Nij

2007.03.15
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カテゴリ: 短編小説



リオは15歳でした。
サキは16歳でした。

二人は面識はなかったけれど、話したことなら何度もありました。未来に期待を寄せたものです。もしかしたら、と。

もしかしたら、過去にも未来にも、二人には関係があるのかもしれない、と二人は信じました。そうするとそれぞれが道を楽しく歩くことができたし、そこにいる理由がひとつ増えました。二人は幸せでした。


*


現実は泥の波のように二人を飲み込みました。大人になった二人はそれぞれの泥の中でもがいてもがいて、溺れながら仕事をしました。そのうち社会という煙に巻き込まれた二人はそれぞれのことを完全に忘れ、でこぼこのベルトコンベアの上から振り落とされないように、必死でした。


春の昼でした。30歳のリオは疲れて散歩をしていました。古くなった安いスニーカーを真新しいアスファルトに擦らせながら、何かを探していました。すると、反対側から、というのはリオの正面から、背筋の伸びた女性が歩いてきました。スーツを着たサキは、仕事のできる大人になっていました。コツコツとハイヒールの音をならせて、31歳のサキは歩いてきました。



二人は互いに目もくれずにすれ違いました。それから五回サキの靴音が響いて、二人は同時に振り返りました。懐かしい匂いがしたのです。辺りを歩く都会の人たちは歩く足を止めませんでしたが、二人を繋ぐ時間はぴたりと止まりました。それでもリオには女性が遠い世界にいるお金持ちに見えたし、サキからは男性がとんでもなく貧乏で自分とは何のかかわりもない男に見えたから、また、二人とも進行方向を見て歩き始めました。


お互いは忘れていました。約束を。運命を。


*


ねえ、とっても悲しいお話だと思いませんか?


と、すれ違った見ず知らずの女性に尋ねたなら、きっとあなたは変質者と間違えられます。曖昧な記憶の答えを手に入れることに急ぎすぎたが故に、あなたの探し求めているものは一層色薄くなるんです。





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最終更新日  2007.03.16 01:19:01
コメント(4) | コメントを書く


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久しぶり!!  
カイト さん
>曖昧な記憶の答えを手に入れることに急ぎすぎたが故に、あなたの探し求めているものは一層色薄くなるんです。

深いなぁ...

でも、こうゆうの好きだなw


受験終わってやっと一息。今日からまたカキコするね!!

あと、100作おめでとう!! (2007.03.15 21:22:44)

レス  
イス川  さん
>カイト
受験、お疲れ様。本当にお疲れ様。

>でも、こうゆうの好きだなw
本当?そういってもらえるとメチャうれしい^^
ありがとーうb
>またカキコ
うん、これからもよろしくね!

>おめでとう!!
ありがとうーー!! (2007.03.16 01:13:08)

とっても悲しいお話だけれど  
puroro  さん
101作の中で、この小説が一番好き。
だって、二人は幸せだったから。
ありがと。 (2007.03.16 06:59:54)

レス  
イス川  さん
>prrさん
>この作品が一番好き。
それはありがたい 笑
もうちょい長くすればもうすこし深くなったかなー、なんて。でもこれ以上書くことがなかった。

>幸せだったから
そうだよね、きっとそうだよね。
だってかねもt(

>ありがと。
お金持ちになってねー。 (2007.03.16 07:30:42)

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