Nij

2007.03.16
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カテゴリ: 短編小説



雨の匂いをふたつの肺で感じながら歩く彼の背中には、大きな傷跡が会った。どんな厚い服を着ても見えてしまう、古い傷跡が。





信じられないことに、背中にある一本の大きな傷は、知らないうちにそこにあった。雷が掠ったわけでもなく、通り魔にのこぎりを振り上げられたわけでもなく、ごく普通に。


通り行く人が、後ろに行ってから振り返って彼のことを指をさす。そんなとき彼は大量の冷や汗を全身、勿論傷跡も含めてかく。顔面が蒼白になって、あるいはこの顔は自分のものではないのではないだろうか、と思うような不思議な感覚に陥る。


ある日、彼はひとりの女性に出会う。彼は女の人に話をするのはあまり得意なほうではないからかたくなっていたけど、その女性は気軽に彼に声をかけてくれた。だんだん仲良く、なっていった。



仲が良くなっていくにつれて、彼はひとつの新しい感情を覚えた。彼は恋をした。彼女を探し、彼女を見た。そして、少しして二人は…。






傷跡があるということ以外はなんの変哲もない、普通の物語。

そう、普通の物語。





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最終更新日  2007.03.17 04:51:52
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