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ここに書いた通り、恋人に連絡した。2、3回電話をかけたが、案の定出なかった。 「灰色」の状態が更に続くのかと思うと本当に嫌だったし、電話を無視できる彼の余裕が許せなかった。だけどそれらを通り越し、なんだか力が抜けてしまった。もういいやと思った。 「電話に出てくれない?別れよ。手渡しで鍵返したいので、都合のいいとき教えて。」というメールを送った。これまでにも何回か喧嘩をしたり、彼に対する不満を持つことは多々あったが、別れの提案をしたことはなかった。だけど今回、本当にもういいやと思った。 15分後、彼から電話がかかってきた。別れの意志を伝えた為にかかってきた電話かと思ったら、そうではなかった。 私が電話に出た途端に「さっき起きた」という彼の声が聞こえた。目が覚めてから私からの着信履歴を確認し、電話をしたのだという。彼はいつもの冗談めいた口調で、「やっと電話かかってきたよー、今回は遅かったからどうしたのかと思った」と言った。私たちは普通に笑いながら会話をし、私はそれになぜかとても安心していた。「メール見た?」と切り出すと、「え、送ったの?気付かなかった」と言われた。どうやら本当に見ていないらしく、私はメールの内容を口頭で伝えた。だけど私たちは既に自然に仲直りしていて、別れるとか別れないとかもうどうでもよかった。あぁよかった、また前みたいに戻ったとは思ったものの、どこかで何かが引っかかっていた。 その後一週間程度、彼の休みの日にはデートをしたり、セックスをしたり、好きと言ったりした。だけどやっぱり、何かが引っかかっていた。 本日の数時間前、彼から電話があり、10月の休みを私に合わせて取ったということを聞いた。好きと言った。 本日の1時間前、彼から電話があり、今仕事が終わったということをいつものように聞いた。10月の休みにはディズニーシーに行きたいね、行こうかという話を以前ぼんやりとしていて、次の休みに行こうかと言われた。私は「最近いろんなとこ連れてってもらってるから悪いし、今度はゆっくりしない?」と言った。「ゆっくりしてたら智ちゃん『寂しい』って言うじゃん」と言われた。「もう何にも言わないから、ゆっくりしようよ」と答えた。「いつもどこかに連れてってもらうのが申し訳ない」とか、「休みの度に会ってくれるの悪い」とか、「たまにはゆっくりしてほしい」とか、「そういうの心苦しい」とかも加えた。 すると怒りを含んだ半笑いで「心苦しいっていうけどさ」から始まり、また喧嘩のようになった。私はそのような雰囲気の中で言い返すことは今までなかったのだけど、「その『付き合ってやってる』っていう感覚が嫌なんだよ」と伝えた。 その数分後、「別れよ」と言うと、「今から言うこと紙に書いて」と言われた。彼の言う通りを紙に記すと、それは彼の住所だった。「鍵、郵送でいいから。じゃあね」。 こんなふうなのか。1年付き合った彼と、別れた。数時間前に好きと言った人と、こんなふうに別れてしまうものなのか。 何か思うことや書くべきことはあると思うのだけど、よくわからない。その電話の直後に、いてもたってもいられず、寂しさを紛らわせてもらおうという自分勝手な理由で時々電話をしていた元恋人に電話をした。喧嘩のその後、さっきの電話の内容を打ち明けた。彼は信じられないほど優しく、私の勝手な話に付き合ってくれた。今の私の心境、状況を彼の言葉を借りて表すならば、「試合には勝ったけど、勝負には負けた」。まさにその通りである。
2006年09月29日
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恋人からの連絡が途絶えてから、一週間が経った。こちらからの連絡も、今のところしていない。 一週間とは、予想外である。数日でどちらかが、アプローチをかけると思っていた。 「もう二度と連絡がこないかもしれない」、「このまま別れてしまうかもしれない」という最悪の事態を予想した思い込みなど、嘘である。最悪の事態を予想しつつも「まぁそこまでにはならないだろう」と安心するのが目的であり、本当である。 7日は非常に長かった。7日は本来の7日以上に私たちを隔てる。 数ヶ月前、彼が禁煙すると言った。その次の日から、10数年物のヘビースモーカーがあっさりとノンスモーカーになった。自らをコントロールできると彼は言った。「去るものは追わない」ということの証明。 彼のあっさりさが、やるせない。やるせなくてやるせなくて、連絡しようにもできない。 今回の「冷戦」の始まりを記す。夜、電話越しの彼の声がとても寂しそうだった。次の日の昼、バスに乗って30分歩いて私は彼の部屋へ行った。いつもしているのだが、その日も彼の仕事による疲労を軽減するため、1時間程度マッサージをしてあげた。その日の夜は次の日彼の仕事が休みということで仲良く眠り、午後3時頃にお互い目覚めた。二人で横になってテレビを見ていたのだが、気付いたら彼は眠っていた。起こしたら悪いと思い、私は別の部屋で、持ってきた退屈な携帯ゲームをしていた。3時間後、彼が起きてきたが、また眠ってしまった。私はまた別の部屋に行き、時間を潰した。更に3時間。 「馬鹿みたい」という言葉を、気付いたら何度も何度も口走っていた。片道1時間かけて彼の家に行き、延々とマッサージをし、彼が眠っている傍らで6時間待機した。無償で。 私は使用人か。馬鹿みたいだ。 この日だけなら、問題はない。しかしずっとなのである。彼の部屋に泊まれば、すなわち私はマッサージを彼にしなければいけないという前提のようなものが出来上がってしまっていて、毎回毎回私から「マッサージしようか?」と言い、彼が「悪いからいいよ」と言い、私が「いいよいいよ」と言うやりとりはあるものの、苦痛だった。最初は喜んでしていたのだけど、数ヶ月前から次第に嫌になった。 最初から最後まで力を抜かずにやっていたので、肉体的な苦痛もあった。だけどそれ以上に、「何も返ってこない」という精神的な苦痛が大きかった。自分で望み、仕事をし、たくさんの給料をもらい、しかしその給料の分だけ出る疲労。その疲労を、なぜ私が無償でほぐしているんだ。養われている立場ならいい。「いつもありがとう」とかいって、気の利いたプレゼントでもしてくれるならまだいい。だけどそういうこともなく、なんで私が彼の疲れた分疲れなくちゃならないのだ。何も悪いことしてないのに。ただ彼の恋人であるだけなのに。 私が、「マッサージしようか?」とさえ言い出さなければいいのだが、その一言は既に強迫観念のように頭にこびりつき、初期からいつも当たり前のようにしてきた分、彼もその一言を待っているし、その一言がなければ・・・ってこんなくだらないこと書くのも苦痛だ。本当に馬鹿みたいだ。 なんでこんな男のことを好きなってしまったんだろう。そしてなぜ今の私には、彼に対する愛情が持てないのだろう。 マッサージ云々も、本来はそれほど理不尽な話ではないのだ。私が空回りしていることは確かだが、彼を好きであれば気にならないことなのだ。「無償で」とか見返りとか損得とかを考える時点で、何かが終わっているのだ。 だけどあまりにも疲れた。私は、騙されていたいだけだ。別に真実なんでどうだっていいのだ。騙してくれさえすればいいのだ。 でも彼は、騙してさえくれない。彼にそれを望むことさえ罪なのだろうか。 その日の6時間、そしてそれ以後、今まで溜まってきたものが思い起こされてならず、私はとても笑えなかった。冷めた顔がほぐせなかった。 次の日の夜、彼から電話がかかってきた。前日の私の態度の話が持ち出され、彼はそれが不愉快でならないと言った。「休みの日に自分の部屋で何しようと勝手じゃん」、おなじみの「プライベートで嫌な思いをしたくない」等を、不愉快そうに言った。それに対して彼に何を弁解しようと、経緯を打ち明けようと、彼は聞く耳を持たないだろうし、そういった和解への話し合いがまさに彼にとっての「プライベート」を侵すことに値するらしいことは散々言われてきたし、こちらももう理不尽にガミガミ言われるの嫌だし、それを我慢してまで伝える気力もなかったので、電話は彼の不愉快が一方的に私に届いただけで終わった。そしてそれ以降、彼からの連絡も、こちらからの連絡もない。 明日も連絡がなかったら、こちらから連絡しようかと思う。別れるのか別れないのかさえわからない灰色のような状態は嫌だ。 ・・・って私がこんな切羽詰まった思いでいるのに、おそらく彼は1ミリもそういう思いをしていないこと、ただひたすら「不愉快」でしかないであろうことがたまらなく嫌だ。そしておそらく、彼が電話を無視する可能性が高いということが嫌だ。たとえ私が彼の部屋の合鍵を返し、別れを告げたとしても、「不愉快」で終わるであろう彼の冷酷さと余裕が嫌だ。
2006年09月20日
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ここ半年程、心が随分と安定していた。何年もの付き合いのある友人や家族、知り合いなどと話をするたびに「ともちゃん成長したね」と言われるようになった。自分のことで泣かなくなった。最近いつも笑っていた。 別に全てが上手くいっているわけではなかった。けれども上手くいっていないという事実が、自分の全てを覆うこともなかった。 言うなればバランスが良かった。妙に均衡の取れた毎日だった。 今日、久々に泣いた。込み上げてくる不安と混乱。そんな類の涙を、久々に流した。「死にたい」というあの懐かしい言葉も、口をついて出た。 恋人のあの人が、嫌いでたまらない。だけどそれ以上に好きでたまらない。 彼について誰かに話すとき、いつも言い訳みたいになる。「でもいい人なんだよ」という言葉を、思えばいつも付け足している。 彼ほどわがままで、自己中心的で、タチの悪い人間に私は出会ったことがない。私自身、自他共に認めるわがままで、自己中心的で、タチの悪い人間である。しかし彼はそれ以上にそうなのだ。 彼と関わっていると、本当に疲れる。なぜ私がいつも、彼に対して申し訳なさそうにしていなければならないのだ。働けって頼んでないのに、養ってもらってるわけでもないのに、私だって疲れてるのに、なぜ彼の仕事での疲労を第一に考えるのが私たちの前提なんだ。 彼が自他共に認める気遣いのできる人間?は?どこがだよ?私はあなたほど気遣いのできない人間を今までに知らない。 彼は、自分の不快感をすぐに口に出す。「俺、仕事以外のプライベートで嫌な思いしたくないんだよ」。よく言うわ。「嫌な思い」の根源はお前だろうが。お前が私に不快感を与えて、私に我慢をさせて、我慢しきれなくなった思いを私は顔に出しているだけだ。 自分の不快感ばかり主張するあなたは、おそらく他人に一ミリも嫌な思いをさせていないと思っているんだろうね。いや、それ以前にそういうことを考える部分が欠如しているのだろう。 まず、話にならない。互いの不快感を解決するための話を、彼はこの上なく嫌う。比喩ではなくて、本当に話にならないのである。 これは彼と付き合い始めた当初から感じていたことなのだけど、彼と一緒にいると時々、DVを受けているような気持ちになる。もちろん、彼から暴力を振るわれたことはない。だけど、とんでもない精神的な圧力に押さえられている。いつまでも彼が「上」、そして私が「下」という関係。 車で迎えに来てくれる、車のドアの開閉をしてくれる、言葉で私を立ててくれる等、まさに「レディーファースト」というか、彼はそういうことのできる人であった。そしておそらくそういうことができるので、彼は「気遣いのできる男」と自称していたのだろう。気遣いができると自称することで、それ以上の気遣いを相手に負わせるということは気付いていないようであったが。だけどまぁそういう類の細かい気遣いというか、私は彼の「気遣い」とやらをマナーの領域だと思っているのだけど、そんなことは確かにできていた。それゆえに、表面上では上下関係など見えてこず、私たちはただ仲の良い恋人同士だった。 しかし核というか軸というか根本的な部分で、確実な上下関係があった。口で言わずとも、「付き合ってやっている」という彼の感覚、決して抵抗を許さぬ、まるで首を絞められるような強い圧力が、喧嘩(というか彼が不快感を訴え、私がそれに口答えするとき)のたびにいつも伝わってきた。 初めは、自分を責めた。あぁ彼にこんなに申し訳ないことをしてしまったんだなぁとか私が幼かったんだなぁといった具合に私自身が反省し、「ごめんなさい」という言葉を発した。しかし「喧嘩」が繰り返されるとともに、ある一つの事実がはっきりと見えてきた。 私は、絶対に悪くないのである。当然の主張と疑問をぶつけているだけだ。その蟻のような小さな声を、彼は象の足で潰そうとする。次第に私は、架空の象の足への恐怖、倦怠、煩わしさから心にもない「ごめんなさい」を発するようになった。 「喧嘩」から見えた一つの事実とは、紛れもなく彼の弱さである。喧嘩の発端となる私の主張、疑問に、彼を責め立てる要素は一切ない。しかし私が一つでも本質を突くような主張、質問をすると、怒涛の勢いで彼は私を責める。 自分が悪いという立場が、ものすごく恐ろしいのだろう。幼少の頃いじめられていたと言っていたが、本当に頷ける。どうしようもなく保守的な彼に、同情心すら覚える。心が狭いとかひどい人だとかいう以前に、欠陥である。そして致命的なことに彼の心は硬直しており、事の施しようがない。 上に彼のことが好きでたまらないと書いたが、それは今から1週間程前に書いたもので、今は多分そんなふうに思っていない。書き換えるならば、「寂しくてたまらない」だ。スーパーカーの助手席、高級料理、巧みなセックス、芸人顔負けの面白さ等、彼には随分楽しませてもらったので、余計に寂しくてたまらない。そしてハードルが上がってしまった分、寂しさを紛らわすことであれ、恋人を作ることであれ、簡単ではなくなるだろう。 と、別れの雰囲気が漂っているが、まだ別れたわけではない。また例の喧嘩をし、冷戦のような状態にあるだけだ。以前にも何度かこのような状態になっては、プライドを捨てた私の謝罪で収まってきた。 だけど今回は、謝らないでおこうと思う。彼から連絡がきたら、私は安堵の末に今の自分の意志を放り出してしまいそうだが、もしずっと連絡がこなかったら、そのままにしておこうと思う。 どうせ別れるのなら、早いほうが引きずらなくていい。早いといっても、既に1年が経ってしまったのだが。
2006年09月13日
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