Nij

2007.05.04
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カテゴリ: 短編小説



鳴海の駅に着くと結構人が降りて、僕はシートに座った。向かいの席にたまたまマコが座って、やっぱりそうだ、という顔で僕を見た。「タクミ?」「おー、やっぱりマコ?」





快速急行は、特急に比べて幾分揺れが少なく、お互い会話をしやすかったけど、堀田に着くと続々と人が入ってきて、僕とマコの間にはたくさんのサラリーマンとゲームをしている若い男の人と化粧の濃い30代の女性で埋まってしまった。それでも僕の胸はまだはずんでいた。マジでマコ?


マコは、小学校4年生の時に初めて同じクラスになった。お互い苗字の最初の文字があ行だったから、隣の席になって、それから仲良くなった。偶然同じスイミングスクールに通っているということも、その頃知った。僕らの間には特に共通点というものはなかったけれど、なぜか気が合った。5年生のときには同じ委員会でポスターを作って、6年生の時は修学旅行で同じグループになって、僕らを含めて6人で、一緒に京都の街をぐるぐると回った。


中学校1年生のときも同じクラスになったのは、本当に驚きだった。「おお!タクミじゃん!!!」といってマコは大笑いした、その年僕らはオレンジレンジにハマって、CDについていろいろと話したりした。休み時間にはいつも二人で合唱していた。夏のストーブは僕らにとってライブステージだった。みんなは僕とマコのことをラブラブなカップルだといって冷やかしたのだけれど、僕らは別にそういうつもりじゃなかった。


僕が日本を離れると言った時、彼女は、小学生5年生の時に僕のことが好きだったことを教えた。僕も正直に、6年生の時にマコが好きだったことを教えた。昔のことだったけれどやっぱり恥ずかしくて、奇妙なすれ違いに大笑いした。夕暮れの帰り道を大笑いして、最後にマコは少しだけ、静かな月に涙した。






金山に着くとまた人が少なくなった。マコはすごくきれいなっていて、変わっていない僕を思い出して少し恥ずかしくなった。それでもマコは僕のことをカッコイイって言ってくれた。彼女は神宮前で降りるのよ、といった。僕は名古屋で降りて、そこからまた地下鉄で20分だよ。とため息をつきながら言った。すると彼女はカバンの中からチェルシーを5個取り出して、僕にくれた。チェルシーかマコが昔から大好きだったアメで、どうやら今でも一番のお気に入りみたいだ。


ありがとう、と僕が言った時に見せた笑顔は昔のままで、僕はうれしいような、さびしいような気持ちを感じた。神宮前についてドアが開くと、彼女は細い右腕をひらひらとさせて、電車から出て行った。チェルシーは懐かしいバタースカッチ味だった。空は今日も曇り空だった。





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最終更新日  2007.05.04 09:57:46
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