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June 1, 2015
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カテゴリ: 音楽
最近仕入れたStudioT'sLABのステージ設営裏方機材を紹介してみます.
業務用機器ですので一般の方は馴染みがないものかもしれません.
雑学程度にお楽しみください.


まずは, SONY SRP-200LC
平衡-不平衡の相互変換器です.
srp-200lc

簡単に言うとXLR端子とPin端子を変換する機材です.
「その辺に売っている変換ケーブルでいいじゃないか」って言われてしまいそうですが,そう簡単な話ではありません.

そもそも平衡(バランス)と不平衡(アンバランス)は電気的仕組みが異なります.
変にケーブルで変換してしまうと本来の能力を発揮できなくなってしまうので延長配線等を強いられる現場では困るわけです.


極端な例ですがある波形を平衡接続にして伝送中に意図しない外来ノイズが入り込んだとしましょう.
hot_and_cold

上の図のように平衡信号上に髭のような不特定多数のノイズが発生したとします.
この2つの波形をプリアンプで再合成する時,ノイズ成分は差異となるわけです.
HotとColdの信号を合成した際に発生する差異は信号として取り出せないものになる為,結果以下のようなきれいな波形が取り出せると言う原理です.
sound_signal


これを,コネクタだけXLRからフォンやピンへと変換してしまうと,Hotの信号が音声信号波として扱われてもColdの信号は宙に浮くか,最悪の場合グランド(信号電圧の0V位置を決める為の基準電圧)に落ちてしまったりすると,平衡ケーブルを使用していても不平衡ケーブルと化してしまいます(10mのXLR端子ケーブルが10mのフォン端子ケーブルと同じになってしまう).
ノイズ耐性がなくなりHotの信号に紛れ込んだノイズがそのまま音声として再生されてしまうわけですね.

ちなみに,こう書くと『XLR端子の付いたケーブルは"ノイズに強い"』と勘違いしてしまう方がいらっしゃいます.
XLR端子のケーブルがフォン端子のケーブルより性能が高いなんてことは全くありません(それがまかり通るならギタリストはギターシールドをXLR端子のケーブルを変換して配線したがるでしょう?)
XLR端子での接続による恩恵はその伝送の仕組みを作り上げる送信側機器とそれをバランス配線のまま受ける受信側機器の関係性が重要なのです.
Hot/Coldの2端子で音声信号を伝送してその周りをシールドで保護する事により外来ノイズの耐性が高くなっている為,前後の配線状態もバランス型で一致していなければ意味がないのです.

また,『変換ケーブルで不平衡化しても配線短ければシールドと同じなんだからいいか』と安易に考えていると痛い目見る可能性もあります.


また,Coldをグランドに落とす処理がされている場合も最悪,接続機器のグランドが浮いてしまってDCオフセット位置がズレたり機器が誤作動を起こす原因になったりする可能性が生まれたりと悪いことだらけです.

電気信号は目に見えないからこそ,適切に処理しなければならないのです.
そして,そのバランスtoアンバランスを適切に処理して変換できるのがこの機器と言う事になります.


具体的なシーンはこんな感じです.
アナログミキサーなんかでプリアンプが内蔵されていないチャンネルも存在しますよね.


でも,会場設営の都合で16chフルにバランス接続しないと確立できない時にわざわざサブミキサーを用意するのはトラブルの元になるんです.
サブミキサーを入力したチャンネル分はダイナミックレンジも稼げなくなってしまったりしますのでPA屋としてもできる限り避けたいのです.

そんな時に配線上はバランスでミキサー直近で本器を用いてアンバランスに変換し該当チャンネルに接続して使用します.
ステージからミキサーブースまでは平衡接続ですので外来ノイズ耐性は他チャンネルと同等ですし,ミキサーブース内で短配線をすればアンバランスでも不都合は少ないです.


マイクプリアンプやパッシブのダイレクトボックスを逆さに使う等でも同様の事ができますのでケースバイケースではあります.
ただ,StudioT'sLABの機材だと基本的にはステレオチャンネルに使う事が多くなるのでキーボードやオーディオ機器等インピーダンス調整をする必要がほとんどない機器をつなげることが多いです.
故に,ゲイン調整等で歪の原因になりやすいマイクプリアンプの類は特に避けたい,結果本器を使うと言った流れになるわけです.


次に紹介するのは SONY AC-148F
業界では定番なファンタム電源です.

SONY/ソニー  ACパワーサプライ AC-148F

コンデンサーマイクやアクティブタイプのダイレクトボックス等,ミキサーとの接続に使用する機器の中には電源配給が必要な機器があります.
電池で駆動するものもありますがステージでは電池切れで演奏が止まる事はあってはならないですので電源で接続するのがベターとなります.

ミキサーによっては,そのファンタム電源を配給できる仕様のものが多くあり,+48VとかPhantom等と書かれていたりするのですが,モデルによってはチャンネル毎にON/OFFができないものもあります.

他チャンネルのXLR端子にダイナミックマイク等,電源不要なものが接続されていると最悪の場合マイク類に48Vの電化がかかってしまう事になりかねません.
感電等思わぬトラブルや事故を引き起こしてしまう可能性があると言う事で非常に危険です.

そこで登場するのが本器です.
2chしかありませんが,アクティブのDIが2つもつながればE.ベースとエレアコ等,一般的なバンドをカバーできます(尚,ステレオ仕様の場合は1系統に電源が配給されれば大抵は動作できます)
ミキサー側のファンタムは使用せずに本器より電源を配給させて該当する機器のみに電源を配給できると言った感じです.

また,先ほどの平衡-不平衡変換器等ファンタム未搭載機種でアクティブ機器を使用する際も本器を中継させれば電源配給ができるようになりますので非常に便利です.

配線上に中継する為,あまり品質の良くないものを使用すれば音質劣化につながります.
レコーディングでもなければシビアに考えなくてもいいのかもしれませんが,不要な音痩せ等はやはり避けたいですので信頼ある機器で賄いたいわけです.
そんな特別なシーンでも活躍できる信頼のモデルです.


以上,2点を紹介しました.
何れも業務品であり,絶版で手に入らなかったり新品や中古でも値段が安くなかったりとなかなか手が出ないかもしれません.
ただ,StudioT'sLABでも表舞台で活躍する目立つようなモデルではありませんが,予備ボックスに必ず入っている保険機材です.
似たような事例でお困りの方は是非検討してみてください.





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最終更新日  June 1, 2015 10:37:51 PM
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