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前回の続きです。【揺れるSPC取引(下)連結基準、厳格化強まる 開示方法巡り混乱も】(10/1日経朝刊) 東京・大手町にそびえる三菱東京UFJ銀行大手町ビル。昨年一部の持ち分が三菱東京UFJ銀行に売却された。売り主はメック・アセットホールディング。三菱地所が出資するSPC(特別目的会社)だ。 三菱地所は同社の議決権を持たず、取締役も派遣していないため、連結対象外だった。ただ、SPCから資産運用契約を受託しており、今回の売買を指示。これをきっかけに監査法人と協議した結果、「SPCを実質的に支配している」と判断、新たに約2400億円が菱地所の連結総資産に加わることになった。 SPCを連結するかどうかの線引きは「財務や営業、事業方針の意思決定機関を支配しているかどうか」。基準はあいまいで、監査法人の判断に左右されることが多い。米銀大手が米住宅ローン問題でSPCの連結化を迫られ総資産が突然膨らんだ余波で、投資家のSPCに対する不信感が高まっている。 欧米ではSPCの連結範囲見直しの議論が本格化。米国では年内に開示強化や「適格SPC」と呼ばれる非連結扱いのSPCの廃止などを打ち出す見通しだ。国際会計基準審議会も年内に公開草案を発表する。日本でも企業会計基準委員会が9/19、来年1-3月にSPCの連結の範囲について論点整理を発表、4-6月に公開草案を発表する日程を決めた。 論点となりそうなのが、一定の条件を満たすSPCについて、貸借対照表(BS)から外すオフバランス処理を認める会計ルールの見直し。企業の資産流動化を促進するため1998年につくられたが、「本来連結すべきSPCまでオフバランスされている」との批判の声が多い。このルールに基づく非連結SPCは07年9月中間期から開示が義務付けられ、資産総額は上場企業全体で11兆5200億に上る。特にめだつのが 東急不動産など不動産大手だ。 ただ連結基準の極端な厳格化は企業の実態を見えづらくし、かえって投資家の混乱を招く恐れもある。その前例がライブドア事件を契機に厳格化されたファンド(組合)の連結基準だ。 不動産ファンド運用のダヴィンチ・ホールディングスは2006年12月期の連結総資産が前の期比26倍、売上高が同14倍に急増した。運用する不動産ファンドを全て連結したからだ。この結果ファンドの不動産売却収入が売上高の大半を占めるようになり、運用手数料収入中心のビジネスモデルは財務諸表からは読み見とれなくなった。同社は決算短信にSPC非連結ベースの財務情報を記載し、投資家向けの説明は非連結ベースで行っている。 世界的にSPC連結化の流れは強まっているが「連結の範囲をどこで線引きすればいいのか世界的にも明快な解は得られていない」(SPCに詳しい公認会計士)。企業の事業実態が見えるようにすべきだとの超えも根強く、議論は中々収束しない。---引用終了とりあえず、ポイントとなりそうなとこを赤字&太字にしてみました。もう単なる感想になってしまいますが、ダヴィンチほど極端でなくともSPCを考慮しないで投資判断をするのは危なそうだし(インパクトが大きすぎるので)、かといってSPCを考慮して投資判断するのはプロでも無い限り難しい気がします。よって、SPCというか簿外資産が大きな企業への投資は止めておく、或いは相当慎重に行う必要があると思いました。一応過去に記事を書いた中では、ラウンドワンのこの記事がネタ的には近いかと。あ、あと最近ようやく勉強したくない病から立ち直りつつあります。治療法は10日程ほぼ勉強ゼロで過ごす。でした。アドバイスくれた方どうもありがとうございました。
October 4, 2008
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揺れるSPC取引(上)実質支配で保有継続も 資産売却と線引き難しく(9/30日経朝刊) 特別目的会社(SPC)を使って、資産や負債を貸借対照表(バランスシート)から切り離すオフバランス取引に厳しい視線が注がれている。表面的には分離されていても、企業による実質保有が続いている可能性があるからだ。SPC取引の問題点を探る。 実質的な保有ではないか。東京・池袋駅東口駅前にあるビックカメラ本店ビル。2007年10月に終了した同ビルの証券化を巡り、今年1月、東京国税局がこんな疑問を投げかけた。 ビックカメラは02年8月に証券化を実施、本店ビルなどを約300億円でSPCへ売却した。同社はSPCに対して15億円弱を出資。SPCを使って不動産を証券化する際、出資が不動産時価の5%を超えなければ、会計上は売却と認められる。出資は5%弱でオフバランスが成立した。 問題はSPCに対する弱他の出資者。豊作企画という会社が約70億円を出資しており、税務調査でビックカメラとの関係が焦点になったようだ。 ビックカメラは促販関連の事務処理業務を豊島資格に委託。資本関係は無いが、元社員が役員に入っていた。新井隆二ビックカメラ会長が保有する同社株を担保にして、豊島企画が銀行から資金を借りていたことも判明。仮に豊島企画を実質子会社と認定すると、合計出資額は不動産時価の5%を声、オフバランスは認められなくなる。 ビックカメラは「グレーな面はあるかもしれないが、法律、会計の両面で問題ない」と主張。東京国税局は売却自体を覆さなかったが、豊島企画は事業実態が乏しいと認定した模様。ビックカメラが支払った業務委託費3億3千万円を所得隠しとみなして追徴課税した。 SPCを活用する不動産の証券化は1990年代後半から急速に普及。売却目的の安易な証券化に歯止めをかけたがの00年7月に出来た「5%ルール」だ。証券化の終了時に不動産を売却して元本割れした場合、SPCへの出資は「劣後部分」として損失を被る。リスクの大きい劣後部分を企業がたくさん抱えるなら、本当に売却したとはいえない、という考え方だ。 ルール制定後、多くの企業は証券化案件の出資比率の引き下げに動いた。例えば、住友不動産はシンジュク住友ビルを05年に再証券化する再に、外部の投資化から出資を募り、自らの出資を当初の2割前後から5%いかに引き下げた。 数値基準が明確になったことで、安易な証券化には一定のブレーキがかかった。その一方で、企業関係者などを巻き込んで形式的には5%ルールに抵触しないスキームをつくり、オフバランス化する事例が一部にあると指摘される。大手監査法人の会計士は「個人や別会社を通じてSPCを実質支配している場合の線引きは難しい」と語る。---引用終了●SPCって?大雑把に言うと、資産の流動化(小口化して皆で所有)するためのペーパーカンパニー。詳しくは検索してみてください。出資が5%以内のSPCへは不動産を売却できる。出資が5%以上のSPCへは不動産を売却できない。●この記事でいう問題は?ビックカメラがSPCに5%弱(15億弱)出資して、本社ビルなど(約300億)を売却。BSから本社ビルなど(約300億)が消える。即ちオフバランス化。⇒SPCのルール通りで問題ない。同SPCに豊島企画という会社が約70億(20%強)出資している。ビックカメラと資本関係はないが、役員に元ビックカメラ社員がいたり、その他なんだか怪しい繋がり。ここで問題になるのが、豊島企画という会社がビックカメラの子会社と判定されるか否か。(1)子会社と判定されない。⇒問題なし。(2)子会社と判定される。⇒ビックカメラグループがSPCに25%出資ということになり、売却が認められない。(BSに残る。即ちオフバランス化できない)で、子会社って何?と考えると、2つの基準がある。(1)議決権の過半数を所有していること(持株基準)(2)意思決定機関を支配していること(支配力基準)(1)は株を過半数以上持っているとういことで、一般的かつ分かりやすい。でもって、ビックカメラは豊島企画と資本関係が無い(株は持っていない)ので、この基準だと子会社と判定はされない。(2)は基準自体に曖昧な部分があり難しいですが、「自己と緊密な関係がある者が所有している議決権が過半数」という判定基準があります。つまりビックカメラと緊密な人が豊島企画の株を過半数持っていれば、豊島企画はビックカメラの子会社となります。まあ「緊密な関係」っていうのが曖昧で、税務調査でもこの辺の判断材料を収集して、検討してたんだと思います。結果的に子会社とは判定されず、資産売却NGとはならなかったのですが、ビックカメラ自身「グレーな面はあるかも」と言っているので、危なかったんでしょう。●まとめグレーなやり方でSCPを使ったオフバランス化をしている会社があるので、気をつけましょう。一旦オフバランス化していても「認められない!」と言われた瞬間、BSが数倍に膨れ上がる会社とかもあるので。(でもって資産が値下がりしてたら…。)続きます。
October 3, 2008
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9/4に書いた国際会計基準についての記事に誤りがありました。(誤)・株式等の時価評価が厳密に⇒子会社・関連会社の株式や、土地といったこれまで原則「取得価格で評価」されていた金融資産が、原則「時価評価」に変わります。評価損が出れば、その分利益が減ります。(正)・株式等の時価評価が厳密に⇒子会社・関連会社の株式や、土地といったこれまで原則「取得価格で評価」されていた金融資産が、原則「時価評価」に変わります。評価損が出れば、その分利益が減ります。金融商品は時価評価の対象になりますが、土地などの有形固定資産はこれまでと同じく簿価評価になるみたいです。失礼いたしました。あと国際会計基準になると「純利益がなくなる」という懸念があったようですが、そんなことはなく、純利益はこれまで通り(?)残るみたいです。以上、本日の日経朝刊の国際会計基準審議会議長インタビューからでした。
September 25, 2008
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日本、国際会計基準を導入へ 11年度以降に 日本経団連、日本公認会計士協会、金融庁などは企業会計の国際化に対応するため、2011年度以降に「国際会計基準」を導入する検討に入った。国際基準は欧州を中心に世界100カ国以上で使われ、米国も採用する方針を表明。独自の会計基準を採用している日本は世界的に孤立する恐れがあり、将来は欧州などで企業の資金調達が困難になるとの見方もあった。国際基準の導入で、企業はグローバルな事業展開をしやすくなりそうだ。 世界の会計基準は主に欧州中心の国際基準、米国基準、日本基準の三つがある。国際基準は資産の時価評価を徹底していることなどが大きな特徴だ。米証券取引委員会(SEC)は8月、米国の上場企業に国際基準の採用を認める方針を表明。国際基準が世界共通の会計ルールになる流れが鮮明になっていた。●国際会計基準導入について日本も国際会計基準の導入を検討、といってもほぼ状況からしてほぼ導入決定という感じでしょうか。導入によって、短期的には・会社にとって、対応コストがかかる。・投資家にとって、過年度の指標の比較がし辛くなる。といった、デメリットもあると思われますが、・世界の超主流の会計基準を使わないことによる、海外投資家の日本投資敬遠。(会計基準が独自で分かりづらいから)、他に海外上場企業の日本の会計基準と国際会計基準の二重管理の負担。といった、大きなデメリット回避をするためには仕方ないかなと思います。●国際会計基準ってとりあえず思いつく特徴は、・株式等の時価評価が厳密に⇒子会社・関連会社の株式や、土地といったこれまで原則「取得価格で評価」されていた金融資産が、原則「時価評価」に変わります。評価損が出れば、その分利益が減ります。あれ、これって評価益も強制的に利益が出るんでしょうか。もしそうだとしたら、含み益ある会社は凄いことになりそう。(でも税金も凄いことになりそうな。。。)他は・経常利益がない・のれん(企業合併時の資産価値と買収価格の差額⇒BSに現れない企業価値)の定期償却がなくなる。⇒償却負担がない分見た目の利益はUPするのでM&Aはしやすくなる!?但しのれんの価値が下がったら減損処理をする。等など。今は時間の関係で思いつきで書いていますが、時間が出来たらもう少しきんんと調べたいと思います。
September 4, 2008
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(8/16,日本経済新聞より) 商品の販売促進や顧客の囲い込みを目的に発行する「ポイント」の会計処理で、引当金を計上する企業が増えている。二〇〇七年度にポイント引当金を計上した上場企業は百九十五社と一年前に比べ三五%増えた。引当金処理で財務の透明性は増すが、計上方法は企業ごとにバラツキが大きく、一定のルールが必要だとの指摘もある。 有価証券報告書で貸借対照表の計上額を調べたところ、〇七年度の計上金額は三千二百十三億円と一年前に比べ二一%増加した。通信会社やカード会社を傘下に抱える金融会社、家電量販店などが上位に並ぶ。 〇七年度からポイント引当金を計上した企業は、西日本旅客鉄道やラオックスなど五十八社。監査法人は企業に引当金による処理を促している。監査法人トーマツの古内和明氏は「以前と比べてポイント発行のシステム化が進み、顧客の利用状況が把握しやすくなったことも要因」と話す。 ポイントの会計処理には二つの問題がある。 第一はどれだけ引き当てるか、企業によって差が大きいことだ。企業は通常、期末に将来使用が見込まれる金額を見積もって費用処理し、貸借対照表で引当金とする。 カード会社では発行額の未使用分のうち四割程度を計上する企業がある一方、ポイントの有効期間を無期限としているクレディセゾンは原則全額を計上する。 携帯電話各社の引き当てにも温度差がある。前期末はNTTドコモが一四%増、KDDIが四〇%増えたのに対して、ソフトバンクはほぼ横ばい。「無料通話サービスを充実させた結果、一人当たりのポイント使用量が減り、発行額が増えなかった」という。 ポイントの一種であるマイレージを発行する日本航空や全日本空輸の貸借対照表をみると、「ポイント引当金」や類似する項目がない。マイレージ発行が収益や財務にどの程度の影響を与えているか把握するのは難しい。 第二の問題は、引当金方式は国際的な会計ルールと異なることだ。 国際会計基準審議会(IASB)は昨年、ルールを制定。引当金を計上するのではなく、売り上げからポイント発行分を差し引く。ポイント分は繰り延べ収益として負債に計上。実際に利用した際に売り上げとして認識する。この方式を採用すると、ポイント発行分だけ売上高が一時的に減少することになる。 会計基準の共通化を進める中で、日本が国際基準に足並みをそろえれば、企業業績に与える影響は大きい。一時的に売上高が急減し業績が悪化する可能性もある。野村総合研究所の安岡寛道・上級コンサルタントは「企業の運用実態に合わせた会計処理のルールづくりが必要」と指摘する。------引用終了会計的なとこを整理すると、、、●現状の会計処理は?決算期時点の未使用ポイントの一定額を費用処理(PLの営業利益減&BSの負債増)●会計処理の問題その1費用処理(引当)の明確なルールがないから会社が勝手に(といっても監査でOKと言われるための妥当性はあるけど)費用計上をしている。費用処理とは即ち、未使用ポイントが将来的にどのくらい使われるか、ということだから例えば、未使用ポイント10億円分の3割のの3億しか費用処理をしていない(利用を見込んでいない)のに、翌期に全額の10億の利用があったら、翌期に【本来見込んでいなかった】7億の費用が発生する。⇒見込んでなかった損失が出たら投資家的には困るよね。あと、費用処理(引当)をどのくらいしているか分からないケースがあるので、これも投資家的にいつどのくらいのポイントの費用が発生するかわからない。(JALやANAがそうなんだそうです)●国際会計基準の場合?ポイント発行分が売上高から差し引かれる(PLの売上高減&BSの負債増)●会計処理の問題その2↑にあるように、現在の日本の会計処理と、国際会計基準は異なっている。国際会計基準では、引当金を計上するのではなく、売り上げからポイント発行分を差し引く。とのことだが、そうするとどうなるかというと、、、<前提>仕入額80万、売上100万、ポイント10%(100万×10%=10万)還元で、ポイントの全額を費用処理対象とする。(1)現状の日本の会計処理の場合売上高:100万(売上100万)売上総利益:20万(売上高100万-仕入高80万)営業利益:10万(売上総利益20万-ポイント引当金10万)で、10万の負債(ポイント未使用分)がBSに残る。その後ポイントで商品が売れたら、売上高に加算される。(多分。。。)(2)国際会計基準売上高:90万(売上100万-ポイント分売上マイナス10万)売上総利益:10万(売上高90万-仕入高80万)営業利益:10万(費用処理がないので、売上総利益と同じ)で、10万の負債(ポイント未使用分)がBSに残る。その後ポイントで商品が売れたら、売上高に加算される。ポイント10%還元、20%還元なんて会社は国際会計基準に合わせると、売上高が10%、20%下がるから勘弁してくれってことかな。(実際はポイント利用分が差し引かれるから10%20%減ってのはないと思うけど)投資対象という意味で考えると、ポイントとか仮想通貨的なモノ(電子マネーとは別)を扱っている会社に投資する際は、ポイント引当金(またはそれに類するもの)の妥当性はどうなの?というのと、会計基準で売上高が変動するかもしれないから気をつけようね!といったとこでしょうか。
August 19, 2008
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