濫読屋雑記

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2006年02月20日
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お待たせしました。 余菱さんからのキリ番リク 、ようやく開始します。しかし『 指輪物語 』、 読み込むと時間はかかるは、のめり込むは、疲れるは、さすが三大ファンタジーの中で一番の長編なだけはあります

さて、この『 指輪物語 』の著者は言わずと知れた グレート・ブリテン (でも南アフリカ生まれ。まぁ、当時は大英帝国の一部ですからね~)が生んだ偉大な文学者、 J.R.R.トールキン 創り出した壮大なファンタジーです 。さて、この原作についてアレコレ書くとまず「 死ぬ ピーター・ジャクソン 監督『 ロード・オブ・ザ・リング 』三部作について、余菱さんからのリクにもあったこれも有名、ドイツのファンタジー作家 ミヒャエル・エンデ の映画化された作品と比較しながら語っていきたいと思います。

この映画化された『 ロード・オブ・ザ・リング 』ですが、いろいろな批評を聞きますが 私は成功した作品だと思います 。第一、全6巻に補巻がついた大作を全て映像化出来ようはずがありません( そもそも、どんな作品でも映画化される場合は必ず切り捨て、付け足し、脚色が入ります )。 原作の中から「画」になる部分を抽出して原作の雰囲気を壊さないように脚本を作って製作へ持っていくのが基本です 。その意味では、『 ロード・オブ・ザ・リング 』3部作はまず、 成功したといって良いでしょう 。ただし、映画では主人公のホビット、フロドと魔法使いのガンダルフの2人に展開の軸足をおいて物語を作りました。ただし、それだけでは作品が殺伐とするので一作ごとにアラゴルンとエルフの王女アルウェンやエオウィン姫の心情を描いてみたりして(典型的な騎士と王女様のロマンスと、戦場の恋なのですが)アクセントを入れています。

一方、これの正反対をいってしまったのが ミヒャエル・エンデ はてしない物語 』を映画化した『 ネバーエンディング・ストーリー 』でしょう。この作品、 ドイツ的な主人公の心情や内面の葛藤を様々なモノに表現した深い作品だったのですが… 映画化にアメリカ資本が加わったのがいけませんでしたね 大体、監督があの戦争映画の超傑作『U-ボート』の巨匠 ウォルフガング・ペーターゼン 監督なのに、この軽さは~! )。例えて言いますと、私の大好きな宮崎駿監督の『 風の谷のナウシカ 映画版とコミック版では全く別物というぐらいに深みに違いがあります 。『 風の谷のナウシカ 』にしても『 はてしない物語 』にしても、そして『 ロード・オブ・ザ・リング 3部作にしても膨大な物語を、時間と表現の制限のある (人間の思考は無限なのですが) 映画で表現できる長さと深みに押し込めなければなりませんでした 。しかし、それにしてもいくらストーリーを単純化させなければならなかったとはいえ、『 ネバーエンディング・ストーリー 』は何といいますか、 原作の創玄さとでも言いますか、奥ゆかしさと言うような原作の「核」にあまりにも手を加えすぎてしまい 当時、流行だった『 スター・ウォーズ 』の影響をもろに受けています。と、言いますか『 スター・ウォーズ 』で成功したCG技術を乱用して脚本を技術にあわせたものにしてしまった、というのが実情ではないでしょうか? 全くのアメリカ娯楽映画になってしまっています ですが、これによって誰でも楽しめる純粋な娯楽作品に仕上がっているのですが…。こればかりは、見る人の好みと感受性等々の問題ですからね )。これでは、 原作者を激怒させて当然でしょう

この『 はてしない物語 』のように文学作品には、 映像化して良いものと悪いものがあります 。それは、いくら巷で評判になっている作品でもです。最近ではアニメーションではかなり無茶も効くようになりましたが( 宮崎駿 監督の『 ハウルの動く城 』などは原作のエッセンスを上手に抽出してスタジオ・ジブリ作品に仕上げたという、良い例です。原作者の ダイアナ・W・ジョーンズ 女史も映画のできばえに満足されていました)、実写は怖いです。とくに、CG技術の発達により変な意味で実写も不可能でないことが少なくなりましたが、私が思うに このCG技術、使い方を間違えるととんでもない事になります 。また、 原作者と脚本家、映画監督に製作会社の息がピタリと合わないと作品は駄作になります 。その意味でも『 ネバーエンディング・ストーリー 』は 不幸な作品 でした。原作者と製作会社との間でいざこざが起きてしまい、2作目は純ドイツ製なのに出来が悪く(この作品は見ていないの伝聞ですが)、3作目はまた第1作の路線に戻ってしまったというツクヅク映像化に運が無い 不幸な作品 です。

まあ、『 ネバーエンディング・ストーリー 』にこりた ミヒャエル・エンデ が自ら脚本を書いた(出演もしているそうです。この辺の悪乗りは、古今東西変わらないようです。また、 宮崎 監督を例に出しますと、監督は『 ルパン3世 』シリーズの中でちゃっかり当時の自分の生息範囲であった東京中野周辺を描いて、自分自身もしっかり作中に出演させています)『 モモ 』(これは、昔チラッとしか見ていないのでうろ覚えで書きますが)は、 さすが原作者が書いただけはあって、原作の挿し絵のイメージに近い映像で、メッセージもまあまあ正確に伝えているのではないかと思うのですが、如何せん時間が短すぎましたね 。それから、 原作者が書いた弊害だと思うですが思い入れのある場面に力が入っている一方、物語の展開や作品を理解する上で必要と思われる部分を端折りすぎてはいませんか?というような感じを抱きました

このようにファンタジー作品を映像化するにあたっては、 原作の「核」(コア)に手を付けずに如何にして大多数の読者の思考の中に創られたイメージに合致させるか、というのが大問題となります 。その意味では、『 ロード・オブ・ザ・リング 』は中世ヨーロッパの世界をモデルにケルトやゲルマン等の神話に聖書のエッセンスを加えた内容ですので、容易にイメージが頭の中で描き出されるのに対して、 ミヒャエル・エンデ の場合はドイツ的(さすが、カントやヘーゲルを生み出した国)といいますか、個人やその個人を取り巻く周辺の人々の内面など「 心情 」を文字通り「 絵の如く 」描き出した作品です。 このような作品は、作品の挿絵や読み手の想像力等々によって作品の受け止め方が大きく異なってしまいます 繊細な作品なのです 。さて、 そのようなエンデの作品を映像化しようとすると…。誰もが欲求不満を抱く中途半端な作品になってしまうのではないかと思います。ただでさえ、映像化は完璧に出来ないのに…

以上、 簡単に映画化されたファンタジー作品について私なりの意見を書いてみました 。次回は、『 ロード・オブ・ザ・リング 』三部作についてもう少し詳しく書いてみたいと思います。

指輪物語(1)新版 はてしない物語 モモ





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最終更新日  2006年02月21日 01時11分07秒 コメント(2) | コメントを書く
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