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「見慣れると景色になる」
これは以前、定期的にカウンセリングをしていた、
ある方の言葉です。
その方はAD/HDの傾向があり、
大事なことをすぐに忘れてしまうこと、
朝の薬を飲み忘れてしまうことなどに、
大変苦慮しておられました。
AD/HDの方の生活では、
やらなくてはいけないことが、別の情報で上書きされ忘れてしまうことや、
他のものに気を取られて、行動がスリップしてしまうこと、
などがおきることあります。
視覚的な情報が優先される傾向にあり、
頭の中で操作していること(ワーキングメモリ)の保持などに、
弱さがあるとも言われています。
その方も、できるだけ忘れないように、
メモを張り付けたりしているけれど。
それを見ること自体を忘れてしまう、という状況にありました。
先の記憶、未来のことについての記憶は、
「展望的記憶」といいます。
昔の記憶に対し、「展望的記憶」には、
2つの重要な要素があると言われています。
たとえば、週末の用事に関して。
「展望的記憶」を記憶として喚起するには、
「そのタイミングで思い出す」、
そして「その内容を思い出す」、必要があります。
どちらが欠けても、記憶としての役割は欠如してしまう、というわけですね。
さて、さきほどもメモについても同様です。
忘れないように、とメモした。
それを覚えておかなくてはいけない、
メモを見ることを思い出さなくてはいけない。
そうなると、メモすることのみでは、不足してしまいますね。
では、メモをいつも目にする場所に貼っておけばいいのでは。
そう思いますよね。
例えば、朝起きて必ず見る時計、鏡、ドアノブなどなど。
その方もいろいろ試したそうです。
小学校の頃は、ランドセルを開けたところにも、
メモを張り付けていたそう。
最初のうちは、目新しく、
目にすることで記憶が喚起される効果があったそう。
でも、毎日毎日見ているうちに。
「それがただの景色になってしまうんです」、と話します。
馴化、慣れ、ですね。
新規なものには意識をするが、
慣れてくると意識しなくなる。
目に入っていても、それを脳が大事な情報として処理することなく、
省いていってしまうのですね。
脳はエコだ、という話をよくします。
見ているものすべてを、重要事項として処理すると、
脳は大いに疲弊してしまう。
そのため普段見慣れている景色、不必要な情報については、
自動で未処理の状態になり、
見ていても気づかない、記憶に残らない、という状況になるようです。
そういうことって、日常ありますね。
例えば、冷蔵庫にず~っと貼ってあるお便り。
トイレに貼ってあるカレンダー。
月が替わって新しいものになると、目を引きますが。
月末あたりは、ほとんど景色。
そのため、「貼っておく」、「書いておく」、「掲示しておく」、
という処理だけでは、
望ましい結果が得られない、こともあるということですね。
では、どうすればいいか。
新規なものにときどき更新する、
ポップアップ式にする、などが可能かと思います。
ポップアップ式というのは、
自動で、そちらから、飛び出してくるような状況ですね。
たとえば、スマホのカレンダーのリマインダー、
LINEの通知などがそうですね。
特別な処理で、飛び出して通知されるため、
忘れていても思い出させてくれる、という素晴らしい機能です。
かというわたしも、忙しさからか、
忘れることも多い。
そのため、ダブルチェック、
トリプルチェックで注意をしています。
そういう工夫が必要かもしれませんね。
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