「絶対零度2」 のレギュラー配置やカット割りが落ち着いてきた中盤以降、 完全二枚目 道を突き進む 瀧河信次郎サン(桐谷健太くん) は二枚目路線をいよいよ極めていく。
役作りにかけて 桐谷健太くん は終始一貫、 徹底 している俳優なので役作り上の二枚目振りは、ここでは割愛する。
実はキャラクターづくりで重要な点は、 『顔』の使い分け
である。 演出家
は俳優の左右の顔を観察して、これを使い分けることを意識する。
なぜなら、極端な人格異常でもない限り、 左右対称の顔を持つ人間はいない のだから。
レギュラーの並びが固定化した4話からは、ミーティングの 瀧河信次郎サン はずっと左側の顔を撮らせる状態が確定した。
記憶をたどり、メンバの話を聞き、推考する顔は、 桐谷健太くん
のキレのある 左側の顔
が活きている。
判断力や推察力を表現するには、キレのある表情が 安定
していることが大切だ。
桐谷健太くん
の 左側
の顔は 仕事をする顔
、 同性の支持率
が高い顔。
そして 若年層の憧憬
を集める顔だ。
乱れのない、 思考の整然とした瀧河信次郎サン
がここにいる。
最終回の喫茶店で張り込む場面など、 これぞ瀧河信次郎サンの張り込み
、だ。
耳を欹て、ひそかに観察し、対象者の言動に現れるわずかな情報を逃さず捉えようと神経を張り巡らせる 瀧河信次郎サン
は、 『歩くトカゲ』
としての 存在感を集約
している。
被害者宅を密かに 観察する 時の顔も、被疑者を力ずくで 取り押さえる 時の顔も、 嘘を吐く 顔もまた、 左側の顔 だ。
大きな瞳を持っている 桐谷健太くん
だが、左側の顔はハッタと睨みつける迫力もさることながら、 伏し目
がちに思考する様子が似合う。
怜悧
に、 冷静
に、また、ときには 冷淡
に。
そして少し目を眇めて先方を見やるときには、目前の事象だけでなく、その脳裏で 情報が素早く駆け巡っている様
を表している。
瀧河信次郎サン
から話はそれるが、面白いところでは8話のコールセンター潜入場面で、捜査官としての 成長
を見せ始めた 上戸彩ちゃん
の 桜木泉
が対象者の表情を観察するカット。
その 目付き
は観察中の、対象者の頭蓋の内まで透視するかのような 瀧河
に そっくり
だ。
これは、 上戸彩ちゃん が如何に 共演者の芝居 をよく見ているかの現れであって、なかなか驚かされる。
作品の背景にある 芝居場
づくりは自ずと 画面
上に表出するもので、後年、 リピーター
の絶えない映画やテレビドラマは基本的に現場が熱いことが話題に上ったものが多い。
撮影現場
の 空気
が非常に よい
作品であることを物語り、観ていてこちらが画面の前で嬉しくなる。
撮影現場の気分
は映像に 写る
ものなのだ。
説得力のある映像は、演出、撮影、演技のどの集中力が途切れてしまってもつくることができない。
(2011.10.12公開、2011.10.13誤字修正)
二枚目!瀧河信次郎サンの作り方page8_END 2011.11.01
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