BL駄文・華は夜ひらく

BL駄文・華は夜ひらく

2009年12月13日
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BL小説です、興味ない方、嫌悪感を抱かれる方はご遠慮下さい。

発つ

トイレの個室、和樹さんが僕を見上げて来る瞳が揺れてる。
なぜ、こんな事になるのだろうか、佐伯先生と上手く行ってないか、それもあのパーティーの日の繰り返し、ただの未練だなんて思えない。

「和樹さん、なぜなの、なんでそんな顔をするの?」
「私はどんな顔をしてるのかな?」
「子供みたいで今にも泣き出しそうだよ」

溢れ出しそうな涙を僕が指で拭う、立場が入れ替わって和樹さんを包み込んだ。

「抱き締められるって温かいな、私は君に何か残せたかな?」

「そうか、良かった」

静かな声で呟いて僕を膝に乗せた。
後ろから抱き竦められて首筋に息が掛かった。
心臓がどきどきしてる。

「顕一、済まないこんなところで、そのカバンを取ってくれないか」

僕は手から離れて立ち上がり、棚のカバンを取って渡した。
そっと開けると中から小さな封筒を取り出し、僕の手を取るとそれを手に乗せた。

「それを持っていてくれないか?」
「これはなに?」
「大切なもだから君が持っていて、私が帰ったら開けて」

なんだろう、手紙でもなさそうだし、想像も付かないれど彼が帰って来たら明らかに成るだろう、気には成るけれど預かって置くことにした。

腕時計を見た彼が残念そうに言った。

「時間だ行かなくては」
「お別れなんだね」
「ここでお別れは色気が無いからね、出よう」

二人で個室に出る。


「和樹さん、チェックインは?」
「済んだからね、搭乗ゲートに向かうだけだ、見送りはここまでだ」
「また、逢えるよね」
「ああ、勿論、以前のような間抜けな帰り方はしたくないからね」

笑った和樹さんは墜落事故の時の事を言っているのだろう。
間抜けだなんて生きて帰って来てくれて本当に良かったとあの時、思った。
抱き寄せられてキスされた、もう、視線なんてどうでも良かった。

「最後まで僕に何かを残していくんだね」
「本当は爪痕を残して貰いたかったのにね」

爪痕を残したのは和樹さんなのにって笑って僕から口付けた。
笑って搭乗ゲートに向かって行く後ろ姿を見送った後、スカイデッキに出て何機かの離発着を見た後に和樹さんの乗った飛行機が飛び発つのを小さくなるまで見送った。
どこか心に穴が開いた気がした。

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最終更新日  2009年12月13日 03時23分42秒
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