濫読屋雑記

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2006年06月21日
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テーマ: お勧めの本(8118)
はい、 昨日に引き続き今日も課題図書で戦争話をやってみたいと思います ゲイリー・ポールセン 著、 林田康一 訳『 少年は戦場へ旅立った 』(あすなろ書房、2005年)です。

少年は戦場へ旅立った

昨日は、 南北戦争時のアメリカの軍事情勢について長々と書いてしまい、肝心の本の内容まで踏み込めませんでした 。そこで今日は、この『 少年は戦場へ旅立った 』の 本文を引用する形で南北戦争時代の戦争と北軍の部隊の様子がどのようなものであったかを紹介していきたいと思います

チャーリー 少年は 政治家や役人、新聞のプロパガンダ「戦争はすぐ終わるぞ~」 (常套文句です・・・。第一次世界大戦でも「クリスマスまで家に帰れる」というスローガンで前線に兵士が送られました)に乗せられ、 一人前の男として認めてもらうため、また、戦争がどのようなものかをこの眼で確かめるために、第1次ミネソタ義勇団 (訳のまま。どうも表現がおかしいです。戦争モノを翻訳したものの中には、よくこのような微妙な間違いが多々見られます。戦争や軍隊に対する一般知識が無い日本人だから起こる現象でしょうね。ちなみに、私は文中から推測するに、連隊、若しくは旅団だと思います。せめて義勇兵団ぐらいにして欲しいですね。) に紛れ込むため故郷を離れて、ミシシッピー川上流のスネリング砦で志願・入隊をします

ところが、 軍隊に入って支給されるはずの軍服が支給されず 、代わりに渡されたのが、 黒いズボンとグレーのソックス、黒いフェルト帽 (安物で、小雨に当たっただけでふやけてしまったそうです)だけでした。さらに、 食事は腐りかけの牛肉に茹でても硬い豆だけ。おまけに、豆は茹でた後余った物は翌日スープになり、その次にも余ると、今度は乾燥させて砕いて代用コーヒーにして飲んだそうです 。文中では「 食料係のやつらを縛り首にしてしまえ 」なんて言っていて「 冗談だろうけど、目が笑っていないやつもいる 」と書いてあります。 食い物の恨みは恐ろしいですからね・・・ 。最も、この時代はどこの国の軍隊でもまともな食事がほとんど出ませんでした。英国陸軍でも英本国に駐屯する部隊ですらパンと、牛肉を茹でたものと、その茹で汁から作ったスープ、そしてジャガイモの食事しか支給されませんでした。

当然軍隊に入隊したのですから先ずは新兵さんは軍事教練に兵器の取り扱いの訓練を受けるのですが・・ ・。これがなんと、 訓練を担当する将校・下士官も全て民間出身者で軍事教練片手に兵士と一緒に勉強をしていたと書いてあります 。でも、これはいくらなんでも昨日も書いたように民間人をコネや名誉職として任官した将校や下士官が多かったとしても、 少々オーバーでしょう 多少は正規の訓練を受けた将校やたたき上げの下士官 がいたはずです 。でも、 この当時兵士の訓練は単純なものでどこの国でもほとんど同じ 執銃訓練 射撃練習 と、相場が決まっていたのです。 その射撃訓練ですら満足に練習するだけの弾薬がなかったと書いてあります 。いかに、 泥縄的に動員をかけたかが理解できますね

ところで、チャーリーが支給された銃についてですが、本文には正式名称が出てこないのでわからないのですが、「 銃身が長い58口径のライフル銃 」、「 弾は発明者のフランス人の名前にちなんでミニー弾 (ミニエー弾とも言います。フランス語読みです) とも呼ばれるHB弾 (弾底部に穴が開いていて、発砲の際のガスの圧力によってガスが穴を押し広げる事により、弾底が膨張して銃身のライフル〔線条〕に食い込み、弾丸に回転を与えて弾道を安定させる弾丸) だった 」と書いてあることから、アメリカ製のミニエー銃(スプリングフィールド工廠製か?イギリス製ならエンフィールド銃で、こちらは南軍が使用していました)でしょう。ちなみに、 チャーリーは執銃訓練は部隊の誰よりも上手くできると自負していて、銃も当時の西部開拓民に必要な狩猟の経験があったので大丈夫だろうと、高を括っていたのですが自分が使用している小口径の猟銃とは異なり 銃声は耳をつんざくばかりで 」、「 3回に1回ほどは、弾がぐるぐると回転しながら飛ぶような感じがした 」(的確な表現です)と叙述しています。 訓練では400メートル先の標的を狙って撃ったのですが、チャーリー少年は50メートル先の標的に命中させるのが精一杯だったそうです 。実際問題として、狙撃兵でなければ100メートル先の標的に命中させる事など不可能でしょうがね。 あの当時の軍用銃で50メートル先の標的に命中させられる事自体が、かなりの腕前だと思います

その理由は「 400メートルなんてばかげている 」と書いてありますが、これはその通りで、当時の米軍の弾丸は12.5mm弾を使用していて その反動は凄まじきものでした 。最も当時の戦術、というか戦闘方法は、1列の兵士が銃を発射すると地面にひざをつき、後列の兵士が立ち上がって銃を発射し、終わると地面に片ひざをつくという繰り返しで、別の列が発砲している間に、自分たちは薬包の隅をを口で噛み切り、火薬を銃身に注ぎ込み、その上から弾丸を装填、鉄の込め矢で奥まで押し込み、雷管をセットして撃鉄を起こして、発射!するという 18世紀以来の旧態依然なものでした 。つまり、命中率の悪い滑空式銃の時代と同じように弾幕を張って命中率を上げようとしたのですから・・・。戦場では凄まじきことになったのです。ちなみに、教練ではこの動作を1分間に3回行うように指示されていたそうですが、チャーリーはどうがんばっても二回でしかできなかったそうです。これは仕方が無いでしょう。 15歳の少年がくそ重たい銃を使ってやっているのですからね

そうして、 延々と砦にて訓練ばかりを行い、戦闘へ行く事もなく、フロンティア警備のための砦に展開している正規軍と交代させられるのではないか?という噂が飛び交う中、ついに指令が出て前線と移動することになるのですが これからのお話は、依然コレもブログで紹介した マーチン・ファン・クレフェスト 著、 佐藤佐三郎 訳『 補給戦 何が勝敗を決定するのか 』(中央公論新社、2006年) と絡めて前線への移動や戦場の様子を書いてみたいと思いますので、続きはしばらくお待ちください あ~、それにしても鉄砲が出てくるとツイツイ熱を入れて余計な事まで書いてしまいます どうしようもないですね

補給戦





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最終更新日  2006年06月22日 05時19分49秒 コメント(2) | コメントを書く


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