BL駄文・華は夜ひらく

BL駄文・華は夜ひらく

2009年10月22日
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BL小説です、興味ない方、嫌悪感を抱かれる方はご遠慮下さい。


言葉も無く、待合室に戻ると手術を終えた春日先生が佐伯先生と話していた。
佐伯先生は涙を流しているようでハンカチで目元を拭っている。

「千史、皆藤君はどうなんだ」
「心配するほどではない、腸に傷が付いていたが深くはない、全治2週間ぐらいかな」

気が抜けたら力まで抜けたから椅子に座った。
涙が止め処なく流れ出た。
大人になってこれほど泣いたことは無かった。


「顕一。。。」

抱き寄せられた。
だけどそれは押し戻した。

「和樹さん、僕はもう、貴方の。。。」

言い掛けて止めた、春日先生や佐伯先生がいるところで二人の関係が終わったってことは言いたくない。

「今はだけ頼って欲しい」
「済みません、気が抜けたらなんだか止まらなくなって。。。良いんです。。。だから。。。」

構わないでとは言えなかった。
だけどここで甘えてしまってはダメなんだ。
春日先生が訝しげな顔で僕らの様子を見てる気がした。

「麻酔は2時間ぐらいで醒めると思います、私は失礼します、彼の病室は個室を用意したから着替えを準備してあげてくれないか?」

君のためじゃないよ、絢斗を殺人犯にしたくはないかね」

そう言って春日先生は踵を返して去っていった。
仕方が無い、先生にとっては僕は厄病神の様な存在なのだろう。
会うときはいつも面倒ばかり起こしている厄介者だって自覚は有る。

「気にする事はない、あれはあれで君のことを気に入っているんだから」


和樹さんと出会う前、この病院に絢斗がお世話に成ったこと先生はそのときの主治医、その時の縁で和樹さんを紹介したのが春日先生だったのだそうだ。
人の縁とはなんて面白いものだろうかとこの時思った。

「じゃぁ、病室にいこうか?」
「そうね、顕一君、大丈夫?」
「済みません、大丈夫です」

和樹さんと佐伯先生が寄り添って歩く、美男美女のカップルって絵になるもんだとなんとなく思った。
不思議と嫉妬と言うか羨ましいとかは思わなかった。
なんだか夢の中のようなぼんやりとフィルターが掛かって見えた。

5階の特別室、一般の病室とは大違いだった。
広くて落ち着いた雰囲気、バスルームにトイレ付き、応接セットに小さな和室、病院で使う機器が無かったらホテルの一室と言っても言い過ぎではない。
ぽかんと見入っている僕に全の側へと促された。
顔色の戻った全はスヤスヤと眠ってる。

「顕一、私達は絢斗の方が心配だから帰るが君はどうする?」
「僕も一旦帰ります、入院の準備をしなくちゃいけないので」
「そう、だったら私が送ろう、翠、君は一人でも平気だね」
「ええ、私はもう大丈夫、ねぇ、顕一君、全が住んでるところ分かる?」

僕は問われて答えられなかった。
一緒に住めば良いと進めた事が有ったけど全はそれを断って物件を探していたはずだ。

「これが全の新しい住所」

先生には教えたんだと思うと少し寂しかった。
メモを貰って和樹さんに言う。

「僕は一人で平気だから、佐伯先生の方に付いて上げて下さい、ああ言ってるけど心細いはずだから。。。」
「良いんだよ、急によそよそしくしなくても。。。今まで道理甘えて欲しい」

よそよそしくしてる訳ではない。
優しくされるのが辛いだけなんだ。

「僕は先に失礼します」

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最終更新日  2009年10月22日 03時46分04秒
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