BL駄文・華は夜ひらく

BL駄文・華は夜ひらく

2009年11月21日
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カテゴリ: 道に落ちていた男
BL小説です、興味ない方、嫌悪感を抱かれる方はご遠慮下さい。

今日の出来事は鴻山にとって相当のダメージとなった。
あの後、野瀬は外へと出たらしい、顔を合わせる事無く一日を過ごせたのは幸いだったが仕事が捗らなかった。
予定の作業は終わらせる事は出来たが疲労感だけが体に残った。
人気の無くなったオフィスを急いで出た。
野瀬に会いたくない一心だった、ここで会ってしまったら自分を保つ自信がなかった。
日の沈んだ街を歩いた。
すれ違う人は全て楽しそうに見えた。
下を向いた、不幸を背負った気には成らなかったが気分は重く最悪だった。

今の鴻山には無縁だった。
あの日と同じ裏木戸を潜った。
自分の部屋を見ると明かりがついていた。
思わずホッとした気分が不思議と湧いて来た。
あの日、椎名を拾ってから心のどこかに誰かが居るという安心感が生まれた。
自分を知っている誰か、椎名とは口争いだったがそれを楽しんでいる自分が居た。
ドアを開けると部屋の中が明るい気がした。
思わず、人影を探している自分に気付き、何を椎名に期待しているのだと思った。
そして鍵を使わないでドアを開けた自分、誰かが部屋に居ることが当たり前に成っていることに苦笑し中に入った瞬間、カレーの良い香りがした。

「やぁ、お帰り」

背中から声がして驚いた。


「ごめん、そこのコンビにまでタバコと酒を。。。」
「頼む、出る時は鍵を掛けてくれないか、こんなボロアパートでも無用心だ」
「今度から気を付けるよ」

鴻山の横をすり抜け、キッチンに荷物を置くと冷蔵庫にビールなどを詰める。

「なぁ、アンタも飯食うだろ?カレー、作ったんだ」



「必要ない」
「飯くったの?」
「ああ、そんなとこだ」

何時かは出て行くだろう人間に甘えてはいけないという思いと明日の事で食事など出来る気分ではなかった。

「そうか、沢山作っのに仕方ないよなアンタには迷惑だよな」

着替えを終え、膝を抱えて床に座った。
目の前のテーブルに見覚えの有る紙片を見つけ青ざめ、キッチンで鍋をかき回す背中を見ながら絶望が湧いて来た。

「なぁ、サラダも作り過ぎたんだけど食えない?」

振り向いた先に鴻山の凍り付いて青ざめた表情が自分を見詰めている事に気付いたが平静を装い、普段と変わらないスタンスで接した。

「俺の手料理は食えない?」
「。。。」
「なに?」
「いや、なんでもない。。。」

椎名が食器を持って近づくと慌てて手のものをズボンのポケットに仕舞った。
それを見ていたはずの椎名は何も聞かないでにこやかに食事の準備をする。
メモの事をどのように切り出すか考えたが言葉が見つからない。
このまま椎名の優しさに甘えてしまう事も考えた。

「ほい、これアンタの分」
「要らないって言ったじゃないか?」
「食って無いんだろ、食えよ」

手にスプーンを強引に握らされた。
これはメモの事を知っていて気遣われているのだと悟った。

「同情するな」

言っては成らない一言が出てしまった。
椎名は気にも止めず準備を続けていた。

「心の中では笑ってるんだろ、男に遊ばれてる情けない奴だって」

椎名は黙って、ただ鴻山の言葉を聞いていた。
吐き出したい思いを吐き出させる。
それで良かった、少しでも言葉にする事で楽になるのを知っていたからそうした。
喧嘩をする積りは無かったから今回は言い返さなかった。

「言えよ、何時もみたいになにか言い返せよ」

椎名の優しさに涙が溢れ、膝に顔を埋め泣いた。
女々しいと思いながら涙が止まらなかった。
腕を引かれて腕の中に抱き竦められた。

「何をする」

腕の中は暖かかった。

「抱き締めてる」
「離せ」
「それは出来ない」
「だったら暴れる」
「そうすれば良いじゃない?」
「自分は同情されるの嫌いな癖に。。。」
「人間だからさ、不得なものが有るじゃない?それだよ」

鴻山が笑った。
顔を上げさせ涙を拭った。

「アンタさ笑ってる方が可愛いよ」
「ふん、男だから可愛く無くて良いん。。。う、ふっ。。。」

口付けられた。
胸を押し返し離そうとしたがビクともしなかった。

「さぁ、飯にしよ、俺、腹減ったから」

鴻山は唖然と椎名を見詰めた。
心の中が軽く成っていた。
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最終更新日  2009年11月22日 03時52分05秒
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