばやく「ずるずるっ」というわけにはいきませんでしたが、アツアツのおそばのおかげで体が芯まであったまりました。*********************************:南禅寺から銀閣寺へ向かう途中の、東山高校のちょっと先のお蕎麦屋さんでの出来事です。店の名前は、、、う~ん、忘れました。
Mar 12, 2007
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森閑とした杉林の中の苔むした急な階段を上りきると、古い山門がありました。少し荒くなった息を整えようと立ち止まると、ふっと梅の香りがします。山門をくぐって突き当たりの、わずかな平らな場所に植えられた白梅が、真っ白な花を枝いっぱいにつけていました。「もう東京ではとっくに盛りを過ぎているのに」近づいて花に顔を寄せると、早春の柔らかな日差しを受けたその若い梅の木は、むせ返るような香りを放っています。人里はなれた山寺にも、遅い春が訪れたようです。*************************************つづれ折の急登を登り切ると、ぱっと視界が開けます。下界は春の空気に霞んで、田んぼも畑も、それらを縁取る家々の屋根も乳白色のモノトーン。大きく息を吸い込んで、岩のくぼみに腰を下ろしました。ゆっくりと背を伸ばすと、傾斜した岩が体重を受け止めて、閉じたまぶたを日差しが突き抜けてきます。「ああ、この感じ。。」ごつごつした、冷ややかな岩の感触、頬を撫でる風、木々の枝のこすれる音。ポケットからハンカチを出して、額の汗をぬぐいました。谷をはさんだ向かいの尾根に並んだ裸木が、春まだ浅いことを教えてくれます。でも、斜面を這い上がるように連なる常緑樹は、朝の光を受けて漆黒からグレーへと、まるで黒摩道士の群れのように、黙々と森の営みを続けています。この次くるときは、きっと生命の放つ光にあふれているんだろう。もう春は、すぐそこでした。
Mar 4, 2007
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「遠い地平線が消えて、ふかぶかとした夜の闇に心を休める時、・・・」お風呂の中でラジオを聞いていたら、こんなナレーションが聞こえてきました。今は声も違うし、バックに流れる「ミスター・ロンリー」もチェロの演奏になってしまっていますが、あの「ジェットストリーム」でした。「太陽が沈んでから、もうずいぶんと時が流れました。昼間の喧騒に汚れた空気は・・・」大昔、こんなナレーションから始まっていました。そうそう、あの頃は「エフエム東海」っていっていました。出力が低くて都内でも雑音だらけでしたが、「エフエム東京」になったときに出力がアップして劇的に聞きやすくなったと記憶しています。エンディングのナレーションも、現在の「夜間飛行のジェット機の翼に点滅するランプは・・・」ではなかった気がします。もっとも、聴きながら寝入ってしまうことが多かったせいで、こちらのほうは覚えていませんが。柔らかく、包み込むような城達也さんの声。海外の街角の様子を、旅情豊かに語りかけるナレーションに、まだ見ぬ異国におもいを馳せたものです。ピカデリー・サーカス、シャンゼリゼ通り、トレビの泉・・・。まだ子供だった私は、これらの地名をこの番組で知りました。甘い語り口の人ならほかにもたくさんいますが、城さんの語りは、私にとって別格でした。テンポ、抑揚、語と語の間、行間のわずかな沈黙。すべてが心憎いばかりに絶妙で、『絶え間ない宇宙の営み』も『夜のしじまの饒舌な囁き』も聞こえてくるようでした。城さんのナレーションは、いわゆる時間的な『間』だけではありません。『語』と、音になった『言葉』とのわずかな距離感。語り手が『語』の語感にぴったりと寄り添うわけでもない、かといって語の意味だけぽんと放り出したような音でもない、微妙な間合いがありました。城さんのゆったりとした語りにどことなく感じられる、毅然としたゆるぎない香り。それはたとえば、空港近くのホテルの、誘導灯のきらめく滑走路の見えるラウンジで、今ヨーロッパからのフライトを終えたばかりのキャプテンの話を聴いている、そんな気がしたものです。さて、お風呂の中の『機長』は、伊武雅刀さんでした。正直言って、がっかりしました。確かに『上手』です。でも、聞こえてくる言葉達からは、ゆっくりと夢の世界に誘ってくれる、ダンディで心優しい機長はイメージできませんでした。いまにも「フッ、フッ、フッ、ヤマトの諸君・・・」なんて台詞が聞こえてきそうで、伊武さんには申し訳ないのですが、私にはやっぱり『デスラー総統』。あの頃とは、聞き手の生活時間もスタイルも変わっているし、番組も変わる。それは仕方のないことかもしれません。でも、ちょっと残念な気がした、湯船の中でした。
Mar 1, 2007
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「さあ、帰ろうっと」クルマのドアを開けて左手を伸ばし、キーをひねりました。調子の良いエンジン音が聞こえ、マフラーから飛び出す白い煙が、今夜 は冷えていることを教えてくれます。「ガサガサッガサッ」ん、何だ? クルマの中で物音がします。子猫が突然のエンジン音に驚いて、車の中を駈けずり回っています。ダッシュボードに上がってそのまま外に飛び出そうとしてフロントガラスにぶつかり、それでも二度三度とトライして目を白黒させる様子が面白くて、子猫の彼女には悪かったんだけど、しばらく眺めていました。「あたし、どうしちゃったの?」何度目かに、ダッシュボードに両手を掛けて、不安そうにこちらを見られてはたまりません。「ハイハイ、今、開けてあげるよ」そういいながらテールゲートを開けると、一目散に飛び出していきました。
Feb 20, 2007
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「映画『ファッツ・ライズ・ビニース』ではね、ハン・ソロとキャットウーマンが熟年夫婦なんだよ」「そうそう、『ナバロンの要塞』じゃ、インディー・ジョーンズはドイツ軍のスパイ」映画を見てない人には、わけのわからない会話です。「で、その俳優さん、なんて名前だっけ?」「う~ん、それなんだよ。いまさ、スターウォーズのオープニングを思い浮かべてるんだよ。」「スターデストロイヤーがこう、ずぃーっと過ぎていって・・・」「いや、その前にキャストロールがあるだろ?」と、そこまでいって、二人同時に「ハリソン・フォード!」あ~、すっきりした。。。****************************************************映画好きの人のとの会話は、とても楽しい。このあと、話題は「トップガン」にうつり、メグ・ライアンが出ていたと私が言うと、今夜レンタルしてきて確認するそうな。。。間違いないのに、、無駄遣いして・・・。でも私も久々に見たくなりました。
Feb 4, 2007
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朝から北風が吹く土曜日の朝、首都高速の渋滞表示板には「関越道 渋滞30キロ」別に連休でもないのに、なんでだろう。。。新宿の高層ビルの上は真青に晴れた空、その向こうには真っ白な富士山が見えました。そうか、みんなスキーにいくんだ・・・。暖冬で雪不足ときいていたけど、このところの寒気団の襲来でたっぷり降ったはずです。スキー場の居候をしていた頃、新雪が降ると朝食の手伝いもそこそこにリフト乗り場に駆けつけ、リフトが動くのを待っていたことを思い出しました。キラキラの処女雪に飛び込んで、トップの跳ね上げる雪を胸にうけて駆け下りる爽快感!振り返ってみる朝一番の自分のシュプールは、格別でした。
Feb 3, 2007
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車に乗り込み、エンジンをかけようとして・・・。さっきまでその辺をうろちょろしていた子猫がいないことに気が付きました。キーにかけて今まさに捻ろうとする手を離して、車を降りてみます。「まさかね~」そう思って開けたボンネット、エンジンカバーの上で子猫が丸くなっていました。「おまえ、そんなところで!」思わずそういった私の顔を見上げて、眠そうに「ニャー」と一声。。。「バレちゃしょうがねぇ・・・」とばかり、すごすごと奥に消えていったかと思うと、足下に現れました。しゃがみ込んで抱き上げて、「あのねぇ~、いくら寒いからって、ここに入っちゃダメだよ~」言ってきかせる私の言葉を分ったのか分らなかったのか、彼女はぷいと横を向いて口の周りをペロンとなめました。寒がりの猫たちのおかげで、この冬はうっかりエンジンもかけられません。困ったものです。
Jan 25, 2007
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どんよりと曇っていた空が、いつのまにか晴れ上がっていました。不条理な出来事も、さっきの不愉快な電話も、きらきらと降り注ぐ日差しに射抜かれて、どこかへ消えていっちゃいました。冬の日差しは弱いけれど、透き通って暖かく、やわらかく心を包んでくれます。もうすこし、夕方の冷気がやってくるまで、がんばることにしました。
Jan 22, 2007
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近所に散歩にでました。コートのポケットに手を突っ込んで、隅田川テラスをゆっくり、ゆっくり歩きます。そういえば、明るい時間にここを歩くのは、久しぶりかもしれない。観光客をいっぱい乗せた水上バスが、さっきから何隻も行き交っています。船の後をたくさんのゆりかもめが追って、最後尾のデッキの客に餌でもねだっているようです。上げ潮なのだろうか、一段下のテラスは川に沈んで、そこに下りる階段は波打ち際のように音を立てていました。気が付くと、出掛けた時の青空は翳って、ビルの谷間から赤い大きな満月が上ってきました。明るいうちに帰れるかな・・・。あの黄色い橋まで行ったら、引き返そう。
Jan 3, 2007
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「お~い!」船に向かって何度も手を振る俊寛が、とても印象的でした。平家物語を題材にした「俊寛」。喜界島に流されて、赦免を得られたにもかかわらず、残ることを自ら決意して、出てゆく船にいつまでも手を振る老人の「あわれ」。今回は吉右衛門が好演していました。年老いて島流しの生活に疲れ果て、それでも都への憧憬が捨てきれない俊寛がした最後の決断。祝言を挙げたばかりの「千鳥」を自分のかわりに船に乗せ、添い遂げさせてやろうと言う心根と、自身の世をはかなんだ諦観が交錯する微妙な心の動きを見事に演じていました。それともう一つ。単に話にある心理描写だけではなく、歌舞伎らしい、お正月らしいユーモアがそこここにちりばめられていました。「な~い・・・」の台詞に思わず笑ってしまいました。この辺りは、ベテラン役者の真骨頂。今年は春から、いい舞台を見ました。*******************************************毎年恒例の歌舞伎見物。今年も、歌舞伎座まで行ってきました。今年は例年になく混んでいました。演目も、「松竹梅」「俊寛」「勧進帳」「喜撰」と、人気のものばかりだったせいでしょうか。「勧進帳」は、東京の歌舞伎座では幸四郎が900回をになる節目だとか。花道を「飛び六法」で文字通り、飛んでいきました。家に戻ってテレビを見ていたら、大阪では團十郎が富樫役に海老蔵を従えて演じていました。こちらの弁慶もよかったですが、海老蔵の富樫がいまいち若過ぎの感が。。。いずれにしても、東京都大阪で同じ演目が新春に演じられるのは珍しいことだそうです。私のお薦めは、やっぱり「千石さん」演じる「弁慶」です(笑
Jan 2, 2007
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3、2、1、0!夜空に大きな花火が上がりました。色とりどりの光の彩が広がって、それを追いかけるように次から次へと繰り広げられる光の饗宴。金色の帯を引いた光の玉が、大輪の花を咲かせると、一瞬辺りが明るくなって見上げている人々の顔を映し出しました。その顔はみな、笑顔、笑顔。「Happy New Year!」誰からともなく声が上がりました。****************************************大晦日になって転がり込んできた?チケットを無駄にしてはバチが当たると(笑)東京ディズニーランドのカウントダウンパーティーに行ってきました。特にディズニーが好きなわけじゃないし、ま、話の種に・・・くらいの軽い気持ちで出掛けました。失礼ながら、いくらディズニーが好きだからといって、正月をディズニーランドで迎えなくてもいいじゃないとも、思っていました。でも、カウントダウンパレードが始まると、思わず引き込まれます。ノリノリの曲に乗って、きらびやかな光線を浴びて踊るおなじみのキャラクターたち。いつのまにか、蛍光スティックを振っている自分に苦笑してしまいました。さすがTDR、楽しませてくれました。
Jan 1, 2007
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とっぷり日の暮れた頃、広場の中央に置かれた灯明台に火がともされて、間もなくダンスが始まります。上半身裸の100人はいようという大勢の男たちが、両手を高く差し上げて、「ケチャッ!、ケチャッ!」と奇声を発しながら出てきました。火を囲んで車座になると、中央奥からきらびやかな衣装を着た踊り手が出てきます。楽器をまったく使わない、人の声だけで奏でられる不思議なリズムと旋律に乗って、この島に伝わる神話が演じられます。お姫様、王子様、邪悪な怪物、勇者にガルーダ(神の鳥)、猿の軍団と、それぞれの登場人物の気持ちが、微妙な手のひらと瞳の動きで表現される「ケチャッ・ダンス」話が佳境に入り、謡がはじまると、踊り手の動きは揺らめく炎に浮かび上がって、幻想的な雰囲気を醸し出します。目線やや上に緊張のみなぎる指を挙げたかと思うと、キッと相手を睨みつけてゆっくりと膝を落としていく姫の様子は、揺れる女心か。男たちのかけ声はひときわ大きくなり、物語は最高潮になりました。怪物の猿の親分の一騎打ちは、炎の周りをダイナミックに跳ね回り、その度に周りの男たちが大きく反ったり伏せたり。怪物が尻尾を巻いて逃げ出すと、お話はハッピーエンドとなりました。***************************************今夜の出し物の締めくくりは、「ファイアー・ダンス」ヤシの皮に火をつけて、恍惚とした男がダンスを踊りながらその上を歩くと言う、アクロバティックで不思議なダンスでした。
Dec 11, 2006
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舗装路とは名ばかりの、つぎはぎだらけのガタガタ道を、私を乗せたこれまた年代物のオンボロ車が、真っ黒な煙を吐きながら登っていきます。車窓から広がる風景は、たしかに棚田状になったライステラスではあるけれど、よくある観光案内の写真とはほど遠い、農家の人がてんで勝手に作ったような斜面の田んぼでした。観光用のものと収穫用のものは違うんだということを知って、この島で暮らす人々の様子が少し判ったような気がします。道の両側には、各棟ごとに大きくたわんだ釣り竿のような、ちょうど日本の七夕の笹の葉っぱが無いといった感じの木が天高く立ててあって、今日が特別な日であることを教えてくれます。「この週末は、お祭りなんです」案内してくれている人がいいました。「お盆かお彼岸みたいなものです。村ごとに集まって、豚の丸焼きとお酒を振る舞うんですよ。」「それに、町に働きに行っている家族が帰ってくるので、出掛ける家も多いようです。これから案内する公園は、そんな人たちでいっぱいですよ、きっと」2時間近く走っただろうか。着いたところは、標高700メートル、山の中腹の台地状のところに作られた広い公園でした。芝生の上に輪になってお弁当を頬張る家族連れ、日陰で寝そべって昼寝をするお父さん。よちよち歩きの子供、肩を寄せ合うカップル。何処の国へ行っても、休日の風景は変わらないんだな。**********************************昼食に入ったレストランで飲んだ、「BINTAN BEER」最近は日本でも手に入りますが、日陰のテラスで飲むビンタンはまた、格別。ごちそうさまでした。***********************************というわけで、この日のビールのお供。インドネシア料理6品。日本風にいうと手前右手が、鳥のつくね、左回りに、豚の角煮、鳥の煮物カレー味、生揚げ、春巻き、あと一つはなんだたっけ、、、忘れました。
Dec 10, 2006
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「ケッ、ケッ、ケッ、」ベッドでまどろんでいたら、すぐ近くでこんな声がしました。鳥の声で目が覚めるなんて、久しぶりです。窓から見える風景は、濃い緑と青空、白い雲。いつもと違う外の様子に、「ああ、そうだ。ここは東京じゃないんだ。」と気付きました。ノロノロと起きだして、テラスに出ました。今日は何も予定がない、、、。とりあえず、朝飯だ。あ、「とりあえず」・・・。こんな言葉、ここではいらない。都会の忙しさを忘れきれずに口をついて出た言葉に苦笑しながら、ルームサービスの受話器を取りました。朝食が届くまで、シャワーでも浴びることにしよう。*********************************前日の深夜到着したバリ島のヴィラ。着いた時は真っ暗で何も見えなかったけど、一夜明けたら、目の前に豊かな森が広がっていました。冒頭の声は「鳥」じゃなくて「とかげ」なんだと気が付いたのは、帰る頃のことでした。クプ・クプ・バロン (ウブド)http://jp.kupubarong.com/
Dec 9, 2006
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空港へ向かうバスの中から見える東京の風景は、せわしく騒がしく、それでもいつもと違うかもしれません。見慣れたロゴが大書された看板は、ここが間違いなく自分の国だということを教えてくれます。大きなバッグを抱えて、追い越してゆくトラックのナンバープレートをぼんやりと眺めていました。あと二時間もすれば、そう、出国のスタンプをもらってしまえば、もう誰も追いかけてはきまい。。。携帯電話も家に置いてきてしまった。このMacを閉じれば、晴れて自由の身だ。ほんの束の間の「エスケープ」。面倒なことはとりあえず、ここに置いて出掛けてしまおうとおもったら、不意に眠くなってきました。
Dec 8, 2006
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郵便番号、都道府県、市、町・・・。書き慣れた字もあれば、そうでない字もあります。めったに書かない地方の住所は、ペンの滑りが遅く、なんとなくぎこちない。書き終えて眺めると、いかにもバランスが悪いことに気付かされます。インクが乾くまで、座敷に並べていきます。たたみ一畳ほどになって、やっと書き終わりました。
Dec 6, 2006
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暗くなる前に、やってしまおうと思うことがありました。まだいいだろうと他の仕事をやっていたら、気が付くとあたりが赤い。見上げた空はもう夕暮れでした。紫から、徐々に燃えるような茜色にを変える透明な空は、夏の、オレンジシャーベットのような湿気を含んだ空と違い、これからやってくる冷たい夜を予感させます。ピンと張りつめた空気のなかを、刺すような風が吹き抜けていきました。
Dec 5, 2006
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