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2006/03/25
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カテゴリ: 本・読書
破線のマリス/野沢 尚

続けて野沢尚の作品を読んでみた。前回紹介のものより前1997年の作品で、江戸川乱歩賞受賞作だ。小説家としての氏の名前を世に知らしめた作品であろう。

乱歩賞受賞作では、これまでも「原子炉の蟹」(長井 彬)81年、「テロリストのパラソル」(藤原 伊織)95年、「八月のマルクス」(新野 剛志)99年、「マッチメイク」(不知火京介)03年、などを読んだが、いずれも興味深い舞台で繰り広げられる良質のミステリーとして印象に残っており、さすがにハズレはない。

マリスとは「悪意」の意味だそうだ。破線とはテレビの走査線。テレビ業界、ニュース映像の編集に携わる女性が主人公である。
謎の人物から持ち込まれたビデオを元に、かなり危険な「意図」を織り込んで編集されたニュース。それによって映された男も、編集した女も人生を大きく狂わせていく。

事件の背景の謎についてのストーリー展開が正直消化不良で、謎解きを旨とするミステリーとして読むとたぶん失望するだろう。
「ひとりの女が、虚と実の間で崩れていく小説」という北方謙三氏の選考評が的を射ているように思う。

「ここに映っている私を、信じないでください。」

既に多くの人が信じていない時代になってしまった。



何が「真」で、何が「虚」なのか、それは誰にとっての真実なのか、誰のためにそれは語られるのか、その問いかけ自体は、報道する側にもそれを受け取る側にも、今でも常に横たわっている。

自分の頭の中の副調整室を再認識度★★★☆☆
破線のマリス





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Last updated  2006/03/25 07:41:38 PM
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