映画は最後まで観る子のブログ

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2021.07.25
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ひたむきな 努力と夢を諦めない情熱が遺伝子という呪縛を突き崩す!






Netflixにあったから偶然鑑賞。あらすじだけ見たら、ホラーちっくで主人公が取り憑かれたように自分の夢を追い求めて周囲も自分も破滅する、的なものなのかと思ったけど、予想以上に作品に哀愁と品があった。 控えめに言ってめちゃくちゃ良き。

イーサン・ホークだからいいのかな。

決して自分では変えることができないとされてきた 『遺伝子』 という運命を、自分の知恵と努力で覆そうと抗う姿と、各々がちゃんと考えて行き着いた先であるラストシーンに涙しそうになる。




物語は近未来。生まれてくる子供の遺伝子を当然のように操作し、優秀な者のみに地位と名声が与えられ、それ以外の者が人間であって人間ではない、 不適正者 として扱われる世界。ここでは親が子供に対する一番最初にして、最大のプレゼントがより優位な遺伝子を与えることとなっていた。しかし、 主人公であるヴィンセント の親は、この潮流に反して遺伝子操作をせずに自然のままでヴィンセントを授かる。その結果、生まれてすぐにヴィンセントは病気がちで寿命から才能から並以下の 『不適正 と診断され、本当なら父親の名前を授けられるはずだったのに、その名は遺伝子操作をきっちりと行った優秀な 弟『適正者 』であるアントン に与えられた。遺伝子という変えられないハンディを背負いながらもヴィンセントは子供の頃から抱いていた、宇宙飛行士になるという壮大な夢を追い求める。




なんていうか、、


とりあえずヴィンセントがいいやつなんだよ笑



彼は高潔で品があって、でも決しておごらずに自分に足りない部分を補おうと必死で努力する。 『不適正 のヴィンセント』 では一生宇宙にいけないと実感した彼は、DNAブロカーに接触して不慮の事故にあった(これも色々あるんだよね)優秀な適正者に成り済まし、 『適正者 のジェローム』 に扮してガタカに潜り込むんだけど、ここでは髪の毛一筋でも検査されるとすぐ正体がバレてしまうので、神経質なまでに自分という痕跡を消す。その姿がなんかいちいち悲しいよ。逐一パソコンを掃除して髪の毛が落ちてないか確認して、家に帰るとアカスリで汚れを落として皮脂一つも外で落とすまいと必死。ヒロインのユマサーマンと一夜を過ごしたあとでさえ、彼は朝一で部屋を出て夢中で浜辺の砂を自分に擦り付けてヴィンセントの存在を消そうとする。本当に悲しい。


そうやって正体をバレまいと苦心してるヴィンセントを見てると、哀れというよりはひたすら悲しくなる。 自分を否定(DNA的な意味で)し続けるのが生活の一部になっているのが悲しい。報われて欲しい。




しかも実際、ヴィンセントはかなり優秀。

遺伝子的には落ちこぼれと言う烙印を生まれながらに押されたけど、ガタカに入った後の成績や実績は彼の努力によるもの。その結果、 エリート揃いのガタカの中でもトップクラス のエリートになり、見事 宇宙飛行士の候補 にまでなった。ヴィンセントは先天的な才能が一切なく、腕っ節ひとつで今の地位を築いた。その裏にはたゆまない努力と強靭なメンタル、そして夢を追い求める純粋な情熱と この遺伝子に支配された世界に風穴を開けてやろうという反骨精神 がある。



逆にもう一人の主人公というべきなのが 適正者 として生まれ、将来を約束された身でありながら、不慮の事故で半身不随となった ジェローム 。自身の適正者としての身分をヴィンセントに売る代わりに、生活の保障をしてもらう契約を結んだ人物。最初は飲んだくれたりやさぐれ感あったけど、徐々にヴィンセントの熱意に感化されて互いを理解し合える親友のような立場になっていく。



おそらく彼も遺伝子を頂点とする、この階級社会の犠牲者なんだろうな。


かつてのジェロームはオリンピックで活躍できるほどの有能な水泳選手だった。けど、彼の首にかかっているのは銀メダル。ヴィンセントは銀メダルでも凄いと言うけど、ジェロームは 明らかに不服そうだった。 どうして遺伝子的に優秀な自分が、一位じゃないんだと言わんばかりの顔をしていた。事故にしても自分から車の前に飛び出たって言ってたし自殺的な部分があるんだろうな。ヴィンセントよりもはるかに恵まれた環境に、それも生まれてすぐ適正者としての幸運な環境にいながら、ジェロームは彼なりに苦悩していた。



よく言うのは、中学で成績優秀で学年トップクラスの生徒が、高校で有数の進学校に入ると途端に周囲のレベルがあがり、 勉強がついていけなくなって落ちこぼれになる 、みたいな感じかな。不適正者と適正者の間には明確な境界線があるけど、適正者には適正者たちによる熾烈な競争があるわけで。なまじ神童だ秀才だ、と散々言われて育ってきたから プライドも高い だろうし、 勝って当たり前の世界で勝ち続けることって想像以上に苦しい んだろうな。今はまだ自分達より下(こんな書き方イヤだけど)の不適正者達がいるから優越感に浸れるけど、これが全員適正者の世の中になったら、適正者ってなに?ってなるような気がする。より争いが酷くなりそう。




ただ、この二人は似てるのか?笑


作中では当然のように二人が似てて、ヴィンセントの正体を疑った警察までもが騙されるっていうシーンがあるんだけど 、いいのかそれで笑


まあ多分、血液は嘘つかない的なあれで、見た目なんかはどうでもいい世界なのかな。そこさえ入れ替えときゃなんとかなる。 アメリカンサイコ的 な、スーツ着てれば皆同じみたいな。





物語の冒頭、ヴィンセントの正体を疑っていた医者?が殺害されるけど、 もちろんヴィンセントは犯人じゃない。 そんな人道に悖る行為はしないのがヴィンセントです。血は偽るけど笑




腑に落ちないのはこの犯行を自供したガタカの局長が、本当に宇宙船打ち上げ延期を理由に医者を殺すかな?ってところです。ガタカを統べる権力者が、そんな単純で小さな理由で人殺しをするのか。だって別に何度も打ち上げはしてきたんだし、その一本が延期になったって大勢に影響はそれほどないはず。




多分、 局長もヴィンセントの正体に薄々気づいてたんじゃないかな。 で、直向きな彼に同情して、正体がバレるのと打ち上げ延期を阻止するため(この宇宙船にはヴィンセントが搭乗予定だったから)、ヴィンセントのために殺人を犯したんじゃないかなって想像した。




ヴィンセントに協力的な人はガタカ内に他にもいて、例えば 掃除夫のおじさん はヴィンセントが飲んだゴミとか、髪の毛とかをさりげなく処分してたし、 ユマサーマン も要所要所でアシストしてくれたし。ラストの抜き打ち検査のシーンでも医者の一人がヴィンセントが不適正者とわかっていながら データを書き換えてヴィンセントが搭乗出来るように計らったし めちゃええシーンだったよ。



みんな実は、ヴィンセントが不適正者だと気付きながら、でも、そんな運命に抗う健気な彼を影から応援してたんだったら、それは遺伝子関係なく ヴィンセントの純粋な人柄 によるものだろうな。



遺伝子的に優秀なはずの弟のアントンはそこに胡座をかいて、人間的にも優秀さでもヴィンセントには勝てなかったよね。警官が悪いってわけじゃないけど、エリート揃いのガタカには入社できてないわけだし。




ラストシーンは悲しいけど、ああいう方法でしか ジェロームの苦悩は終わらなかった んだろうな、、彼は後悔したんだと思う。不適正者だけど努力して夢を叶えたヴィンセントを間近で見ながら、 優秀と言われた自分自身をもう少し信じて、大切にしてあげればよかったって。 自分がいたらいつか正体が露呈するかも知れない。自分の人生を本当にヴィンセントに与えて託した。最後にヴィンセントに対して出来る最大の献身がああいう形になったのなら、苦しいけど ジェロームの意思 がしっかり表れてたよ。



主演は イーサン・ホーク 。名前は知ってるけどあまり映画を観たことがない役者のひとり。Wiki見たらパージに出てるんだね、、観たことあるけど全然知らなかった。お父さん役かな?多分その時はイーサン・ホークの顔を知らなかったんだよ笑ヒロインは ユマ・サーマン 。二人はこの映画の共演をきっかけに結婚した。(後に離婚)ユマ・サーマンも最後まで裏切るか?ってキリキリしてたけど、ちゃんとヴィンセントの理解者でよかった。 ジュード・ロウ も言うことなし。リプリーに続き 誰かに間違えられる系俳優。 ヴィンセントを最後にかばう医者に サンダー・パークレー 。エアホースワンでは裏切り者の非道なテロリストだったけど、今作ではひたすらいい人。ヴィンセントは周りに恵まれたね。 遺伝子じゃなくて人に恵まれてる。 あと地味にDNA仲介人がメン・イン・ブラックの頭吹っ飛ばされてもすぐ生えてくるエイリアン役の人だった。こういうの見つけるのも面白い。







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最終更新日  2021.07.25 11:29:59


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