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December 23, 2013
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カテゴリ: コラム
第三章
出力部分

調整部分では音の定位や音量について各チャンネルごとに整えてきた.出力部分ではそれらをスピーカや アウトボード (エフェクター等の外部機器)とのつながりを含めた使い方を紐解いていこうと思う.
尚,本章では入力時同様に物理的な計算が多用される個所もたくさんある.
某Q&Aサイトなどでは公式なしでざっくり計算された値だけの回答や正確には正しくない(そのケースだけに則った回答等含む)表現がされていることもあるので注意してほしい.


出力部分の構成
ほとんど,前章の調整部分で解説してしまったのでかぶっている部分もある.調整部分は入出力をコントロールする部分でもあるので密接であるため,ご了承願いたい.

・メインアウト:ミキサーの出力用にコントロールした全パラメータを生かした音が出てくる出力.
・SUB:サブウーファー用端子.出力端のチャンネルミックス音を低域のみにローパスした出力にして出すものが多い.
・インサーション:出力端等にエフェクトを挿むための端子.場合によっては各ソース毎に割り振れるものもある.詳しくはブロックダイヤログを参照.
・内臓型インサーションエフェクト:各チャンネルからのセンドレベルに合わせて使用できる内臓エフェクト.考え方はインサーションエフェクトと同じ.一般的には空間系を装備していることが多い

・BUS,AUX:メインアウト以外に出力できるアウトプット.各チャンネル毎に音量を決められる場合は,モニタースピーカ用の出力として用いられるケースが多い.
・モニターアウト:出力のモニタリングと解釈してメインアウト(トータルエフェクト前段等)と同じミックスが出てくるものがある.基本はBUS,AUXと同じ.
・CD(TAPE)IN:出力端にスループットとして備え付けられている入力端子.外部の再生機(CD,MD,DAT,DVD,BD他)等,エフェクトなどを通さずにつなぐ機器専用のポート.
・REC OUT:2chミックス直後の音を外部のレコーダへつなぐためのポート.
・ヘッドフォンアウト:メインアウトをヘッドフォンで視聴するためにインピーダンス調整した端子.

基本的には出力全般と内外部のエフェクトを接続,コントロールする箇所と解釈できるわけだが,逆に言う出力数を決めている箇所といえる.
メインアウトは一般的に2chステレオ+サブウーファー1~2(ホームシアター用語では2.1ch等と置き換えられたりできるだろうか)で構成されることが多い.最近ではディジタルミキサーの機能で5.1chや7.1ch出力が可能なものもあるが,ここでは基本的に2chステレオ出力を例にする.


メインアウト
メインスピーカから出す用の出力端子である.最終的な2chミックスを作り出している箇所といえるため,フルレンジスピーカを接続するのが一般的.出力にはパワードタイプと呼ばれるアンプ内蔵していないスピーカへ音声を送れるアンプ内蔵型のミキサーと通常のオーディオ信号が出力されるミキサーがある.
オーディオ信号が出るミキサーの場合はメインアウト→パワーアンプ→スピーカでパワードミキサーの出力信号と同じ状態になる.

この時に気を付けないといけないのがインピーダンス(Ω)数と 電力 (W)である.

例えばスピーカが4Ω時800Wまでの時パワーアンプが4Ω時250Wなら問題ないわけだが逆に同じスピーカにパワーアンプが4Ω時1000Wで出力最大にしてつないでしまうと出力オーバー時にはスピーカが破損(発煙,発火を伴う場合がある)してしまうことになる.
スピーカの振動を司る中央部は平気で100度を超えたりするため,非常に危険である.

オーム数に関しても同じでパワーアンプ(例:4Ω)>スピーカ(例:2.66Ω)の場合パワーアンプに必要以上の負荷がかかってしまい破損に至る可能性が出てくる.
内部のトランス等が発火したりした場合,部品総取り替えでも直せないなんてオチになりかねない.
入力部分のインピーダンスマッチングと同じ考え方なので注意してほしい.




このオーム数の計算がややこしい(作法を覚えてしまえば計算機1つで解決できる!!)
aスピーカとbスピーカを並列で1つのアンプからつなぐ場合は以下の公式で求められる(並列スピーカを1つのスピーカと考えた場合のオーム数が=xになる)

x=(a*b)/(a+b)

分母が小さいので元の数字より小さくなるのは想像つくだろうか.
簡単に例題をやってみるとこんな感じである.

イ)4=(8*8)/(8+8)
ロ)2.66...=(4*8)/(4+8)
ハ)5.33...=(16*8)/(16+8)

この計算を見れば何となく同じオーム数値のスピーカを偶数個でつなぐと計算しやすいのがわかるだろうか(これを踏まえ一般的に現場では同オーム数を偶数個接続する)
アリーナや野外特設ステージ等で巨大なスピーカラックを見たときにこれを知っている人は,事前に相当綿密な計算をしていることが想像できると思う.

ちなみに,オーム数値はそのまま出力効率と考えることができる.
仮に4Ωのアンプに上記イ,ロ,ハをつなぐとこんな感じである.
(アンプオーム数/スピーカの合成オーム数)
※出力効率はパーセンテージ表記であれば×100

イ)4/4=1 出力効率100%
ロ)4/2.66=1.50 出力効率150%
ハ)4/5.33=0.75 出力効率75%

ここで注目してほしいのはロ)の出力効率が150%である.これはアンプが最大出力時,ロ)のスピーカセッティングでは50%も多く負荷がかかるということになる.
もしかするとオーバーロードでパワーアンプが破損したりするかもしれない.

故に,ここで使える組み合わせはイ)とハ)になるわけだが,ハ)はアンプを最大にしても能力の75%しか使っていないことになる.音量が足りているのであれば問題はないのだが,それでも音量が足りないのであれば損失している25%を何とか稼ぎたいものである.

ではイ)はどうだろうか.
損失量で言えばゼロということになる.アンプの最大=スピーカの最大ということは非常に効率が良いことになる.ただし,気を付けないといけないのはパワーアンプとしてはギリギリでマージンゼロとも取れる.設計値的な記載内容が個体差でバラつくことはないはずなので破損になることがあればクレームものではあるのだが,少しでも安心したいのであればパワーアンプの出力を1dBとか下げてマージンを稼げばよいと思う.

ミキサーという観点からは脱線してしまったわけだが,メイン出力はメインスピーカに直結する部分であり,パワーアンプのことを考えなければならないのである(パワードミキサーの場合はミキサーにアンプも内臓されているので当然考える必要がある)

尚,パワーアンプにおけるワット数の数値にはRMSとMAX(プログラムと記載されるケースもある)の2通りの記載がある.

500W(RMS) Input 880Hz Sine Wave

このグラフを見るとわかる通り音声波形は AC と考えられ,振幅が開始されている中心500のメモリ位置がRMS,1000の位置が最大値(MAX)と読めるのである.
なので,アンプに500W(RMS)と書かれている場合は,特別な記載がない限り下:0W,上:1000Wということになる.スピーカの最大許容が仮に500W(Max)の機材だったら完全にNGなのがわかるだろうか.

これらも考慮してつながなければいけないことになる.
ちなみに,直/並列接続時の出力電圧に関してはスピーカの数分だけ合計と考えるため公式にするまでもなく以下の通り加算合計になる.

例:a→500W,b→250W,c→150W,d→300W
x=a+b+c+d
500+250+150+300
∴1200W
もちろん,前述した通りアンプ(出し側)の電力 < スピーカ(受け側)の電力はしっかり守らないと最悪の場合スピーカが発煙,発火する可能性もあるので注意してほしい.


メインアウトというより,パワーアンプとスピーカについての解説になってしまったが,結局は音を出すための出力ポートであるため知っておかなければならないことではあるのだ.
仮に,モニタースピーカにつなぐミキサーとして考える場合はあまり関係のない話かもしれない.
尚,出力端子はXLRやTRSまたTSやRCAと用途に合わせて色々形状が異なる.入力部分の応用で考えれば迷うことはないだろう.


SUB
モデルによって名称が異なることもあるかもしれない.このポートはサブウーファ(超低音)等の特化型スピーカ専用の出力ポートである(機種によってはウーファーやツイータまたスーパーツイータ等の専用ポートを持つ場合もある)
※以下,現場でよく用いられるサブウーファだけに焦点を当てて説明する

サブウーファとは低音出力に特化したスピーカのことでホールやアリーナまたクラブなど音が分散してしまいがちな場所で用いられることが多い.
ホームシアターなどでも○.1ch等と記載されているものはサブウーファーが付いているという意味になる.
サブウーファーは基本的に120Hz以下だとか80Hz以下を出力することに特化している.逆に言うと通常のスピーカで低周波までカバーするのは大変なのだ(ラウドネスの観点から考えれば想像つくだろう)
ミキサーについているサブウーファー専用出力はこれらを踏まえて2ミックスされた箇所の音源をモノラル化しローパスフィルター(ハイカット)を通して出力しているのが最もポピュラーである.
サブウーファーのモデルによってはアンプ内蔵かつこのローパスフィルター内臓のものもあり,通常のBUSからの音源でもLowのみを出してくれるものもある.
エフェクト等の効果により輪郭を失った音源にてLowに回り込むのを防ぐ場合は特定の楽器のみをBUSへ送ってこのようなサブウーファーにLow専用音源を送る裏ワザもあるだろう.
音場の状態を見ながら機材を選び,試行錯誤するのもありかもしれない.


後半へ続く





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最終更新日  December 24, 2013 09:58:46 PM
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