BL駄文・華は夜ひらく

BL駄文・華は夜ひらく

2009年11月30日
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BL小説です、興味ない方、嫌悪感を抱かれる方はご遠慮下さい。

痞える(つかえる)

全が仲間に囲まれる。
慕われているのだと改めて思う、僕はそっと席を立った。

「顕一?」

呼び止められた。

「ごめん、ちょっと。。。」

トイレへと言って外に出る。
ホッと息を吐きトイレに向かう、用など無かった。

鏡に映る人物と目が合った。
抱きすくめられた。
懐かしい香りに包まれる。

「瀬戸さん。。。」

そう呼ぼうと決めていた。
この日がそうなるは思わなかったが僕のケジメだ。

「久し振りだね」

心臓が跳ねた。
本当に久し振り、全の退院以来逢っていなかった。
なぜ、ここに居るのだろう、用を足しに来たわけでは無さそうだ。
思い上がりかも知れないけど追って来たなんて思ってしまう。

痩せたのかな、ちょっと頬が痩けた気がする。

「もう、和樹とは呼んで貰えないのかな」

甘い切ない声が返って来る。
こんな状態でこんな声で話されたら普通では居られなくなる。
だけど動揺を見せてはいけない、お互いの道は分かれた心には触れてはいけないのだ。


「済まない、言い訳はしない、和樹と呼んでくれるなら放してやろう」

高鳴る心臓を落ち着かせて唇を動かした。

「和樹さん。。。」

戒めが放された。
苦しかった想いが一気に開放されたと思ったその時、体を振り向かされキスをされた。

「う、ふっふっ。。。」

抵抗し手を捉えられた。
体を抱き込まれて口付けが深くなる。
なぜ、佐伯先生がいるのに僕を手放したのでは無いのか、頭が心が混乱する。
唇が離れた。

「なぜ?」
「君の顔を見たら切なげで苦しそうだったから、皆藤君と上手くいっていないのか」

今度は正面から抱き締められた、表情は分からない。

「幸せです、全が居るから、貴方は?」
「私は幸せだ、翠が居るから」

手が放されて見詰め合う。
緊張感が緩み、二人で同じに笑った。
和樹さんのあれは何だったんだろうと思うが幸せならばそれで良い。
不安が拭い切れないまま、背中を押され外に出てパーティー会場に戻った。
相変わらず囲まれて談笑する全、こちらに視線を向けたけど逸らされ、切なくなった。

「あれか、原因は?」

ズバリと言われた。
相変わらずだと思った。

「言ったでしょ幸せだって」
「君の焼餅か?」
「バカ言わないで」
「和樹遅いわよ」

佐伯先生の声がした。

「悪い、悪い、仕事が長引いて」
「顕一君、酷いでしょ折角、私がセッティングしたって言うのに仕事って有り得ないと思わない?」
「謝ってるじゃないか、それにシェフを呼んだのは私なのだからそれを忘れないで欲しい」
「冗談よ、お帰り」
「君は人が悪い、ただいま」

初めて見た二人の和やかな雰囲気、さっきの言葉通り、上手く行って幸せなのだと感じ、少し焼けた。

「そろそろ始めて良いかしら?」
「どうぞ」
「全」

全を呼んで部屋の上座に立たせる。
横に立ったのは佐伯先生、退院の報告と職場復帰の発表をしそれに継いで全が挨拶をした。
華々しい快気祝いが始まった。
全や佐伯先生を囲む人々、僕は壁に凭れてそれを見ながらグラスに口を付けた。

「彼は人気だね」
「僕とは違って社交的だからね、和樹さんは良いの?」
「もう慣れたよ」

楽しげだった。
僕とは大きな違いだった。
僕は嫉妬深いのだと今更、実感した。

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最終更新日  2009年11月30日 14時54分09秒
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