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こんにちは。一級建築士のキー太先生です。マンション価格高騰は、都市部への人口集中、資材高騰、投資マネー流入など構造的な要因が重なっています。これらは短期的な解消が難しく、都心では高止まりが続く一方、郊外では下落するなど「二極化」の傾向を見せています。昨今、マンション価格の高騰が続くと報道されておりますが、こんな市況の中でマンションや戸建ての購入することを躊躇される方も多いことでしょう。しかしながら、不動産価格も市場原理に逆らうことはできず、需要と供給のバランスで価格が形成されます。現在の価格高騰の主な要因は以下の通りです。<需要要因>東京など大都市への人口流入による不動産需要の増加外国人を含めた富裕層による超都心のタワーマンションへの投資マンションの新規供給エリアが、郊外から超都心部へと偏ったこと通勤や教育の利便性が高い地域への人気集中共働き高額所得世帯(パワーカップル)の購買力向上<供給要因>マンションに適した用地の不足による、ディベロッパー間の用地取得競争と土地仕入れ価格の高騰円安やインフレに伴う建築資材価格、人件費、建設費の高止まりまた一方で東京23区の空き家率は10.9%に達し、じつに64万戸が空き家となっています。近い将来、空き家は重大な都市問題となることが目に見えているにもかかわらず、政府はこれを放置しています。区分所有法が改正されたものの、マンションの建て替えが劇的に進むとは考えにくいのが現状です。土地や建物には「公的資源」としての側面があるにもかかわらず、私有財産、つまり個人の問題として片付けられ、法や行政が十分に機能していないことが背景にあります。では、本当に土地や住宅は不足しているのでしょうか。決してそんなことはありません。首都圏には、八王子、町田、さいたま、柏、千葉などの沿線都市を結ぶ「国道16号線(東京環状)」があります。この16号線の内側の面積は約2,300㎢であり、現在は約2,500万人が暮らしています。もし、このエリア全体の人口密度が東京23区の平均(約15,900人/㎢)並みになったと仮定すると、東京圏(1都3県)の全人口である約3,700万人が十分に収まる計算になります。政府が前述の空き家問題や土地の高度利用化に真剣に取り組めば、人口が自然減少していくこれからの日本において、土地が不足することは絶対にありません。私がかつて石原舜介教授の都市計画の講義で学んだ手法によれば、多くの都市の発展は、南から「の」の字を描くように、右回りの螺旋(らせん)状で拡大していくといいます。たとえばロンドンでは、地理的に風が西から東へ吹くため、工場や悪臭が東側に流れることから「西高東低(西のウエストエンドは高級住宅街、東のイーストエンドは下町・貧困地域)」という格差が生まれました。これをマクロ視点で首都圏に当てはめると、都市の拡大は神奈川⇒さいたま⇒千葉へと、まさに螺旋状に広がってきた歴史があります。都市はミクロ視点で見ると「点から線、線から面」へと広がりますが、衰退するときは逆に「面から線、線から点」へと縮小していくのです。2030年代前半には、団塊の世代が次々と鬼籍に入ります。この世代は23区や大都市圏の主要な不動産を所有しており、その代表例が東京都の多摩ニュータウンや、神奈川県の港北ニュータウンなどです。16号線の内側に暮らす団塊の世代は約100万人。彼らが遺した不動産は、今後団塊ジュニア世代に相続されるか、あるいは大量に市場へ流れ出すことになります。一方で、16号線の外側に位置する千葉ニュータウンなどは、需要が激減し無価値化していく可能性が高いでしょう。不動産業界では、この国道16号線を「ルビコン川」と呼んでいます。古代ローマの英雄ジュリアス・シーザー(カエサル)が、国法を破って軍を率いルビコン川を渡る際、「賽(さい)は投げられた(もう後戻りはできない)」と言い放った故事が語源です。今後、16号線の外側の不動産を購入することは、まさに後戻りの できない選択となります。将来的に売却も賃貸も非常に厳しくなり、資産価値が半減する可能性の覚悟が必要なのです。
2026.06.28
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こんにちは。一級建築士のキー太先生です。皆さんは、杉並区で起きた擁壁(ようへき)崩落事故をご存じでしょうか。2025年9月30日、杉並区堀ノ内(方南町駅付近)で高さ4~5mの擁壁と木造2階建て住宅が崩落し、隣接するマンションへ雪崩れ込んだ事故です。実はこの物件、私が2023年10月11日のブログ「買ってはいけない不動産15条」の第5条で警鐘を鳴らしていた不動産そのものでした。5.古い擁壁がある土地、高低差が2m以上ある土地 擁壁が当方の敷地(工作物)の場合、所有者責任を負います。 ある日、擁壁が崩れたことで第三者に被害が出た場合に賠償責任を負います。 また、復旧と侵害賠償に要する費用は計り知れません。報道によると、杉並区は以前からこの危険性を認識しており、所有者に対して計11回も改善指導を行っていたそうです。事故直前の9月24日にも、所有者が区の建築課を訪れて「擁壁の補強工事を行う」と報告していた矢先の悲劇でした。しかし、詳しく紐解くと行政側の驚くべき実態が見えてきます。危険性が認識された1984年から2025年までの約40年間で、行われた指導はわずか11回。その間に所有者は交代しており、現所有者への指導はたったの3回だけでした。区は「所有者に改善の意思が見られたため、命令(是正命令)には至らなかった」と言い訳のようにつづっています。しかし、実際に所有者が行っていた対策はモルタル補修程度だったとのことです。結果として、杉並区の「指導」は何の改善にも結びつかず、むしろ事故を先送りにして助長してしまったと言わざるを得ません。私有財産に対して、行政が「介入や強制」を行うことに尻込みするケースは珍しくありません。建築基準法第9条に基づく「是正命令」に踏み切らず、実効性の薄い「指導」でお茶を濁し、繰り返してしまうのです。今回の杉並区の件は、まさに起こるべくして起こった事故であり、同様の危機は日本中で繰り返されると考えています。二つ目の実例をご紹介します。下の写真は、杉並区高円寺南1丁目29番周辺の、2025年のストリートビューと2026年現在の様子を比較したものですよく見ると、木造小屋のイタリアンレストラン店舗が増築されています。しかし、ここは「準防火地域」です。外壁に木材、窓にアクリルといった可燃物を使った建物は通常認められません。建築士の目で見れば、一目で違法性が極めて高い増築だと分かります。検査の時だけ屋根を外し、検査をパスした後に再び屋根を取り付けるという、潜脱(せんだつ)的な手法を使っています。区は脱法行為を確認しても指導を返すだけで店舗営業が続けられているのです。2025年(増築前)2026年(違法増築後のイタリアンレストラン)実は、こうした違法建築物は決して珍しいものではありません。以前、2024年1月23日のブログ「再建築不可の違法建築(イデアホーム)」再建築不可の違法建築(イデアホーム) | キー太先生の不動産に関するいろいろ - 楽天ブログで解説した通り、事例は数多く存在しているでしょう。そして前述の通り、行政は実効性のない「指導」を繰り返すだけで、強制的な是正に踏み切ることはほとんど期待できません。だからこそ、私たちは自衛のために「買ってはいけない不動産15条」不動産の負動産化 買ってはいけない土地 15条 | キー太先生の不動産に関するいろいろ - 楽天ブログに、新たに次の項目を付け加えなければなりません。16.隣地に違法建築物等がある土地 法令を平然と無視するような隣人が相手では、境界トラブルや騒音問題など、 今後の「相隣関係(ご近所付き合い)」において深刻な苦労を背負うリスクが 極めて高くなります。 さらに恐ろしいのは火災のリスクです。 もし隣の違法建築物(防火基準を満たしていない建物)が出火原因となり、 あなたのマイホームに延焼(もらい火)してしまったとします。 この場合、日本の「失火責任法」の壁が立ち塞がります。 重大な過失がない限り、火元の住人に損害賠償を請求することは 極めて困難です。 つまり、隣人の違法のせいで家を失っても、 すべて自己責任(自分の火災保険)で賄わなければならなくなるのです。 行政の甘い指導に頼っていては、ある日突然、擁壁の崩落やもらい火によって 人生が一変してしまうかもしれません。 不動産を購入する際は、自分の敷地だけでなく 「隣地がどんな状態か」「どんな人が住んでいるか」まで 建築士などの専門家を交えて徹底的にチェックすることが、 最大のリスクヘッジになります。 みなさんも物件選びの際は、ぜひこの「第16条」を忘れないでください。
2026.06.28
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