ライフキャリア総研★主筆の部屋

ライフキャリア総研★主筆の部屋

2004年05月21日
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 ある都立高校では、昨年から始まった「総合的学習の時間」を利用し、キャリア教育を行っている。そのプログラムの中で、とくに多くの時間が割かれているのは、「先輩の話を聞いて学ぶ」こと。

 作家の丸谷才一氏の講演に始まり、同校のOBやOGで現在、民間企業、公務員、弁護士、医師などとして働く人に「仕事のやりがいとは」「なぜ、私がこの道を選んだのか」といった話をしてもらうものだ。

 その関連で、日本で学ぶ外国人留学生数名を招き、「なぜ、日本で学ぶのか」「祖国に帰ったらどんな仕事をしたいのか」について話してもらう。開発途上国と呼ばれる国々からきている若者たちである。

 その話の内容が、高校生たちを突き動かすという。すばらしい。

「祖国のために学び、その成果を祖国の発展に役立てたい」と、彼らは口々に熱っぽく語るのだろう。

 そこには、働くことの原点がある。

「日本人の戦争体験が風化した」といわれて久しい。いまの日本の人口の大半が「戦争を知らない子供たち」だ。

 死臭の残る焼け跡の風景を、自分の人生の原風景としていない者にとって、「食うや食わず」「食うために働く」「日本再建のために」といった言葉は実感を伴わない。

 しかし、だからといって、与えられた余りある豊かさを享受するだけでいいのだろうか。私たちには共感能力や想像力がある。自由にどこまでも羽ばたける力がある。



 有事関連法案は、さしたる反対もなく、次々に成立していく。有事になれば、個人の尊厳もプライバシーも自由も何もない。総動員され、根こそぎ踏みじにられるだけだ。

「国民が一丸となって」という言葉を、無邪気に使う(実は深謀遠慮があるのかもしれない)人のなんと多いことか。お願いだから、その一丸の中に私を入れないで欲しい。非国民と呼んでもらってもかまわない。

 力があり、知恵があり、知識のある者ほど、弱者のために尽くすべきだと思う今日このごろ。しかし、その優れた見本があまりにも少ない日本であることよ。

 仕事でFTA(自由貿易協定)の動きを追いかけている。東南アジア諸国が、日本に対し、看護師などの専門職種について、労働市場の開放を求めているが、日本看護協会は「外交人労働者の参入は、看護師の賃金水準を下げる」と反対の姿勢をとっている。

 あまり知られていないが、ベトナムから学生を招聘し、現地で日本語教育を行った上で、日本の看護学校(または短大)での就学から国家試験の合格、さらには日本の病院での就労を支援する活動が地道に行われている。

 1人あたり年間700万円もの費用がかかるため、支援団体は今後、新たな奨学生の募集を休止せざるを得なくなったという。病院経営が厳しい昨今のこと、協力できる病院が少なくなっているのもその原因の1つだろう。研修生は最長4年まで日本で働くことができるが、その間、病院側は日本人看護師と全く同じ賃金を支払うと同時に、それ以前についての学資や生活費の支援も行うのである。

 ベトナムの医療事情は良くないという。しかも、日本がようやく実現しつつある、看護の自立ができておらず、現場では看護師は医師の助手として扱われているという。帰国後は、現場の看護師というよりも、育成・指導のリーダーとなり、国全体の看護師の権利および技術、職域の発展に尽力してほしい。

 米国の戦争協力などをせずとも、国際社会で日本ができることは色々ある。

 労働者そのものの受け入れは難しくても、育成・指導のリーダー養成なら、日本人の雇用を奪うことにはならないだろう。

 彼らには「国の発展のため」という使命感があるからこそ、勉強も仕事も、打ち込み方が生半可じゃない。その姿勢が、近くにいる日本人をも突き動かす。

 私も、千葉のある病院で働くベトナム人看護師の2人に会ってインタビューしてきた。恐ろしいほど日本語がうまい。訛りはあるにはあるが、地方出身者と変わらない程度だ。看護師は、カルテや日々の実践記録など、記録の仕事が山のようにあるが、上司である看護師長によると、その内容は同僚の日本人看護師に全く劣らないというし、患者からの抵抗もほとんどないという。むしろ、「日本人よりもやさしく、私たちが忘れてしまったような人情を感じさせる」という発言もあった。



 率直にそんな質問をぶつけてみたら、彼女たちも「そう思う」と答えた。

 あと10年か20年が経過したとき、ベトナムで働く彼女たちが、「日本で学んでよかった」「日本語を覚えてよかった」と思ってくれれば嬉しい。

 そのためにはやはり、ベトナム人労働者を受け入れたり、ベトナムの技術協力のために現地で活躍する日本人が増えたり、そういった交流が盛んになることが条件だろう。

 あるいは、夢のような話だけれども、平和を守り、国際貢献に尽力する素晴らしい国、ニッポンの言葉を覚えてよかった!と思ってもらえたら……。

 戦争協力なんてしないで、1人でも多くの外国人、とくに虐げられた、弱い人々と交流し、理解を深めたい。

http://shibasen.ktplan.jp/vetonamu1.htm

AHPネットワーク協同組合

 ベトナム人看護師および就学生についての過去の新聞報道を集めてWordファイルにしてあります。興味のある方、とくに学校の教材に使いたい方がいらっしゃいましたら、メールに添付してお送りしますので、ご連絡ください。FTAでの看護師の門戸開放問題についても同様のファイルがあります。

tomojo@nifty.com







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最終更新日  2004年05月21日 11時15分04秒


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