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(ニッピンのメスナーテント)ちょっとテントについて。旅や登山を始める時、単独用にテントを買った。もう10年以上前のことだ。その頃、ゴアテックスを使ったシングルウォール・テント(それ一枚で雨風を防ぐ全天候対応のテント)が、軽量、コンパクト、そして高価で、テント市場を席巻していた。ICIさんのゴアライトは当時も今も使っている人は多く、人気があって皆と同じものを買うのは嫌だとひねくれ根性で、それは避けた。山ヤにはイメージがよろしくないニッピンさんが、あの超人ラインホルト・メスナーと共同開発して発表したテントがある。通称メスナー・テント。風にめっぽう強い。なにしろ8000m峰で実証済み。しかも軽い。メスナーといえば、8000m以上に酸素補給器なしで行けばバカになると思われていた時代、8000m峰に無酸素で登頂してしまった、考えようによってはバカともいえる登山家だ。世界で始めて8000m峰14座全てに、しかも無酸素で登頂してしまった。完璧なスタイルで時代の先をゆく冒険を成し遂げ、人類の可能性の限界を引き上げた、まさに超人だ。8000m峰14座を登頂するまでには大概の登山家は死んでしまう。酸素をパカパカ吸っていても死んでしまう。メスナーは現在もご存命。で、テントだが、10数年前、2人用で1.9kg、2kgをきる重量は革新的だった。メスナー・テントを買った。登山道具などは、山の一も二もわからない初心者が適当に買うと大概失敗する。大枚はたいて使えない道具を揃えちゃって、結局買いなおすことになる。だが、メスナー・テントは素晴らしかった。初心者の頃買った装備の中で、最も成功したもののひとつだ。今でも優れた装備として気に入って使い続けている。耐風性は抜群。生地も強く、フライをかぶせれば、防水性もほぼ完璧だ。現在は2~3人用とされているが、購入時は2人用とされ150x210cmの大きさは、単独で長期使用してもストレスのたまりにくい充分な空間が確保できる。こいつにはそうとう世話になった。メスナーよりメスナーテントに多く泊まっていると思われるくらい、使った。何百泊しただろう。チャリ・ツーリングの我が家として、世界各地を回り、トレッキングや登山で風雪、高所、高温・低温に耐えた。ジッパーがいかれて何度も直し、挙句に入り口一面を張り替える修理までしている。ニッピンさん、新しいのもうひとつくれませんか?こんなにいいテントなのに、使っている人はあまり見かけない。ニッピンだから?侮るべからず。強いて欠点を挙げるとすれば、本体とフライの結合方法だが、それが改善されれば、今でもベストなクォリティを備えたテントとしてもっと高い評価を得ていい。テントの素材としては、ゴアテックス敬遠するむきもある。ゴアは防水素材であるため、基本的にはむれる。だが、ウェア類との違いは直接人体に触れないということ。実際テントで暮らしていて、他の素材のテントと比べて「ゴアはむれるなあ」なんて感じたことは一度もない。軽量化を優先するあまり、生地が非常に弱いものになっているのが、今の軽量コンパクトタイプのテントで、おそらく、切れずに100泊するのは厳しいと思われる。実際、某社の軽量で人気の山岳テントは、ちょっとしたひょうしにすぐに切れてしまい、何度か修理をしている。修理代だって嵩む。メスナーテント。その凄さは、使うほど実感する。
2007.12.08
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