2006年09月20日
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恋人からの連絡が途絶えてから、一週間が経った。こちらからの連絡も、今のところしていない。 一週間とは、予想外である。数日でどちらかが、アプローチをかけると思っていた。 「もう二度と連絡がこないかもしれない」、「このまま別れてしまうかもしれない」という最悪の事態を予想した思い込みなど、嘘である。最悪の事態を予想しつつも「まぁそこまでにはならないだろう」と安心するのが目的であり、本当である。 7日は非常に長かった。7日は本来の7日以上に私たちを隔てる。 数ヶ月前、彼が禁煙すると言った。その次の日から、10数年物のヘビースモーカーがあっさりとノンスモーカーになった。自らをコントロールできると彼は言った。「去るものは追わない」ということの証明。 彼のあっさりさが、やるせない。やるせなくてやるせなくて、連絡しようにもできない。 今回の「冷戦」の始まりを記す。夜、電話越しの彼の声がとても寂しそうだった。次の日の昼、バスに乗って30分歩いて私は彼の部屋へ行った。いつもしているのだが、その日も彼の仕事による疲労を軽減するため、1時間程度マッサージをしてあげた。その日の夜は次の日彼の仕事が休みということで仲良く眠り、午後3時頃にお互い目覚めた。二人で横になってテレビを見ていたのだが、気付いたら彼は眠っていた。起こしたら悪いと思い、私は別の部屋で、持ってきた退屈な携帯ゲームをしていた。3時間後、彼が起きてきたが、また眠ってしまった。私はまた別の部屋に行き、時間を潰した。更に3時間。 「馬鹿みたい」という言葉を、気付いたら何度も何度も口走っていた。片道1時間かけて彼の家に行き、延々とマッサージをし、彼が眠っている傍らで6時間待機した。無償で。 私は使用人か。馬鹿みたいだ。 この日だけなら、問題はない。しかしずっとなのである。彼の部屋に泊まれば、すなわち私はマッサージを彼にしなければいけないという前提のようなものが出来上がってしまっていて、毎回毎回私から「マッサージしようか?」と言い、彼が「悪いからいいよ」と言い、私が「いいよいいよ」と言うやりとりはあるものの、苦痛だった。最初は喜んでしていたのだけど、数ヶ月前から次第に嫌になった。 最初から最後まで力を抜かずにやっていたので、肉体的な苦痛もあった。だけどそれ以上に、「何も返ってこない」という精神的な苦痛が大きかった。自分で望み、仕事をし、たくさんの給料をもらい、しかしその給料の分だけ出る疲労。その疲労を、なぜ私が無償でほぐしているんだ。養われている立場ならいい。「いつもありがとう」とかいって、気の利いたプレゼントでもしてくれるならまだいい。だけどそういうこともなく、なんで私が彼の疲れた分疲れなくちゃならないのだ。何も悪いことしてないのに。ただ彼の恋人であるだけなのに。 私が、「マッサージしようか?」とさえ言い出さなければいいのだが、その一言は既に強迫観念のように頭にこびりつき、初期からいつも当たり前のようにしてきた分、彼もその一言を待っているし、その一言がなければ・・・ってこんなくだらないこと書くのも苦痛だ。本当に馬鹿みたいだ。 なんでこんな男のことを好きなってしまったんだろう。そしてなぜ今の私には、彼に対する愛情が持てないのだろう。 マッサージ云々も、本来はそれほど理不尽な話ではないのだ。私が空回りしていることは確かだが、彼を好きであれば気にならないことなのだ。「無償で」とか見返りとか損得とかを考える時点で、何かが終わっているのだ。 だけどあまりにも疲れた。私は、騙されていたいだけだ。別に真実なんでどうだっていいのだ。騙してくれさえすればいいのだ。 でも彼は、騙してさえくれない。彼にそれを望むことさえ罪なのだろうか。 その日の6時間、そしてそれ以後、今まで溜まってきたものが思い起こされてならず、私はとても笑えなかった。冷めた顔がほぐせなかった。 次の日の夜、彼から電話がかかってきた。前日の私の態度の話が持ち出され、彼はそれが不愉快でならないと言った。「休みの日に自分の部屋で何しようと勝手じゃん」、おなじみの「プライベートで嫌な思いをしたくない」等を、不愉快そうに言った。それに対して彼に何を弁解しようと、経緯を打ち明けようと、彼は聞く耳を持たないだろうし、そういった和解への話し合いがまさに彼にとっての「プライベート」を侵すことに値するらしいことは散々言われてきたし、こちらももう理不尽にガミガミ言われるの嫌だし、それを我慢してまで伝える気力もなかったので、電話は彼の不愉快が一方的に私に届いただけで終わった。そしてそれ以降、彼からの連絡も、こちらからの連絡もない。 明日も連絡がなかったら、こちらから連絡しようかと思う。別れるのか別れないのかさえわからない灰色のような状態は嫌だ。 ・・・って私がこんな切羽詰まった思いでいるのに、おそらく彼は1ミリもそういう思いをしていないこと、ただひたすら「不愉快」でしかないであろうことがたまらなく嫌だ。そしておそらく、彼が電話を無視する可能性が高いということが嫌だ。たとえ私が彼の部屋の合鍵を返し、別れを告げたとしても、「不愉快」で終わるであろう彼の冷酷さと余裕が嫌だ。





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最終更新日  2006年09月21日 04時47分58秒 コメントを書く


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